BDRとはどんな役割?新規顧客開拓を成功させるためのポイント

新規顧客の開拓は、企業の成長にとって欠かせない要素です。しかし、情報が溢れる現代において見込み顧客の発掘やアプローチ方法の確立は容易ではありません。

そこで重要なのが、新規顧客開拓を専門に行うBDR(Business Development Representative)の存在です。本記事では、BDRの具体的な役割や重要性、成果を上げるためのポイントについて解説します。

目次[ 非表示 ][ 表示 ]

BDRとは

BDR(Business Development Representative)とは、大手企業を中心に新規顧客の開拓を担うインサイドセールス組織です。

マーケティング部門が創出したリードや、ABM(Account Based Marketing)に基づくターゲット企業に対してアプローチを行い、関係を構築する役割があります。最終的には、見込み顧客とのコミュニケーションを通じて、商談の機会を得るのが目的です。

SDRとの違い

BDRと同じインサイドセールス組織にSDR(Sales Development Representative)がありますが、BDRとSDRでは、対象とする企業規模やアプローチ方法が異なります。

両者の違いは次の通りです。

項目

BDR

SDR

セールス対象

大企業中心

中小企業中心

セールスタイプ

新規開拓型

反響型

アプローチ方法

自社でターゲット企業を見つけ出し、電話やメール、SNSなどで関係を構築する(アウトバウンド)

自社に接触履歴のあるリードに対し、フォローアップや商談化に向けた情報提供などを行う(インバウンド)

業務の目的

ターゲット企業との関係構築と商談機会の創出

商談化に向けた既存リードの育成とフィールドセールスへの引き継ぎ

 

SDRとは?BDRとの違いと役割、成果を上げるポイントを解説

SDRについては、別記事「SDRとは?BDRとの違いと役割、成果を上げるポイントを解説」にて解説していますので、合わせてお読みください。

BDRの仕事内容・役割

BDRには、主に「ターゲティングとリサーチ」「初期アプローチ」「リードとの関係構築」という3つの役割があります。

①ターゲティングとリサーチ

BDRの業務は、アプローチをする相手を決めるところから始まります。このとき必要となるのが、ターゲティングとリサーチです。

ターゲティングの段階では、自社が提供する製品やサービスにマッチする潜在顧客を見つけます。具体的なペルソナを基に、業界や企業規模、売上高やビジネスモデルなどの基準を設け、ターゲット企業を選定することが重要です。

ターゲティングの次はリサーチの段階に移ります。ここでは、ターゲット企業や担当者に関する情報を調べ、意思決定者や課題を把握し、アプローチ方法をカスタマイズします。

例えば、直近のニュースや業界トレンド、競合他社などを調査して課題を特定し、それに対するソリューションを営業提案として活用できるでしょう。

②初期アプローチ

ターゲット企業との接触履歴がない状態で行うBDRの初期アプローチは、第一印象がその後の展開を左右します。そのため、慎重かつ戦略的なアプローチが求められるのが特徴です。

初回のアプローチとしては、メールや電話、ビジネス系SNSの活用、ダイレクトメールなどの方法が考えられます。どのチャネルを選ぶかは、業界やターゲット企業、意思決定者の好みによってさまざまなので、アプローチする企業ごとに手段は分ける必要があるでしょう。

また、初期アプローチの段階でパーソナライズされたメッセージを送ることも重要です。ターゲティングとリサーチで得た内容を反映し、相手のビジネス課題や関心に直結する内容を含めることで、興味を持ってもらえる可能性が出てきます。

③見込み顧客との関係構築

初期アプローチに対して、ターゲット企業から何らかの反応があったとしても、BDRがすぐに商談を提案するケースは多くありません。

BDRのターゲット企業は大規模であるがゆえ、話が進むのに時間がかかるからです。そのためBDRは長期的な関わりを視野に、まずは相手との良好な関係を構築する必要があります。

例えば、「興味はあるが、今すぐには決断できない」といった反応の場合、BDRは定期的なフォローアップを行います。

その際は、適切なタイミングで、毎回新しい価値や情報を提供することが大切です。自社の製品やサービスを売り込むというよりは、ターゲット企業にとって有益な情報を与えることによって、相手の信頼を獲得することが目指されます。

このように、BDRのアプローチは長期戦が前提です。しかし、地道な活動が契約につながった場合、大きな利益が期待できます。

BDRに必須のABM

ABM(Account Based Marketing)とは、特定の企業や重要な顧客に対し、細かくパーソナライズされたマーケティング・営業を行う手法です。

同じインサイドセールス組織であるSDRの場合、広く集めたリードの中から有望な見込み顧客を見つけ出します。一方のBDRは、ABMを用いて価値の高いターゲット企業を事前にリスト化し、カスタマイズされたアプローチを行うのが特徴です。

そのためABMは、特に大企業を対象としたB2Bビジネスに強みを発揮します。複数の決済者が関与していたり、複雑な購入プロセスを持っていたりする大企業に対し、個別のニーズに応じた提案を可能とするためです。

例えば、ABMを可能にするツールを活用すれば、ターゲット企業の絞り込みだけでなく、個別メッセージの作成や提供するコンテンツのカスタマイズを自動化できます。

さらに、マーケティング部門と連携してターゲット企業にあったキャンペーンなどを実施することで、営業活動の効率化も可能となるでしょう。

BDRが重視されている理由

BDRが重視される背景には、次のような市場環境の変化が影響しています。

  • SaaS市場の急拡大
  • デジタル時代の顧客行動の変化

それぞれ詳しく解説します。

SaaS市場の急拡大

SaaS(Software as a Service)とは、クラウド型のソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスです。従来のようなパッケージソフトを購入する必要がないため、初期費用が小さく、インターネット環境があれば場所を選ばず利用できる強みがあります。

テックタッチ株式会社のSaaSの活用実態に関する調査によると、大企業のSaaS導入率は74.7%まで拡大しており、コロナ前と比較して導入数が2倍以上になった企業の合計は64.1%でした。

こうしたSaaS市場の急拡大は、製品やサービスの提供企業にとって、初期導入時に大きく売上げを伸ばすことを困難にさせたともいえます。また、サブスクリプション形式の料金設定が一般的なSaaS市場では、頻繁な解約が長期的な利益を阻む要因となり得るでしょう。

これらのことから、ある程度の月額利用料と比較的長期の契約が見込まれる大企業を相手とするBDRの重要性が増しています。

デジタル時代の顧客行動の変化

もうひとつの理由は、顧客行動の変化です。デジタル化が進んだ現代では、製品やサービスの購入前に顧客が得られる情報が充実しており、最終的な意思決定までの間に営業担当者が介在しないケースも見られるようになりました。

このような中で効果的な営業活動を行うには、見込み顧客の先手を打つアプローチや、パーソナライズされた提案が重要です。

BDRはABMによりターゲット企業ごとのニーズや課題に合わせたソリューションを打ち出す専門組織であるため、競争の激しい現代ビジネスにおいて、不可欠な役割として期待されています。

BDRの成果を上げるためのポイント

BDRの成果を最大化し、ターゲット企業の信頼を得て商談化につなげるには、長期的な関係構築が鍵となります。そのためには、次のようなポイントを意識するとよいでしょう。

①LTVの高いターゲット企業を分析する

LTV(Life Time Value)とは、自社の製品やサービスを利用してもらう間に、もたらされる利益の総額です。ターゲティングの段階でLTVの高い顧客に共通する特徴や行動パターンを分析・特定できれば、BDRの限られたリソースをより確実性の高いリードに集中させられます。

②ターゲット企業のキーマンや決裁フローを把握する

ターゲット企業の意思決定者を見誤ったり、決済フローに理解不足があったりすると、商談化までのプロセスがスムーズに進みません。適切なタイミングで適切な人にアプローチできるよう、この点はしっかりしたリサーチが必要です。

③パーソナライズドコミュニケーションを実現する

現代の顧客は汎用的なアプローチには慣れているため、それに対する反応を期待するのは難しいといえます。BDRには、ターゲット企業に「自社の課題を理解してもらえている」と感じてもらえるような、カスタマイズ性の高いコミュニケーションが欠かせません。

④質の高いコンテンツを提供する

分析やコミュニケーションが優れていても、肝心のコンテンツが低品質では長期的な関係構築は困難です。自社のホワイトペーパーやWebセミナー、業界レポートなど、複数の形式のコンテンツを用意し、常にターゲット企業にとって有益な情報となるよう心がけましょう。

BDRの成果を上げるためのツール

BDRでは、自社に適したツールの導入によって業務を効率化することが重要です。ここでは、ABMに対応したツールを中心に紹介します。

Zoom Phone

blog_bdr_05

「Zoom Phone」は、米Zoom Video Communications発のクラウド型電話システムです。

自動で会話を録音し、ダッシュボードでパフォーマンスを確認できるなど、営業スキルの向上やセールスイネーブルメントに役立つ機能が搭載されています。

また、従来の電話システムをクラウド上に構築しているため、どこにいてもオフィスと変わらない音声通話が可能となります。これにより、SDRの業務がリモートワークでも実現できるのがポイントです。

例えば、在宅ワーク中でもオフィスの番号を使って見込み顧客とコミュニケーションが取れるので、場所を選ばない採用を促進できるでしょう。

Zoom Phoneの詳細は下記の製品カタログよりご覧ください。

DealPods

blog_bdr_03

「DealPods」は、株式会社マツリカが開発したB2B向けの営業支援ツールです。ターゲット企業ごとの営業戦略データ提供や、カスタマイズされたアプローチを実現し、ABMの効率化をサポートしてくれます。同社が提供するSDRツール「Mazrica Sales」との連携も可能です。

FORCAS

blog_bdr_04

「FORCAS」は、株式会社ユーザベースが提供するAMBツールです。既存取引先リストのアップロードにより自社が受注しやすい企業の特徴を自動分析、その後、FORCASの企業データベースの中からアプローチすべき企業を絞り込んでくれます。ターゲット企業の選定・分析が強みといえるでしょう。

uSonar

blog_bdr_01

「uSonar」は、ユーソナー株式会社のAMBツールです。B2B向けのリードジェネレーションを目的に、自社のWebサイトを訪問した企業情報を基にターゲット企業を可視化したり、アプローチ予定企業の情報をまとめて提示してくれます。一部、他社のツールとも連携可能です。

Sales Marker

blog_bdr_02

「Sales Marker」は、株式会社Sales Markerが提供する、ターゲット企業のリスト作成ができるツールです。大規模な企業データベースから、自社の条件(業種や売上高など)に基づいてターゲット企業とキーマンを絞り込み、相手に合わせたメッセージを作成してくれるなど、アプローチの効率化が可能です。

まとめ

BDRは競争の激しい現代ビジネスにおいて、新規顧客の開拓を担う重要な存在です。BDRの成果を最大化するには、ターゲットセグメントの分析やキーマンの把握、パーソナライズされたアプローチや高品質なコンテンツなど、幅広い情報が必要となります。

BDRを強化する際は、ターゲット企業の信頼を得て商談化までスムーズに進めるよう、自社に不足しているスキルやツールの検討から始めてみてはいかがでしょうか。

 

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

関連記事