地方でのテレワークはメリットしかない! ブイキューブの本部長が語る活用の心得とは?

「働き方改革」の掛け声の下、近年になりテレワークが脚光を浴びている。そのためのWeb会議システムにおいて11年連続で国内シェアトップを走るブイキューブは、現場を統括する管理職の地方でのテレワークも積極的に推進している。岐阜県郡上市でテレワークを体験したブイキューブ マーケティング本部本部長の佐藤岳氏に、「ITmedia ビジネスオンライン」の副編集長で、働き方改革などをテーマにした新メディアブランド「#SHIFT」を立ち上げた伏見学が、地方での実体験に基づくテレワークへの本音を聞いた。

» 2018年12月05日 10時00分 公開
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管理職として地方で数カ月働く

岐阜県郡上市で4カ月間テレワークを実践した佐藤氏 岐阜県郡上市で4カ月間テレワークを実践した佐藤氏

伏見: 働き方改革の実践手法としてテレワークが近年、注目を集めていますが、佐藤さんも地方のサテライトオフィスで働いていた経験があるそうですね。

佐藤: そうなんです。当社は、岐阜県郡上市にあるシェアオフィス「HUB GUJO」を開設時から契約しており、私は2017年2月から4カ月間、東京本社から離れて1人で仕事をしていました。同施設に当社のV-CUBE Box、V-CUBE Oneといった製品・サービスが採用され、ならばここでテレワークをしてみないかという話が持ち上がったのが直接的なきっかけです。

 当社は2010年から制度としてテレワークを開始し、2014年からは和歌山県白浜町のサテライトオフィスを利用するなど、テレワーク自体は特段、目新しくはありません。ただ、管理職が実際にやらなければ、現場に対して「やりなさい」と強くは言えませんよね。そこで、管理職として私が手を挙げてみたのです。

伏見: 実際に体験してみてどうでしたか。

佐藤: とにかく自然が多く、環境面では「素晴らしい」の一言です。郡上市は“小京都”と呼ばれる美しい町並みから、年間を通じて多くの観光客でにぎわいます。その一角にHUB GUJOはあるのですが、毎日の通勤がまるで旅行のようで、慣れるまでは不思議な気分でした。また、通勤時間が短くなったこともありがたかったですね。私の場合は片道徒歩10分ほどでしたが、空いた時間にお寺の座禅の会に出席するなど、東京よりも時間を有効活用できました。もっとも、通勤が楽になり、食生活が規則正しくなったこともあって、体重は残念ながら増えてしまいましたが(笑)。

地方で働いたら商談金額は前年比2.6倍に

伏見: 地方での仕事の中身についてはどうでしょう?

佐藤: 良い面、悪い面といろいろ言われますが、私としてはメリットしかないというのが実感です。私はマーケティング本部長として商談数や商談金額などに責任を負っていますが、結論から先に言えば、郡上で仕事をしている期間、商談金額は前年同期比で2.6倍も伸びました。

ブイキューブ マーケティング本部本部長の佐藤岳氏 ブイキューブ マーケティング本部本部長の佐藤岳氏

 業務効率も確実に高まったと思います。というのも、私は管理職として日に何度も会議に出席しますが、郡上に来てからはWeb会議によりデスクから離れなくても良くなり、会議室への移動が不要になったのです。東京オフィスにいる場合、自席から会議室まで行き帰りで5分だとしても、1日平均8回の会議があるので40分も無駄な時間が発生するのです。

 また、サテライトオフィスでは基本1人なので集中しやすく、スピード感を持って仕事に取り組めます。そうなると、新たなアイデアだけでなく、ビジネス課題が多く見つかるようになりました。より濃い密度で仕事ができたことは確かです。

 こうした成果が得られたのは、ブイキューブならではの理由もあるでしょう。当社の仕事柄、経営会議から部門長会議、採用時の面接、営業活動など、多様な業務でWeb会議を使い慣れていることです。そのため、Web会議によるコミュニケーションで違和感を覚えることはありません。

 また、会議中はGoogleドキュメントなどを使って発表や議事進行を行い、そのデータを基に議事録をまとめたり、各種申請用のクラウドを用意したりなど、業務のペーパーレス化が当たり前のように進んでおり、会社に出向かなくても仕事を回せたのは大きかったですね。

相手が“見えない”ことをどうカバーするか

伏見: とはいえ、部下の指導や評価は、場所が離れていては難しくはないのですか?

佐藤: 確かに何らかの下準備が必要でしょうね。その一環として当社では、従来から各社員の能力の見える化に取り組んできました。具体的には、マーケティング本部では、職種や職務等級、能力要件に応じて業務内容を定義しています。

業務内容に応じて個々人が目標と活動計画を策定 業務内容に応じて個々人が目標と活動計画を策定

 社員は会社の事業方針、部門の方針を踏まえ、自分の業務内容に即して半年間の活動計画と目標を設定します。活動計画と設定した目標を上司との面談の上で半年ごとに見直しつつ、各データを人事考課システムに登録しています。ここまで事前に行っておけば、仕事の結果から評価はできますし、報告を受けて迅速にフォローすることも可能です。

 もちろん、同じ場所に席を並べて仕事をすることはコミュニケーションや情報共有、さらにチームとしての信頼感の醸成の面で大切なことです。そこでのテレワークの一番の問題は、相手の顔が「見えなくなってしまうこと」ですね。結果、部下からすれば自分の働きを正しく評価してくれるのか、上司からすればちゃんと仕事をしてくれるのかと互いに不安になってしまう。結果、「導入したものの根付かない」と相談を持ち掛けられることもしばしばです。

 郡上のサテライトオフィスではこの点を踏まえて策を講じました。例えば、テレビ会議端末を郡上と中目黒の本社に設置して常時接続し、テレビ会議のモニターで仕事中、東京の様子を以前の私の席から見た角度で映し続けることもその1つです。

郡上でのワークプレイス 郡上でのワークプレイス
中目黒の本社からの様子 中目黒の本社からの様子

 同様に、東京でも私の様子を確認できるようにしたのですが、これであれば遠く離れていても、相手の存在を確認しつつ従来と同じ感覚で仕事に取り組めます。必要があれば相手の様子を見つつ、タイミングを見計らって話し掛けることもできる。相手が見えなければなかなかこうはいきません。

テレワーク普及のカギは「文化形成」

伏見: 現在、HUB GUJOでは誰かが働いているのですか?

佐藤: 営業推進本部長の東谷、副社長の高田、CFO(最高財務責任者)の大川などに試してもらった後、今は地元のフリーランスの方とWebサイトやカタログの制作に関する業務委託契約を締結し、執務拠点として利用してもらっています。また、郡上以外にも当社では開発部長が愛媛に移住してテレワークで働くなど、社員や契約社員、アルバイトを問わず、幅広いスタッフがオフィスを離れてテレワークを利用しています。これも、制度やツール、運用法などを総合的に見直し続けてきたからこそでしょう。

ITmedia ビジネスオンライン編集部 副編集長の伏見学 ITmedia ビジネスオンライン編集部 副編集長の伏見学

伏見: 先にご指摘があった通り、テレワークの導入で苦労する企業も少なくありません。ツールは導入したものの、人事規定などの問題で「待て」がかかることもあります。いち早く活用してきた御社から見て、テレワークの普及に向けたカギは何だとお考えですか。

佐藤: 細かなことはいろいろありますが、一番は「文化形成」でしょう。実は当社のテレワークの取り組みは8年前にまで遡りますが、当初の利用者はごく一部に限られていました。この状況を変えた一因が、2017年に新たに策定した「ORANGE」ワークスタイルです。

 目指したのは、「いつでも、どこでも、自分らしく」「自己実現を目指せる働き方」です。そのために、テレワークの回数や場所を無制限にしたり、利用対象を全社員に拡大したり、柔軟な勤務時間(コアレス・スーパーフレックス制度)を採用したりする一方、テレワークを社内文化として根付かせるための社内活動にも力を入れました。

テレワーク規定の改定ポイント テレワーク規定の改定ポイント

 具体的には、有志によるリアルとバーチャルによる会合の場を設けて意見交換したり、テレワークを実践している社員に自宅の作業場を紹介してもらったり、それらをWebにまとめて社内に広く公開し、社員から意見を募ったりといった具合です。テレワークの利用者が社員の8割にまで増えたのも、各種の仕組みや制度の整備と同時に、こうした地道な活動を通じ、メリットを理解してもらえるほど社員の意識を変革できたからでしょう。

 実は若手の利用率は低いのですが、その理由もほぼつかんでいます。当社では本社オフィスから一定の距離までは家賃補助が手厚く、ならば、近場に住んで会社に行った方がいいという考えのようです。

地方創生のキラーツールに

伏見: テレワークを利用するかどうかはともかく、働く場所を選択できる意義は決して小さくないですね。ただ、テレワークには向き不向きの仕事がある気もするのですが。

佐藤: ポイントはコミュニケーションで必要な情報量でしょう。対面は圧倒的に情報量が多く、そうした仕事であれば必然的に会社での仕事を選択することになります。また、チームビルディングも対面で行うべきです。知らない者同士では、相手の人柄を把握できておらず、オンラインでコミュニケーションが成立するまでに時間がかかってしまいます。

働き方に関するガイドブックを作成 働き方に関するガイドブックを作成

 あと、どの場合にどれを選択するかといったツールの利用ルールを決めておくことも大切です。そこで社員の意識や行動にズレがあると、日々の業務でストレスが積み上がってしまいます。当社でも部門の代表者が集まり、現場の声を踏まえてガイドラインを一から作成しました。その際には、コミュニケーションツールは使い方次第で、多様な効果を見込めることも念頭に置いていた方がいいですね。

伏見: と言いますと?

佐藤: 例えば、当社のユーザー企業である、あしたのチーム様はWeb会議を活用し、営業拠点の「人材の地産地消」をコンセプトとした人材採用で成果を上げています。従来、地方での人材採用は、応募者にとって採用面接のための移動時間や交通費が負担となり、また採用後の研修では本社への移動が企業としての業務効率化の足かせになっていたそうです。しかし、こうした問題もWeb会議を利用することで抜本的に解消できているのです。

 少子高齢化を背景に、今後、あらゆる企業が人材採用で苦戦を強いられるはずです。今年度の新卒採用でも、企業の約半数で計画に採用が未達だったと報じられています。こうした状況も、ツールによって地方で採用を行い、仕事を任せることで大きく改善が見込めます。

 裏を返せば、地方に雇用が創出されることでもあります。地元に愛着のある人にとって、就労機会が拡大するのです。この点を高く評価し、U/Iターン希望者向けにツールを活用できないかとの問い合わせも、すでに地方自治体や地方企業などから多数寄せられています。

伏見: それが広がれば、政府が推し進める「地方創生」にもつながりそうです。

11月29日に那覇市で開かれた働き方改革イベントにて 11月29日に那覇市で開かれた働き方改革イベントにて

佐藤: そのためにも、当社はWeb会議以外のコミュニケーションツールの用途開拓を推進していきます。採用や研修以外に、営業、経営トップメッセージの配信、オンラインでの服薬指導など、活用が見込める領域はまだいくつも残されています。その開拓を通じ、誰でも好きな場所や時間に働ける環境を生み出すことこそ、我々の目指すところなのです。

伏見: ありがとうございました。

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年12月21日

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