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トライアル的に導入する企業も増えてきた、在宅勤務。災害時における交通機関などの混乱を避ける方法としても注目が集まっています。今回はそんな在宅勤務の導入について、メリット・デメリットを紹介していきます。

企業が在宅勤務を導入する背景

まず以下では企業が在宅勤務を導入する背景について、紹介していきます。

場所にとらわれない働き方へのニーズ

育児や介護などを理由に会社を辞めざるをえない人でも、「働き続けたい」というニーズに応える手段として在宅勤務があります。毎日オフィスに出社することなく、場所にとらわれない柔軟な働き方をしたいと考える層にも、一定のニーズがあるといえるでしょう。

 

これらは個人の働き方のニーズを満たしているといえますが、企業にとっても導入する効果は大きいといえます。

 

労働人口(15歳から64歳まで)が今後はますます減少していくといわれるなかで、とくに中小企業は人材不足を補うために、効率化や女性に働いてもらう必要が出てきます。

 

本来であれば育児を機に会社を辞めていた社員でも、在宅勤務によって子育てと仕事が両立可能となれば、企業にとっても大きな戦力となります。結果として、とくに中小企業にとっては人材不足の解消にも効果があります。

国も普及に向けて本腰を入れ始めた

2012年に安倍政権が発足し、国の成長戦略のなかにも「テレワーク」という言葉が盛り込まれました。具体的な施策として、在宅勤務を導入する企業への助成金やPR支援などの取り組みも始まっています。

 

例えば厚生労働省は、在宅勤務の導入に要した費用のうち一部を支援する「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」などを用意。そのほか東京都でも「テレワーク活用・働く女性応援助成金」として、ネットワーク整備やモバイル端末の購入に要した費用を負担する助成金を準備しています。

 

こうした国の動きが、企業の在宅勤務導入を押し進めているともいえます。

在宅勤務導入のメリット

では以下では、実際に在宅勤務を導入するメリットについて紹介していきます。

優秀な人材の確保につながる

前述した通り、これからは労働人口が減っていくなかで、当然ですが優秀な人材も減っていきます。就活時期にはしばしば「売り手市場」という言葉が飛び交うように、現在は求職者優位に進む時代。大企業(従業員規模が5000人以上)に限れば、新卒の求人倍率は0.37倍と、企業側が優位な向きは変わらないものの、中小企業(300人未満の企業)では9.91倍と、求職者側が優位な状況にあります

 

つまり中小企業にとっては、今後ますます優秀な人材の確保は難しくなっていくといえます。にも関わらず、在宅勤務のような柔軟な働き方を認めず、定刻まで同じ場所に居ることを義務づける会社は、ますます選ばれにくくなっていくことが予想されます。

 

こういった優秀な人材に、少しでも魅力的な企業として認知してもらえるといったメリットが、在宅勤務にはあります。

 

また現在働いている、優秀な社員の定着にも有効といえるでしょう。育児などのライフイベント時でも柔軟に働くことを認めれば、社員も辞めずに済みます。

 

さらに育児や介護などによって会社に通うことが難しくなり、他の会社を辞めた社員の確保につながる可能性もあります。

社員の心の健康につながる

在宅勤務によって出社の義務がなくなれば、毎日の通勤地獄というストレスから解放されます。さらにオフィスに蔓延しがちな、上司や同僚が帰れないと自分も帰れないといった余計な気苦労をせずに済むことでしょう。

 

家庭で過ごす時間が増えることでプライベートの充実につながれば、心はより健全な状態を保てるはずです。

休業による戦力の大幅な低下を防げる

育児休業を取得する社員が多くなると、これまでその社員が担当していた業務は誰かが負担する、もしくは足止めをくらうといった状態になる可能性があります。

 

ただ在宅勤務によって、育児休業中であっても短時間でも仕事を継続してもらえれば、大幅な戦力の低下を防げます。完全に休業するのではなく、短時間でも仕事を継続していたいという一定のニーズに応えることもできます。

 

さらに育児休業中、まったく仕事を行ってこない状態で職場に復帰するとなると、周りとの関係性などから、働きづらさを感じてしまうケースもあります。

 

育児休業などで仕事を完全にストップするのではなく、少しずつでも働き続けてもらう手段として在宅勤務は有効といえるでしょう。

賃料などのコスト削減につながる

在宅勤務の導入によって出社する社員が減れば、広いオフィスをわざわざ借りる必要はありません。フリーアドレス制を導入することで、1人1席を確保する必要もなくなります。

 

例えば、全従業員が出社義務のない「株式会社キャスター」では、業務委託を含めて在籍する従業員の数が200名以上にも関わらず、オフィスは15名程度しか入れない広さだといいます(2019年1月時点)。

 

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(画像引用元:株式会社キャスター

 

出社義務がなくなれば、通勤にかかる費用負担もなくなるため、通勤手当などのコスト削減にもつながります。

災害時でも業務が可能となる

2019年9月8日に台風15号による記録的な暴風雨が関東地方を襲いましたが、その影響は翌日の各鉄道会社の相次ぐ運転見合わせにも及びました。

 

実際に新宿などで、運転見合わせに合った方は実感したでしょうが、やはり日本では災害時であっても絶対に出社しなかればならないといった認識があるかと思います。しかしこういった災害時でも、普段から在宅勤務を実施しやすい環境があれば、到着しない電車を待つ無駄な時間は回避できたといえるでしょう。

 

遅延によって従業員が出社しない、つまり業務ができない状況というのは、企業側にとってもコストです。しかしこういった状況下においても、在宅勤務であれば、すぐに業務を開始することができます。

在宅勤務導入のデメリット

次に在宅勤務のデメリットについて、紹介していきます。

労災の範囲があいまいになる可能性

業務上の災害に対して支給される労災保険(労災)給付ですが、在宅勤務中は労働時間とそうではない時間が混同するため、どういった場合に給付されるのかあいまいになる可能性もあります。

 

ちなみに厚生労働省が公表している労災に関するQ&Aには、以下のような記述が載っています。

 

業務災害と認められるためには、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることが必要であるため、労働者が、私用(私的行為)または業務を逸脱する恣意的行為を行ったこと等による傷病等は、業務災害とは認められません。

 

つまり保険給付の条件である労働災害として認められるためには、被ったケガや病気と、業務に関連性があることが必須といえます。

 

厚生労働省では、実際に労災として認められたケースとして以下を紹介しています。

 

自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻 り椅子に座ろうとして転倒した事案

 

なお労災に認定されるかどうかは、労働基準監督署の判断に委ねられます。

自己管理できる社員しか在宅勤務できない

在宅での仕事は、公私の区別がつきにくくなり、人によってはパフォーマンスが低下する恐れもあります。となると必然的に、管理職層のみしか在宅勤務を導入しないといったケースも出てくるでしょう。

 

こういったデメリットを回避するためには、そもそも個人の意志力を必要としなくとも在宅勤務できる仕組みを整える必要があります。

 

例えば、在宅勤務者と常時Webカメラを接続することで様子を見えるようにする、一定の成果物の提出を義務付けるなどの方法があります。

コミュニケーションが希薄になる

在宅勤務では、家などの空間で1人で仕事をすることになるかと思います。すると、これまでオフィスに出社して、同僚や上司と同じ空間で仕事をしていたときと比べて、コミュニケーションが希薄になる恐れもあります。

 

こういったコミュニケーションの希薄化を解消するためには、気軽にやり取りできるチャットツールなどが有効です。日本版だと「チャットワーク」、海外版だと「Slack」などが該当します。

 

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(画像引用元:株式会社ブイキューブ

 

 

また最近ではインターネットを利用したICTツールも発達しており、例えば「V-CUBE ミーティング」を利用すれば、在宅勤務であっても対面に近いかたちでの打ち合わせが可能となります。

IT企業以外にも広がる在宅勤務

在宅勤務と聞くと、インターネットなどを通じてサービスの提供・販売を行うIT企業だけができる働き方のイメージがあります。しかし現在では、カネボウ化粧品や日産自動車、日本マクドナルドなど、物理的な物の販売を行う企業でも導入が進んでいます。

 

自社で扱っている商品が、たとえインターネットを介さないものであっても、経理や人事などは在宅勤務を導入できる可能性があります。こういった在宅勤務の実現可能性のある部署から試験的に始めてみることも、効果を実感するうえで有効といえるでしょう。

 

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