【徹底解説】インサイドセールスのやり方・導入後の進め方とは?

リモートワークの導入に伴い、「インサイドセールス」という営業手法が注目され、導入する企業も増えています。しかし、中には導入する前段階の社内調整などが主論点となり、いざ導入するとなってから「何から始めるのか分からない」という企業もいます。

この記事では、実際に導入するまでの手順や検討に必要なポイントをお伝えし、具体的な導入イメージが湧くよう説明します。

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インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、非対面で行う営業手法のことを指します。電話やメール、テレビ会議ツールなどのデジタルツールを利用し、内勤で完結する営業活動を主業務としています。外勤などの移動が必要ないことから移動コストの削減、時間の有効活用、などといったメリットが挙げられ、営業活動の効率化に期待ができます。

インサイドセールス導入手順

実際にインサイドセールスを導入する手順と、各ステップで押さえておくべきポイントをここで説明していきます。

1.目的と責任範囲の明確化

まず最初に、インサイドセールス導入する上での目的と責任範囲を明確にしましょう。アポイントの獲得増加、または受注率を上げること、など目的を定め、営業プロセス内のどの範囲にインサイドセールスの仕組みを導入するかの検討が必要です。

インサイドセールスの中でも、導入方法は大きく分けて4つに分類されます。

 

パターン名

目的

役割

①リード発掘型

リード数の増加

電話などを通じてさらなる見込み顧客の発掘に注力する

②リード育成型

受注率向上

すでにある程度商材が関心のある人に向けて、

より受注確度を高めるためのフォローを行っていくことに注力

③営業クローズ特化型

対応案件数の拡大

すでに商材の導入を検討している顧客に向けて、

具体的な提案から成約までをインサイドセールスで行ってしまう

④フィールドセールス協業型

成約数の獲得増加

フィールドセールスと連携を取りながら、

見込み顧客の創出や育成などを役割分担しながら行っていく

出典:『インサイドセールス 究極の営業術 最小の労力で、ズバ抜けて成果を出す営業組織に変わる』水嶋玲似仁 ダイヤモンド社

①リード発掘型

リードが少ないという課題感がある場合には、まずはリード増加を目的に担当者を立て、この「リード発掘型」を取り入れます。ターゲットとなる顧客リストを作成し、電話やメール、またチャットツールなどを利用し、見込み顧客となり得るリードを獲得するというのも手法の一つです。

②リード育成型

受注率向上を目的としている場合には「リード育成型」です。アポ数の底上げ、またそのさきの受注確度の高いリードを集めたいという場合に取り入れます。複数回の丁寧な見込み顧客とのコミュニケーションで育成し、検討度合いを見極めてアポを取得するのがこの手法です。

③営業クローズ特化型

顧客数拡大が目的の場合には「営業クローズ特化型」です。フィールドセールス ではなく、インサイドセールスがヒヤリングや提案などを行うことにより、顧客との関係値が向上し、最終的には顧客数が底上げされるというのが狙いです。サービスやプロダクトの価格が高く、購入ハードルが高い場合に、特にマッチしている手法です。

④フィールドセールス協業型

こちらも営業クローズ型と同様に、目的は顧客数拡大ですが、それにプラスして営業プロセス全体の効率化を目指したい場合には「フィールドセールス 協業型」を取り入れます。まずはリードの検討フェーズでインサイドセールスかフィールドセールスどちらが担当するかを明確にします。見込み度合いの低い場合にはインサイドセールスが担当し、温度感が高いリードはフィールドセールスが担当するなどと役割を分けながらも、リードをパスし合うことで営業効率を上げることが期待できます。

上の表を参考に、自社に合った目的と役割で導入パターンを確定し、営業プロセス内での責任範囲を明確化してみてください。

2.人材選定・人員配置

目的と責任範囲確定後、次に決めるべきは人材の選定です。インサイドセールス業務は少々特殊であり、スキルが必要な面もあるため、インサイドセールス業務の特徴に合う適切な人材の選定や配置が必要になります。

適切であると感じられる人材特徴は以下の3点です。

  • マルチタスクが可能な人
  • ITリテラシーが高い人
  • コミュニケーション能力が高い人

マルチタスクが必要な理由は、インサイドセールスは複数の様々な案件を同時並行で計画的に進める必要があるためです。見込み顧客の段階のリードを一人の担当が数十、または数百と担当することが通常業務なので、マルチタスクで幅広く対応でき、また自身で管理ができる人が適任です。

 

インサイドセールスは、内勤のみで業務を進める特性から、多種多様なITツールを利用することが比較的多い職種です。見込み顧客のデータはCRMやMAなどのツールを活用し、他部門であるフィールドセールスと迅速に連携しますので、ツール活用のためITリテラシーの高さも必要です。

 

また、営業ですから、コミュニケーション能力も必要なスキルです。一般的な営業は対面での会話が通常ですが、非対面となると会話力がより高度になります。伝えるべき内容を齟齬なく簡潔に伝えられるか、相手の潜在的な課題も難なくヒヤリングできるか、というのが顧客との会話の上で大事な要素となってきます。対顧客だけでなく、社内での会話でも部署間で連動しリードに関するコミュニケーションを頻繁に行うことから、コミュニケーション能力の高い素質を持った人が適任と言えます。

3.行動目標・KPI

適切なスキルを持つ人員を選定し、配置の確定後、次に行うのは行動目標とKPIの確定です。営業全体の目標に紐づく、目標KPIを定めていきます。

 

インサイドセールスチームとしてのチームでのKPI目標、そしてそれを達成するための担当別での行動目標を定めます。目標を何に定めるかは、インサイドセールス組織の構成目的により異なります。上記でお伝えした目的に沿ったインサイドセールスの導入パターン①②③④の責任範囲に合わせて、KPIを設定しましょう。

 

一般的には、フィールドセールスにパスした「商談数」をKPIとして設定することが多く、また行動目標は、架電数、架電時間、着電数、着電率、メール開封数、メール開封率などが一般的です。

4.ツールの導入

次に、業務で活用するデジタルツールの導入を検討します。一般的に必要なツールは以下の4つです。

オンライン商談システム

オンライン上で提案や商談を行う上で必要となるツールです。画面越しで顧客と話ができ、必要に応じて資料などを見せながら会話が可能なため、非対面での電話やメールなどより情報伝達しやすい効果的なツールです。

MAツール(マーケティングオートメーションツール)

マーケティングオートメーションツールを略してMAツールと呼ばれます。見込み顧客リードの情報の一元管理と、リードの検討状況に応じたリードの育成施策を行う機能があります。一部、育成施策を自動化することもでき、定期的に施策を自動で実装する仕組みを構築することで、継続的に見込み度合いの高いリードの創出することも可能になります。

SFAツール(セールス・フォース・オートメーションツール)

営業活動情報の全てを一元管理し、営業プロセスごとで活動データを蓄積することで管理するだけでなく、傾向分析などを行うことができます。商談実施記録に紐づく結果や売り上げ金額などを含めた予実管理も可能で、営業活動に関連する全ての記録を1つのデータベースで管理できるのが特徴です。

CRMツール(カスタマー・リレーションシップ・マネジメントツール)

CRMツールは「顧客情報管理ツール」とも呼ばれます。自社と顧客に関係するすべてのデータを蓄積しておくものです。例えば、顧客のプロフィール情報や現在や過去の取引情報、担当営業、などのあらゆる情報が含まれます。

インサイドセールス成功のポイント

インサイドセールスを取り入れる際に、特に意識した方が良いポイントが2点あります。このポイントを意識することで、インサイドセールス導入成功への糸口になります。ポイントについて詳しく説明していきます。

カスタマージャー二ーの作成

マーケティング施策実施時にも作成するカスタマージャーニーですが、インサイドセールスを行う際にも、カスタマージャーニーマップを作成することが重要なポイントになります。

カスタマージャーニーとは、ターゲットとしている顧客層がどのような意識で自社商品やプロダクトを認知し、興味や関心を持ち、どの接点で購入意欲が喚起されるのかを表したものです。

カスタマージャーニーと一緒にペルソナと呼ばれる、商品やサービスを利用する典型的なユーザーを人物像化する、という行動も一緒に作成します。

このペルソナやカスタマージャーニーを作成することで、インサイドセールス担当が顧客の行動や心理の理解が促されます。さらに、顧客の行動に対しインサイドセールスがどのような会話やアプローチを行えば購買意欲を促進できるかも担当者が想像しやすくなるという利点があります。

情報共有

2つ目の重要な要素は、部門間での情報共有、情報の連携をスムーズに取れるようにしておくことです。

インサイドセールス部門は、一般的にマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの3つで構成され、インサイドセールスは3つのうちの中間に位置する部門ですので、情報の橋渡し役としても重要な役割を担っています。

スムーズに連携するためには、大前提デジタルツールをうまく活用することが重要になります。すべてツール内にテキスト等でデータを蓄積し、伝達ミスや情報の齟齬がないよう、ツールを介して情報伝達することで、伝達ミスや齟齬を防ぐようにしましょう。

また、情報伝達を行うルールを細かく設定することも重要です。どこまでの情報を伝えるかは人により解釈が異なるので、情報伝達範囲が属人的な判断になる運用を進めてしまうと結果に影響が出ます。伝達範囲のルールを細かく設定するようにしましょう。

インサイドセールスの導入事例

未来電子テクノロジー株式会社様での事例

未来電子テクノロジー様ではメディアの運用代行サービスや、オウンドメディア構築・運用代行支援などコンテンツマーケティング事業やクリエイティブ制作事業などを手がけています。テレアポから訪問という営業スタイルで、移動時間がかかり非効率な営業活動に課題を感じられ、インサイドセールスの導入を実施。

Web会議を用いた販売支援・顧客サポートサービス「V-CUBE セールス&サポート」を導入したことで、これまでルール化されていた訪問距離が関係なくなり、商圏は全国へと拡大されました。営業プロセスを「テレアポ担当」「商談担当」と 切り分けることで成約率が向上。その結果、商談件数は10倍、成約率は3倍に急増しました。

未来電子テクノロジー株式会社様の導入事例を詳しく確認したい場合はこちら

まとめ

インサイドセールスの導入のやり方や進め方について、本記事でご説明しました。インサイドセールス導入時には必ず、目的と責任範囲を明確にすることから始めましょう。目的がずれれば、後工程で決める内容もずれてきますので、目的確定が一番肝心なポイントとも言えます。自社の組織構成や商材特性なども考慮しつつ、自社に見合ったインサイドセールスの導入を検討してみてください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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