【要確認】クラウドPBXのデメリット7選と実践的な回避方法

DXやテレワーク推進の流れを受け、クラウドPBXの導入を検討する企業が増えています。従来型PBXに比べて柔軟性やコスト面での優位性が注目される一方で、「電話が止まることは許されない」業務環境においては、慎重なリスク評価が欠かせません。
本記事では、クラウドPBXの導入を検討する総務・情シス担当者に向けて、見落としがちな7つの代表的なデメリットと、それぞれに対する評価・対策のポイントを解説します。リスクを正しく理解したうえで、どのように自社の要件と照らし合わせ、検証・稟議を進めるべきか。そのヒントを得られる内容となっています。
クラウドPBXの導入には多くのメリットがある一方で、慎重な検討を要するリスクや懸念も存在します。そうした課題に対して、実践的な回避策と運用体制が整っているサービスを選ぶことが成功のカギとなります。
当社では、高い通話品質と安定運用を実現する「Zoom Phone」の導入形態・機能・料金などを詳しくまとめた『Zoom Phoneサービス紹介資料』をご用意しています。
クラウドPBXの弱点をどう補えるのか、自社要件に合うのかを検討する材料として、ぜひ以下より無料でダウンロードしてご活用ください。リスク評価や社内説明資料としても最適です。
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デメリット①:インターネット依存と通信断リスク
オンプレミスのPBXでは、構内交換機と専用回線により、社内ネットワーク内で独立して通話が可能でした。しかしクラウドPBXでは、外部のインターネット回線やプロバイダに依存するため、回線障害や通信断が発生すると、内線・外線ともにすべての通話が停止するリスクがあります。
とくに障害時の業務停止が許されない部門(例:コールセンターや営業部門)にとっては、これは重大な懸念点です。
対策例
- 冗長回線の導入(異なるISPを利用した二重化)
- モバイル回線(4G/5G)によるバックアップ構成
- 重要部署にはSIPトランキング併用による二系統体制
デメリット②:音質・レイテンシのばらつき
クラウドPBXでは、通話の音質や遅延(レイテンシ)が、ネットワーク帯域や機器の設定状況に大きく左右されます。社内LANの整備状況はもちろん、テレワーク環境では各従業員の宅内回線品質にも影響を受けるため、通話の途切れなどが発生するケースもあります。
対策例
- 社内LANにPoEスイッチやVLAN設定を導入し、音声トラフィックを優先制御
- テレワーク時はVPN経由の通話にQoS(Quality of Service)を設定
- 実運用前に帯域診断や音声品質テストを実施
デメリット③:長期ランニングコストと課金変動
「月額数千円から」といった訴求が目立つクラウドPBXですが、運用を重ねるにつれて課金項目が積み上がり、想定以上のコストとなることがあります。席数に応じた従量課金、国際通話、録音データ保存、API利用などがコスト要因となりやすい項目です。
対策例
- 人員増減を見越して3~5年単位での総コスト試算を実施
- 上限設定付きの料金プランや割引契約の可否を確認
- 不要機能の停止や運用ポリシーの最適化によるコスト制御
デメリット④:ベンダーロックイン/移行コスト
一度クラウドPBXを導入すると、将来的なサービス変更やベンダー切り替えが困難になるケースがあります。とくに番号ポータビリティの再申請、既存通話データや設定のエクスポート不可、APIの非互換などが障壁となり、移行に多大な工数・コストが発生します。また、契約期間中の中途解約には違約金が設定されていることも少なくありません。
対策例
- 導入前に、通話データや設定情報のエクスポート可否を確認
- 契約書に記載された解約条件や最低利用期間、違約金の有無を精査
- 番号保持条件や、移行時の支援体制があるかをチェック
デメリット⑤:緊急通報・法規制への対応限界
クラウドPBXでは、110番や119番といった緊急通報時の発信位置情報が、従来の固定電話のように正確には取得できないことがあります。また、FAX運用や代表番号の複数着信といった特殊要件には追加機器や設定が必要になる場合もあり、国内法規(特電法や消防庁指針)との適合性も要確認です。
対策例
- 緊急通報に関しては、固定電話回線の併用や、優先ルートの設置を検討
- FAXや代表番号運用の代替手段を導入前に試験運用
- ベンダーに法対応実績や仕様書の開示を依頼し、自社要件と照合
デメリット⑥:クラウド側セキュリティ・ガバナンス
クラウドPBXでは、通話録音や通話ログがクラウド上に保存されるため、万一の情報漏えい時の影響範囲が広くなります。特に内部不正や誤設定などヒューマンリスクも無視できず、SSO(シングルサインオン)やRBAC(ロールベースアクセス制御)が未導入の環境では、不正アクセスのリスクが増大します。
対策例
- 通話データの暗号化方式や保存期間、保管先の物理的情報を明文化
- アクセス制御の仕組み(SSO/RBAC)と監査ログの取得可否を確認
デメリット⑦:社内ネットワーク/端末更新負荷
クラウドPBXの高音質通話を安定的に実現するには、社内ネットワークの整備や端末の見直しが必要です。PoEスイッチの導入やWi-Fi 6E対応機器の追加投資が求められるケースや、BYOD(個人端末利用)を許可する場合にはMDM(モバイルデバイス管理)の整備も欠かせません。
対策例
- LANの現状キャパシティを診断し、音声トラフィックにボトルネックがないか確認
- 試験導入(PoC)を通じて、実際の通話品質を評価
- 端末ポリシーを策定し、社内ガイドラインに基づく運用を整備
まとめ ─ 「課題 × リスク × 対策」を稟議に落とし込む
クラウドPBXは、適切な対策と設計を行えば、上記のようなデメリットの多くは事前に吸収可能です。むしろ、導入検討時に「どんなリスクがあるか」「自社にとって致命的か」「それをどう回避するか」を整理し、稟議資料に落とし込むことが、スムーズな社内合意形成の第一歩となります。
まずは小規模な部署や拠点でのPoC(試験導入)を実施し、実運用に近い形で課題の洗い出しと検証を進めるのが現実的なアプローチです。
「すぐ導入」ではなく「まず評価」。それが、クラウドPBXのメリットを最大限に引き出しつつ、後悔のない選定を行うための鍵となります。
クラウドPBXのリスクや対策を具体的に検討する際には、実際の機能や導入フローを把握できる情報が不可欠です。
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