インサイドセールスとテレアポは同じ、と混同されることがあります。インサイドセールス部隊を組織内に取り入れても、「結局行っていたことはテレアポになっていた」という企業様のケースも中にはあります。ここでは、インサイドセールスとテレアポの違いについて、またインサイドセールス立ち上げから組織運用を成功させるために改めて知っておくべきポイントをご紹介していきます。

インサイドセールスとテレアポの違いは?
インサイドセールスとテレアポには共通点と違いの両方が存在します。共通点から先にお伝えすると、それはどちらも電話を用いた営業手法であることです。では逆に違いは何か、というと「活動目的」に違いがあります。即ち、電話を用いた営業活動という意味合いでは、どちらも一括りにできますが、活動目的が異なるという点では、インサイドセールス=テレアポではありません。
では、テレアポの活動目的はなにか?というと「アポイントの取得」です。獲得の際の優先度はアポイントの質より量が優先されることが多い特徴があります。一方で、インサイドセールスの活動目的は案件の創出であり、テレアポとは逆に質が優先されます。
目的
前述したように、テレアポの活動目的はアポイントの取得です。一方で、インサイドセールスの活動目的は、案件の創出、また最終的に契約受注につなげるために見込み顧客の育成を行うことです。
問い合わせがあったリードや集客したリードは、契約の見込み度がまだ低い状態である可能性が多いため、リードの検討状況を確認の上、中長期的な関係構築を行い、リードの適切な購入・検討タイミングを見極めながらアプローチをしていきます。
この活動をインサイドセールスでは「リードナーチャリング」またの名を「顧客育成」と呼びますが、この活動こそが、インサイドセールスの活動目的であり、テレアポ部隊では実施しない業務範囲となります。
成果指標
テレアポとインサイドセールスの各部隊で定める成果指標は異なり、一般的には、それぞれ以下のように定められます。
テレアポの成果指標:アポイント数
インサイドセールスの成果指標:リード数、着電数、アポイント数、商談数、契約数など
テレアポの場合は、量を評価軸とした「アポイント数」が成果指標となることが一般的である一方、インサイドセールスは行動数を軸とした各指標となります。
インサイドセールスでも量という概念は大事ですから、アポイント数が成果指標に含まれていますが、アポイント数だけが成果指標になることはありません。目標達成のため、無理やりアポイント数を獲得する行動をなるべく防ぐため、顧客の育成に注力したかを計測する行動数も加えられます。
時間軸・担当期間
テレアポとインサイドセールスでは、顧客を担当する時間軸や担当期間にも違いがあります。具体的には以下のような特徴の違いが挙げられます。
- テレアポイント:一時的・単発
- インサイドセールス:中長期的
テレアポは、「コールして繋がらない、アポ取得できなかったら次の顧客リードへ」というように、アポかアポじゃないか、を視点に行う短期施策となる傾向があり、顧客に対するアプローチ期間は一時的です。
インサイドセールスの場合は、「今すぐには購入を行わない」という顧客の興味を育成する必要があるため、担当者が一人の顧客に対し行うアプローチ期間は中長期になります。
組織間での連携
テレアポとインサイドセールスでは、組織構成や各部署との連携方法も異なります。まず、テレアポの場合は営業部門内でも独立した部隊となり、連携時はアポイント取得の際にフィールドセールスに情報共有する程度で連携頻度は多くはありません。
テレアポと比較するとインサイドセールスは、フィールドセールスとの情報連携頻度は多く、また連携情報量も多いです。顧客の企業情報、直接ヒアリングした顧客ニーズや予算などの細かな情報や顧客の印象まで細かな情報を伝達することで、フィールドセールスでは顧客に沿った質の高い提案資料を作成することができるため、フィールドセールスとの関わり合いは非常に重要になってきます。
また、フィールドセールスだけでなくマーケティング部門との連携も必要です。マーケティング部門は見込み顧客リードを獲得する部門ですが、マーケティング部門から受け渡されるリードの状態をインサイドセールス側で把握しておく必要があるため、密な連携が重要です。
インサイドセールスが求められる理由は?
企業の間でインサイドセールスの注目度が高まり、組織への導入が進んでいる理由は、以下のような点が挙げられます。
営業効率の向上
インサイドセールスが導入されることで、フィールドセールスが役割として担うべき業務のみを専門的に行うことになるため、業務により一層集中することができます。その結果、生産性が高く、効率的に営業活動を進めることができます。
コスト削減
インサイドセールスは内勤型の営業手法であるため、通常の訪問営業時にかかる移動費をカットすることができます。また、対面営業では誘われやすい接待なども、リモート上では実施しづらいことから接待費なども削減でき、営業活動費用を大きくコストカットすることが可能です。
成約率の向上
インサイドセールスが見込み確度の高いリードのみをフィールドセールスへ引き継ぐことになるため、フィールドセールスは商談成約率の高いリードのみへのクロージング対応に集中することができ、その分成約率の向上につながりやすくなります。
顧客拡大
インサイドセールスは顧客と中長期的な視点でアプローチし続けるという活動特徴から、多くのリードを担当することになります。粘り強く、長期間リードの育成を行うことで契約に繋がる可能性の高いリードも増え、顧客拡大の確率も高まります。
人手不足解消
インサイドセールスの業務はメールや電話などを利用した非対面での業務がメインのため、少ない人員で取り組むことができます。また、フィールドセールスの場合も、インサイドセールスが興味度合いの高いリードに対する商談実施を行うため、従来と比較すると対応数も少なくなり、少人数でも効果が出しやすい組織環境になりやすいです。
インサイドセールスを成功させるためのポイント
インサイドセールスを組織内に導入する上で大切なポイントが2点あります。これから導入を予定している場合には、以下でお伝えする視点を参考にしてみてください。
ペルソナ設定とカスタマージャー二ーの作成
インサイドセールスの導入を進める最初のステップが、「ペルソナ設定」と「カスタマージャーニーの作成」です。インサイドセールス業務を行う上で大切なのは、顧客理解です。適切なタイミングで相手に価値ある情報を伝えることで、興味や関心を引くことができるので、顧客の視点に立って考えることが重要になります。自社のサービスに興味を持つ人はどのような悩みを抱えているのか、自社のサービスで解決できることはあるのか、徹底的に考え、ターゲットとなる顧客を絞り、ペルソナ設定を的確に行っていきましょう。
また、顧客の購買意欲に応じたタッチポイントを想定し、各ポイントでどのようなアプローチを行うと良いか、カスタマージャーニーマップを作ってみましょう。カスタマージャーニーマップを作ることで、顧客に対する具体的なアプローチ方法をイメージできるため、顧客とのコミュニケーションもスムーズに行うことができます。
情報共有
インサイドセールスは業務を進める上で他の組織と連携することが多いため、部門間で情報共有をスムーズに行えるようにしておくことも、インサイドセールスの導入を成功させるポイントの一つです。
情報連携をスムーズに行うようにするには、情報を全てデジタル化し、デジタルツールを活用しましょう。顧客データや、顧客との会話の履歴、取引情報など全ての情報をデータとして蓄積し、そのデータをツールを介して共有することで伝達ミスを防ぐことができます。
また、情報共有の際の運用ルールも定めておくことが大事です。情報伝達量は人により異なるため、伝達範囲を決めて、属人的な判断が行われないようにすると良いでしょう。
まとめ
テレアポとインサイドセールスとの違いについて、本記事でご紹介しました。導入した後に気づけば、「テレアポと同じ組織運用をしてしまっていた・・・」というようなことがないよう、インサイドセールス構築時のポイントをよく抑えて、導入を進めてみてくださいね。
インサイドセールス導入のポイントは?
リモートワーク・テレワークの導入に伴い、これまでのような訪問営業が効果を発揮しづらくなってきています。そこで注目を集めているのがインサイドセールスです。
本資料ではオンラインでの営業活動「インサイドセールス」の導入・実践にあたって理解しておきたい、オンライン商談のメリットや導入ポイントをご紹介しています。
営業の生産性向上や、インサイドセールスの導入を検討されている方はぜひお役立てください。

