ブイキューブのはたらく研究部

クラウドPBXの6大メリットと導入チェックリスト|総務・情シスが押さえるべき検討ポイント

作成者: 山本脩太郎|2025.05.14

社内のPBXが老朽化し、保守サポートも終了。働き方は多様化し、テレワークやモバイル対応が当たり前に。そして、自然災害や感染症といったリスクに備えたBCP(事業継続計画)の強化も急務です。こうした3つのトリガーが重なり、今、企業の電話インフラは大きな転換期を迎えています。

勤怠管理や経費精算、営業支援システム(SFA)など、これまでオンプレミスで運用されていた業務システムの多くがクラウド化され、業務効率の改善や柔軟な働き方に貢献してきました。そして今、その流れはPBXにも広がり、企業の音声コミュニケーションもDXの重要な一角として注目されています。本記事では、クラウドPBXの導入で得られる6つの主要メリットと、導入検討時のチェックポイントを詳しく解説します。

クラウドPBXの導入は、単なる電話機能の移行ではなく、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる鍵でもあります。

当社では、クラウドPBXの代表例として注目される「Zoom Phone」の機能・料金・導入方法を網羅した『Zoom Phoneサービス紹介資料』をご用意しています。

スマホ内線化やコールキュー、自動応答など、総務・情シスが押さえておくべき機能を一冊で確認できる内容です。PBX刷新を検討中の方は、ぜひ以下より無料でダウンロードしてご活用ください。

メリット①:導入・運用コストの最適化

クラウドPBXのメリットのひとつ目は、導入と運用にかかるコストの最適化です。

従来のオンプレPBXでは、専用機器の購入・設置、構内配線工事などに多額の初期費用がかかりました。しかしクラウドPBXなら、物理的な機器が不要なため、初期投資はほぼゼロ。インターネット接続と端末さえあれば、すぐに運用を始められます。

さらに、月額制のサブスクリプションモデルにより、会計処理も平準化。突発的な修理費や更新費用を抑えつつ、安定したコスト管理が可能です。

また、オフィスのレイアウト変更や移転時に必要だった電話配線工事も不要になり、総務や情シス部門の手間とコストを大幅に削減できます。

メリット②:拡張性とスピード

クラウドPBXの2つ目のメリットは、高い拡張性とスピーディな対応力です。

従来のPBXでは、ユーザーの追加や拠点の新設にあたって専門業者による工事が必要で、申請から数週間かかることも珍しくありませんでした。一方、クラウドPBXなら、管理画面からのブラウザ操作だけでユーザー追加や拠点増設が完了。最短で即日対応が可能です。

さらに、設定が直感的で分かりやすいため、専門的な知識がなくても操作できます。IT部門に頼らず、総務や庶務などのバックオフィス部門でも容易に対応可能です。そのため、人事異動や退職などで担当者が変わっても業務が滞らず、属人化を防ぐ仕組みとしても効果を発揮します。

この柔軟性は、事業の拡大はもちろん、急な人員増減や組織再編にもスムーズに対応できる大きな強みです。必要なときに、必要な分だけ契約席数を調整できるため、無駄なコストも発生しません。

メリット③:テレワーク/モバイル内線化

クラウドPBXの3つ目のメリットは、テレワークや外出先でも会社の電話番号を使える環境を構築できることです。

従来のPBXでは、会社の固定電話番号での発着信はオフィスにいることが前提でした。しかしクラウドPBXなら、スマートフォンやPCに専用アプリ(ソフトフォン)を入れるだけで、社外でも会社番号での発着信が可能になります。

さらに、内線番号や短縮ダイヤルもそのまま使えるため、場所に関係なくスムーズな社内コミュニケーションが実現。リモートワーク中の社員とも内線感覚でつながれるため、組織としての一体感や連携力も損なわれません。

また、BYOD(私物端末の業務利用)にも対応しており、端末コストを削減できるのも大きな利点です。通話記録はクラウド上で一元管理され、個人回線ではなく会社の通信履歴として残るため、情報管理や業務トレースの観点からも安心です。

メリット④:BCPと可用性

クラウドPBXの4つ目のメリットは、高い可用性とBCP(事業継続計画)対策への強さです。

オンプレPBXは物理機器が拠点内にあるため、災害やトラブルが発生した場合には通話機能そのものが停止してしまうリスクがありました。一方、クラウドPBXは、複数のデータセンターで構成されるマルチリージョン冗長構成が標準。多くのサービスが99.99%以上の可用性を保証しており、万が一の障害時にも自動的にフェイルオーバーが行われます。

また、電話番号自体もクラウド上で管理されるため、拠点が被災しても番号を保持したまま業務を継続できます。別拠点や自宅から、すぐに通話業務を再開できるのは、災害大国である日本において大きな安心材料です。

メリット⑤:運用負荷の軽減とガバナンス

クラウドPBXの5つ目のメリットは、運用管理の簡素化とガバナンスの強化です。

オンプレPBXでは、システムの監視・保守・アップデートを自社で担う必要があり、情報システム部門にとって大きな負担となっていたケースもあるのではないでしょうか。クラウドPBXではこれらの運用はベンダー側が担い、24時間365日の監視や自動アップデートが標準で提供されます。情シス部門は、必要なときに設定を変更するだけで済み、本来注力すべき業務にリソースを振り向けることができます。

加えて、Webベースの管理コンソールにより、ユーザー管理や設定変更も一元的に行えます。RBAC(ロールベースアクセス制御)による権限の細分化、操作ログの記録、通話録音や文字起こし機能なども備わっており、内部統制やコンプライアンス強化にもつながります。

メリット⑥:システム連携とデータ活用

クラウドPBXの6つ目のメリットは、他システムとの連携による業務効率化と、通話データの活用です。

クラウドPBXは、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援ツール)との連携が可能です。たとえば、着信と同時に顧客情報をポップアップ表示したり、通話履歴を自動でログに残したりといった機能により、営業やカスタマーサポートの対応精度とスピードが向上します。

また、通話内容をデータとして蓄積し、分析に活用することで、対応品質の改善やトークスクリプトの見直しといった継続的な業務改善にもつなげることができます。通話録音のテキスト化により、検索性や共有性も格段に向上します。

さらに、APIを通じてSlackやMicrosoft Teamsなどの社内ツールと統合することも可能で、通話の通知や情報共有をリアルタイムに行える仕組みも整えられます。

導入検討チェックリスト:スムーズな移行のためのポイント整理

クラウドPBXを導入する際は、単にコストや機能を見るだけでなく、自社の業務環境に合った設計・比較が重要です。以下の観点から、現状整理と要件定義を進めましょう。

1. 現行PBXの棚卸し

  • 現在使用しているPBXの保守期限・故障リスクを確認

  • 維持費・通信費などのランニングコストを算出

2. 必須機能と優先順位の整理

  • 録音、IVR(自動音声応答)、通話履歴のログ化など、業務に必須の機能をリストアップ

  • あれば便利な「追加で欲しい機能」も整理しておくと、比較時に役立ちます

3. 可用性・セキュリティ要件の定義

  • どの程度のSLA(稼働率保証)が必要か

  • データセンターの場所なども評価対象に

4. ベンダー比較の観点

  • 初期費用/月額料金/通話料など料金体系の違い

  • サポート体制の内容(対応時間、対応チャネル)

  • 管理画面の使いやすさ、APIの提供範囲なども検討材料に

5. PoC(概念実証)の実施

  • 実際のユーザーで試験導入し、操作感・音質・機能性を確認
  • 社内からのフィードバックを収集し、導入可否や段階移行の検討に活用

まとめ:クラウドPBXのメリットを最大化するために

クラウドPBXは、コストの最適化、柔軟な拡張性、テレワーク対応、BCP強化、運用負荷の軽減、そしてシステム連携によるデータ活用など、多くのメリットを持つ通信基盤です。従来のPBXに限界を感じている企業にとって、次の一手として非常に有効な選択肢と言えるでしょう。

導入にあたっては、まず現状の課題を洗い出し、それに対してクラウドPBXがどう貢献できるかを整理することが大切です。コスト削減や業務効率化といった定量的な効果を明確にし、社内の稟議資料に落とし込むことで、関係者の理解と納得も得やすくなります。

いきなり全社導入ではなく、まずは一部部署での小規模トライアルから始めるのも1つの方法です。実際の使い勝手や効果を確認しながら、段階的に全社展開を進めるのが現実的かつ安全なアプローチです。

変化の激しい時代において、柔軟で止まらない通信基盤は、企業の競争力を左右する重要な要素です。クラウドPBXをうまく活用し、自社の業務に最適な形でその価値を引き出しましょう。

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