クラウドPBXに変えるべき?オンプレミスとの7つの違いと診断付き解説【情シス・総務向け】

PBXの入れ替えを検討する企業が増える中で、クラウドPBXとオンプレミスPBXのどちらを選ぶべきかという判断は、情シス・総務にとって大きな課題です。

保守運用の負担、拠点追加やテレワーク対応の柔軟性、災害時の復旧力など、選択によって業務環境は大きく変わります。

本記事では、両者の違いを7つの視点から整理し、自社にとって最適な選択肢を見極めるための情報を提供します。

クラウドPBXとオンプレミスPBX、それぞれにメリット・デメリットがある中で、実際にどちらが自社に合っているか判断するには、機能やコスト、運用面での違いを具体的に把握することが重要です。

当社では、クラウドPBXの代表的な選択肢である「Zoom Phone」の導入メリットや機能、料金体系までを網羅した『Zoom Phoneサービス紹介資料』をご用意しています。

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仕組みの違いを理解する:オンプレとクラウドPBXはここが違う

PBXの入れ替えを検討するなら、まず押さえておくべきは「そもそもの仕組みの違い」です。オンプレミスPBXとクラウドPBXは、見た目は似ていても、その中身と動き方はまったく異なります。

オンプレミスPBXとは、会社の建物の中に電話の親機(コントロール装置)を設置し、そこから各デスクまで電話線を引いて社内通話をつなぐ仕組みです。イメージとしては、建物の一角に大きな電話機器が置かれ、そこから各席へ線がのびているような感じです。

それに対してクラウドPBXは、インターネットを使って電話の仕組みを動かします。従来の電話線ではなくネット回線を使うため、特別な電話機がなくても、パソコンやスマートフォンのアプリで通話できます。また、SalesforceやMicrosoft Teamsなどの外部サービスとつなげて、便利に活用することもできます。

物理的な設備の有無にとどまらず、「誰がどこまで責任を持つのか」も大きく異なります。下記の表をご覧ください。

項目

オンプレミスPBX

クラウドPBX

主装置の設置場所

社内

ベンダーのクラウド基盤

障害対応

自社 or 業者が現地対応

ベンダーが遠隔監視・復旧

拡張対応

新たな配線・機器追加が必要

Web画面から設定可能

保守・管理の責任

自社(または委託)

ベンダー

このように、管理の所在が異なることが、後のコストや運用に大きな影響を与えるのです。

コストの真実:初期費用と月額、どっちが得か?

PBXの導入を考えるとき、最も気になるのが「結局、いくらかかるのか?」というコストの話でしょう。ただし、単に“月額が安い”だけでは判断できません。オンプレミスPBXとクラウドPBXでは、初期費用と運用コストの構造そのものがまったく異なります。

導入時のコストを比較すると、オンプレは主装置やラックの購入、配線工事などで数百万円規模の出費が必要。一方クラウドは、初期設定料程度でスタートできます。

運用面では、オンプレは保守契約・電源・空調・老朽化パーツ交換といった維持費がかかります。クラウドなら、定額の月額料金にすべて含まれており、突発コストが発生しにくいのが利点です。

導入予算が限られている企業にはクラウドの初期負担の軽さが魅力ですが、長期視点ではどちらが本当に得なのか、冷静な見極めが必要です。

トラブル対応、どっちが楽?現場目線で見る保守の違い

PBXの運用で見逃せないのが、「トラブル対応のしやすさ」と「保守の手間」。特に、情報システムや総務が少人数の組織では、障害対応の負荷がどれだけ軽いかが、日々の業務効率に直結します。

オンプレミスPBXでは、障害が起きた場合、専門の知識を持つスタッフが現地に駆けつけて調査・修理を行うのが一般的です。もし保守契約が切れていれば、対応は都度見積もり。特に古い機種では、すでに保守パーツが製造終了していることも珍しくありません。

一方、クラウドPBXでは、障害が発生しても、殆どの場合ベンダー側が24時間365日体制で監視し、異常があれば自動で復旧対応がスタートします。ユーザー側の負担はほとんどなく、通知を受けて経過を見るだけというケースも。

「“いざという時に頼れる体制”が整っているのはどちらか」という視点で選ぶと、クラウドPBXの安心感は明らかです。

拠点追加もテレワークも即対応?変化に強いのはどっち

ビジネス環境の変化にすばやく対応できるかどうか――

これはPBX選びにおいて、意外と重要なポイントです。新拠点の立ち上げや、テレワークの導入、繁忙期の臨時席増設など、現場の“今すぐ対応したい”ニーズにどう応えられるかで、業務のスピード感は大きく変わります。

オンプレミスPBXの場合、拠点追加には物理的な配線工事や主装置の増設が必要となり、完了までに1〜2週間以上かかることも。一方クラウドPBXなら、管理画面から設定を追加するだけで、数分で内線が使えるようになります。

また、在宅勤務やスマートフォンでの内線運用も、クラウドPBXなら標準機能として備わっているケースがほとんど。さらに、TeamsやSalesforceとの連携も容易で、単なる“電話システム”を超えたコミュニケーション基盤として機能します。

繁忙期など一時的に増席が必要なケースを想定しても、オンプレでは対応が間に合わない可能性がありますが、クラウドならスピーディーに対応可能。柔軟な働き方や業務変化に合わせられるのは、間違いなくクラウドPBXの強みといえるでしょう。

情報漏洩、大丈夫?PBXのセキュリティを見直そう

PBXとは社内の機密情報が行き交う重要な通信インフラでもあります。だからこそ、セキュリティ対策やコンプライアンス対応は無視できません。

オンプレミスPBXは、構内に閉じた物理ネットワークで完結している点が大きなメリット。外部との接続を制限でき、インターネット経由のリスクを遮断できます。局内の閉域網やサーバールームでの物理隔離は、一定の安心感をもたらします。

一方、クラウドPBXはIP網を利用するため、「セキュリティは大丈夫なのか?」と心配されがちですが、実際には暗号化やIPアドレス制限、多要素認証など、最新のセキュリティ技術が導入されています。

シンプルな構内完結型か、高度なクラウドセキュリティか。求める安心の形によって、選択肢は変わります。

災害対策、あなたのPBXは大丈夫?

PBXを選ぶうえで、意外と見落とされがちなのが「災害・障害時の対応力(BCP)」です。どれだけ便利な機能があっても、緊急時に止まってしまっては意味がありません。

オンプレは主装置が1台ダウンすると全通話が停止し、災害時(例:浸水・停電)には復旧までに時間がかかります。一方、多くのクラウドPBXは地理的に分散した冗長構成となっており、障害発生時には別リージョンへ切り替えられます。

迷ったらコレ!7つの質問でわかるPBXタイプ診断

ここまで読んで、「結局、うちはオンプレとクラウド、どっちが合ってるの?」と感じた方も多いのではないでしょうか。そんなときに役立つのが、7つのセルフ診断項目。費用、柔軟性、災害対策、セキュリティなど、意思決定の軸となるポイントを“見える化”して判断のヒントにしましょう。

以下の7項目で、○(非常に重要)・●(やや重視)・△(あまり重視しない)を自己評価してみてください。

  • コスト重視(初期費用・月額費用)

  • 拡張性(拠点追加・人員増)

  • BCP(災害時の復旧性)

  • 運用負荷(保守の手間)

  • セキュリティ(通信の安全性)

  • 機能統合(TeamsやCRMとの連携)

  • 社内体制(自社での機器管理力

この診断表をもとに、社内での意見調整や提案資料づくりにも活用できます。

導入してみて初めてわかる違いとは?ステップ別で徹底比較!

机上の比較だけでは見えてこない“リアルな差”は、実際に導入を進めるプロセスで明らかになります。この章では、試験導入から本番移行、ユーザー教育まで、導入ステップごとにオンプレとクラウドの違いを具体的に見ていきます。

試験導入の段階では、オンプレは機器の準備や設置に時間がかかるため、10内線のテストでも本格的。対してクラウドは、アカウント発行と端末登録だけで即日テストが可能。音質や遅延のログ収集も、クラウドのほうが簡易に実施できます。

本番移行では、オンプレは番号ポータビリティや配線切替の工程が重く、作業時間が長くなりがち。クラウドはDNS切替や通話アプリの設定変更だけで完了する場合もあります。

教育面でも違いが出ます。オンプレは固定電話機の操作マニュアルが中心ですが、クラウドではスマホアプリやWeb管理画面の操作が必要。管理者向けにはアクセス権限設計など、よりITスキルが求められる場面も出てきます。

こうした違いは、実際の導入現場でこそ体感されるもの。導入ステップごとの特徴を把握しておけば、事前の準備や社内調整がスムーズになります。

よくある疑問を一気に解決!PBX乗り換え前のQ&A10選

オンプレミスPBXからクラウドPBXに乗り換えるときに、多くの企業が抱く代表的な質問をまとめました。導入提案や社内説明の際にも、そのまま引用できる実践的なQ&Aです。

Q1. クラウドPBXは停電時でも通話できますか?
A. クラウド側のサーバーは稼働していますが、利用者側のネット環境と端末の電源が落ちていると通話できません。無停電電源装置やモバイル回線との併用が推奨されます。

Q2. FAXはどう運用すればよいですか?
A. クラウドPBX単体ではFAX対応が難しい場合があります。eFAXやFAXゲートウェイを併用することで、既存の運用を継続できます。

Q3. 通話の録音データはどこに保存されますか?
A. オンプレは社内サーバー、クラウドPBXではベンダー側のクラウドストレージに保存されます。保存期間や取得方法は事前に確認が必要です。

Q4. 緊急通報(110、119)は発信できますか?
A. クラウドPBXでは制限がある場合があります。

Q5. 既存の電話番号はそのまま使えますか?
A. はい。番号ポータビリティを利用すれば、現在の番号をそのままクラウドPBXで使うことが可能です。

Q6. 通信の安全性は大丈夫?ハッキングされませんか?
A. 多くのクラウドPBXは暗号化やIP制限などのセキュリティ対策が施されています。

Q7. スマホを内線として使うには何が必要ですか?
A. 多くの場合、専用アプリのインストールとログイン設定だけでOK。社外でも会社番号での発着信が可能です。

Q8. サーバーの管理や保守は必要ですか?
A. クラウドPBXではベンダー側がすべて対応するため、ユーザー側での物理管理や保守は不要です。

Q9. 社内システムとの連携はできますか?
A. 連携に対応していれば、CRMやチャットツール(例:Salesforce、Teams)との連携が可能です。

Q10. 契約後に拠点や内線を増やしたいときは?
A. クラウドPBXでは管理画面から数クリックで拠点追加や内線増設が可能。工事は不要です。

最後に:クラウドPBXにするか迷ったら、まずこれを!

ここまでお読みいただき、オンプレミスPBXとクラウドPBXの違いを具体的にイメージできたのではないでしょうか。最後に、要点を3行でまとめます。

  • コスト面では、初期費用を抑えられるクラウドに軍配

  • 運用・保守の手間を減らしたいならクラウドが優位

  • BCP対策や柔軟な働き方への対応力でもクラウドが勝る

とはいえ、最適な選択肢は企業ごとの状況によって変わります。まずは自社のニーズを整理し、その結果をもとに社内での提案や比較検討を始めてみてください。

クラウドPBXを具体的に検討したい方には、高音質・多機能・低コストで注目される「Zoom Phone」の詳細がわかる『Zoom Phoneサービス紹介資料』がおすすめです。導入タイプや料金、代表番号の共有・自動応答などの機能も網羅しており、社内提案資料としても活用いただけます。ぜひ以下より無料でダウンロードしてご覧ください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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