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2017年10月よりIT重説の運用が始まりましたが、「難しそう」「手間がかりそう」というイメージをもつ人もいるのではないでしょうか。しかし実際のところ、IT重説の導入は難しくありません。

 

この記事ではIT重説のやり方や必要な用意を、そのメリット・デメリットとあわせて解説します。

IT重説とは

そもそもIT重説と一体何でしょうか。はじめに、その背景とともに簡単に解説します。

 

IT重説とは、ITを用いた賃貸借契約における重要事項説明のことです。つい最近まで、賃貸借契約の重要事項説明は対面で行わなければならないと定められていましたが、IT化の流れを受け、非対面での重説も認められるようになったのです。以下にその経緯を解説します。

 

まず2013年6月に政府がIT化を推進すべく、対面・書面交付が前提とされているサービスや手続きのIT化に取り組むため「世界最先端IT国家創造宣言」を出しました。

 

これを受け同年10月「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」が策定され、ITを活用した非対面による重要事項説明について、具体的な対応策の検討を開始。

 

その後、2015年8月から2017年1月の約2年にわたり国土交通省で社会実験が1071件実施され、2017年10月からIT重説が本格的に開始されました。

 

IT重説では、対面での重要事項説明と同様に質疑応答がおこなえる環境が整っている場合、テレビやパソコンなどの端末を利用して、直接顔を合わせることなく重要事項説明ができます。

 

ただし、2019年10月現在、IT重説の対象は賃貸借契約に関する取引だけです。くわえて対面の重説と同様に、宅地建物取引士が賃借人に対し重要事項説明書を事前に交付することが必要となります。

IT重説のメリット・デメリット

そんなIT重説ですが、導入によって具体的には何がどのように変わるのでしょうか。気になる方も多いと思いますので、ここからはIT重説のメリットとデメリットを紹介していきます。

IT重説のメリット

まずはメリットとしては、業務効率化や利便性の向上などネットを用いた方式ならではの利点が挙げられます。

メリット1:移動時間が不要

一番のメリットは、移動の必要がなくなることです。従来は対面での説明が義務付けられていたので、どんなに遠くても、宅建士や顧客が現地まで赴く必要がありました。それゆえ時間がかかってしまい、効率が悪かったのです。

 

一方でIT重説はネット環境さえあれば、お互いどこにいてもおこなうことができます。移動にかかる時間や手間が省け、効率的に業務を進めることが可能になったわけです。

 

そしてこれは契約者にとってもメリットです。たとえば高齢者や体が不自由な方の場合、来店が難しいことがあります。対面の重説では、事情にかかわらず店舗まで実際に足を運ばなければならないため、契約者にとって負担になります。

 

国土交通省が実施した調査でも、IT重説が便利であると感じた点について「店舗を訪問する必要がない点」が84.9%という結果が出ました。


IT重説が便利又は不便であると感じた点

 

(画像引用元:国土交通省「IT重説実施直後のアンケート結果」

 

時間はもちろん、遠隔地の場合交通費だって馬鹿になりません。たとえば大阪から東京へ新幹線で移動する場合、指定席だと往復で30,000円弱の支出です。その負担が無くなるのは顧客にとって大きなメリットと言えるでしょう。

 

IT重説なら移動が不要なので、スムーズに契約を進められるのです。

メリット2:重説で契約者に伝えた情報を正確に残せる

また「重説で契約者に伝えた情報を正確に残せる」点も大きなメリットです。通常の重説では、説明の内容は記録されません。

 

そのため例えば入居者が契約違反を犯した場合に、「契約説明の際そんな話は聞かされていない、知らされていない」と主張してきても、説明した証拠がないので、どうしても言った言わないの水掛け論になってしまいます。

 

その点、すべてのやりとりをデータとして保存できるIT重説ならば、いつ、誰が、どのような内容を説明したのかを履歴から証明することが可能です。

メリット3:利便性の向上による集客効果

加えて「利便性の向上による集客効果」も見込めます。これまで賃貸契約において大きな障壁となっていたのが、面談の日程調整です。店舗に赴かなければならないとなれば、忙しい勤め人は仕事の都合がつかず、時間が取れないことも考えられます。

 

すると、日程調整がスムーズにいかず取引に時間がかかってしまいます。従来の重説では、顧客としてもこうした煩わしさがあったわけです。それがIT重説は、インターネット環境があれば時間・場所問わずおこなえます。顧客の利便性を高めることに繋がり、結果として集客効果も期待できるのです。

 

実際にIT重説の今後の利用意向についてのアンケートによると、「利用したい」と答えた人が53.1%、「どちらでもない」と答えた人が40.9%という結果が出ました。つまり、IT重説を導入している方が集客効果が表れる可能性が高いということになります。

 

IT重説_今後の利用意向-1

 

(画像引用元:国土交通省

 

また、「利用したい」と答えた理由についてのアンケート(複数回答)では、「店舗に出向く負担がなくなるから」と感じた人は94.2%と一番多く、移動削減のメリットが顧客にとって大きいことがわかりました。

 

次いで、先ほどメリット2で紹介した録画に関しても「やりとりが録音・録画されるから」と回答している人が15.0%存在するため、安心・安全の面でも顧客にメリットがあることがわかります。

 

IT重説を利用したいとした理由-1

 

(画像引用元:国土交通省

IT重説のデメリット

もちろんIT重説はメリットばかりではありません。手間や通信障害リスクといったデメリットも存在します。ここからはIT重説にどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

デメリット1:ITツール導入の手間

まずは、ITツール導入の手間がかること。IT重説にはテレビ電話やパソコン、タブレット端末といったIT通信機器を用います。対面しながら会話できるアプリケーションも必要です。仮にこのようなITツールを所持していない場合、導入の手間はデメリットといえるかもしれません。

 

また、ITツールが必要なのはIT重説を受ける顧客も同様です。顧客がITツールに使い慣れていない場合は、デメリットに転じてしまう可能性もあります。

 

IT重説が不便であると感じた点

 

(画像引用元:国土交通省

 

ただ2019年現在では、こうしたIT通信機器は導入済みの企業がほとんどでしょうし、アプリケーションのインストールも簡単です。そして、スマートフォンの普及も一般化していますので、導入については大きなデメリットではないでしょう。

 

デメリット2:通信環境の影響を受ける

その他のデメリットとしては、通信環境が悪い時のコミュニケーション障害のリスクが挙げられます。というのもIT重説はインターネットに依存する方式なので、環境によっては通信が不安定になってしまう危険があるわけです。

 

日本ではおおむね全国各地に電波が通っているものの、山間部など一部地域にはいまだに電波が悪い場所もあります。もし会話が途切れ途切れになってしまうと、IT重説は円滑に進みません。しかし、最初に説明した社会実験でも大きな問題は起きていないので、過度に心配する必要はないでしょう。

IT重説のやり方

「そうはいっても、IT重説ってなんだか複雑でややこしそう…。」そんな風に感じ、なかなか導入に踏み出せない企業もあるかもしれません。

 

けれども実際にはIT重説はややこしいものではなく、対面での重説と違うのは会議システムやそれに伴う準備が必要な点だけです。以下ではIT重説のやり方について解説します。

1、接続テスト

まずは、接続テストです。音声が切れることはないか、画面は固まらないかといった通信状態を確認します。事前にIT重説に必要な(後述)が整っているかも確認しておくことも必要です。

2、書類一式を契約者に送付

契約者へ書類一式(重要事項説明書・賃貸借契約書・進行表など)を郵送またはEメールで送付します。契約者の方に事前確認をして頂くためにIT重説実施日の前日までに届くように送りましょう。

3、IT重説を行う

書類を送付したら、次はIT重説の実施です。宅建士の取引者証を画面越しに提示し、登録番号を確認してもらい、重説に入ります。

4、契約者が書類を返送

IT重説終了後契約者が、不動産会社へ契約書類一式および必要書類を返送します。

5、鍵の引き渡し

契約開始日もしくはその前日までに鍵を渡します。

 

以上、5ステップでIT重説は完了です。

IT重説に必要な環境準備

ここまでの解説で、IT重説のメリットやデメリット、IT重説の実施日までの流れをお分かりいただけたかと思います。IT重説を実施するためには、準備しなければならないものがいくつかあります。本項ではIT重説に必要な環境準備について見ていきましょう。

ネットワーク環境

いわずもがなIT重説には、ネットワーク環境が必要です。ここで注意したいのは、有線回線など十分な速度の回線のネット環境で利用すること。通信速度が遅いと、重説の際コミュニケーションに支障が出る恐れがあるからです。

 

またIT重説ではWeb会議やビデオ通話をすることになるため、通信量がかかります。特に携帯電話回線を利用するケースなどは通信料金がかさむ可能性が高いので、注意が必要です。どうしても携帯電話回線を使わなければならない場合は、Wi-Fi環境でおこなうとよいでしょう。

Web会議システム

IT重説をするためのWeb会議システムの用意も必要です。Web会議システムには無料ものから有料のものまでいろいろあります。以下に、代表的なWeb会議システムを紹介します。

1、無料で使えるSkype

Skype

 

(画像引用元:Skype

 

Skype」はMicrosoft社が提供する、いわずと知れたインターネット電話サービスです。基本的には無料で利用できます。けれども莫大なユーザー数を有するSkypeはその分、ハッキングやクラッキングの対象となるリスクも。

 

また一対一でのやりとりでは比較的安定した通信が可能ですが、複数ユーザーが参加すると画質・音質ともに低下することがあります。

 

なおSkypeには法人向けサービス「Skype for Business」があります。Skype for Businessなら、内容の暗号化など複数の要素で情報を保護してくれるので、セキュリティ面も安心です。月額2$(ユーザー1人あたり)から利用できます。

2、簡単操作で使う人を選ばないconnect live

connect live

 

(画像引用元:楽天コミュニケーションズ株式会社

 

connect live」は楽天コミュニケーションズが展開するWeb会議サービスです。Internet ExplorerやChrome、FirefoxなどのブラウザからURLをクリックするだけでWebサイトを閲覧するように会議ができます。ソフトウェアのインストールや複雑な事前設定も不要なので、ITスキルが低い人でも簡単に使うことが可能です。料金は月額1,950円~(主催者1ユーザーあたり)となっています。

3、導入から運用までサポートも!導入実績5000社のV-CUBE ミーティング

V-CUBE ミーティング

 

(画像引用元:株式会社ブイキューブ

 

V-CUBE ミーティング」は株式会社ブイキューブが手掛けるWeb会議サービスです。シンプルなインターフェースが特徴で、導入実績は5000社以上。事前設定も要らず、クリック一つでWeb会議ができるのでITに慣れていない人でも容易に使えます。

 

V-CUBE ミーティングはWeb会議市場で12年連続シェアNo.1を獲得していて、導入から運用まで、24時間365日体制のフォローを受けられるのも特徴です。

 

その他、専用の国際データセンター間ネットワークを保有しているため、安定した映像・音声でのWeb会議が可能です。こうした先進的なシステムが評価され、株式会社ブイキューブは総務省「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」に選出されています。

まとめ

IT重説と聞くと非常に難しく手間がかかるように思えるかもしれません。しかし実際には5ステップで実施可能で、決して難しいものではありません。これからの時代、移動の手間が省けるIT重説が主流になる可能性が高いので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。