2025年12月9日、一般社団法人FOSC主催のイベントが、ブイキューブ本社にて開催されました。多様な企業の総務部門が集まり情報交換する場として、定期的に開催される会合となります。
冒頭、FOSC理事の金氏は、本イベントの意義について、ブイキューブが提案し続けてきた「働き方」や「社員のエクスペリエンス(体験価値)の演出」について意見交換をすることが焦点であると説明しました。金氏は、参加者である総務のプロフェッショナルたちに対し、「自社の課題解決のヒントを持ち帰り、共に環境をより良くしていきたい」と呼びかけ、イベントが幕を開けました。
<FOSC副代表理事 金 英範 氏>
セミナーのメインパートでは、株式会社ブイキューブ総務グループの前野が登壇。「ブイキューブのオフィス変遷、総務未経験だった私が課題を乗り越えたリアルな奮闘記」と題し、自社の取り組みを紹介しました。
<株式会社ブイキューブ 総務グループ 前野 菜摘>
2022年3月に入社した前野が直面したのは、コロナ禍による出社激減ですっかり寂しくなったオフィスでした。2018年の移転時には全員出社を想定した広々としたオフィスでしたが、2022年には土地を持て余す状況に陥っており、加えて総務メンバーの多くが未経験という「サバイバル」な状態からのスタート。
転機となったのは、同じく未経験の上司への交代です。これを機に「総務とは何か」を深く問い直した結果、「オフィスは舞台である」という定義にたどり着きました。「総務がオフィスという舞台を作り、そこで社員が成果を上げられる環境を提供する」というミッションのもと、自社商材である「テレキューブ」や「ハイブリッドスタジオ」を活用し、自分ごととしての改革が始まりました。
最初のアクションとして、オフィスを「見せる場」へと変革する以下の施策を実施しました。
これらの結果、半年ほどで出社率は増加傾向に転じ、社員からも「景観が綺麗になり、オフィスに来るのが気持ちいい」といったポジティブな反応が得られました。
続くフェーズでは、人事部門と連携し、「チームの連帯感不足」という課題に対し、全社での仕事の成果を上げることを目標として、「週1日以上の出社」を推奨する方針へ転換しました。単に出社を促すだけでなく、「来る理由」を作るために以下の施策を実行しました。
これらの一連の取り組みにより、出社率は安定的に増加し、テレキューブの全体稼働率は4%向上、不人気時間帯の利用も最大7%増加しました。
さらに人事によるデータ分析では、「週1回以上出社する層はコミュニケーションスコアが顕著に高い」ことが判明。出社メンバーはフルリモートメンバーに比べ、「やりがい」「役割」「相互理解」といった項目の数値が高い傾向が示されました。
最新の取り組みとして、イベント前日に完成したばかりの「バイオフィリックパーク」が紹介されました。これは植物(グリーン)の効果を取り入れた癒やしの空間であり、偶発的な交流を生み出すことを目的としています。前野は「ただ置くだけでは効果が薄いため、あえて区切られた空間で施策を打つ」と述べ、お菓子パーティーやコーヒー試飲会などを通じて戦略的にコミュニケーションを誘発していく意向を示しました。
続いて、ブイキューブのイベントDX事業を担当する森田より、同社が顧客向けに提供し、社内イベントでも活用している「ハイブリッドスタジオ」の特徴と活用事例が紹介されました。
元々2つの会議室だったスペースを統合して作られたこのスタジオの最大の特徴は、壁一面の巨大LEDモニター(横8m×縦2m)です。森田は、「メッセージ性の強い言葉を全面に表示したり、背景デザインとして活用したりできる」と述べ、スライド投影にとどまらない自由なレイアウトと没入感を強調しました。
配信や収録に特化した設計として、以下の特徴を備えています。
企業の株主総会や決算説明会に加え、エンターテインメント分野でも幅広く活用されています。
イベント後半では、参加者からの質問に担当者が回答しました。
Q.意識改革への抵抗勢力に対し、効果的な一撃となる施策はあったか?
A.前野:出社回帰の方針には反発もあり、「一撃で変わる」特効薬はありませんでした。その上で心がけたのは、自分自身が多く出社し、いろいろな人に声をかけてつなぐといった地道な活動です。総務メンバーが率先して明るい雰囲気を作り、コミュニケーションを発信し続けることが重要だと強調しました。
Q.個室ブースの「空予約」やオフピーク対策は?
A.鈴木(ブイキューブ):稼働率レポートで「空予約」の実態を可視化し、社内に通知・注意喚起したことで劇的に減少しました。また、利用の少ない午前中などは「空いています」と告知を出し、利用を促しています。
A.前野:予約方法が分からない社員向けにPOPを目立つものに変更したり、各部門の本部会で周知したりといった地道な活動を継続しています。
Q.個人的に「やってよかった」と思うエピソードは?
A.前野:業者を使わず、総務メンバーと社内協力者の人力だけでテレキューブのレイアウト変更を行ったことです。苦労の末、「オフィスに来るのが楽しくなった」「見栄えが変わった」という声を社員からもらえた瞬間が、最も印象に残っています。
Q.VTuberイベントの頻度や、企業利用との割合は?
A.森田:VTuberイベントは月2回ほど、土日を中心に開催されています。全体としては、企業の表彰式など社内・社外向けイベントの利用が中心です。
Q.スタジオ運用に専任スタッフやプロの映像制作は必要か?
A.森田:事前に設定されたレイアウトであれば、専任のテクニカルスタッフなしで運用可能です。複雑なレイアウト変更が必要な場合はスタッフがつきます。映像はPowerPointのアニメーションでも投影可能ですが、LEDサイズに合わせたこだわった制作を希望される場合は当社で請け負うことも可能です。
イベント終了後のアンケートでは、多くの参加者から「同じ総務として勇気をもらった」「具体的な工夫が参考になった」という声が寄せられました。
特に、前野の等身大の奮闘記や、実際のオフィスに施された工夫に対しては、 「総務パーソンの実例を現地現物で見聞きでき、大変勉強になりました」 「オフィスの活性化に向けて、総務が取り組んでいらっしゃる点がすばらしいと思いました」といった、総務という職種の重要性を再確認するような感想が多く見られました。
また、オフィス見学においては、 「コンパクトマグネットスペースが良かったです。ランチ情報など、社員が喜びそうな工夫がすごいなと思いました」「バイオフィリックデザインのスペースがかわいかったです」「ワークブースの専門商品はとても勉強になりました」 など、明日から自社でも取り入れられそうな具体的なアイデアや設備に対する発見も多く、参加者それぞれの課題解決に向けたヒントを持ち帰る貴重な場となったようです。