インサイドセールスとは、メールや電話などを活用して顧客へアプローチする営業手法です。マーケティング部門とフィールドセールスの間に位置し、成約確約の高い顧客をフィールドセールスへとつなぐ橋渡し的な役割をしています。
非対面が推奨されたコロナ禍以降、インサイドセールスの認知度が高まり、導入する企業が増加しました。株式会社インターパークが実施した2021年の調査によると、インサイドセールスの認知度は75.2%に上ります。また、2020年3月以降にインサイドセールスを導入した企業は9.1%となりました。
本記事では、営業担当者に向けてインサイドセールス導入の具体的なステップを紹介します。インサイドセールス導入に関する疑問解消にお役立てください。
また、当社ではインサイドセールスのマネージャー・管理職の方向けに「インサイドセールスのボトルネック解消!今すぐ実践できるTips集」をご提供しています。インサイドセールスの成果向上にぜひお役立てください。
まずは、インサイドセールスを導入する目的を具体化します。一般的に新規リードの獲得や既存顧客との関係強化、営業プロセスの効率化などが挙げられますが、自社の課題を把握したうえで目的を明確にしましょう。
加えて、短期・長期による目標設定も重要です。例えば「3か月以内に10件のアポイント獲得する」「6か月以内に営業成約率を20%向上させる」といったように、ゴールを数値で可視化することにより部門全体で共有しやすくなります。
目標設定には、SMARTと呼ばれるフレームワークがおすすめです。以下の5つの頭文字を取って名付けられたもので、行動計画が立てやすく、共通認識を持てるためスムーズに行動できます。
インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの間で活動するのが基本であり、関連部署と連携することでより効果が高まります。そのためマーケティングから提供されるリードをどう活用し、フィールドセールスにどのタイミングで引き渡すのかなど、関連部署との役割分担と営業フローを明確にしましょう。
各部署と定期的な会議を設定し、リードの品質やフォローアップのタイミング、情報共有の方法(CRMシステムの活用など)を話し合い、合意形成します。各部門においてインサイドセールスが担う責任範囲と報告ルートも決めておくとよいでしょう。
次に、インサイドセールスに特有のKPIを設定します。KPI(重要業績評価指標)とは、目標達成の進捗を測るための数値目標です。目標達成までの過程を可視化でき、ボトルネックの把握にも役立ちます。
設定は業種や企業によって異なりますが、インサイドセールスでは以下のようなKPIが一般的です。
KPIは、最終目標から逆算して具体的な数値に落とし込むことで、無理のない実現可能な目標になります。希望的観測からではなく、過去の実績をベースにして設定することが大切です。
また、チームや個人ごとのKPIも設定し、それに対する進捗を定期的にモニタリングします。KPIの進捗は週次・月次でレビューし、改善点を洗い出すサイクルを構築するとよいでしょう。現状と目標のギャップが埋まり、目標達成の再現性が高まります。
インサイドセールスのKPIについては、別記事「インサイドセールスにおけるKPIはどうすべきか?設定のポイントとは」にて解説していますので、合わせてお読みください。
インサイドセールスに必要なツールやシステムを選定します。市場で一般的に使用されているツールを比較し、自社のニーズに合ったものを選定しましょう。例えば、以下のようなツールが挙げられます。
ツール名 |
内容 |
CRMツール |
顧客情報や対応履歴などを管理・蓄積し、関係構築を促進するツール |
SFAツール |
営業活動を一元管理し、進捗状況を可視化・共有するツール |
メール配信ツール |
顧客リストへメールを配信するためのツール。大量送信や自動送信が可能 |
電話システム |
電話対応を効率化させるシステム。顧客情報を自動的に表示するなど作業をサポートする |
商談解析ツール |
AI技術で録音された商談内容を分析するツール。SFAなどに自動入力も可能 |
見込み顧客のデータを記録・管理・分析することは、アプローチ方法や戦略の立案に重要です。また、ツール間の連携やデータの一元管理ができるかどうかも確認しておくと、各部門でスムーズに情報連携できる環境を整えられます。ツール導入後はチームに対するトレーニングを実施し、操作性の向上と活用度を高めるとよいでしょう。
インサイドセールスのツールについては、別記事「インサイドセールスの成果を上げるためのツール10選!効率化のために導入がおすすめ」にて解説していますので、合わせてお読みください。
続いて、チームメンバーの役割と責任を明確化します。役割分担を決め、リーダーを中心にチームを編成しましょう。社内の人材を起用する場合は、営業経験者や営業プロセスを理解している人員を配置するのが一般的です。
自社内で人員確保が難しい場合は、インサイドセールス経験者を新たに採用するか、もしくはアウトソーシングを利用する方法があります。ただし、インサイドセールスは比較的新しい職種で経験者が少なく、即戦力となる人材確保は難しいのが現状です。
そのため、インサイドセールスが必要とするスキルセット(コミュニケーション・ツール操作・商談設定スキル)を考慮し、トレーニングプログラムを構築しましょう。チーム全体に対しては、セールススクリプトの作成、製品知識の習得、CRM操作のトレーニングなどを体系的に実施します。
製品知識はフィールドセールスと同等の習得が必要です。機能アップデートや新製品のリリース時などには随時勉強会を実施しましょう。また、セールススクリプトを作成することで品質の標準化が可能です。未経験者のトレーニングにもなり、パフォーマンス向上につながります。
個人に対しては、ロールプレイングや定期的なフィードバックセッションを設け、顧客対応スキルの向上を図るとよいでしょう。
ここまでインサイドセールスのKPI設定について解説してきました。インサイドセールスのKPI達成やボトルネックの解消について詳しく知りたい方向けに「インサイドセールスのボトルネック解消!今すぐ実践できるTips集」をご提供しています。ぜひ下記よりご覧ください。
リードをセグメント化するための基準(興味度、購買意欲、企業規模、業界など)を設定したうえで、タイミングごとに適したフォローアップを行える環境を整えます。
CRMにリードのセグメント基準を設定し、リードスコアリング(見込み顧客のステージをポイントにより可視化する)を自動化するとよいでしょう。スコアに基づいてリードに対するアプローチ方法をカスタマイズし、最適なタイミングでフォローアップができるようにシナリオを作成します。
また、フォローアップ手段(電話、メール、SNSなど)の活用方法の検討も必要です。適切なアプローチを行うことで、顧客を次のフェーズへスムーズに誘導しやすくなります。
インサイドセールスの導入後は、いよいよ営業活動のスタートです。人員体制や自社サービスの内容によって効果的な方法は異なります。トライアンドエラーを繰り返しながら運用していくことが成功のカギといえるでしょう。
まずは、PDCA(Plan・Do・Check・Act)サイクルを回すためのデータ収集と分析が必要です。初期段階の運用においては、あらゆる顧客データの中から何を測定し、どう改善するかを常に考慮しましょう。
定期的にKPIやリードの進捗をモニタリングし、達成度合いや問題点を確認。チームで結果を共有し、改善プランを立てて実行します。改善案が出なかった場合には、「もう1か月データを収集して様子を見る」といった手段も有効です。
フィードバックループを回し、常に効果を最大化する方法を模索しましょう。PDCAを回していくことで、インサイドセールスの効果と質の向上が期待できます。
インサイドセールス導入の手順について説明しました。まずは、目的や目標を明確にすることから始めましょう。導入後は、PDCAサイクルを回しながら運用を改善します。企業の成長において、効果的な営業戦略は欠かせません。インサイドセールスを最大限に活用し、営業効率の向上を目指しましょう。
インサイドセールスの成果向上やボトルネックの解消にご興味のある方は、無料ガイド「インサイドセールスのボトルネック解消!今すぐ実践できるTips集」をご提供していますので、ぜひご覧ください。