ニューノーマルとは?新しい働き方と変化のポイントを解説

新型コロナウイルスの感染拡大以降、「ニューノーマル」という言葉が盛んに提唱されるようになりました。

ニューノーマルが浸透した社会では、具体的にどのような変化が見込まれるのでしょうか。

ここでは、ニューノーマル時代の働き方と変化のポイント、メリットと注意すべき点などについて、詳しく解説します。

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ニューノーマルとは

ニューノーマル(New Normal)は、直訳すると「新しい常態・標準」の意味です。大きな変化を経た社会に、変化が起こる以前とは異なる常識や新たな標準が生まれ、定着することを指します。

新型コロナウイルスの感染拡大で広く使われるようになりましたが、ITによる大きな社会の転換や、リーマンショック後の経済などを指す言葉として、コロナ禍以前から用いられていました。

しかし、この言葉が広く認知されるようになったのは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大による行動変容が最も大きな要因でしょう。

感染拡大を防止するため、多くの人の生活や仕事、働き方に大きな変化が強いられました。ニューノーマルは、こうした大きな変化が定着した社会を示唆しています。

それは単に感染症対策が講じられた社会というだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)とも相まって業務を大幅に効率化させたり、生産性を向上させたりする社会のことでもあります。

そうした意味でニューノーマルな社会は、コロナ禍が収束した後も広く進展・浸透していくことが予想されています。

ニューノーマルの働き方の変化

コロナ禍によって定着したニューノーマルについて、働き方という観点からはおよそ以下のような変化を挙げられます。

  • 在宅勤務・テレワークの普及
  • オンライン営業の普及
  • イベントのオンライン化

在宅勤務・テレワークの普及

テレワークは、自宅やサテライトオフィス、移動中など「いつでも・どこでも」場所を選ばず仕事ができる柔軟な働き方です。

その中でも、在宅勤務とは自宅に居ながらオフィスにいるメンバーとインターネット上で連絡を取りつつ仕事をするスタイルを指します。

感染防止策としてこの在宅勤務が推奨され、テレワークの導入が進んだ結果、都内の企業では約半数がテレワークを導入しているという統計もあります

テレワークには感染拡大防止以外にも、さまざまなメリットがあります。

  1. 生産性向上
  2. 通勤の負担減少
  3. 従業員の定着
  4. 慢性的な人材不足の解消
  5. コスト削減
  6. 事業継続性の向上(BCP対策)

テレワークのメリット1:生産性向上

テレワークの最も大きなメリットは、「時間と場所を選ばない働き方」という点にあります。そのため、テレワークで働く社員(テレワーカー)が自分らしく働けることによって、仕事へのモチベーションも上がり、結果的に労働の生産性が向上します。

テレワークのメリット2:通勤の負担減少

テレワークは通勤を伴いません。そのため特に通勤時の混雑が激しい首都圏では、出社日を減らす・なくすことで、従業員の体力的・精神的な負担を軽減し、仕事に取り組みやすい環境をつくることができます。テレワークの仕組みが整っていれば、毎日の通勤ラッシュ対策だけでなく、台風や大雨・大雪といった災害時にも従業員の安全性を確保できるでしょう。

また、総務省の「平成28年 社会生活基本調査」によると、2015年の日本国民の平均通勤・通学時間は1日換算で1時間19分でした。この通勤時間が年間に渡ってカットできることを考えれば、各々が有効的に時間を活用できるようになります。

テレワークのメリット3:従業員の定着

テレワークが認められた会社であれば、家事・子育て・介護を行っている従業員が働く場所を自由に選択できます。

例えば、発熱した子どもを看病しながら仕事をしたり、親がデイケアに行った合間に仕事をしたりすることも可能です。「親の体調が急変し、病院に付き添わなければならない」といった事態が続き、同僚に迷惑をかけないようにと、やむなく退職を選ぶ必要がなくなります。

その結果、優秀な人材の定着に繋がるといえます。

テレワークのメリット4:慢性的な人材不足の解消

エン・ジャパン株式会社が2019年1月に公表した「企業の人材不足」実態調査によると、アンケートに回答した762社のうち89%の企業が「人材が不足している」と回答しており、人材確保が多くの企業にとって緊急の課題であることは間違いありません。

テレワークでは、地方在住者や海外在住者、車椅子使用者なども採用枠に入れることができるため、今までアプローチできなかった優秀な人材の確保が可能です。都市部の企業が地方にサテライトオフィスを作ることによって地方人材を獲得する「まちごとテレワーク」も総務省によって行われており、新たなビジネスの獲得にもなり得ます。

また、働き方改革が推進される現在、「テレワークを導入している」ことは企業の良いブランディングにも繋がるため、結果的に現在よりも自社への採用希望者が多くなることが予想できるでしょう。

テレワークのメリット5:コスト削減

自社のテレワーカーが増加すれば、オフィスに出勤する人員が必然的に減少するため、今まで支給していた交通費やオフィスコストの削減が見込めます。

たとえば、月2回の東京本社での打ち合わせに、名古屋・大阪・仙台からは新幹線で、福岡からは飛行機を利用して移動し、さらに各メンバーが1泊ずつ宿泊すると、 半年で約198万円のコストがかかります。

そこにWeb会議を導入することで、大幅なコスト削減となります。場合によっては現在よりも小規模なオフィスに移転することで、安い賃料で経営を行うことも可能かもしれません。

また、移動費だけでなく紙の資料を全てPDFにするなど資料の電子化も行うことによって、印刷代も削減できます。

テレワークのメリット6:事業継続性の向上(BCP対策)

テレワークを導入することで、地震や感染症の蔓延といった予測不能の災害時でも、ITツールを使って業務のやり取りが今まで通りに行えるため、事業中断のリスクを最小限に押さえることができます。

東日本大震災をはじめ、2020年のコロナ禍においても事業継続性の困難さを痛感した企業は多いのではないでしょうか。しかし日頃からITツールを使っての遠隔コミュニケーションに慣れておけば、いざという時も安心して業務を行うことができます。

オンライン営業の普及

ニューノーマルにおける働き方の変化は、さまざまな業種の営業活動にも及んでいます。

その1つが「訪問しない営業」、いわゆる「インサイドセールス」です。コロナ禍による在宅勤務の導入とともに、インターネット環境の発達や働き方改革といった社会的背景も伴って、特にこのインサイドセールスのニーズが増えています。

メールや電話を用いることから「テレアポ営業」や「メール営業」と同じものだと思われるかもしれませんが、インサイドセールスにおける電話やメールは、あくまで商談を獲得するための手段の1つにすぎません。

「営業手法の全体」を表すインサイドセールスでは、顧客のニーズに合わせ、場面に応じてこれら以外にもさまざまな方法を使い分けることで、「訪問しない営業」を実現し、最終的に商談獲得へとつなげます。

インサイドセールスのメリット1:コスト削減

インサイドセールスの大きなメリットは、コスト削減です。

営業活動は「外回り」のイメージがあるように、電車や社用車、あるいは徒歩で訪問先を回る必要があります。そこには当然交通費やガソリン代、さらには体力もいるため、その分割り当てるコストが必要です。

インサイドセールスを導入することによって、毎回顧客のもとに訪問する必要がなくなるため、これらのコストが最小限に抑えられます。

インサイドセールスのメリット2:商談数・成約率のUP

インサイドセールスは、実際の営業活動と営業先の選定をするプロセスを分業し、営業活動そのものを効率化させる役割があります。そのためマーケティングと営業がタッグを組んだ形といえます。

マーケティングチームで制約が見込める顧客を選定し、営業チームがそこに営業に向かう、という構図になります。見込み客を厳選することで、契約を取れる確率も必然的に上がるのです。

イベントのオンライン化

イベントのオンライン化も、ニューノーマルにおける変化の一つです。大規模なセミナーや展示会といったイベントは、感染防止対策として急速にオンラインへと移行しています。

テレワークやオンライン営業と同様に、イベントもオンライン化することで、感染防止対策以外のメリットが生まれます。

オンラインイベントのメリット1:遠方でも参加可能

オンラインイベントの主催者がよく挙げるメリットは、今までのオフラインイベントとは違った層にアプローチできるという点です。

広まるオンラインイベント。メリットや集客方法、運営のコツを解説

Zoomの通信量については、「広まるオンラインイベント。メリットや集客方法、運営のコツを解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

特に、主要都市でのみイベントを開催していなかった企業にとっては、オンラインイベントは地方や海外など遠方のユーザーが参加できるため、新規顧客開拓のチャンスとなります。

今までアプローチできていなかった層にも商材やサービスをアピールしたいという場合には、非常に有効な策と言えるでしょう。

また、子育て世代や介護などで出社できない在宅ワーカーやモバイルワーカーに対しても、オンラインイベントを活用して、研修やトレーニングを実施できます。

オンラインイベントのメリット2:運営コストの削減

加えて、説明会やセミナーなどをオンラインで開催することで、今までかかっていた会場のレンタル費用が不要になり、大幅なコストカットに繋がります。

100名を超えるような大規模な会場を借りる場合には、1回の開催につき10〜50万円程度のレンタル費用が必要ですした。オンラインイベントに切り替えることで、Web会議システムやウェビナーシステムの月額数万円〜の利用料金にまでコストを抑えることができます。月に数回イベントを開催していたという企業には、大きなメリットとなるでしょう。

またコストカットができるのは、会場費用だけではありません。会場の設営を行うためのスタッフの人件費や交通費、また参加者に配布する資料のコピー代や茶菓代なども削減することができます。

ニューノーマルでの注意点

一方ニューノーマルへと移行することで、新たに注意しなければならない点も生まれます。

それが、

  • マネージメント
  • 情報セキュリティ

の2点です。

マネージメント

働き方やイベントの大部分がオンラインとなり、対面の機会が減ると、どうしてもコミュニケーションの数や質が減少してしまいます。

互いに仕事の進捗を認識しづらく、マネージメントする立場の人からは部下のメンタル面のコンディションの把握が困難になることもあるでしょう。

ニューノーマルにおけるマネージメントは、こうしたことを十分配慮した上で、雑談を含めたコミュニケーションの機会を意図的につくる、評価制度を変えるといった対応が必要になります。

情報セキュリティ

テレワークのメリットは、先述したようにパソコンやスマートフォンなどを利用して、いつでもどこでも仕事を進められることにありますが、その分ネットワークのセキュリティなどには十分注意しなければなりません。

フリーWi-Fiが用意されているカフェや駅、電車なども増加していますが、公共のWi-Fi環境にはデータ漏洩などのリスクがあり、セキュリティ対策としては不十分なことも少なくありません。

重要なデータをやり取りする場合には、十分なセキュリティ対策を講じたネットワークを利用するなど、社内や組織内でも情報セキュリティに関する認識を共有しておいたほうがいいでしょう。

まとめ | ニューノーマルの今後

ニューノーマルは、感染症対策などの緊急事態における一時的な対応ではありません。

コロナ禍が収束したあとも、リアル環境とオンライン環境がハイブリッドされた形でさらに進展・定着していくと考えられます。

その背景には、オンライン化による大幅な効率化や生産性の向上、コストダウンといったメリットがあり、こうした視点から今後もさまざまな業種の働き方やイベントなどがオンライン化されていくでしょう。

ニューノーマルがどのような変化をもたらし、そこにはどのようなメリットとデメリットが存在するかをしっかり認識した上で、ぜひ業務の効率化や生産性の向上を進めてもらえればと思います。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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