リモートワークは楽しくなくては続かない。世界的なトレンドを押さえつつ声のソーシャルの新しい成功スタイルを知る 〜Zoom、Houseparty、Clubhouse、Dabelに学ぶ、毎日楽しい遠隔雑談環境とは?

新型コロナウイルスの影響により在宅勤務の導入が進み、あらゆる場面でのコミュニケーションがWeb会議やビジネスチャットなどのオンライン上へ置き換わってきています。

そうした変化のなかで取り残されてしまったコミュニケーションの1つが「雑談」ではないでしょうか。

雑談はチームのコミュニケーションを円滑に進める潤滑油としてのはたらきや、アイデアの源となるなど、大きな可能性を秘めているコミュニケーションの1つです。

では、リモートワーク下での雑談はどのように進化しているのでしょうか。

そこで、音声コミュニケーションアプリ「Dabel」を開発・提供しているIT起業家である井口尊仁氏に、これからの雑談のあり方、可能性について解説していただきました。

目次[ 非表示 ][ 表示 ]

HOUSEPARTYがビジネスツールとして大注目される

リモートワークの本命ツールは何か? Zoom?Skype?あるいはTeams?Google Meets?

普通考えるのはこう言ったテレカンファレンスツール、要するにビデオ会議アプリがそうだと、今は思われている。

ところがニューノーマル以降のアプリマーケットに想像もしない大きな変化が訪れている。Homeparty というソーシャルビデオチャットアプリが一気に5,000万人超の新規ユーザー(今年4月の1月間だけで)のサインアップを獲得したという驚くべきニュースを通じて多くの人たちが知るところになる...。

Homeparty は本来友達同士がまるでホームパーティを楽しむかの様にバーチャルなホームパーティを楽しめるリモートビデオチャットだ。Zoom の様な生産性の改善やビジネス的なソリューションのために開発されたアプリではない。

が、HousepartyはApp Store上で 82カ国でソーシャルアプリの第1位になっただけでなく、60分を超えるという非常なエンゲージメントを発揮し、新しいリモートワークツールとしても役立つポテンシャルを明らかにした。

現在、Zoom に遅れを取ったTeamやMeetなどのアプリケーションやEvernote創業者フィルリービンがベータリリースしたばかりのプレゼンアプリ「mmhmm」など、明らかに無駄の無いシンプルなオフィスツールというより、むしろ遊び心いっぱいで飽きの来ない、親しみがいのある「楽しい」アプリケーションを目指しているのだ。

背景画像をデコレーションするくらいだった Zoom に比べ  Teamsは「疲れず、反応しやすい」会議モードとして「Together Mode」を打ち出して来た。と、同時に「mmhmm」などはスターウォーズのジュダイの騎士の様に透過したプレゼンテーターの人物像をリサイズしたり、好きな場所に移動させたりして縦横無尽に操作できる新しいアイデアを持ち込んで、通常退屈でつまらないオンラインプレゼンをユーモアに満ちたショーアップされたものに塗り替えようとしている。

そう、緊急事態宣言下、その影響がますます広がって第二波の到来がぼちぼち語られ始めている現状では、今まで特殊だったリモート会議がむしろビジネスや生活の真ん中に躍り出ざるを得ない。

止むを得ずやっていたリモート会議はむしろビジネスの基本ツールやビジネスのシチュエーション以外でも、ニューノーマルのライフスタイル上で欠かすことの出来ない要素として、日常生活に組み込まざるを得ない...。

blog_remote-work-can’t-last-without-fun_02

CLUBHOUSEというダークホースが100億円の評価を獲得する

そんな時、シリコンバレーから飛び込んできたのが、Clubhouse という未だベータリリースの音声ソーシャルアプリが100億円以上の時価総額評価で12億円以上の資金獲得に成功したという驚くべきニュースだ。

その収益化どころかそもそも製品がリリースすらされておらず、獲得済のユーザー数ですら(多く見積もっても)5,000人を超えないアプリを開発しているスタートアップがそのベータリリースからたかだか2ヶ月で100億円以上の時価総額評価を元に12億円を超える資金獲得をしたと言うニュースが飛び込んで来たら「なんてクレイジーな!」と、誰もが驚きを禁じ得ないだろう。

が、その時価総額評価は、おそらく下の様な大きなモメンタムを下敷になされたのでは無いか?と推察する。

1)ニューノーマルのリモート生活でも(だからこそ)人は自然発生的な雑談を強く欲しており、冒頭に述べたHomepartyの様な大ヒットアプリが登場したがHomepartyはビデオ会議が主体。むしろ「ながら利用に適した」音声ソーシャルの方がより高い利用頻度や利用時間を叩き出すのでは無いか?(エンゲージメントとリテンションが高めやすい)また、AirPodsなどとの相性も非常に良い。

2)声をメディアとして用いる雑談の快適さ、ハードルの低さは既存の組織の枠組みや既存の社会的繋がりの維持だけでなく新しい出会いや日常的な繋がりを作り出す所謂セレンディピティに於いても有効。なので、コロナ禍による新しい生活様式が続けば続くほど、雑談を通じた新しいソーシャルネットワーキングは普及を遂げるのではないか?

現に我々が昨年1月から提供している音声ソーシャルのDabelアプリは既に(オーガニックに)4万人の人達が使っており、既に50万件以上の対話への参加経験を提供している。

 

DABELが声のソーシャルとして世界規模で成長できた秘密のレシピとは?

先週1週間だけでも、14,670件もの会話参加回数を数え、ユーザーエンゲージメントは最新データで 57分24秒(1日あたりのユーザー一人当たりの平均利用時間)を超えている。

ClubhouseとDabel は非常に似たアプリだ。昨年1月から世界中のユーザー、様々な国籍、言語、文化、趣味趣向のユーザー達に鍛えられることで、数々の改善改良を経て来た Dabelは、主に下のような三つのデザイン要素によって伸長してきた。

1)既知の知り合いに加え、数名の新しい知り合いが新たに加わる瞬間にこそワオ!体験が存在する。セレンディピティの楽しさが得られる。

2)オープンでフラットな雑談の開放感や自由さに、ソーシャルメディアとしての健全性が宿っていた。クローズでないオープンな雑談環境がもたらすプラス効果があった。

3)ライブストリームへの参加が自然にアーカイブデータになり、再生可能になることで、新しいコンテンツとの遭遇が生まれ易くなった。ライブとアーカイブの組み合わせが良かった(ライブでの雑談を気軽に振り返れる体験が後々効いてきた... )。

Dabel ではオーディオストリームを短時間、かつ非常に簡単にスタートできるがそのライブストリーミングはインビテーションやソーシャルな繋がり等無くてもアプリ内の他ユーザーがオープンに参加できる。

その上で、そう言ったオープンな場を健全維持する上で、ホストユーザーによるコンテンツモデレーション機能が組み込まれているので(ユーザーの対話への参加可否はホスト自身が握っているし、最悪ユーザーをストリーミングから追放することも出来る)荒れづらい対話空間が提供出来る。

と同時にオープンな対話の場であり、なおかつアーカイブにも対話記録が残るメカニズムが、自然と、ユーザー同士の諍いや紛争を防ぐブレーキになっている。

以上、 Dabelアプリが従来短期間には構築が難しいとされていた声のソーシャルアプリとして、健全かつ安心安全な雑談スペースを提供しながら、順調に世界規模での成長を遂げられた成長の秘訣だろう。

そして今 Dabelでは100日の間に10万人規模のユーザー規模にスケールしながら、と同時に、安心安全かつ快適な対話環境を実現する新たなプロジェクトをこの7/10スタートした。

それを睨んで現在準備中なのが、アプリの顔とも言えるHOME VIEWの大幅なリニューアルだ。その試作画面を本記事に掲載して、簡単に解説を加えることで本稿を結びたい。

 

ニューノーマル時代の声の出会い系?

blog_remote-work-can’t-last-without-fun_01

新しいDabelHOME VIEWでは配信されているストリーミングのチャンネルに一体誰が参加しているのか?が一目瞭然に配置される。従来の配信チャンネル毎のタイトルやタグデータの表示だけでなく、友人や知り合い含め「誰がどこにいるのか?」が一眼で判る様ディスプレイされる。

その上 前回の大幅バージョンアップでは、ユーザー同士が直接メッセージ交換できるメッセージ・ボード機能もリリースされており、好評を呼んでいる。

配信者同士がお互いの配信に対してコメントしたり、コラボ配信する際お互いの予定を調整したり連絡先をやりとりできる、オープンなメッセージが交換できるのがこのメッセージ・ボードだ...

日々楽しいコミュニケーションツールこそが、ビジネス最先端ツールになった 〜スバルホールディングスの事例〜

そして非常に嬉しいニュースが一つ、誰とでも自由にオープンな場で雑談が楽しめる新機軸のソーシャルネットワーク Dabel を通じて、自らのビジネス接点を作ろうと声を上げるカンパニーが登場した。

それは埼玉県を地盤に様々なビジネスよろず相談をワンストップで受け付けようという非常に先端的な試みを開始しているスバルホールディングスだ。士業を始めとする専門家集団だが、ここで提供されるワンストップ相談サービスは個人法人を問わず高いリピート率を誇っている。現在は東京進出も果たして全国展開も視野に入れつつある彼らなのだが、コロナ禍でサービスの需要が増え、新しい生活様式が広まってくることによって、Dabel による音声のビジネス相談の秘めた可能性に気づいたのだ...。

代表の紅谷氏はロータリークラブで点字の名刺を普及させるなど元々視覚障害者に関心を抱いて活動していた事もあって、Dabel の潜在的可能性にいち早く気づくことが出来た。

視覚障害者含めた社会的弱者に寄り添うことが自分たちのビジネスをより発展させるという意識をかねてから持っていたのだと紅谷氏は語っているのだが、コンシューマー向けのソーシャルネットワークこそニューノーマル時代の最先端ビジネスコミュニケーションツールになるのではないか?その着眼点は今後ますます世間にも浸透していくのではないだろうか?そのヒントが、この紅谷氏の試みの中に隠れているだろう。

 

【Dabelに関する関連記事】

「セカイカメラ」生みの親 井口尊仁氏がシリコンバレーから世界に発信する最新・音声交流アプリ

セカイカメラの井口尊仁氏がおしゃべりアプリ「Dabel」を生み出した理由 人々が“井戸端会議”に夢中になる魅力とは

井口尊仁
著者情報井口尊仁

セカイカメラ、テレパシーなどで世界に挑戦し続ける連続起業家。2016年以降、声のソーシャルネットワーク領域に挑戦し続けている。Dabelでは全米ユーザー皮切りに103カ国4万人のユーザーを獲得。

関連記事