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企業経営で頻繁に登場する「戦略」という言葉。多くの企業は戦略を立案し、その実現に向けて業務を推進していることでしょう。さらに、近年はIT化の流れもあり、ITの導入や活用を進める「IT戦略」という考え方も登場しています。

 

今回は戦略の基本的な考えやIT戦略立案のポイントについてお伝えしましょう。

戦略とは

IT戦略について考える前に、まずは「戦略」とは何か説明します。戦略という言葉は頻繁に耳にしますが、定義まできちんと理解している方は案外少ないのではないでしょうか。

 

戦略とは、端的に表すなら「目標・目的を達成するための計画、方針」です。企業なら経営理念があり、存在する社会的意義が示されているはずです。その社会的意義を果たすために何をやるべきか、その大まかな行動指針が戦略になります。

 

戦略と似た言葉として「戦術」があります。混在して使われることが多く、たまにその意味を間違って使っているケースも見受けられます。戦略と戦術、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

 

戦術は戦略を実現するための具体的なアクションを指します。一つ例を挙げるなら、ある業界で自社製品のシェアを高めるという「戦略」が掲げられた場合、それを実現するための手段が「戦術」となります。ここまでブレイクダウンすることで、現場の従業員も行動に移せるのです。

IT戦略とは

戦略の定義をお伝えしたところで、本稿のテーマである「IT戦略」について考えてみましょう。

 

IT戦略の重要性は、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会の調査から知ることができます。2018年の調査では売上高1兆円を超える企業はほぼ全ての企業がIT戦略を重要視していました。企業の売上高が大きくなるにつれて「経営戦略を実現するためにIT戦略はなくてはならない」と考える傾向にあることが分かります。

 

売上高別経営戦略とIT戦略の関係性

 

(画像引用元:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会

 

では、そもそもなぜITに戦略が必要なのでしょうか。それは現代の企業経営におけるITの位置付けが影響しています。

 

例えば、製造業であればITを使って部品の仕入れから販売までの全体最適、サプライチェーンマネジメントが可能になります。また、企業内のあらゆる部門の人・モノ・お金を管理して最適なリソース配分を可能にするERP(統合基幹業務システム)も登場しました。

 

人の手だけでは困難なことをITで実現して無駄を省き、よりリソースを効率的に配置できるようになったのです。

 

企業活動はITの力によって成り立っていると言っても過言ではないでしょう。しかし、だからと言って何も考えずにシステムやアプリケーションソフトを購入し、クラウドサービスと契約すれば良いわけではありません。企業にはITに投資できる予算があるはずです。当然ではありますが、予算を大きく超えた投資はできません。

 

それでは、実際にどれだけITに投資すればいいのしょうか。そこで求められるのが「戦略」です。企業経営においてどのような戦略を立てているかでITにどれくらい投資が必要か変わってきます。

 

例えば、自社の販売力強化が戦略実現の上で欠かせないのであればSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理システム)へ積極的に投資するというIT戦略が描けます。このようにITへの投資は会社の戦略がそもそもの根幹にあります。これをベースにITへの投資優先順位を考え、必要なソリューションを順次導入するのが大きな流れになるでしょう。

陥りがちな失敗

IT投資を考える上で企業の戦略が重要であり、それを踏まえて優先順位をつけてソリューションを導入する。言葉だけ聞くととても単純なように思えます。

 

しかしいざ実行に移すとそこには様々な「失敗」があります。一体どんな失敗があるのか、ここでは主に4つの例をご紹介しましょう。

手段と目的の相違

ITは戦略を実現する手段であるとお伝えしましたが、気づいたらITソリューションを導入することが目的になってしまうケースも見られます。ITソリューションを比較検討していると、つい個別の機能や価格に目が行きがちです。当然これらの要素も重要ですが、もっとも重要なのはソリューションを導入して実現したい目的を達成することです。

 

手段と目的を間違えない。ITソリューションの導入を成功に導く上で常に意識しておきたいところです。

個別最適

ITソリューションの導入でありがちなもう一つの失敗は「個別最適」です。一見すると良さそうに見えますが、ITソリューションの導入は会社全体にベネフィットをもたらす「全体最適」が理想です。

 

例えば、財務・経理部門が会計システムを導入するとします。会計システムであれば売り上げの計算もできるのが理想ですが、そうすると営業部門が使用している売り上げ管理のシステムと連携できるようにしたいものです。データの受け渡しがスムーズになるメリットが期待できます。

 

しかし、もし各々の部門で最適なソリューションを選んでしまうと、システム間の連携が取れず、システムが当初想定していたより機能しないリスクがあります。データの取り込みに時間がかかってしまうなど、無駄な作業が発生してしまう可能性もあるのです。

 

ITソリューションを導入する際は、全社のITを管理するチームや担当者の存在が欠かせません。社内にITのプロフェッショナルがいることで、個別最適ではなく全体最適を実現できる可能性が高まります。

オーバースペックなソリューションの導入

ITソリューションの導入を検討していると、当初想定していた以上に話が大きくなりがちです。導入に関わる担当者が増えれば増えるほど、各々の思惑が絡み、必要以上のスペックのITソリューションを導入するリスクが高まります。

 

オーバースペックなソリューションを導入すると、コストをかけたにも関わらず使わないという事態に陥ります。結果として、費用対効果が良くない投資をして失敗に終わってしまうのです。

 

こうならないためにどうすべきでしょうか。その一つの手段としてスモールスタートでITソリューションを導入することが挙げられます。戦略を実現する上で必要最低限の機能を洗い出して、最低限の投資でスタートする。そして必要に応じて追加機能を導入して少しずつ投資を進める。これにより投資のロスを抑えることができるかもしれません。

 

近年はクラウドサービスの登場でこのような投資がやりやすくなっています。「IT投資はスモールスタート」を意識してみてはいかがでしょうか。

失敗による予算の縮小

人間にも失敗があるように企業の投資にも失敗はつきものです。それはITソリューションへの投資も例外ではありません。

 

だからこそ失敗から学び、より良いITソリューションへの投資につなげるという発想を持ちたいものです。ここまで挙げてきた例に該当する企業も、それを次に活かすことはできます。ITソリューションはテクノロジーの進化に応じて形を変えて提供されています。失敗を活かせばより良い投資ができるはずです。

 

ITは企業の戦略を実現する強力なツールです。失敗したからITには投資しないという発想では、今後ITに積極投資する競合他社に負ける可能性もあります。それだけに失敗には蓋をしないことをおすすめします。

IT戦略を成功させるには

IT戦略の失敗を踏まえて、どうすれば企業を成長に導くIT戦略が描けるのでしょうか。この章ではそのポイントを3つご紹介します。

フレームワークを活用する

先ほどもお伝えしたとおり、ITは目的を実現する手段です。ITを導入して、どのようなステップを踏んで目的を達成するか考える必要があります。

 

とはいえ、真っ白な紙にいきなりこのステップを描くのは困難です。そこでおすすめしたいのが「フレームワーク」の活用です。フレームワークはITを導入するにあたり考えておくべき項目やステップが示されており、必要事項を書き込めばITを導入して成功するまでの流れができます。これからIT戦略を立案する企業は、このようなフレームワークを用いて戦略を考えることをおすすめします。

 

またフレームワークはインターネットで検索すると複数出てきます。例えばクラウドサービス最大手・アマゾンウェブサービス (AWS) のフレームワークは有名ですが、自社にとって使いやすいフレームワークをインターネットで探すことをおすすめします。


AWS

 

(画像引用元:アマゾンウェブサービス

クラウドサービスを活用する

かつてITソリューションを導入する際は、自社内にサーバーを立ててシステム構築を行うオンプレミス型やパソコンにインストールして使用するソフトウェアが主流でした。しかし、近年はその流れが変化しつつあります。なぜなら、クラウドという新たなサービス形態が登場したからです。

 

株式会社MM総研がおこなった国内クラウドサービスの実績と予測に関する調査では、2018年度の国内クラウドサービス市場は前年度比18%増の1兆9,422億円という結果が出ました。

 

クラウド市場規模

 

(画像参照元:MM総研

 

クラウドサービスの特徴は月額課金型で、導入の初期コストを押さえ、短期間で使用できることにあります。これが多額のコストと構築に長期間かかるオンプレミス型との違いです。オンプレミスのようにオーダーメイドでシステムを構築することは難しいですが、先ほどお伝えしたスモールスタートを実現するには適しています。

 

特に大規模なIT投資が困難な中小企業はクラウド・サービスの導入から検討するようにしましょう。

成功事例を参考にする

世の中にはIT投資で成功している企業も数多く存在しています。そして、その成功例は事例集にまとめられていることもあります。

 

IT戦略を立案する上で、これらの成功事例を調査することでより精緻なIT戦略を描けるでしょう。ここでは、IT投資の成功例がまとめられているサイトを2つご紹介します。

攻めのIT銘柄

攻めのIT経営銘柄2019

(画像引用元:経済産業省

 

経済産業省は東京証券取引所に上場している企業の中から優れた取り組みをしている企業を毎年「攻めのIT銘柄」として選定しています。選定企業一覧だけでなく、サイトの下部には「選定企業レポート」がアップロードされており、企業が参考にできるよう整えています。

IT導入補助金の活用事例

IT導入補助金_活用事例

 

(画像引用元:経済産業省 近畿経済産業局

 

攻めのIT銘柄が大企業向けの事例なら、IT導入補助金の活用事例は中小事業者向けになります。

 

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題を解決するITソリューションの導入費用を一部補助するという制度です。補助額の大きいB類型は最大450万円の補助が受けられます(補助率1/2以下の制限あり)。条件に合う企業は申請を検討する価値は大いにあるでしょう。このような補助金を活用しながらITソリューションを円滑に導入したいところです。

まとめ

今回はIT戦略の基本的な考え方や、導入でつまづきやすいポイントをお伝えしました。ITの力は企業経営に不可欠なものになりつつあります。

 

お伝えした通り、ITで効率化を図るツールや手法は多岐にわたります。しっかりと目的に沿ったIT戦略を描いて、さらなる成長を実現しましょう。