社内の情報共有がうまくいかず、社員から何度も同じ質問・問い合わせが来たり、プロジェクトがうまく進捗しなかったりしていませんか?課題や悩みにあわせてツールを導入することで解決できる可能性があります。選定導入を行う総務部や情報システム部門は、ツールの導入後のスムーズな業務フローまでを想定し、最適なツールを選定することが大切です。
社内情報共有ツールには、大きくわけて7種類のツールがあります。それぞれ機能やできることが異なるため、現時点での課題を解決できる機能があるツールを導入しなければ意味がありません。
この記事では、情報共有ツールの必要性・メリット、選ぶポイントだけでなく、各ツールごとの機能や選ぶ際のポイント、おすすめツールをご紹介します。
業務やプロジェクトをうまく進行させるためには、こまめな情報共有が大切です。社内で情報共有できていない状態のまま進めていくと、認識齟齬によるミスや対外的な大きな失敗が発生しかねません。
これまで一般的だったメールでのコミュニケーションでは、やりとりに時間がかかったり、共有漏れが発生したり、相手の反応がうまく読み取れなかったりと、認識のすり合わせにムダやミスがあります。
そこで注目されているのが、情報共有ツールです。社内で情報共有ツールをうまく活用すれば、メールよりも迅速にコミュニケーションを取ることができたり、ドキュメントやファイルなどの共有が簡単にできたりします。
具体的には以下のようなものが情報共有ツールと呼ばれています。
情報共有ツールを活用することで得られるメリットは以下です。
情報共有ツールなら、共有が必要な資料やデータファイルなどを簡単に共有したり、議事録をまとめてオンライン上に整理・保管したりできるので、社員の誰もが検索して必要な情報をいつでも取り出せる状態にできます。
これにより、何度も同じ質問をしなくても、社員自らが検索して情報を得て、効率的に業務を進めることが容易です。さらにはオンライン上にある資料を同時編集できるツールを活用すれば業務スピードも上がります。
情報共有ツールに蓄積された資料やデータファイルは、いつでも社員がアクセスでき、自然とノウハウを整理して蓄積できるようになります。今まで社員の誰かが保持していたノウハウやナレッジを、誰もが見れる状態に共有できるということです。
検索機能やフォルダ分け・ラベル機能によって、情報がどこに格納されているのかが簡単に分かります。業務の属人化を防ぐことにも繋がります。
テキストやビデオ通話によるチャットコミュニケーション機能を重視したツールなら、うまく活用することでコミュニケーションが活発になります。ツールによっては、スタンプでリアクションを送れるものもあり、テキストコミュニケーションの”冷たさ”を感じさせません。
他部署や他プロジェクト、外部の人とのやりとりもできるので業務効率も上がりますし、コミュニケーション量が増えれば社内の雰囲気も良くなり、離職率を下げることにも寄与する可能性があります。
さまざまなメリットがある情報共有ツールですが、自社にぴったりなツールを導入しなければ、かえって運用コストがかかり非効率になってしまいます。検討する際に見るべきポイントは3つあります。
まずツール導入時には「何の機能があれば課題を解決できるのか」を考える必要があります。資料が煩雑なままで整理されていないのであれば、資料をまとめて管理できる機能を、メールでのコミュニケーションによってミスが発生しているのであれば、チャットでプロジェクトごとに会話できる機能を、というように考えていきます。
目的に合った機能がついている情報共有ツールを選ぶことが大切です。情報共有ツールにはどんな機能があるのか、先ほどのメリットごとに機能を整理すると以下のようになります。
【業務の効率化】
【ノウハウの蓄積】
【コミュニケーションの活発化】
これらのどんな機能があれば現状の課題が解決できそうか、洗い出してみましょう。
新たなツールを社員がうまく使いこなせるかどうか、も検討時には注意して見る必要があります。簡単に使いこなせないツールを導入してしまうと、何度も同じような問い合わせ対応をしないといけなくなり、業務の無駄が発生してしまいます。また、導入しても使いこなせず一部の社員だけが活用している状態であれば、情報共有のミスがさらに加速するだけです。
ITツールが苦手な社員が多い場合は、誰でも使えるようなシンプルな情報共有ツールをおすすめします。すでにさまざまなITツールを活用している会社であれば、他のツールとの連携やカスタマイズが可能かどうかもチェックしてみてください。複数端末からアクセスできるかどうかも、社員がツールを使いこなす際のポイントになります。
ITリテラシーや現状のツールとの連携などに合わせて情報共有ツールを選びましょう。
予算の範囲内で導入するためにも、利用人数や無料で使える機能の範囲を調べることも大切です。ほとんどのツールは利用人数によって価格帯やプランが変わってくるので、思いの外費用が膨らんでしまうようなことがないように注意が必要です。
また無料の情報共有ツールは魅力的ですが、機能が足りなかったり欲しい機能は有料だったりします。どの機能を使いたいのかを忘れずに検討していきましょう。
情報共有ツールにはさまざまな種類のツールがあります。ここでは、以下のツールでできることと選ぶ際のポイントを紹介します。やりたいことができるツールかどうか機能を確かめて、具体的なツール選定に移りましょう。
【情報共有ツール】
社内wikiは、社内で情報やナレッジを蓄積し共有するためのツールです。社内wikiを活用すると、社員全員が簡単にドキュメントを投稿でき、業務マニュアルや議事録、ノウハウ、日報などを蓄積・共有できます。
オンラインメモは、クラウド上でメモデータを管理し、複数のデバイスから同じ内容を確認・編集・同期できるサービスです。複数の社員が同じメモを見ながら、PCやスマホなどの複数のデバイスからアクセスし、効率よく議事録作成できます。
文書管理システムは、電子文書を保管、活用、廃棄までを一括管理できるシステムです。文書管理システムを導入すると、必要な文書をいつでも必要なときに取り出して利用できるようになります。
ファイル共有・オンラインストレージは、インターネット上でデータ・ファイルの保管や共有ができるストレージサービス。ファイル共有・オンラインストレージを活用すれば、共有するべき情報を一元管理でき、アカウントごとに閲覧・編集権限を設定してスムーズに共有できるようになります。
社内SNS・ビジネスチャットは、円滑にコミュニケーションを取ることができるツールです。情報共有を迅速に行い、業務効率化を図ることができます。社内SNSは、会社の組織内で利用可能、ビジネスチャットは社外とのコミュニケーションにも利用可能です。
グループウェアは、会社の組織内での情報共有やコミュニケーションを円滑にできるツールです。グループウェアを活用すれば、タスク管理やスケジュール共有など、プロジェクトをスムーズに進めることができるようになったり、掲示板やワークフローなど、情報共有ができるようになったりします。
動画配信プラットフォームは、作成した動画ファイルを閲覧できるようにするためのプラットフォーム。営業やマーケティング、教育、研修などの用途で、社内・社外問わずコンテンツを共有する際に活用できます。また、指定のWebページに埋め込んだり、特定の視聴者のみが閲覧できるようにアクセス制限をしたりすることも可能です。これにより、社内ナレッジやマニュアルの共有、問い合わせ対応・FAQとしても活用できます。
自社に必要な機能が分かったら、その機能を備えている情報共有ツールを具体的に選定・検討していきましょう。今回はそれぞれ3つずつ、ツールを紹介します。料金プランや無料トライアル期間は、時期によって変わるので各Webサイトを確認してください。
社内で情報やナレッジを蓄積し共有できる社内wiki。共有範囲の設定や検索機能などの使い勝手を見ていきましょう。
Docbaseは、社内外を問わずグループを作成して情報共有できるツールです。企業規模に関わらずプロジェクトメンバーごとにグループを作成でき、グループ単位、ドキュメント単位での権限設定ができます。
esa.ioは、不完全でも公開し、何度も更新して情報を育てていき、情報が育ったら整理するというコンセプトで設計されたツールです。作成途中のドキュメントを「書き途中」として公開し、複数人で同時編集ができます。
Confluenceは、シンプルかつ高機能なツール。コンテンツの作成、共有、コンテンツごとの議論・チャット、ナレッジ蓄積に向いています。あらゆるファイルを共有できます。
クラウド上でメモデータを管理し、複数のデバイスから同じ内容を確認・編集・同期できるオンラインメモ。情報整理がしやすいか、コメントできるかをポイントに見ていきましょう。
Dropbox Paperは、オンラインストレージサービス「Dropbox」が提供している、ドキュメント作成・共有サービスです。Dropbox内のファイルと連携できるので、ドキュメントとの紐付けが簡単にできます。
Qiita:Teamは、簡単に作成・共有できるサービスで、エンジニア向けブログ「Qiita」のビジネス版です。エンジニア向けのAPIが豊富です。
Evernoteは、オンライン上にメモを保存、蓄積できるノートアプリです。テキストだけでなく、ファイル、写真、ボイスメモなど、様々な形式のデータを保存して整理できます。
電子文書を保管、活用、廃棄までを一括管理できる文書管理システム。検索性の高さやアクセス権限の設定などが選定ポイントです。
Fleekdriveは、ファイル管理・共有だけでなく、資料作成の共同編集が可能なシステムです。資料上でのチャット機能もあります。
楽々Document Plusは、契約書管理、ISO文書管理、ペーパレス化、e文書法への対応ができるシステム。検索機能が充実しており「完全一致検索」や「あいまい検索」ができます。
Documal SaaSは、文書のライフサイクルをルール化し、全社で一元管理できる統合的な文書管理システム。社外との情報共有にも活用できます。
インターネット上でデータ・ファイルの保管や共有ができるファイル共有・オンラインストレージ。データ容量や費用、利用者認証などのセキュリティをチェックしましょう。
Google Driveは、Googleが提供している「G Suite」に含まれるサービスで、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートなどと連携させることができます。ファイルの変更履歴は30日間保存されます。容量としてカウントされるのは、Googleドキュメントと他のユーザーと共有しているファイル以外です。
Boxは、セキュリティ重視のサービスで、AES 256ビット暗号化、アクセス管理、監査ログなど、セキュリティ規格をクリアしています。ExcelやOutlookとの連携もでき、既存の業務ツールを維持して利用できます。
One Drive for Businessは、マイクロソフトが提供するサービスで、Word、Excel、PowerPointなどのOffice製品との連携がスムーズです。5GBまで無料で利用できます。
円滑にコミュニケーションを取ることができる社内SNS・ビジネスチャット。業務フロー対応やセキュリティ対策に注目して検討しましょう。
Chatworkは、チャットやファイル共有機能に加えて、タスク管理やビデオ通話機能が搭載されています。機能制限で情報漏えいを防ぐこともできます。
Slackは、ワークスペース上にプロジェクトごとのチャンネルをつくってやり取りできるツールです。タスク管理ツールやカレンダーなど、他サービスとの連携が豊富です。
会社の組織内での情報共有やコミュニケーションを円滑にできるグループウェア。セキュリティや運用コストを比較して検討をおすすめします。
サイボウズOfficeは、中小企業に特化して機能開発されているグループウェア。情報共有やコミュニケーションにぴったりな基本機能をワンパッケージで提供されています。
30日間無料トライアルや導入検討中の企業向けのセミナーも実施されています。
J-MOTTOグループウェアは、スケジュールや情報共有の機能が簡単に使えるグループウェアです。10名以上1,000未満の企業におすすめです。
月額150円/人から利用でき、スポート体制も充実しているので、初めての導入に向いている製品です。
desknet's NEOは、オリジナルの業務アプリを簡単に作成できる「AppSuite」を搭載するなど、拡張性に優れたグループウェアです。5名から数万名まで、あらゆる規模の企業に対応しています。
スケジュールの共有もひと目で分かり少ない操作で予定登録が可能です。無料でお試しもできます。
作成した動画ファイルを共有・閲覧できるようにする動画配信プラットフォーム。閲覧権限の詳細設定など、セキュリティ観点を重視して選ぶことが大切です。
Video Marketing Suiteは、社内のあらゆる動画を一元管理できるサービス。法人向けに特化したサービスで、意図しない転載や不正ダウンロードを防止する機能がついています。
viaPlatzは、説明会や研修など社員向けにストリーミング配信できるサービス。IPアドレス制限やコンテンツごとの権限設定など細かなアクセス制限に対応しています。
Qumuは、企業内で使用する動画を簡単に作成・配信できるサービス。グループ単位での視聴・作成権限などセキュリティ設定ができます。また、企業内利用で課題となるのが、動画配信による社内ネットワークのトラフィック増大のコントロール。Qumuなら、社内における動画コンテンツのキャッシュソリューションが提供されているため、WANに負荷をかけずに大規模な動画配信が可能です。
QumuはWeb会議システム「Zoom」と連携することで、Zoomの録画記録を管理したり、トラフィック負荷を軽減しながらWeb会議をライブ配信することが可能です。
ぴったりなツールは見つかりましたか?情報共有ツールを導入・活用する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
情報共有ツールを導入する目的、情報共有が必要な背景について、社員に事前に共有してきましょう。いきなり導入しても、ツールを使いこなすことに労力が割かれて、社員の不満が溜まってしまったり、業務効率化のために導入したのに、仕事とは関係のないチャット量が増えてしまったりしては本末転倒です。
どんな課題を解決したくて情報共有ツールを導入するのか、を共有し社員全員で意識的に使いこなしていきましょう。
情報共有ツールを活用して、どのように情報を共有・蓄積していくかのルールを決めておきましょう。ノウハウ蓄積を目的に導入したものの、あちらこちらに煩雑に蓄積されては、いざ必要なときに取り出せなくなってしまいます。
チーム、会議、プロジェクトといったフォーマットやラベルごとに整理していくことを事前に決めて共有しておけば、あとから整理し直す手間も省けますし、検索したときにヒットしやすくなります。
情報共有ツールの活用メリット、導入検討ポイント、それぞれの機能やおすすめツールについて紹介していきました。自社にぴったりな情報共有ツールは見つかりましたか?
実際に検討する際には、社員が使いこなせそうな、目的に合った機能がついているツールを導入することが大切です。また利用人数や機能によってはプラン・価格も大きく変動するので、予算内でうまく活用できるツールを見つけていきましょう。