ノマドワークで世界を旅しながら働く夢を叶えるために実行した5ステップ

ノマドワークで世界を旅しながら働く夢を叶えるために実行した5ステップ

「場所を問わずに、どこでも仕事ができる」。いわゆる「ノマドワーク」「リモートワーク」を実践する日々が日常化して、今年で5年目になる。

仕事の中心は、フリーランスのライター・フォトグラファー。

人生で諦めたくない物事ベスト3の「書く・撮る・旅をする」ことを軸に、旅行ツアーやカレンダー、アパレル用品等の企画・開発からWeb上でのコミュニティ作りなど周辺事業を育てながら国内外を移動し続ける、というのが私・伊佐知美の日常のベースである。

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hatena-isa-01これまで訪れた場所は47都道府県・50カ国以上、ちなみに現在、固定の家はない

「この世界のどこにいても、仕事ができる」。この状態は、20代を通して私が目指した「理想の働き方」だった。

なぜなら、旅が本当に大好きだったから。

hatena-isa-02荷物は基本的に、32リットルのスーツケースとリュックだけ

一度は金融業界の総合職として就職したけど、毎日同じオフィス、同じ時間に、同じ電車に乗って出向くことに、どうしても違和感が拭えなかった。

「もっと広い世界を、自由に見たい」「だって人生は、きっと短いのだから」と巨大なオフィスビルの中でいつも思っていた。

今は、その昔に「移動しながら暮らす生活」を夢見ていた時よりずっと、「理想の自由」が手に入った気がしている。もちろんその逆で、失ったものもあったけれども。

この記事では、そんな私の「ノマド・リモートワークへの挑戦遍歴」みたいなことと、今の働き方で感じている正直な気持ちを書きたいなと思う。

<この記事における言葉の定義>
ノマドワーク:PC、Wi-Fi環境、電源等を駆使して、場所を問わずに働くこと
リモートワーク:どこかの企業・組織に所属しながらも、遠隔で仕事をすること
※私は企業に所属→フリーランスで独立、のルートを辿ったので、記事内では勤め人時代の遠隔仕事をリモートワーク、独立後の遠隔仕事をノマドワーク、というふうに使い分けています

リモートワークを実行するまでの5つのステップ

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今でこそ、海外にいながら仕事が問題なくできている私だが、もちろん最初からノマド・リモートワークが実行できていたわけではない。

以下の5つのステップを踏んで、現在のスタイルにたどり着いた。

【1】ジョブチェンジ(ライターとして生計が立てられるようになる)

当たり前の話だが、ノマド・リモートワークに向く仕事・向かない仕事が世の中にはあると思う。

当時の金融業界の仕事は、ノマド・リモートワークができる環境では全くなかったので(お客様の情報を守ることが第一義なので、当たり前である)、まずは「旅」と相性が良さそうな職業に就かなくてはならない。

どうせやるのであれば自分の憧れの仕事に就きたい。と考えて、まず浮かんだのがライターという仕事だった。

「書き物を仕事にする」ことは、実は旅と並ぶ憧れだった。幼い頃から本が大好きで、小学生の頃は図書館に住みたいな、と思っていた。

そして学生時代に、村上春樹さんがヨーロッパの島々を旅しながら小説を書く日々を記録した、紀行本『遠い太鼓』を読んで、「書き物をしながら世界を旅できたら最高だな」というイメージが固まった。

その後、世の中には「トラベルライター」という職業も存在するらしいと知って、できたら挑戦したい、と心の隅で思い続けていた。

だから26歳の時に、まずは金融業界から出版業界への転職を決意。ノマド・リモートワークの土台作りとして、まずは「手に職をつけ、ライターとして独り立ちする=お金が稼げる」状態を目指すことにした。

そこから独立するまでの話は、ちょっと今回のテーマから脱線しそうなので割愛するが、時間としては1年ほどかかったと記憶している。

周囲にとても助けてもらったし、時代にも背中を押してもらった(ウェブメディアが立ち上がる全盛期だったから、副業ライターでも採用してもらいやすかったのだ)。運が良かったと思う。

【2】週に一度の自宅勤務

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独立後、すぐに「世界一周しながら、ライターの仕事を続けようか」と考えたのだが、実際そうはしなかった。

出版社退職後は、ライターを志す中で出会った仲間が立ち上げた会社の、編集者・ライターとしてメディア運営に携わる道を選んだ。仲間と働くのが、楽しくなってしまったのだ。

その際、身分は「正社員」にしてもらった。だから、基本的にはオフィスに週5で通う必要があったのだが、自宅とオフィスの距離はドアツードアで片道1時間半、往復で3時間。

毎日オフィスに通う生活を試みたものの、次第に「3時間あったら原稿を1本仕上げられる……!」という切実な想いがふつふつと自分の中に募っていった。 なんというか、「オフィス出勤のために身支度(シャワー、ドライヤー、着替え、メイク、ヘアメイク)をして、出勤して退勤して帰宅したらまたシャワーを浴びて……(以下同)」というリズムが「盛大な無駄」だと当時の私には思えたのだ。

そんな私のわがままを代表に相談して、「週一の自宅勤務」を始めさせてもらうことにした。

ここに、「場所を問わずに自由に働く女・伊佐知美」の爆誕である(?)。

のちに考えれば、これは正しい。確かに3時間あれば、もっと仕事の時間が作れた。「平日の昼間に、近所をふらふらと歩ける幸せ」みたいな、新しい人生の魅力も知った。満員電車に乗らない日の幸福度たるや。

【3】国内の出張先で、月に一度のリモートワーク

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メディア運営を続けるうち、国内の取材仕事が増えてきた。ある週は徳島へ、翌週は北海道へ、その翌週は沖縄へ、というように。

「週に一度、自宅で」、とか言っている場合ではない。「外出先で仕事をしなければ、二進も三進もいかない」という割合差し迫った状況ができ上がってきた。

必要に迫られて、原稿仕事だけでなく、打ち合わせ等も出張先でこなす必要が出てきた。

「打ち合わせはリアルでするもの」という概念が、「appear.in」「ZOOM」等のミーティングツールを活用すれば、「オンラインでも問題ないやんけ」というふうに変化していったのである。

これらのツールはとても有能で、Wi-Fi環境さえあれば、参加者の場所を問わず、同時刻にWEB会議でミーティングがスムーズに実行できる。

もちろん、出勤できる日は可能な限り、オフィスで仲間と顔を突き合わせて打ち合わせたし、新規顧客の方とは「初回打ち合わせを必ず対面で行う」というルールを自分に敷いたので、全てをオンラインミーティング化したわけではない。

その他にも、日々のやりとりはLINEやメッセンジャー以外に、チームで情報や資料を効率的に共有できる「Slack」「Google Drive」等を駆使して、コミュニケーション不足をできるだけ避けられるように工夫していた。

とにかく日本国内を移動しまくっても、「意外と仕事に支障が出ない」という実感を得られたことは、大きかった。

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出典:Zoom公式ページ

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【4】海外旅行中にリモートワーク

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この頃から、リモートワークの可能性を信じ始め、少し調子に乗ってきた。

「日本国内で、PC・スマホ・Wi-Fi・電源、あとはオンラインミーティング用のイヤホンがあればリモートワークができるならば、海外でも当然できるのでは?」

私は、年に数回は必ず海外に行くと決めていた。その旅先で、まずは「いつもと同じ仕事ができるのか?」を試すようになっていた。

訪れたのは、例えばタイ、ベトナム、ハワイ、台湾など。観光地ばかりではあったが、比較的田舎だと言われるカンボジア・シェムリアップという街でも問題なく仕事ができたので、「これ、もっと遠い場所でもリモートワークができそうだぞ」と考え始めた。

もちろん、国全体で通信環境を提供していないキューバだったり、通信環境があるといっても「LINE」で画像を1枚送るのに30秒かかったりするミャンマーの辺境とか、モロッコの砂漠の真ん中とか、そういう場所だと仕事に支障は出やすかった。

でも、今や観光客がいるような場所であれば大体Wi-Fiが飛んでいるし、なんなら日本の方がWi-Fi整備環境は世界よりも遅れているように感じるくらいだ。

だから、期間や仕事内容を考えて調整すれば、世界旅行をしながらのリモートワークも、不可能ではない、と感じた。

【5】世界一周旅行をしながら、リモートワーク

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私がライターになった理由をもう一度よく思い返してみると、「旅をしながら、原稿を書いて暮らしたい」だった。

仲間と日本で働くのはとても楽しかったけれど、30歳を目前にして、わがままだけど、本来の自分の夢をもう一度追いかけてみる決意をした。

つまり、世界一周旅行に出ること。仕事をしながら、やってみる。数カ月以上にわたる、長期のノマドワークは初めての試みだったけれど、これまでの経験があったので、「多分大丈夫だろう」と楽観的に捉えた。できるだけ辺境の地には行かずに、通信環境が整っている場所を旅しようと決めた。

日本で共に働いていた仲間が応援してくれたから、時差がある海外でも、変わらずに仕事をさせてもらえた。本当に助けられた。一人だと、ちょっと難しかったと思う。

【6】おまけ:現在の私

1〜5の結果として、2019年現在の私のノマドワークを紹介したい。

hatena-isa-08台湾一周しながら(執筆・撮影)の仕事【10days】

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タイ・スリランカ周遊(純粋な旅)をしながらノマドワーク【2weeks】

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フィリピンで語学留学しながら執筆・撮影の仕事【2weeks】

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マルタ島で語学留学しながら執筆・撮影の仕事【3weeks】

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東京でのライティング講座(登壇)【1day】

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多拠点居住サービス「ADDress」アンバサダーとして日本各地の拠点で仮暮らしをしながら(執筆・撮影の仕事)【3weeks】

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イベントやプロダクト企画・制作、新しい事業の仕込みや打ち合わせなどを、日本国内や海外で行う【その他の全ての時間】

現在は、個人事業主として同じスタイルを続ける毎日だ。海外へは旅ではなく、仕事の出張として渡航することも増えている。というよりも、ほぼ全ての旅が仕事に紐づくようになった、といっても過言ではない。とても幸せな状況だと自覚している。

世界中、どこでも好きな場所に、好きな時に行ける。そしていつもと同じように働ける。そればかりか、「移動すること」によって、新しい仕事が得られる機会もある。

旅先が、新しいインスピレーションや新しい仕事を連れてきてくれることも珍しくない。とにかく自由で楽しいので「飽きない私」でいられる。これが私がリモートワークで得られたことの中で一番大きなものである。

いつまでこの暮らしが続けられるか分からないが、もう少し抱きしめて生きていきたいと思っている。

ノマドワークはいいことばっかりではない

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いいこと尽くめに思われるかもしれないが、リモート・ノマドワークでもデメリットはちゃんとあると思う。多分、以下だ。

  • 自分で自分を律するのが、想像以上に難しい
  • コワーキングオフィスなどを利用していたら別だが、ホテルの個室やカフェ、移動時間の合間に空港で仕事、など、そもそも仕事をする場所を見つけなくてはいけない
  • 一人で作業を進めることが多い場合、相談・雑談ができる人がいなくて寂しい
  • 職種によるが、PC、スマホ、Wi-Fi、電源等の「必須環境」には、結局縛られ続ける
  • 打ち合わせがオンラインになりがちなので、コミュニケーション不足が起こり、トラブルの原因になったりする
  • 基本移動しながらなので、必要最低限の荷物しか持っていけない

ノマドワークは自由で楽しいけれど、ひとつの場所に留まる働き方ではないから、「いつも通り」というリズムが作りづらい。その弊害が、起こりやすいのだ(当たり前である)。

あとは、「コミュニケーション不足が起こりやすい」という点も、大きな問題だ。

長らく一緒に働いてきて、その後、メンバーの一人がかつての私のように「旅をしながら働く」というワークスタイルを選ぶなら、まだ成り立つ。

けれど、「最近、一緒に働き始めたんだ」というような人と、日本と海外で遠く離れて、デジタルテキストを中心にやり取りをして……。たとえ動画・音声通話が駆使できたとしても、「会うことに勝るコミュニケーションが行えるかどうかは、怪しい。」と私は思う。

これらの解決策は、地味な上に地道だけれど、やっぱり「トライ&エラー」と「小さな成功体験の積み重ね」が効く気がしている。

まずは自分がリモートワークを週何度くらい実践したいのか、実践するならどの仕事が現実的に持ち帰れそうなのかを整理して、周囲に相談しながら、小さく遠隔仕事を実験してみる。

例えば私だったら、まずは週に一度の自宅勤務を実現したかったので、「自宅に持ち帰られる仕事」を原稿仕事に、「持ち帰られない仕事」に、みんなと顔を突き合わせて話し合いたい企画会議の仕事を置いた。

企画会議の仕事も究極的には遠隔でこなせる仕事ではあるのだが、いい企画を生み出したかったら、同じ時間を共有して、同じお茶を飲んで、「一緒に悩む」という行為が重要だと考えていたし、実際にそうだったと思う。

ポジティブな話し合いならまだいいのだが、「どうしてこの企画に違和感を感じるのか」とか、「なぜ別の意見を推すのか」など、ちょっとしたネガティブの感情を伝え合うのに、WEB会議はそこまで向いていないように当時の私は感じていた。

こんな感じで、まずは自分と周囲の環境が許す範囲で、リモートワークを始めてみる。いきなり仕事環境を180度変えることは誰にとっても難しい。段階を踏んで実践していくと、自分も周囲も無理なく働けるのではないだろうか、と私は思う。

この辺りのリスクヘッジというか、フォローアップは、リモートワークを希望する人が、事前によく考えておくべき事項な気がしている。できれば関わる人がみんな幸せな気持ちで、働くために。

それでも私は、ノマドワークを愛してる

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「これからもずっとノマドワークを続けるのか?」の問いについては、「人生の一部にずっと組み込んでいたい」気がしている。

というのも、世界中を転々とするのも楽しいのだが、「そろそろどこかに拠点を作り、腰を据えて作品作りに打ち込みたい」という気持ちが芽生えてきたからだ。人生で選び取りたいことは、どうやらライフステージによって変わっていくらしい。新しい大きな学びだ。

でも、ノマドワークを手放す気は毛頭ない。この働き方は、私の価値観と生き方を大きく変えてくれた。「会社には通わなければならない」「週5日でオフィスに通うのは当たり前」という「常識」を壊してくれた。

そして、旅先で出会った自由な人たちは、「人生は、もっと思い通りに描いていい」ということを教えてくれた。「移動すればするほど、新しいアイディアが湧いてくる」という実感と、「好きなことに打ち込んで生きることを、当たり前にする人たち」に出会い続けるうち、仕事は「与えられるもの」から「自分で作り出すもの」に変わっていった。

ノマドワークを選ぶ人生を選んだことについては、何も後悔がない。本当に選んでよかった。

振り返ってみると、私は「ノマドワークを一生したい」というよりも、「”ノマドワークが選べない人生”がつらかったんだな」「選択肢がない状況が嫌だったんだな」と今ならよく分かる。

「ノマド・リモートワークが絶対に正しい」とか言うつもりは、毛頭ない。でも、「ノマド・リモートワークができたらいいな」と感じる人にとって、チャレンジしてみる価値があるアクションであることは、確信してる。

もしちょっとでも興味があったら、一度挑戦してみてほしいなと思う。その一歩は、明日以降のあなたの暮らしを、少しずつでも変えてくれるかもしれないから。

編集:はてな編集部

伊佐 知美
著者情報伊佐 知美

1986年新潟県生まれ。横浜市立大学卒。三井住友VISAカード、講談社勤務を経てWaseiに入社。どうしても書き仕事がしたくて、1本500円の兼業ライターからキャリアを開始。これまで国内47都道府県・海外50カ国150都市ほどを旅する。「#旅と写真と文章と」「#EnglishChallenge」コミュニティ主宰。365日の小さな日めくりカレンダー「himekuri trip」を発売。
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