コロナ禍で変わるオフィスの形。今、選ばれるシェアオフィスの設備とは?

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オフィスの縮小や分散に取り組む企業が増えています。そんな中、オフィスの分散先として、また自宅以外で仕事ができるサードプレイスとしてシェアオフィスの需要が急拡大しています。

本記事では新宿や渋谷、品川など東京都心に15カ所のシェアオフィス「Business-Airport」を運営するライフ&ワークデザイン株式会社に、コロナ禍でのシェアオフィスの変化についてお話を伺いました。

「オフィスのあり方が流動化・シームレスになり、あらゆる場所が働く場所の選択肢になった」と語る原口さん(ライフ&ワークデザイン株式会社/開発責任者)。

職業・職種に関わらず利用者が増えているシェアオフィスで今、求められているものは何なのでしょうか?インタビューを通して教えていただきました。

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コロナ禍で見直されたオフィスの必要性

ーコロナ以前とコロナ禍でオフィスのニーズは変化しましたか?

そうですね。各企業は緊急事態宣言や外出自粛要請など、政府の施策に沿った対応が求められました。その結果、出社人数を制限しなければならなくなり、オフィスに出向いて仕事をする人が大幅に減ったため、オフィスの必要性が見直される機会になったと思います。

資金力のある企業はサテライトオフィスを設立して分散化し、それ以外の企業でも自宅やシェアオフィスでのテレワークを取り入れる企業が増えました。

ーやはりこれからはオフィスの縮小・移転がトレンドですか?

そうですね。コロナ以前のシェアオフィスは成長局面にある企業が短期利用の目的で使用する場面が多かったのですが、今では様々な企業が分散・コスト削減目的で利用されています。2020年度はコストや既存オフィスの契約期間の関係ですぐに移転や縮小が出来なかった企業も多くあると予想され、今後シェアオフィスの需要は伸びるのではないかと思います。

ーこのようなオフィスニーズの変化は人々の働き方やシェアオフィス市場にどのような影響を及ぼすんでしょうか?

以前よりもオフィスとシェアオフィスとの間が流動的になったというか、どんどん壁がシームレスになっているように感じます。自宅やカフェなどあらゆる場所が働く場所の選択肢になっていますね。

働く場所の選択肢が広がったことで、シェアオフィスの需要も伸びてきています。弊社も2020年度に新しく4店舗をオープンしましたが、他社でも新しくシェアオフィスを開設するところが増えています。

特に自宅では集中して仕事がしづらいため、「自宅付近のシェアオフィスをサードプレイスとして利用したい」というニーズの高まりから、郊外に新たなシェアオフィスを開設するケースが増えています。

ーシェアオフィスのフレキシブルさは強みになりそうですね。

契約期間が比較的自由に決めれることや、都内・郊外関わらず、様々な店舗があるという点はシェアオフィスの強みになると思います。

シェアオフィス内で「1人用のWeb会議スペース」のニーズが高まる

テレワーク中でも社内の円滑なコミュニケーションを保つために、Web会議を実施する企業が非常に増えています。それに伴い、シェアオフィスでも1人用席や機密性の高い会話のできる個室などのニーズが高まっているようです。

最近のトレンドやニーズについて、引き続き原口さんに伺いました。

ービデオ会議がかなり一般的になってきましたが、シェアオフィスでもビデオ会議用スペースのニーズはありますか?

Web会議スペースのニーズはかなり高まっています。共有スペースのうち、通話可能エリアでWeb会議をされている方も多く見受けられます。イヤホンをご利用いただき音声の拡散を防ぐなど、共用スペースであることをご理解いただき、ルールを守ってご利用頂いております。

ー会議によっては外部に聞かれるとまずい内容を扱うこともあると思います。そうしたニーズへの対応はありますか?

そうですね、需要はかなりあると思います。弊社が今年度新たに新宿・田町にオープンした店舗にはWeb会議等にご利用いただきやすい、1人用のオンラインミーティングルームを設置しており、実際に多くの会員様にご利用いただいております。Web会議や打ち合わせなど、他の人には聞かれたくない内容を取り扱う際に利用される方が多いですね。

より快適な仕事環境ため、「占有スペースにボックス型個室」を設置する企業も

ライフ&ワークデザイン株式会社が運営するシェアオフィス「Business Airport」では、サテライトオフィスやメインオフィスとして法人登記可能な個室を利用できます。最近ではそんな占有スペース内でも1人用ブース需要があり、移転前のオフィスに設置していたボックス型個室をそのままシェアオフィスに持ってくる企業も出てきました。

テレキューブの外観

占有スペース内での個室需要について、実際に契約担当にあたったビジネスエアポート恵比寿店の堀川さん、菱村さんにお話を伺いました。

ーシェアオフィスの個室にボックス型ブースの「テレキューブ」を導入した企業がいらっしゃると聞いたのですが、それは可能なんですか?

初めてご要望を伺った時は正直少しびっくりしました。ただ、企業様が事務作業スペースとビデオ会議スペースを個室内でも分けて使いたいというご希望が強かったので、できるだけそのニーズに答えようと対応させていただきました。

ーテレキューブを個室内に導入するにあたってどんな課題がありましたか?

まずはシェアオフィスが入っているビルの許可がでるかですね。ビルや管理会社によって搬入が可能かどうかの規定が変わってくるので、そこが一番の課題でした。恵比寿店はビルの許可が降りたので問題なく導入することができました。

また、消防法への対応も懸念されますが、テレキューブ自体が消防法対応で、工事不必要の可動式ボックスだったので、ビルの許可さえ降りれば搬入はとても簡単でした。

ー他にも個室に1人用ブースを設置したいという声はありますか?

個室を契約している会員様からもWeb会議スペースの需要は結構あります。同じ会社内でもテレビ会議をしているとどうしても音が気になって作業に集中できないという声があって、パーテーションでは解決が難しいところですね。

今は共有スペースのテレフォンブースや通話可能スペースを利用する折衷案で対応していますが、個室内の1人用ブースはこれからの課題になりそうです。

よりフレキシブルな働く場が求められる時代に

ここまでシェアオフィスを運営するライフ&ワークデザイン株式会社の方々にコロナ禍のオフィス動向や利用客のニーズの変化についてお話を伺いました。

コロナ禍で急速に進んだ働き方改革や、先の見えない感染症対策に対応するためにもオフィスにはフレキシブルさが求められるようです。契約期間やオフィスの利用形態、1人用ブースの需要拡大など、利用するお客様のニーズにマッチするシェアオフィスであることはもちろん、その上で他社との差別化が重要になりそうです。

鹿嶽志帆
著者情報鹿嶽志帆

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