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リクルートグループの特例子会社・リクルートオフィスサポートでは、2016年より地方在住の障がい者の「在宅雇用」をスタート。それから3年間で、在宅で業務にあたる従業員は68人に拡大しています(2019年5月31日時点)。

障がい者のなかには、身体的、精神的な理由からオフィスでの勤務が難しい方もいます。テレワークという働き方は、そんな障がい者雇用の課題を解決する一助になるかもしれません。

今回は、リクルートオフィスサポートが地方での在宅雇用を進める背景や、在宅勤務者のマネジメント方法、留意すべきポイントなどについて、同社在宅事業開発部の宮地俊介氏と、川上啓氏に伺いました。

 

※特例子会社……事業者が障がい者の雇用の促進および安定を図るために設立する、障がい者雇用に特別な配慮をした子会社。一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる。

左から宮地 俊介さん、川上 啓さん
 
左から宮地 俊介さん、川上 啓さん

地方に住んでいる人材を、テレワークで掘り起こす

―― リクルートオフィスサポートさんは、ここ数年で在宅勤務の従業員を数多く雇用されています。まずは、その背景から教えてください。

 

宮地さん(以下、敬称略):リクルートグループは成長を続けており、従業員の数も毎年1,500人規模で増え続けています。それに伴い、障害者雇用促進法が定める障がい者の法定雇用率(※現在は従業員全体の2.2%)をグループの特例子会社として堅持するためには、在宅勤務も含めた多様な働き方を検討する必要がありました。そこで、2016年6月にプロジェクトを発足して試験的に在宅雇用を開始、2017年4月は「在宅雇用開発室」という部署を設立し、在宅勤務の社員を積極的に増やしています。

 

―― それまでは首都圏での採用が主だったとのことですが、在宅雇用は地方の方が多いようですね。

 

宮地:はい。特例子会社が集中する首都圏では、障がい者の方の採用競争が激化しています。リクルートオフィスサポートも元々は首都圏で採用活動を行っておりましたが、人材を安定的に確保するためにも地方に目を向けていこうと。在宅勤務であれば、居住地に縛られず採用できますので。現在、在宅勤務者は68名おり、居住地の内訳は北海道の旭川が25名、札幌が7名、函館が9名、釧路が4名、沖縄が4名、その他が19名となっています。

 

―― 特に北海道、とりわけ旭川の方が多いですが、何か理由はありますか?

 

宮地:旭川市が2016年度から「UIJターン促進テレワーク調査・実証事業」に取り組んでおり、それに参加する形で雇用を開始したという経緯があります。調査・実証事業への参加から3カ月後にも再び旭川で採用を行い、以後は小樽や釧路など、道内の他のエリアにも広げていきました。旭川での実績が広まり、他の自治体の関係者の方々からもお声がけいただくようになって、少しずつ拡大していったという流れですね。

 

―― 先ほど、首都圏では障がい者の採用競争が激化しているというお話がありました。逆に地方では、障がいを持つ方が職を得ることは困難なのでしょうか?

 

宮地:そうですね。地方でも札幌などの大都市であれば企業も多く仕事があるんです。しかし、旭川のような地方都市では企業も少なく、なかなか就労機会を得られていない状況があると思います。

 

―― なるほど、そこで首都圏企業と地方に住まわれているの障がい者をつなぐテレワークが浮上してくると。テレワークを望むのは、通勤が困難な身体障がい者の方が多いのでしょうか?

 

宮地:現在は身体障がいの方が26名、精神障がいの方が41名、知的障がいの方が1名。6割がメンタル面での障がいを持つ方となっています。我々も当初は、身体障がい者のほうが物理的に通勤が難しく、テレワークの需要は高いと考えていました。ところが、実際に募集をしてみると、精神障がいの方からより多くの応募があったんです。

 

リクルートオフィスサポート 宮地さん

 

―― 理由として、どのようなことが考えられますか?

 

宮地:精神障がいを持つ方の中には、統合失調症で幻覚や幻聴などに苛まれ、そこから被害妄想の症状が出てしまう方もいます。例えば、隣の部署から数人の笑い声が聞こえてくると、「自分が笑われているんじゃないか?」と考えてしまうこともあるかもしれません。つまり、オフィスの中で他者とコミュニケーションをとって仕事をすることへの、高いハードルがあるわけです。

 

―― 在宅であれば、そんな心配もない。自分が安心できる環境の中で、落ち着いて仕事ができますね。

 

宮地:その通りです。実際のところ、集中して仕事を進めてもらえるので、我々としても非常に助かっています。在宅勤務の従業員は、それぞれがベストのパフォーマンスを発揮してくれていると感じますね。

 

車いす衝突防止のためにカーブミラーを設置オフィスには車いす衝突防止のため各所にカーブミラーが設置されている

 

業務よりも優先すべきは、体調面のケア

―― 在宅勤務の方々の業務内容と、仕事の進め方を教えてください。

 

川上さん(以下、敬称略):リクルートグループが運営するサイトの情報審査が主な業務です。カスタマーからの口コミや企業が入稿した求人情報のチェックなどをしています。

仕事の流れは、まず勝どきのオフィスに勤務する進行担当が朝の9時に出社し、チームごとにその日の業務内容や連絡事項を確認して、チャットアプリに記入します。在宅勤務のメンバーはおのおの就業準備ができたらチャットに入り、9時30分からの「朝会」でコミュニケーションをしてから業務にあたってもらっています。

 

―― 「朝会」はビデオ通話で行われるのでしょうか?

 

川上:はい。毎日必ず、朝会と夕会でビデオ通話によるコミュニケーションを行っています。仕事内容の確認だけでなく、ちょっとした雑談など、わりと砕けた話をするように心掛けていますね。やはり物理的に距離があるぶん、意識して話をしないと関係性が希薄になってしまう。在宅であってもチームの一員であるという意識を持ってほしいですし、それには顔と顔を合わせたコミュニケーションが望ましいと考えています。また、直接話をすることで、体調面の不安もある程度は察知できますから。

 

夕会の様子
夕会の様子

夕会の様子

 

―― 体調面のケアには、かなり力を入れているそうですね。

 

川上:はい、在宅のメンバーには朝会が終了した後に、その日の体調をポータルサイト上に入力してもらうようにしています。「とても良い」「良い」「普通」「悪い」「とても悪い」の五段階から選べるようになっていて、その理由や状態を備考欄に記載してもらう形ですね。頭痛がする、気分の落ち込みから3時間しか眠れていない、等具体的に記載します。進行担当は、必ずチームのメンバーの状態を確認し、体調に合わせて業務量を調整したり、場合によってはリーダーにエスカレーションして対応を相談しています。

 

―― マネジメントにあたるリーダーは、メンバーの障がいの内容や、どんな症状が出るかについても把握しておく必要がありそうですね。

 

川上:はい。そこはしっかり把握して注視していますし、業務中も何かあれば個別に相談や報告をしてもらうことにしています。また、定期の通院をしているメンバーであれば、業務よりもまずは医療機関との調整を最優先にしてもらい、治療で休む場合はお互いにサポートし合う仕組みを設けています。

他にも月に一度、各チームのリーダーがメンバー一人ひとりに面談をして、体調面での不安や仕事のやりづらさ、気になっていることなどをヒアリングする機会も作っていますね。できるだけ事前にキャッチアップして、問題が起こる前に業務の調整を行ったり、アドバイスするといった「予防」の取り組みに力を入れています。

 

保健師が常駐する健康管理ルーム。障がいや健康に関する相談が受けられる

保健師が常駐する健康管理ルーム。障がいや健康に関する相談が受けられる

 

―― ちなみに、そうしたプライバシー性の高いやりとりは一対一が基本だと思うのですが、それとは別に、チームメンバー同士のコミュニケーションはどのように行われているのでしょうか?

 

宮地:全体のチャットで、雑談のような会話をオープンにやってもらっています。我々がオフィスの中で交わすような他愛ないやりとりが、チャット上で行われていますよ。チームによっては、チャットが目で追いきれないくらい盛り上がっているケースもありますね。在宅勤務でも、おのおのが孤立しないようなコミュニケーションは心掛けています。

在宅勤務でも「リクルートの仲間」という意識を持ってほしい

 

―― その他、テレワークのマネジメントにあたって、特に注力した点などはありますか?

 

宮地:仕事に向かうモチベーションの醸成やマインドセットには、特に力を入れました。機械的に仕事を振るだけでは、ただの業務委託のような形になってしまいます。我々が目指しているのは、彼らが同じリクルートグループの仲間として自己ベストを目指し、会社に貢献して、社会との接点を作っていくこと。そのためには、リクルートの理念や文化を感じてもらい、仲間意識を持ってもらうことが重要です。

 

―― 確かに、在宅だと会社への帰属意識のようなものは薄れがちになるかもしれませんね。そこを、どのように意識付けていったのでしょうか?

 

宮地:年に一度、全社員が一堂に会する社員総会を開催しています。そこではトップが今後の事業方針などについてメッセージを発するのですが、そういったものを在宅勤務のメンバーにも体感してもらえないだろうかと考え中継をしました。また、半期に一度のキックオフでは、リクルートグループ各社の業務を統括するマネージャーに来てもらい、メンバーがやっている仕事にどんな意義があり、どのような価値をもたらしているか、といったメッセージを伝えてもらいました。

そうした真面目なものだけでなく、月イチくらいでイベントを開催し、オフィス勤務、在宅勤務の垣根を越えてワイワイ楽しむことで連帯感を醸成しています。特に、去年のハロウィンはみんなで仮装をして盛り上がりましたね。

 

―― 在宅のメンバーも仮装して、画面越しに参加するんですか?

 

宮地:そうです。ハロウィンはかえって在宅の方が、周囲の目を気にせず思い切った仮装ができるんですよ。おのおのの個性が発揮された、いいイベントになったと思います。

 

―― それは連帯感が生まれますね。なんというか、とてもリクルートらしい試みだと感じます。

 

宮地:そうですね。リクルートらしさを一緒に感じてもらいたいと思っていますし、リモートやバーチャルに寄り過ぎてしまうとドライな関係性になってしまうので、そこにいかにウエットな空気を盛り込むかは大切にしています。

 

宮地さん

 

障がい者雇用は福祉ではなくビジネス。だからこそ、ベストパフォーマンスが発揮できる環境作りを

―― 在宅雇用の取り組みを含め、とても働きやすそうな職場だと感じました。最後に、こうした手厚いケアやマネジメントを行う理由を、改めてお聞かせください。

 

宮地:個々の従業員に自分の障がいをきちんとケアしてもらい、なるべくいい状態で仕事に臨んでもらいたいからです。我々が行っているのは福祉ではなく、あくまで会社が行う事業です。ですからメンバーに対しても、「まずはコンディションを整え、仕事に真摯に向き合い、日々、自己ベストの発揮を目指して頑張っていきましょう」と、日頃から発信しています。そして、そのためは会社側のサポートが不可欠です。

とはいえ、従業員に快適な職場環境や働きやすい仕組みを用意し、よりよいパフォーマンスを発揮してもらうことは、我々のような特例子会社に限った話ではないと思います。オフィス勤務でも在宅勤務でも、また、障がい者でも健常者でも、働く上では当たり前のことなのではないでしょうか。

 

取材・執筆:榎並紀行(やじろべえ)

写真:小髙 雅也

企画・編集:はてな編集部

 

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