これでスッキリ!働き方改革で企業が取り組むべき2つの課題を解説
一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革」の取り組みを安倍内閣は提唱しています。企業経営者だけでなく経営企画部、総務部、人事部など、多くの企業担当者が「具体的に何をすれば良いのか?」と課題に悩まれているのではないでしょうか。
今回は企業が働き方改革の一環として解決すべき課題を整理した上で、その解決方法をご紹介します。目次[ 非表示 ][ 表示 ]
「働き方改革」で取り組むべき課題と「働き方実行計画」とは?
厚生労働省は日本の労働力人口が減少する中、日本全体の重要な課題として以下2点をあげています。
(1)投資やイノベーションによる労働生産性の向上
(2)就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ること
この2つが日本の大きな課題であり、内閣府は平成29年3月に働き方改革実現会議決定として「働き方改革実行計画」を策定しています。この中では様々な解決すべき課題テーマを設定し、その解決のための具体的なガイドラインを示してました。
具体的なテーマは下記の通りです。
(1)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
(2)賃金引上げと労働生産性向上
(3)罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
(4)柔軟な働き方がしやすい環境整備
(5)女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
(6)病気の治療と仕事の両立
(7)子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
(8)雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
(9)誰にでもチャンスのある教育環境の整備
(10)高齢者の就業促進
(11)外国人材の受入れ
このテーマの中には例えば(3) 罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正など、法改正に関する課題も書かれています。
では、これらのテーマの中で、企業としてもっとも取り組みやすい課題はどれでしょうか?福利厚生の大幅な変更やコスト面で大きな投資をせず、既存の従業員に対して行うことのできることのひとつとしてテーマ(4)の「柔軟な働き方がしやすい環境整備」がイメージしやすいかもしれません。
柔軟な働き方がしやすい環境整備
柔軟な働き方がしやすい環境とは?
柔軟な働き方がしやすい環境整備とは、具体的には企業がテレワークを導入することや、副業兼業の許可をすることだと言われています。テレワークおよび副業兼業の推進は下記のような効果をもたらします。
テレワークは、時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となる。副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや企業の手段、第2の人生の準備として有効。
(「働き方改革実行計画」より抜粋 )
オープンイノベーションとは、企業や大学・研究機関をはじめ、起業家などといった会社の外部からアイデアを募集・集約し、画期的な新製品・サービス、あるいはビジネスモデルを生み出すことです。経済合理性に長けた戦略であるため、日本国内においても最近ではオープンイノベーションを採用する企業は増えています。
テレワークの推進、副業・兼業の推進により、企業の労働力確保および生産性向上を図りましょうというのがこのテーマです。テレワークは柔軟な働き方を後押しし、企業への定着度の向上や従業員満足度の向上に寄与し、日本全体が抱える労働生産性に関する課題を改善してくれる可能性を秘めています。
では、従業員の副業・兼業と生産性向上はどのように関係しているのでしょうか。これは、米国で副業起業をおこなった従業員が本来所属の会社に様々な角度から貢献したりすることが一般的になっているところを想像するといいかと思います。
このように、副業・兼業を解禁することにより、社外の経験から従業員のスキルや経営意識を向上させ、会社自体の抱える労働生産性に関する課題を解決し、よい影響を与えることが狙いなのです。
テレワークを導入している企業はどれくらいあるか?
とはいうものの、テレワークをしたいという労働者は全体の30.1%(2016年)いるのにも関わらず、テレワークを導入していない企業は全企業の内83.8%(2015年)となっています。多くの人がテレワークを実施したいと 考えている一方で、テレワークを導入して いる企業は少ないのが現状です。
労働者の求める働き方に関する課題はテレワークの推進によっても軽減できると言えそうです。また、ハードルが高いと思われがちなテレワークも、徐々に一般的になってきているICTツールを上手に活用すれば導入することは可能です。
「ICTツールを上手に活用する」とはどういうことか?
一概にテレワークにICTツールを導入する、といっても、自社の課題を考察しその用途に合わせた様々な活用法が存在します。
テレワーク導入を成功させるポイントには
・テレワーカーとオフィスワーカーがスムーズにコミュニケーションをできる環境の整備
・導入したツールの最大限かつ適切な活用
の、2つがあります。
オフィスの内外を問わず円滑なコミュニケーションをはかるために、今日では資料やその他の情報を共有できるクラウドストレージや、遠隔地でも会議に参加できるテレビ会議システム、ビジネスチャットツールの活用が考えられます。その他に、勤怠管理を行うプレゼンス管理ツール、スケジュール管理ツールの運用も重要でしょう。
あわせて、ハード面での整備も遂行できれば理想的です。複数のデスクトップを作成することで作業効率をアップできる仮想デスクトップ環境の整備や、セキュアなPCの貸与などがその例として挙げられます。
さらに詳しくテレワークに関して知りたい方は、別記事「テレワークのデメリットとは?成功企業から学ぶ、導入事例とポイント」をあわせてお読みください。
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Zoomの有料版を使うべきメリットとは?
Web会議ツールZoomの有料版を使うべきメリットについては、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
副業、兼業を認めている企業はどれくらいあるか?
テレワークは労働者が求めている程には企業が導入していないことが分かりました。副業・兼業についてはどうでしょうか。副業・兼業を禁止している企業の割合は71.2%となっています。推進あるいは容認している企業は28.8%です。
一方で、厚生労働省の調査によると、副業を希望している人の割合は年々増加傾向にあり、就業者全体に占める割合で5.7%(2012年)となっています。例えば、メルカリは副業兼業を認め、そこから新たなイノベーションを生み出すのに成功、このような事例も徐々に日本国内で増えてきています。
このような成功事例を増加させることによって、企業へのオープンイノベーションをもたらし、最終的には社会全体へのよい影響を与えることができるようになるのではないでしょうか。
拡大傾向にあるクラウドソーシング市場規模
クラウドソーシングとはインターネットを活用して、個人(受注者)が企業(発注者)から仕事を受託する仕組みです。具体的な仕事内容としてはシステム開発やwebデザイン、ライティングなどがあります。
クラウドソーシングは個人が副業兼業として活用しやすいことから近年国内でも市場拡大傾向にあり、2013年には215億円程度だった市場規模は2015年には650億円になっています。2020年には2,950億円にまで拡大することが予想されています。
クラウドソーシングを利用した仕事は自宅でもできる仕事が多い点、比較的自由な時間で作業ができる点などが魅力とされています。これらのポイントは柔軟な働き方を希望する人とたちにとって非常に魅力的であり、市場規模が拡大しているのもうなづけます。
雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援
では、企業はこのような傾向にどのように対応すればいいのでしょうか。実はあまり知られていいないのですが、働き方改革を実行するための課題を解決するため政府は企業を後押しするガイドラインを作成しています。
そのガイドラインは、個人事業主としてのテレワークでなく、企業の社員として雇用されたままテレワークをする場合を想定したものとして雇用型テレワークの大幅な刷新が行われました。
具体的には、これまで自宅での勤務に限定したガイドラインとなっていたものに、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務も追加され、リモートワークにも対応していると捉えることもできます。昨今のテレワーク普及に伴うコワーキングスペースの増加等を受けての刷新と考えられます。
また、企業がテレワークの導入に躊躇しないように、フレックスタイム制や移動時間の取扱など、活用方法について働く実態に合わせて明確化しています。導入を検討する企業としては導入する際の問題を解決しやすくなったと言えるでしょう。
雇用型テレワークの課題
厚生労働省による調べでは、雇用型テレワークの課題として多くの企業が挙げているのが「労働時間管理が難しい」という点です。深夜や休日にも働けてしまう環境は長時間労働を助長するリスクもあります。企業として何時間程度働いているのかが見えないのは大きなリスクです。
特に、働き方改革関連法案自体が長時間労働を削減させることを目的としているため、国は特定の条件を満たしている止むを得ない長時間労働に対して「時間外労働等改善助成金」などを支給し、雇用型テレワークなどとの平行普及を可能にするような対策を行っています。
雇用型テレワークにおける労働時間管理に関する課題への解決策
テレワークが徐々に盛り上がりを見せる昨今では、テレワーク利用を想定した勤怠管理システムも一般化しています。勤怠管理システムの導入は労働時間管理の問題を解決する1つの策です。
働き方改革関連法案に対応している勤怠管理のサービスに、「ジョブカン勤怠管理」、「Jinjer勤怠管理」など、多拠点でのWeb会議や、チーム間でのWeb会議などには「V-CUBE ミーティング」や「Zoom ミーティング」などもオススメのサービスです。
これらは前述の「時間外労働等改善助成金」となります(※各事業者へのお問い合わせの上ご確認ください)。
※もしも、この記事を読んでいる方の中にテレワーク導入の際に役立てられるツールをお探しの方がいらっしゃいましたら、「課題別に選べる!コミュニケーションツールまとめ」も是非お読みください。こちらの資料ダウンロードは無料で出来ます。
非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援
クラウドソーシング市場の拡大により非雇用型のテレワークも増加しています。いわゆるフリーランス(個人事業主)によるテレワークです。この非雇用型テレワークのガイドラインも刷新しています。
具体的には、これまで想定していなかったクラウドソーシングサイト等の仲介事業者を想定した上で、発注者向けのガイドライが改定されました。例えば、仲介手数料や著作権の取扱の明示など、クラウドソーシングを通じて発注する際に求められるルールがこれまで不明確でしたが、今回の改定により明確化されました。
また、クラウドソーシングで仕事を受託する働き手へのセーフティネットの整備なども加わりました。今回の刷新により、非雇用型のテレワークを行う人にとってより良い環境となることが期待されています。
企業の担当者であれば、クラウドソーシングを利用する側としてこのようなガイドラインに目を通しておくのもよいかもしれません。
副業・兼業の推進に向けたガイドライン策定やモデル就業規則改定などの環境整備
このガイドラインの策定により、企業が就業規則において法理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化しました。また、副業・兼業を認める方向でのモデル就業規則も改定されています。ただし、全ての従業員が無条件で副業兼業に関するガイドラインの恩恵を受けることができるわけではありません。
本業への労務提供や事業運営、会社の信用・評価に支障が生じる場合は就業規則に副業・兼業を禁止する旨記載することができます。その線引きは各企業の実態に応じて、判例や学説の議論を参考に判断することが可能です。
まとめ
企業が「働き方改革」で解決すべき課題は「働き手を増やす」ことと「労働生産性の向上」をすることです。これらを解決するために、雇用型テレワークの推進や副業・兼業の推進が求められます。
国内の労働人口が減少する中、企業が長期的に労働力を確保し続けるためにこれらに対応をすることは必要不可欠と言えます。今回ご紹介した通り、推進する上での課題にはICTツールで解決できるものがあります。上手に活用しながら働き方改革に取り組むようにしましょう。
働き方関連法案について
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