営業活動を効率化!社内会議や報告、再訪問、移動時間のムダを改善する方法とは?
「商談以外の仕事に時間がかかってしまう」「営業チーム全体の生産性が思うように上がらない」
このような課題を抱えながら、チームの営業活動を効率化したいと考えている営業企画や営業の管理職の方もいるでしょう。
営業チームは企業の売上を支える大事な部門。営業活動において少しでもムダをなくし、生産性の高い仕事をして結果を残していくには、営業活動のうちどこにムダが発生しているのかを把握して対処していくことが必要です。
本記事では、営業活動においてムダが発生しているポイント、それぞれの効率を高める対策を紹介していきます。今回はアンケート調査でムダだと回答された上位4項目「社内会議」「社内報告業務」「再訪問」「商談の移動時間」に着目します。
目次[ 非表示 ][ 表示 ]
営業活動の効率化の必要性
営業チームは、自社の商品・サービスを提案・販売し、企業に利益をもたらす重要な役割を担っています。顧客と良好な関係性を築きながら売上を上げることが求められている、ということです。
そのため、営業活動を効率化し、企業の売上や利益、生産性などを向上させることは不可欠。特に営業活動において重要な業務である、顧客との商談以外の仕事を効率化し、生産性向上を行っていくことが必要です。
顧客への提案活動や商談にリソースを割けるようにするためにも、資料作成やメール対応、見積作成といった付随する業務の無駄はできる限り減らすことが重要といえます。
また、これらの業務をITシステムを活用して効率化する動きが広まりつつあります。経済産業省でも、各企業の競争力維持・強化のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドラインを作成し、積極的にITシステムを活用した業務効率化を推進しています。
営業活動においては、資料作成やメール対応、見積作成といった業務の一部を、ITシステムを活用して行うことで、本質的な提案活動にリソースを増やすことができるようになります。しかし、政府が推進する「働き方改革」や「生産性向上」に向けて、非効率な業務の改善は進んでいないのが現状です。
「働く時間の25.5%はムダ」と営業担当者が回答
では、企業の売上を支える営業チームは、現状どこに課題を持っているのでしょうか。営業活動の効率化を進めていく上で、営業担当者が何に非効率を感じているのかを把握しておきましょう。
営業活動でムダだと感じるランキングの上位4項目は?
HubSpot Japan株式会社が2019年に行った「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、日本の営業担当者は働く時間の25.5%を「ムダ」であると回答しています。この「ムダな時間」を金額換算すると、年間で約8,300億円もの経済損失を生んでいると言われています。
出典:Hubspot Japan株式会社「日本の営業に関する意識・実態調査」
具体的な営業の業務の中では、以下のような業務にムダを感じているようです。
1位 社内会議(33.9%)
2位 社内報告業務(32.4%)
3位 キーパーソンとの面会ができず再訪問(26.6%)
4位 日々の商談の移動時間(24%)
1位と2位は社内での報告・情報共有に関する業務、3位と4位は営業活動における移動に関するものでした。これらの業務を効率化できれば、営業チームの生産性は向上すると言えそうです。
ここからは、1位から4位の課題「社内会議」「社内報告業務」「再訪問」「商談の移動時間」に対して、どのように対処し効率化を図っていけばよいのか、考えていきましょう。
営業の「社内会議」を効率化するには
まずはじめに、営業チーム内での情報共有を行う「社内会議」を効率化するには、何から着手すればよいのでしょうか。
なんとなく開かれている営業会議では、必要以上に時間を取られてしまったり、見れば分かるような営業進捗の報告ばかりが続いたりと、営業会議を開いた意味を感じられない結果になってしまう可能性があります。
効果的な営業会議には「目的・議題の共有」が重要
効果的に営業会議を進めるには、会議の目的を明確に共有し、その目的に沿った会議をすることが大切です。当たり前のことだと感じられるかもしれませんが、意外に目的や会議のゴールを設定できていないことも多いのではないでしょうか。
より営業会議を効果的なものにするためには、事前に議題を共有しておき、前日までには全員が目を通し、意見を持って会議に参加できるようにしておきましょう。
営業活動の結果は日々進捗していくものなので、細かな数字のズレが生じるのではないか、と考えてしまうかもしれません。しかし、営業会議として営業チームが集まり議論する場においては、詳細の数字のズレを気にすることよりも、事前に議題を設けておき、活発に議論できることの方を重視してみてください。
営業会議の役割は、以下のようなものがあります。
- 営業活動の改善
- 成功事例の共有・ノウハウ集約
- 営業チームの一体感の醸成
- 新しい施策の共有・議論
「どうすれば営業活動が効率的になるのか」「もっと売上を上げるためには何を改善すればよいのか」などを共有・議論することで、営業チーム内でのノウハウの共有や目標達成のためのアクションの決定ができます。それらの決定事項を踏まえ、その後の営業活動が改善されれば、より営業チーム全体として営業活動の効率が向上することになります。
また営業会議において、議題にあげた意味を感じにくいものがあります。それは「進捗把握」「確認」「情報共有」です。
- 先月の売上や利益の進捗確認
- 顧客別の営業進捗の確認
- 今月の売上目標やスケジュールの共有
上記のような「確認」「進捗共有」のみが議題に上がっている場合には、「会議」にする必要はなく、各自資料に目を通しておくだけで完結できるので注意が必要です。
営業会議を行うなら、会議の役割を考え、事前に議題を共有し、会議開始時には目的やゴールを再度共有し、途中で本題からズレないように意識してみましょう。
営業の「社内報告業務」を効率化するには
次にムダを感じていた「社内報告業務」はどのように効率化できるでしょうか。
営業チームが行う社内報告業務においては、個人で行っている営業活動の内容を、上司や会社に書類でまとめて報告することがほとんどです。何のために営業報告をするのか、理解していない・伝わっていないとムダだと感じるでしょう。
本質的な「報告」のためにもITシステムの活用で効率化を
営業の社内報告の目的は、営業担当者の日々の活動を報告することで、上司が把握して適切なアドバイスを与えることです。
報告する営業担当者にとっては、日々の自身の営業活動内容を客観的に見直し、反省・改善する機会になります。また、報告を受ける上司にとっては、営業担当一人ひとりの細かな活動内容を知ることで、全体を知り方針を定めるためにも大切です。
しかし、報告業務が単に情報伝達で終わってしまっていては意味がありません。究極の目的は「売上を上げる」ための報告です。報告したあとに次のより良いアクションに繋げる必要があります。
ただ、こうした重要な目的を持つ社内報告業務を、営業担当の貴重な時間を使って手作業で行っているのは非効率です。
そこで、CRMやSFAなどのITシステムを活用し、社内報告業務のDX化を図りましょう。予算と実績を比較して目標達成率と達成状況を見る予実管理機能、案件ごとの進捗状況を把握 する案件管理機能などがついています。日頃から営業活動を記録・報告するときにも活用できます。
営業の社内報告業務は、報告するために準備をするのではなく、日頃からITシステムを活用して予実・案件管理を行い、そのデータを持って効率的に報告できるようにしましょう。結果的に報告業務にかける時間が減り、報告後の議論や改善に多くの時間を充てることができます。
営業の「再訪問」を効率化するには
次は営業の「再訪問」を効率化していきましょう。営業プロセスにおいて再訪問は、受注前のクロージング商談や契約後のアフターフォローの際に発生します。
オンライン商談なら、効率化と最適な提案が可能
再訪問は非訪問型営業、すなわちオンライン商談で解決して効率化することもできます。
再訪問はクロージング前の細かなすり合わせを行う商談や、契約後のアフターフォローで発生することが多いです。その際、相手が気にするポイントは「自社で本当にそのサービスを活用しきれるのか」という運用面の場合がほとんど。つまり、技術的な質問や設定面での疑問点が出てくる可能性が高くなります。
この場合、オンライン商談を対面での営業とうまく組み合わせて取り入れることで、うまく解決できます。客先での回答が難しい技術的な質問も、技術者や上司とオンラインで接続することで、リアルタイムに最良の回答ができ、提案先の担当者の時間もムダにせずに済みます。
なお、非訪問型営業・オンライン商談では受注率・商談成約率が下がってしまうのでは、と考える方もいるかもしれませんが、実はそうでもないことがデータから明らかになっています。
HubSpot Japan株式会社の「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、サービス検討・導入者である経営者・役員・会社員のうち、営業担当者の訪問を希望する人(全体の70.6%)にその理由を質問したところ、1位「顔を見ずの商談には誠意を感じない(35.2%)」、2位「営業担当者の顔を見ると安心感がある(30.1%)」となり、気持ちの面での理由が大きいことが明らかです。
出典:Hubspot Japan株式会社「日本の営業に関する意識・実態調査」
また、非訪問型営業を導入している組織・導入していない組織それぞれの営業担当者に自身の商談成約率を尋ねたところ、加重平均値はそれぞれ39.6%、41.6%と大きな差がありませんでした。つまり、物理的な訪問で買い手に「誠意」や「安心感」を与えたとしても、それが成約率を大きく押し上げているわけではないということです。
つまり、非訪問型営業・オンライン商談を行ったとしても、成約率に大きなマイナスな影響はないと言えます。むしろオンライン商談を活用することで、移動時間のムダを減らすことに繋がり、さらに効率化が進みます。
営業の「再訪問」においては、移動時間を短くしたり、隙間時間を有効活用したり、オンライン商談を活用して効率化していきましょう。
営業の「商談の移動時間」を効率化するには
最後は、営業の「商談の移動時間」の効率化です。
外回りを行う営業担当にとって、移動時間は大きなムダの一つ。例えば1ヶ月の稼働日の20日のうち、1日でも1時間の移動が発生していた場合には、ひと月あたり20時間以上の移動時間削減の可能性を秘めています。
この時間を活用して、新たな顧客への提案を考えたり、商談件数を増やしたりなど、営業活動の効率を改善することができます。
移動ルートの考慮や移動時間の活用で効率化
営業の「商談の移動時間」の効率化においては、移動ルートを考慮したり、日頃の営業活動の隙間時間を有効活用したりすることを意識してみましょう。
具体的には、訪問先のエリアごとに営業リストを作成し、まとまった時間でアポイントを取ることで極力商談間の移動時間を減らせるようにしたり、再訪問する1件のために無駄な移動時間を使わないためにも、近場を訪問したついでに再訪問したりします。
また、移動時間に案件管理やメール対応を行うことで効率化できます。他の案件の見積書や提案書を作成したり、顧客からのメール対応をしたり、その日の日報や予実・案件管理を更新したり等、ムダな時間が発生しないようにしましょう。これらの作業には、CRMやSFAといった顧客管理ツールを活用すると、日頃からデータ化され管理しやすくなるので便利です。
なお、突発的な訪問が発生した場合は、オンライン商談を積極的に活用しましょう。効率的な営業活動を継続して行っていくためには、緊急性や重要性を常に意識することが大切です。
アポイントが取れたからすぐに訪問するのではなく、案件ごとの優先順位をつけ、緊急度や重要度が高くない商談に関しては、移動時間が発生しないオンライン商談でまずは提案することをおすすめします。
こうすることで移動が発生していた時間帯に別の商談を行うことができ、効率化されるだけでなく、営業の活動量自体を増やすことができます。
引用:「足で稼ぐ」はもう古い! オンライン商談で変わる営業の今
ITmedia ビジネスオンライン
商談の移動時間の効率化には、移動ルートの最適化や移動時間の有効活用、オンライン商談の活用を取り入れていきましょう。
まとめ|ITシステムを活用しながら項目ごとに効率化
「営業活動の効率化したい」という要望の中にある条件や要素を細分化していくと、上記のような項目にわけて対策をしていくことができるようになります。
- 社内会議
- 社内報告業務
- 再訪問
- 商談の移動時間
これらの効率化を図っていくことで、次第に営業活動全体が効率よくなり、営業成績が上がる可能性もあります。
また、営業活動の効率化には、ITシステムの活用が欠かせないようになってきました。CRMやSFAといった顧客管理ツールを活用することで、日々の案件管理や予実管理、商談ルートの最適化などをスムーズに行うことができます。オンライン商談ツールを活用して、ムダな移動時間を減らしたり有効活用したりすることも可能です。
既存のやり方にこだわりすぎることなく、うまく最新の営業手法を取り入れながら、営業活動の生産性を向上していきましょう。