リモートワークで便利な5つのITツールとは?コミュニケーション課題の解決のために導入すべきものとは?
パーソル総合研究所の調査によると、リモートワークの実施率は2020年から2022年にかけて急速に増加しましたが、2023年に入ってからは徐々に減少しています。しかし同調査では、「今後もリモートワークを継続したい」と回答した割合は8割を超えていて、雇用者にとって人気の高い働き方であることが分かります。
リモートワークは、企業側では通勤手当やオフィスにかかる光熱費などのコスト削減、社員にとっては通勤時間をプライベートにまわせるなど、双方にとってメリットがあるものです。しかし、リモートワークには、社員同士のコミュニケーション不足や情報共有が不十分になりやすい、といった課題もあります。
これらの課題を解決するためには、オンライン上でやり取りができるITツールを導入することが必要です。
そこでこの記事では、リモートワークにおける課題を提示し、それを解決するためのITツールを紹介します。リモートワークを継続または新たに導入検討している方は、新たなツール導入の際の参考にしてください。
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リモートワークで生じる業務課題
リモートワークには、通勤時間の削減やワークライフバランスの向上など、さまざまなメリットがあります。しかし、業務面での課題もあり改善が必要です。具体的な課題は次の通りです。
遠隔でのコミュニケーション
オフィス勤務では相手の状況を目で確かめつつ、直接話しかけられます。コミュニケーションを取りながら業務を進められるため、分からないこと、不安なこともすぐに相談できるでしょう。
しかし、リモートワークでは基本的に対面の会話はなく、コミュニケーションをとるためには、まずチャットやメールでコンタクトをとらなければなりません。社員同士が会話をするハードルはおのずと高くなり、挨拶や業務外の会話などがしにくくなります。結果として、社内のコミュニケーションが不足し、意思の疎通が取りにくくチームの一体感や連携の低下につながります。
雑談や一緒に休憩を取る機会も減ることからリフレッシュしにくくなり、全体のパフォーマンスが低下する可能性もあるでしょう。
電話の取り次ぎ業務
電話業務をオフィスの固定電話を使用している企業にとって、リモートワーク中における電話応対は大きな課題の一つです。
株式会社ジェイドコーポレーションのアンケートでは、リモートワーク中は「一部の社員が電話番のために出社している」と回答した人が22.6%いるほか、会社の電話対応について不満を持つ社員の数は半数を超えていました。不満に感じる理由としては、「リモートワーク中は内線電話が使用できない」「担当者が在宅か出社か把握することが面倒」といったことが挙げられています。
また、リモートワーク中の社員が担当しているクライアントからの電話に出た場合、内容の聞き取りを行ったうえで、メールやチャットで担当者に連絡しなければなりません。これでは手間がかかり、自分の業務に支障が出ることもあるでしょう。
チームビルディング
チームビルディングとは、チームとして最大限の能力を発揮できるようなチーム作りのことです。メンバーそれぞれが自分の役割や責任を理解し、お互いに信頼し合う関係を構築していきます。チームビルディングを行うことで、チーム内の一体感が増し、課題解決やゴールに向けてメンバー一丸となって進められるようになります。
チームで業務を行う場合、チームビルディングは重要なものです。しかし、リモートワークでは直接会話する機会が減ることから、メンバー相互の理解度、チームの一体感や連携は低くなりがちです。また、ちょっとした雑談や会話の中で生まれていた問題提起や意見交換の場がなくなることで、メンバーが自分の意見を言いづらくなることも懸念されます。
セキュリティ
リモートワークは社員の自宅など社外ネットワークを経由して業務を行うため、端末に最新のセキュリティ対策が施されているのか、適切なネットワークを使用しているのか、といったことを直接確認できません。そのため、情報漏洩や不正アクセスによる攻撃を受けるリスクが高くなります。また、重要な情報が保存されている端末の紛失や盗難も懸念されます。
リモートワークではファイルの共有にメールやチャットを利用することが多く、誤送信のリスクも想定しておかなければなりません。ファイルの暗号化やパスワードをかけていないファイルが流出してしまう危険性もあります。
リモートワークに必要なITツール
リモートワークには、情報漏洩リスクが低く、社員やチームでコミュニケーションが取りやすいツールが必要です。ここからはリモートワークにおける課題を解決するために必要なITツールを紹介します。自社の環境に合わせ、必要なツールを導入しましょう。
遠隔で臨場感のある会議ができる「Web会議システム」
Web会議システムは、画面越しではありますが、相手の顔を見ながらコミュニケーションが取れるため、対面で会話をするときのような臨場感が生まれます。無料のツールも多く提供されており、コストをできるだけかたくない企業にもおすすめです。
Web会議システムとしてよく使用されるものは以下の通りです。
- Zoom
- Microsoft Teams
- Google Mee
社外ミーティングでWeb会議システムを利用する場合、相互で同じツールを使用しなければなりません。ソフトウェアをインストールする必要はなく、ブラウザで使用できるものも多々ありますが、スムーズにWeb会議を行うためには、これらのツールはインストールしておくと安心です。
安定した接続環境で、大人数の会議ができる「テレビ会議システム」
Web会議システムと同じく、画面を通じて会議を行うためのツールに「テレビ会議システム」があります。
テレビ会議システムは会議室をテレビ会議のための部屋にする仕組みで、室内に固定のカメラやマイク、ディスプレイが設置されています。会議参加者はそれぞれPCを用意する必要はなく、部屋に入室するだけでテレビ会議に参加可能です。
テレビ会議システムとして代表的なツールは「Zoom Rooms」です。Zoom Roomsは、専用のタッチパネルで操作でき、開始ボタンを押すだけで会議を始められます。高品質な映像や音声、タッチパネルモニターなど、機能も充実しています。
どこからでも電話が使える「クラウドPBX」
クラウドPBXとは、従来のビジネスフォンの交換機(PBX)をインターネット上で利用できるサービスです。
インターネットにつながる端末さえあれば、オフィス以外の場所でも会社番号での発着信や内線通話を行えるため、リモートワークでも代表の電話番号を使用した電話応対ができます。
インターネット回線とクラウド上のサービスを利用するだけなので、基本的に新たに端末などを用意する必要はありません。ベンダーと契約するだけで利用開始でき、初期費用やランニングコストを抑えられます。
例えばクラウドPBXサービスの一つであるZoom Phoneは高品質な音声ができるビデオ通話を行うツールです。従来の電話番号をそのまま利用できるほか、番号ポータビリティにも対応しています。そのままZoomミーティングと同じアプリケーション上で利用できるため、すでにZoomを導入している企業におすすめです。
簡単に社内外へオンラインイベントを配信できる「オンラインイベントシステム」
オンラインイベントシステムとは、オンライン上でセミナーや展示会、ライブ配信など、さまざまなイベントを開催するためのシステムです。会場や設備など、対面イベントでは必須である費用が不要なため、コストを抑えたイベント開催ができるようになります。
例えば、Zoom ウェビナーは、Web上で行うセミナーであるウェビナーに特化したツールです。最大 10,000 人までの参加者を収容でき、音声や映像の品質が高い点が特徴です。映像や音声、資料などのコンテンツを参加者に共有でき、情報を分かりやすく伝えられます。
また、ブイキューブの提供するV-CUBE セミナーは、最大26,000人までの同時接続が可能で、大規模なイベントやセミナー配信に対応しています。インターネット回線さえあればインストールなしでどこからでも使えるため、導入のしやすさが特徴的です。専門のスタッフによるイベントの準備から本番までのサポートがあり、初めてウェビナーを開催する企業でも安心です。
社内のノウハウや記録を動画として保存できる「社内動画プラットフォーム」
社内動画プラットフォームは、企業内で社内向け動画を配信・共有するためのツールです。社員の研修を行うときや経営陣からのメッセージを発信するときに活用されます。テレワークの場合、直接会議室などに集まって話を聞くことが難しい状況です。こういったツールを利用すれば、社員が自宅にいても動画で情報を得られます。
また、社内動画プラットフォームにコメントを書けるような機能があれば、単に動画による情報共有だけではなく、コミュニケーションの活発化も期待できます。
例えば企業向けのビデオコンテンツ管理システムQumuは、動画の収録、編集、配信、管理を一元的に行うプラットフォームです。社内行事・研修・マニュアルなどの動画を作成から配信までの作業が簡単にできるため、専門知識がない社員でも負担なく使えます。
まるで実際にオフィスにいるかのような仮想ワークスペースで業務を行える「バーチャルオフィスツール」
仮想空間を使ったオフィスバーチャルオフィスは、仮想空間に構築されたワークスペースで業務を行えるツールです。自分の分身のようなアバターを操作し、実際のオフィスのような空間で社員同士が対話できるため、オンラインでありながら対面のようなコミュニケーションをとれます。
例えばバーチャルオフィスツールであるEventIn Workplaceは、リモートワーク中の社員同士でも気軽に会話できるように工夫されたバーチャルオフィスです。仮想オフィスに複数のグループを設定できることから、それぞれ共同作業や休憩など、目的に合わせたコミュニケーションをとれます。メンバーがどこのグループにいるのか一目で把握できるようになっていて、実際にオフィスにいるように気軽にグループでの会話ができます。
メールよりも簡単にコミュニケーションが取れる「ビジネスチャットツール」
ビジネスチャットツールは、メールや電話の代わりにリアルタイムで気軽にやり取りできるビジネスコミュニケーションツールです。絵文字やスタンプなどを活用することで、豊かなコミュニケーションを実現できます。ビジネスチャットツールにはさまざまなものがありますが代表的なサービスは次の3つです。
- Slack
- Microsoft Teams
- Google Chat
ビジネスチャットツールは文字による対話ができるもので、リアルタイムにレスポンスのよいやり取りができます。通話やWeb会議と違い、相手の状況がどのようなものか関係なくメッセージを送れるため、業務に関係する対話だけではなく、プライベートな気軽な会話をするときにも使えます。
ビジネスチャットツールによっては、音声通話やビデオ通話、画像やテキストの共有など、ビジネス活動に必要なさまざまな機能があります。モバイル版アプリが提供されているものもあり、出先でも使いやすいでしょう。
組織のノウハウを蓄積できる「ナレッジ(社内情報)共有ツール」
ナレッジ共有ツールは、業務に関する情報やノウハウを共有するツールです。業務を通じて得た知識や情報を社員で共有できるため、情報の属人化を防げます。テレワークで担当者がオフィスにいないときでも、ナレッジ共有ツールを参照すれば、担当外の社員が業務を引き継ぐこともできるでしょう。
また、ナレッジ共有ツールに蓄積された知識やノウハウは新入社員の研修ツールとしても役立ちます。社内規定や業務マニュアル、製品やサービスの情報など、さまざまな情報を掲載する「掲示板」として利用する方法もおすすめです。
まとめ|リモートワークの導入にはITツールが必須
リモートワークはコスト削減や社員のワークライフバランスの確立など、メリットが多いものです。しかし、コミュニケーションの減少や電話応対、チームビルディングなどの面で課題も生じます。これらの課題を解決するためには、Web会議システムなどインターネットを通じて利用するツールの導入が必要になるでしょう。
今回は、テレワークにおける課題を解決するためのツールとして、Web会議システム、テレビ会議システム、クラウドPBX、オンラインイベントシステム、社内動画プラットフォーム、バーチャルオフィスツール、ナレッジ共有ツールについて紹介しました。それぞれの企業の課題に合わせ、最適なものを導入するようにしてください。