インタビュー
成田国際空港を運営・管理している成田国際空港株式会社では、災害時の緊急連絡手段の一つとしてV-CUBE ミーティングを導入しています。導入の経緯とねらいについて、成田国際空港株式会社 総合安全推進室 主席 片山 仁氏、運用計画部 計画調整グループ マネージャー 馬場 浩一氏、運用計画部 計画調整グループ 飯田 明大氏に詳しく聞きました。
災害等の緊急事態対策の一環としてV-CUBE ミーティングを導入
緊急事態とは、「大規模地震」「航空機事故」「感染症」「暴風雨・雪氷等」を意味します。
成田国際空港におけるV-CUBEミーティングの利用状況を教えてください。
2011年12月、緊急事態対策の一環としてV-CUBEミーティングを本格導入しました。最近では、緊急事態対策だけでなく、成田空港内の本社ビルと東京事務所間でミーティングを行うためにも利用しています。
緊急事態対策としてV-CUBE ミーティングをどのように利用するのか、詳しく教えてください。
緊急事態におけるV-CUBEミーティングの活用方法として、次の3つのような利用シーンを想定しています。
- 緊急対策本部(成田)と東京事務所および千葉港頭間を接続して対策会議を開催
緊張対策本部と東京事務所を結び、緊急事態に都内にいて空港まで移動するのに時間がかかったり、そもそも移動ができない場合でも、東京事務所にたどり着けばV-CUBE ミーティングを通じて対策会議に参加できるようにします。
- 外出先や出張先から対策会議に参加
海外や地方といった出張先や交通網が遮断され身動きが取れない場合でも、PCやタブレット端末、スマートフォンを通じて対策会議に参加したり、対策本部と連絡が取れたりするようにします。
- 主要管理施設の状況など、現場の様子を確認
千葉港頭の燃料施設などの主要施設の状況や、交通機関などの様子や情報をタブレット端末やスマートフォンを利用し、現場近くにいる社員がV-CUBE ミーティングを使って、リアルタイムに現場の情報や状況を収集できるようにします。
緊急対策本部となる本社内の会議室に映し出されたV-CUBE ミーティングの画面。
災害発生時、会議室には60名ほどのメンバーが集まるという。
震災を教訓に全面的な緊急事態対策の見直しを実施
災害時の緊急連絡用に、Web会議システムを導入した理由を教えてください。
2011年3月に発生した東日本大震災の際、当社では災害時対応のマニュアルに従って緊急対策本部を立ち上げました。しかし、交通網や通信網がここまで機能停止状態になることは想定しておらず、対策本部に参加すべき主要メンバーの何人かは出張先や外出先で身動きが取れなくなってしまい、対策会議に参加するどころか連絡もままならない状況に陥ってしまいました。
幸いにして、空港施設の損害はそれほど大きなものではありませんでしたが、今回の震災を教訓に全面的な緊急事態対策の見直しを実施することになりました。
そこで、従来の電話やFAXに加え、緊急連絡用の通信手段として新たにインターネットを利用したWeb会議システムを導入することにしました。
緊急事態対策のさらなる信頼性向上をめざしWeb会議システムを導入
災害時の緊急連絡用に、なぜWeb会議システムを採用したのでしょうか。
当社が重視したのは、「動画映像が確認できる」ことと、「インターネットがあれば利用できる」ことです。
ではまず、「動画映像が確認できる」ことについて説明してください。
緊急事態が発生した場合、迅速かつ正確な情報を収集しなければ的確な判断を下したり、正確な情報発信を行うことはできません。その点、動画と音声によるコミュニケーションは、お互いの様子や状況が瞬時に伝わります。今回の震災で発生した津波の様子なども、数値や口頭の説明だけで理解することは容易ではありませんが、その様子を動画で見れば何が起こっているのか、何をしなければならないのかが瞬時に判断できます。
同様に遠隔地から会議に参加する場合でも、リアルタイムに顔を見ながら話をするのか、声だけで情報を伝えるのではコミュニケーションのスピードが変わってきます。「現場の状況が見えること、相手の顔を見 て会議が行えること」という点については、経営サイドからも要望があり、動画で確認できる通信手段としてWeb会議システムに注目しました。
次に、「インターネットがあれば利用できる」ことについて説明してください。
今回の震災では、首都圏で電話やFAXが使えないときでもインターネットは何とか利用することができました。またモバイル環境でも比較的容易にインターネットが利用できるケースも多かったようなので、これまでの通信手段にWeb会議システムを追加すれば、緊急事態対策の手段をさらに増やすことができると判断しました。
V-CUBE ミーティングは面倒な初期設定が不要
V-CUBE ミーティングを選定した経緯を教えてください。
用途は異なるのですが、緊急事態に対するBCPを刷新する1年ぐらい前に、ほかの部署でV-CUBE ミーティングの導入を検討したことがあり、その部署からV-CUBE ミーティングを紹介してもらいました。V-CUBE ミーティングを含めたいくつかの製品について比較検討をし、実際にV-CUBE ミーティングをトライアルで使用しました。
V-CUBE ミーティングを選んだ理由を教えてください。
V-CUBE ミーティングはPC側に面倒な設定をしなくても、インターネットに接続できる環境があればすぐに使えるというのが、ほかの製品との大きな違いでした。
また、初期投資がほとんどかからないので、万が一、納得いくような使い方ができなければサービスの利用を停止しても損失は最小限に抑えられると考え、V-CUBE ミーティングの導入を決めました。
主な選定ポイントは、次のとおりです。
- クラウド型のサービスなので導入に手間と時間とコストがかからない
- 空港の運用と同様、24時間365日いつでも電話サポート受けることができる
- 国内ベンダーが開発・運用しているサービスなので安心
- 市場シェアが高く、導入実績が豊富である
- ブイキューブの対応が、迅速で丁寧
- スマートフォン/タブレットのサポート(導入検討時はサポート予定)
導入時に苦労したことなどはありましたか。
導入にあたっては、防災訓練の日程が決まっていた関係で、あまりスケジュールに余裕がなかったのですが、必要な機材の手配や手続き、既存の設備との調整なども迅速かつ柔軟に対応してもらい助かりました。また、防災訓練にも立ち会ってもらえたので安心して訓練を進めることができました。
次回の防災訓練では、本格的にスマートフォンやタブレットの活用を予定
防災訓練(2011年に実施)にV-CUBE ミーティングを利用して、いかがでしたでしょうか。
震災後初めての防災訓練で、防災マニュアルを全面的に見直したばかりなのでいろいろと課題も見えてきましたが、V-CUBE ミーティングによる東京事務所とのやり取りはとてもスムーズで、対策室のメンバーからも好評でした。
今後の拡張予定などあれば教えてください。
初年度はモバイル環境やスマートフォン/タブレットを利用した訓練は実施しませんでしたが、スマートフォンやタブレットが正式にサポートされたので、次回の防災訓練ではさらにいろいろな活用方法を試してみたいと思っています。
また緊急事態用だけでなく、通常の会議などにもV-CUBE ミーティングを使う機会も増えてきており、ほかの部署でも防災用とは別にルームの契約を検討しているようです。普段からV-CUBE ミーティングに慣れている社員が増えれば、いざという場合にもスムーズに使えるようになりますので、利用する機会が増えることは大歓迎です。
V-CUBEへの期待などあればお聞かせください。
災害時、特別な設備がなくても現場と本部がスムーズにコミュニケーションできるV-CUBEミーティングのようなシステムがあると、情報の量や質が高まり、判断スピードの向上にもつながります。V-CUBEミーティングはとても大きな可能性を秘めていると思いますので、さらなる機能アップや災害対策に関連する機能がサポートされることに期待しています。
※取材日時 2012年7月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。