フリーアドレスを導入するケースが増加中。再定義されるオフィスの役割と活用法

ライフワークバランスや働き方改革の推進により、さまざまなワークスタイルを受け入れよう、という動きがみられます。フレックスタイム制度や時短勤務を導入しても効率よく働けるオフィス作りは、企業の課題ともいえるでしょう。

そのような状況で、オフィスに固定席を設けず、作業内容や状況に応じて自由に着席する「フリーアドレス」というスタイルが普及してきました。

フリーアドレスは従業員のワークスタイルに合わせられるほか、リモートワークなどにより出社しない従業員の席の有効活用にもつながるため、企業側にもメリットがあるものです。

実際に、森ビル株式会社が東京23区に本社を構える企業を対象に行った調査では、フリーアドレスを採用する企業は3年連続増加していて、2021年には約32%にまで及んでいます。

本記事では、フリーアドレスの導入を検討している企業に向けて、概要やメリット・デメリットなどをくわしく解説します。

目次[ 非表示 ][ 表示 ]

フリーアドレスとは

フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、固定席を設けず従業員の好きな席で仕事をするワークスタイルのことです。1980年代に、日本で初めてフリーアドレスが導入されました。

フリーアドレスには、大きく分けて以下の3種類があります。

  • オープンスペース型
  • ABW
  • グループアドレス・チームアドレス

オープンスペース型は、開放的なオフィスレイアウトを採用したフリーアドレスです。パーテーションや仕切りをあまり設置しない開放感がある空間で、多くの従業員が広いフロアを共有で使用します。具体的には、コワーキングスペースのフリー席や図書館のようなレイアウトです。

ABWは「Activity Based Working」の略で、その日の予定や気分に合わせて働く場所や時間を自由に決められる働き方です。従業員が状況に応じた場所を自由に選べるように、オープンスペース・集中ブース・リフレッシュエリア・コミュニケーションスペースなど、多様な空間を用意します。ABWでは、オフィスだけでなく自宅やカフェも仕事場として認めるのが大きな特徴です。

グループアドレス・チームアドレスとは、部署やチーム単位でフリーアドレスを導入するスタイルのことです。部署やチームごとにフロアやスペースを割り当てて、その中で自由に席を選んで仕事をします。同じ企業内でもフリーアドレスに合う職種と合わない職種があるため、部署やチームを限定してフリーアドレスを導入する場合や、一部の部署で試験的に実施するときに適しています。

フリーアドレスの導入が広がっている背景

固定された「自分の席」で仕事をすることが当たり前という環境であったにもかかわらず、なぜフリーアドレスという新しい働き方が広まってきたのでしょうか。

その背景にはテレワークとABWの普及が影響しています。

テレワークの普及による出社率の低下とオフィスの有効活用

以前よりワークスタイルの多様化は進んでいましたが、新型コロナウイルス感染症の流行はさらにテレワークの普及を進めました。感染対策の一環として、毎日の出社を必須としない「テレワーク」や「ハイブリッドワーク」というスタイルを取り入れる企業はかなり増えています。

ザイマックス総研が実施した「大都市圏オフィス需要調査2022春①需要動向編」によると、2022年現在の平均的な出社率(実態)は100%(完全出社)が19.6%、出社率40%未満(週2日出社程度)と回答した企業が合わせて27.1%という結果になりました。

また、コロナ禍収束後についても実施頻度に差はありますが、75.9%の企業がテレワーク実施の意向を示しています。業種別にみると、情報通信業や金融・保険業における割合がとくに顕著です。

オフィスは、仕事をする場所ではなく、実際に顔を合わせるための場へと役割が変化しているといえます。オフィスで従業員全員がそろうことがなくなるのであれば、それぞれの座席を用意する必要はありません。

こういった状況で活躍するものがフリーアドレスです。フリーアドレスは、状況に応じて従業員自身が場所を選んで仕事ができるため、全員出社ではない企業では従業員全員分の座席を用意しなくて済みます。

フリーアドレスにより余ったスペースは、ミーティングスペースや休憩場所などとして活用すれば、オフィスをより有効活用できるでしょう。

ABWの普及

ABWは、先述の通り、働く時間と場所を自分で決めることができる自由度の高い働き方のことです。オランダ発祥のワークスタイルで、日本でも導入する企業が増えつつあります。以下はABW導入企業の一例です。

  • 株式会社イトーキ
  • 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
  • ダイキン工業株式会社
  • パナソニックホームズ株式会社
  • ハウス食品グループ本社株式会社

三井デザインテック株式会社が2019年に行った「Activity Based Working(ABW)に関する調査研究」によると、ABWは個人のパフォーマンスやクリエイティビティに良い影響を与えるという結果が示されています。さらに精神的ストレスを感じた際に、ABWなら労働環境を自分が働きやすいように選択できるため、業務に影響が生じにくいことが分かっています。ABWは出社も自由になるため、オフィスに出社する人の数は減ります。また、そのときどきで出社するメンバーも変化するため、ABWを導入している企業ではオフィスをフリーアドレス化するケースが多いでしょう。

働き方の自由化が進み出社を必須としない企業が増える昨今、オフィスの在り方としてフリーアドレスを導入することは、検討すべき取り組みの1つになってきています。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレスを導入し、座席を自由に選べるようにすると、オフィスの有効活用以外にもさまざまなメリットを得られます。ここでは、フリーアドレスが企業にもたらすメリットについて解説します。

従業員満足度の向上

フリーアドレスを導入すると、従業員それぞれが好きな席で仕事に取り組めるようになり、従業員満足度の向上が期待できます。CBRE社の「オフィス利用に関するテナント意識調査2019」によると、ABWを導入した企業の71%がABWの効果として「従業員の満足度向上」を挙げています。

例えば、「少し騒がしい場所のほうが集中できる」という人もいれば、「人が近くにいると集中できない」という人もいるでしょう。フリーアドレスなら、ひとそれぞれの事情に合った席が選べるため、その人に合った空間を提供可能です。

また、「会議が始まるまで上司の近くの席で事前確認しながら仕事をして、会議後は作業のために集中スペースに行く」など、仕事内容に応じて柔軟に席を変えられるのも特徴です。

一方、固定席ではその人の事情やスケジュールに関わらず、基本的に同じ場所で仕事をしなければなりません。人によっては集中しづらいと感じている可能性もあるでしょう。フリーアドレスの導入によって、固定席に不満を抱える従業員も働きやすくなるため、従業員満足度の向上につながります。

従業員数の変更や組織の変更などへ対応がしやすい

フリーアドレスは固定席でないため、従業員の異動や人数増減による座席配置決めは必要なくなります。そのため、座席を管理する総務の業務負担を軽減できます。

また、固定席の場合、従業員の異動や入社など「人の移動」があるときは席の移動が必要になりますが、フリーアドレスではその手間はかかりません。

従業員の移動が多い年度末や、入社の多い年度始めなど忙しい時期の席移動が必要なくなるため、企業の負担軽減につながり、さまざまな変化に対応しやすくなるでしょう。

部署を超えたコミュニケーションの促進

固定席の場合は、同じ部署やチームで固まるため、チーム以外の人とコミュニケーションをとる機会は多くはありません。すぐに相談しやすい環境である一方、新たな人と関わる機会が減ってしまうという点も事実です。

しかし、フリーアドレスでは固定席を設けず自由席になるため、基本的に毎日隣に座る人は変わります。近くの席に座る人が日々変化することにより、多くの人とコミュニケーションの機会が増え、会社全体の結束力の強化が期待できます。実際に、先ほど紹介した「オフィス利用に関するテナント意識調査2019」では、ABWを導入した企業の64%が「コラボレーションの促進」を導入後の効果として挙げました。

また、日々異なる環境で仕事をすることによって新たなインスピレーションが生まれやすくなる、部署内で話しにくいことを相談できる機会ができる、といったことにもつながるでしょう。

オフィスの有効活用・固定費の削減

固定席の場合、出社人数が減り空席が多くなっても、社員全員が出社できるスペースが必要となります。しかし、フリーアドレスにすれば社員全員分の座席は必要ありません。

テレワークを導入している企業であれば、出社率に合わせて座席を用意すればよいため、おのずとフリーアドレス導入前と比べ余剰スペースができるはずです。そのスペースをミーティングスペースや休憩スペース、新しい機器の導入場所にすれば、オフィスを有効活用できるでしょう。

もしくは、より小さい面積のオフィスに移転すれば、光熱費や家賃などの固定削減も可能です。移転のための費用はかかりますが、長期的にみればコスト削減につながります。先述の調査でも、導入後の効果として「顧客の満足度向上」と「コラボレーションの促進」に次いで多かったのが、「コスト削減」でした。ABW導入企業の57%が、コスト削減効果を実感しています。

ハラスメントの防止

日本のハラスメント問題は深刻で、パワハラ・セクハラ・マタハラなどさまざまなハラスメントが存在します。令和3年に厚生労働省が公表した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」では、過去3年間にパワハラについて相談があったと回答した企業が48.2%、セクハラについて相談があったと回答した企業が29.8%に上りました。

昔も今も離職の理由には人間関係が多いのですが、最近は売り手市場ということもあり、あまり我慢せず辞める若い社員が多く企業の重大な課題となっています。

ハラスメントは閉鎖された空間で起こりがちですが、フリーアドレスは他部署の人たちの目があるためハラスメントをしにくい環境です。また、自由に席を選べるためハラスメントする相手と距離を置くことができます。フリーアドレスを導入し解放的なレイアウトにすることは職場風土の改善につながり、結果的にメンタルヘルス不調の防止にもなるでしょう。

フリーアドレスへの移行は単なるレイアウトの変更ではなく、フラットな組織風土の醸成、業務の効率化、情報の共有化、職場環境の改善などさまざまな副次的なメリットが期待できるのです。

一方、フリーアドレスを実際に導入してうまくいかなかったという意見や懸念されている点も出ています。以下にフリーアドレスのデメリットや運用上起きやすい問題をご紹介します。

フリーアドレスのデメリット

メリットが多く魅力的なフリーアドレスですが、導入の際には考えておきたいデメリットもあります。デメリットを知らずに導入するとトラブルの原因になるため、フリーアドレスのデメリットも事前にしっかりと把握しておきましょう。

チーム内のコミュニケーションが難しくなる

フリーアドレスは頻繁に席が入れ替わるため、コンタクトを取りたい相手を探す手間がかかります。コクヨが実施したアンケートによると、フリーアドレス経験者が感じる課題として「話したい人を探すのに時間がかかる」との回答が29.1%にのぼりました。

他部署とのコミュニケーション促進は期待できますが、反対に部署やチーム内の会話がしにくくなるのがデメリットです。すでにチームワークが確立された部署であれば、対面頻度が低くてもスムーズな業務遂行が可能なケースもあるでしょう。しかし、新たに立ち上げたプロジェクトや複数の新人が入った部署など、まだ十分に関係性が出来上がっていないチームでは、コミュニケーション不足によって業務が滞る可能性があります。

特に新入社員は、同じチームの先輩や上司が近くにいないと、ちょっとした相談も気軽にできなくなるでしょう。フリーアドレスであっても、経験豊富な同チームのメンバーにすぐに声をかけられる環境を作るようにし、トラブル回避や問題の早期対応に努めなければなりません。

マネジメント・育成が難しくなる

前述したように、チーム内のメンバーや上司がつねに近くにいるとは限らないため、個人への指導が難しくなります。上司は部下の健康状態やトラブルの有無などに気がつきにくくなり、全体の状況を把握できないという課題も挙げられるでしょう。

反対に部下による上司への報告・相談がしづらくなることで、生産性や業務効率の低下も懸念されます。先輩や上司の仕事を直接目にする機会も減るため、人材育成の妨げになる可能性も捨てきれません。

解決策としてはマネジメントの見直しを図ることはもちろんですが、定期的にミーティングを行う、座席・位置情報管理システムやコミュニケーションツールを導入するといった対策が必要です。

集中力が落ちる

座席のレイアウトによっては集中力の低下が考えられます。フリーアドレスはそのときの気分や業務内容で異動できる点がメリットですが、共用スペースでは周囲の会話が気になり作業に集中できない場合もあるでしょう。仕切りのないオープンオフィスには弊害が多いという実験結果も出ています。

オープンすぎる空間、あるいはメンバーとの距離が近いことにストレスを感じる人もいるかもしれません。結果的に業務効率が下がり、フリーアドレス自体が失敗する可能性もあります。

経済産業省が公表した「ワークスタイル変革モデル事業調査」でも「半オープンの会議室と個室会議室では、個室会議室のほうが集中度が高い」とする結果が出ました。すべてをオープンスペースにするのではなく、集中できる個室空間も用意したほうがよいでしょう。電話や私語禁止エリアの設置も有効です。

いつのまにか席が固定してしまう

フリーアドレスのはずがいつも同じ席を利用する、メンバーが同じ場所に集まってしまうといった課題もみられます。これではフリーアドレスのメリットが活かせず、導入した意味がありません。

共有席を私物化されてしまえば従来の固定席と何ら変わりがなくなってしまいます。席の固定化を防ぐために、次のような対処方法があります。

  • ルーレットやくじ引きでその日の席を決める
  • 1週間ごとにエリアを変える
  • 3時間以上離席するときは席を変える
  • 自動的に座席を決めるシステムを導入する

上記のように運用方法を変更するだけで、座席の固定化を防げます。

個人の荷物や持ち物を置けなくなる

固定席では引き出しに書類を入れたり机上に文房具を置いたりと、自分の使いやすいように使用できますが、フリーアドレスは自分の席に持ち物を置いておけません。私物を置いておくロッカーや共通の収納場所を用意するなど、自席にものを置かなくてもオフィスが整理整頓できるように工夫しましょう。

ただし、個人で持っていなければならない書類や道具などが多い場合は、毎回荷物を持って移動しなければならないため従業員の負担は増加する、という点にも注意が必要です。

フリーアドレス導入にあたってのポイント

フリーアドレス導入にあたってのポイント

フリーアドレスは導入決定後、すぐに導入できるものではありません。トラブルなくスムーズにフリーアドレスを導入するために、把握しておくべきポイントについて解説します。

社内調査を実施する

フリーアドレス導入の最初のステップは、従業員にオフィスについての希望を調査することです。

単に「フリーアドレスを導入する」と説明するだけでは、従業員それぞれが違ったイメージを持つ可能性があります。導入予定のフリーアドレスがどのようなものなのか明示したうえで、従業員からの反応や希望を把握するための社内調査を実施しましょう。

また、実際にどの程度固定席が使われているかなど、各部署の在席率を把握することも必要です。

導入の目的を明確にし、従業員へ通知する

導入前に、フリーアドレスについてしっかりと周知し、従業員に具体的な目的をしっかり理解してもらうようにしましょう。

フリーアドレスの説明が不十分だと、自分の席がなくなるということを不安に思ってしまう人、席を私物化してしまう人、毎回同じメンバーで座ってしまう人が出るおそれがあります。

そういったことを防ぐためには、「部署以外のコミュニケーションの強化」「オフィスの有効活用化」「固定費削減」など導入目的も事前に提示し、会社側の意図をしっかりと示すことが大切です。

そのほか、具体的な導入方法やスケジュールなども事前に共有しておけば、大きなトラブルを予防できるでしょう。

フリーアドレスの対象を決める

フリーアドレスはどの部署でも向いているものではないため、全社そろってフリーアドレスにする必要はありません。たとえば、外出が多い「営業」や会議が多い「企画」などは、外出が多く自席に荷物を置く必要がなく、フリーアドレスが向いています。

一方、自席から離れることが少ない「総務」「人事」は固定席の方が効率的なこともあり、フリーアドレス対象外にしたほうが問題が起きません。

このように、社内全体で統一する必要はなく、フリーアドレスを導入したほうがプラスにはたらく部署にしぼって導入するとよいでしょう。

運用のルールを決める

冒頭で紹介したとおり、フリーアドレスにはオープンスペース型・ABW・グループアドレスといった種類があります。部署やチームの業務内容によって適したフリーアドレスの種類が変わってくるため、状況に応じて適切な運用ルールを決めることが大切です。

はじめに実施した社内調査の結果を参考に、実態に即した運用ルールを決めましょう。従業員へ個別にヒアリングするのも有効です。運用ルールが部署の働き方に合っていないと、フリーアドレスが十分に活用されなかったり、従業員からクレームが出たりするおそれがあるため注意してください。

ペーパーレス化を進める

フリーアドレスに移行するためには資料のペーパーレス化が必要です。それまでデスクに保管していた資料の類をすべてロッカーに保管できる量に減らす必要があります。

近年はペーパーレス化のためのITツールが増えているため、法律などで保存が定められているもの以外の資料については、なるべく電子化して紙の処分を進めましょう。

申請や承認業務もクラウド化すると合理的です。例えば稟議書を印刷して押印し、承認をもらうために回覧するというプロセスはコストも時間もかかります。フリーアドレスへの移行をきっかけにペーパーレスを推進すれば、業務合理化も同時に進められます。

ツール例:ジョブカンワークフロー

サービス提供会社:株式会社Donuts

特徴:社内のあらゆる申請書に対応するワークフローシステム。テンプレートの書類は50種類以上でカスタマイズも可能。スマートフォンからも操作可能で、30日間の無料お試しがあります。

コミュニケーションやツールのクラウド化

社内のどこにいても仕事ができるようにするためには、まず社内に無線LAN環境を整備する必要があります。また、コミュニケーションのクラウド化も必要です。連絡手段を固定電話からスマートフォンにしたり、ビジネスチャットやWeb会議システムなどを活用し、社員とクラウド上でいつでもコミュニケーションがとれる状態にしておくことがポイントです。

設備やレイアウトを変更する

フリーアドレスは作業スペースの座席数や配置など、従来の固定席とは異なります。そのため、フリーアドレスに適しているようにオフィスのレイアウトを変える必要があります。

席の数や配置はもちろん、荷物を置くロッカーの配置やミーティングルーム、動線などさまざまな視点から働きやすいレイアウトを考えましょう。

フリーアドレスに役立つツール・サービス

フリーアドレスは、コミュニケーションの活性化として役立つものですが、ただ単に導入しても、従業員のマネジメントに失敗したり、結局座席が固定化するようなことも起こりかねません。そこで、フリーアドレス導入成功に役立つツールやサービスを紹介します。

座席・位置情報管理システム

座席・位置情報管理システムは、フリーアドレスオフィスで座席管理を行うシステムです。サービスにもよりますが、おもに次のような機能が装備されています。

  • オフィスマップや座席表でメンバーの所在・空席を可視化
  • 座席・会議室の予約機能
  • 出退勤管理機能
  • メンバー検索機能

フリーアドレスはメンバーの出社状況および所在が把握しにくく、部署内におけるコミュニケーション不足になりやすいと前述しました。

そこで、座席・位置情報管理システムを導入すれば、メンバーの位置情報を共有でき、座席の利用状況も分かるためメンバーや空席を探す時間の削減に役立つでしょう。出社状況も確認できることから勤怠管理にも有効です。

位置情報の把握には、無線LANを使用してパソコンやスマホなどのMACアドレスを取得するタイプや、Bluetoothの電波を発信する小型機械「ビーコン」の所持などがあります。座席予約・管理機能が搭載されているものなら、グループで利用したい場合にもスムーズなミーティングが可能です。

個室ブース

フリーアドレスの成功には、メリハリのあるオフィスづくりが大切です。リラックスできる空間とパーソナルスペースの確保はどちらも欠かせない要素です。共有スペースなどオープンな空間で作業が難しいときのために個室ブースを設置しましょう。

個室ブースとは仕事環境が整えられた個室空間のことです。

個室ブース内であれば周囲の視線を遮断できるため、自分だけの空間で集中して仕事ができます。周囲の音を拾いたくないWeb会議の際にもおすすめです。個室ブースの設計は完全な個室タイプや扉がない半個室タイプなどさまざま。

例えば、テレキューブは「居住性」「防音性」「消防対応」の3つを兼ね備えた、設置台数シェア1位の個室ブースです。オフィス家具メーカーオカムラ製の高い居住性を誇り、1人用・2人用・4人用など用途に応じた広さを選択できます。

自社の広さやレイアウト、業務内容などを考慮して検討するとよいでしょう。

個人用ロッカー

フリーアドレスでは個人の荷物や持ち物をデスクに置いておけないため、帰宅時に片付ける必要があります。そのため、ノートパソコン・個人の書類・文房具などを収納するための個人用ロッカーが必要です。十分な荷物が入る収納力も大切ですが、セキュリティ面を考慮して施錠可能なものを選びましょう。

また、個人用ロッカーにはメール投函口があると郵便物の配布時にも役立ちます。そのほか、ノートパソコンや電源ケーブル、ペン類、書類などをデスクまで持ち運べるバッグやケースを支給すると移動時に便利でしょう。

PCモニターの設置

各デスク上にPCモニターの設置を検討しましょう。フリーアドレスの場合、ノートパソコンの利用が一般的です。手軽に持ち運べるため席の移動も簡単なのですが、モニターが小さく作業効率が低下する可能性もあります。

そこで、各デスク上にある程度の大きさのPCモニターを設定しておけば、ノートパソコンと接続するだけで大きな画面上で作業ができるようになります。ノートパソコンと併用することで、デュアルモニターとしても利用可能で、作業効率の向上にもつながるでしょう。

まとめ

固定席を設けない「フリーアドレス」を検討する企業が増えている背景には、リモートワークの増加など働き方の変化が大きく関わっています。フリーアドレスを導入して座席を減らせれば、オフィス縮小により固定費を削減できる、従業員同士の垣根を超えたつながりも期待ができる、といったメリットもあります。

ただし、フリーアドレス導入を検討する際はデメリットも把握し、本当にフリーアドレスが必要かどうかしっかりと検討することが大切です。

上手にフリーアドレスを取り入れ、従業員の満足度や生産性の向上につとめましょう。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

関連記事