テレワークの現状とよくある3つの課題とは?解決のための具体策も紹介します

出社が必要ない業務をテレワークに移行することにより、従業員の通勤手当削減、オフィスの縮小など経費削減になります。従業員にとっても自宅にいる時間が多くなりプライベートが充実するなど、テレワークの存続を望む声も多くあります。

イーエージェンシーの社内アンケートでは、テレワークに「とても満足」「満足」と答える人の数が8割を超えており、従業員満足度向上のためにもテレワークは有効です。

企業側従業員側双方に魅力があるテレワークですが、テレワークを導入することにより発生する課題があることも事実です。この記事では、テレワーク導入企業によく起こる課題とその具体的な解決方法について解説します。

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テレワークの現状

テレワーク

新型コロナウイルス感染症の拡大により厳しい行動制限がとられ、テレワークを導入する企業が増えました。株式会社東京商工リサーチの調査によると、2020年3月上旬は17.6%だったテレワーク実施率が、緊急事態宣言中は56%まで増えています

参照:株式会社東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査、第2回第4回

その後ワクチンの流通などにより規制は緩和され、日本でもテレワークを導入する企業は減りました。しかし2021年10月時点で、全企業で29.16%、資本金1億円以上の企業では56.99%が依然としてテレワークを導入しています

参照:株式会社東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査、第22回

 

新型コロナウイルス感染症をきっかけとして激増したテレワークですが、規制が緩和され感染症の影響が少なくなってきても導入を続ける企業はあることが分かります。特にこの傾向は大都市圏が顕著であり、野村総合研究所の調査では、2022年7月時点で東京、神奈川ではテレワーク対象者率は40%以上、千葉、埼玉、大阪も30〜40%未満と高い割合です。

参照:NRI「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」

この結果により、今後感染症の影響がもっと少なくなったとしても、テレワークを導入する企業は一定数あるのではないかと予測できるでしょう。

テレワークには感染症対策になるほか、「通勤時間が不要になり、その分プライベートが充実する」、「自由な服装で働ける」、「育児や介護と両立できる」といったメリットがあります。実際に日本労働組合総連合会の調査では、コロナ禍が過ぎたあともテレワークで働きたいと考える人は81.8%にまでのぼっています。

参照:連合JTUC「テレワークに関する調査2020

企業側にとっても、通勤手当やオフィスにかけるコストの削減、優秀な人材の確保といった面からテレワーク導入にはメリットが多くあり、今後もテレワークを導入する意義は大きいでしょう。

テレワーク導入後の課題

従業員にとっても、企業側にとってもメリットがあるテレワークですが、テレワークを存続するためにはさまざまな課題があります。

スタッフサービスグループの調査によると、以下のような課題があげられています。

  • 運動不足になる
  • 社内コミュニケーションが減った
  • 紙の書類のやり取りができない
  • 勤務時間の線引きが難しい

参考:スタッフサービスグループ「テレワーク導入後の働き方に関する意識調査」

また、株式会社NTTデータ経営研究所の調査では次のような結果となりました。

  • 自分で自分の時間を管理しなければならない
  • 仕事とプライベートの区別がつかない
  • 運動不足になる
  • コミュニケーションが取りにくい
  • テレワークでできる仕事には限界がある

参照:株式会社NTTデータ経営研究所「緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方」

このように、どちらの調査からも「運動不足」「コミュニケーション不足」「時間管理が難しい」ということが、テレワークの課題としてあげられています。ここでは、それぞれどのような課題なのか詳しく解説します。

課題①:運動不足

社内での運動

テレワークはオフィスまで移動する必要はないため、どうしても運動量は減少するでしょう。

実際に、筑波大学大学院とタニタの調査ではテレワークに切り替えた従業員は1日あたりの歩数が30%減少したことが分かっています。中には歩数が70%も減少し、1日3,000歩しか歩かない人もいました。

生活習慣病などの疾病を予防し、健康的な生活を送るためには日常的に身体活動をすることが重要です。厚生労働省は日常生活で身体活動量を増やすために目指す目標として、男性9,200歩、女性8,300歩の徒歩を推奨しています。

運動不足になると、筋力が弱り姿勢が悪くなる、疲れやすく気分が落ち込みがちになる、不眠になる、といった問題を引き起こします。長期間のテレワークにより運動不足が続くと、体調悪化による生産性の低下や休職による人員不足に繋がりかねません。

参考:

NHK「テレワークで1日の歩数30%減少 運動不足による健康影響懸念」

厚生労働省「身体活動・運動」

社会保険出版社「運動とメンタルヘルス」

解決策

テレワーク中の運動不足を解決するには、以下のような解決策があります。

スポーツイベントの実施

社内でスポーツイベントを開催すると、従業員が運動を行うきっかけとなります。

ラジオ体操であれば音源を流すだけでも開催できるため、テレワークでも就業前にオンラインで気軽に開催できます。毎日行うことにより、日常的な運動習慣をつけられるようになるでしょう。講師を呼んで、ストレッチやヨガなどの講習会を開く方法もあります。オンラインでイベントを開催すると、テレワーク中の従業員でも参加しやすくおすすめです。

休日であれば、実際に公園や広場を歩くウォーキングイベントを開くという方法もあります。テレワークで顔を合わせることが少なくなっている企業にとって、コミュニケーション促進にもつながります。

スポーツコミュニティの運営

従業員の運動量を増やすためには、スポーツコミュニティの運営も有効でしょう。企業ができる方法としては、部活動やクラブなど、スポーツコミュニティに助成金やオフィス内の場所を貸し出す方法があります。

スポーツコミュニティがあることにより運動を行う良いきっかけとなるほか、違う部署の社員ともコミュニケーションを取れるようになります。普段会話しない人同士が集まることにより、新しいアイデアが産まれるかもしれません。

昼休みや就業後にスポーツを行うことにより時間の使い方にメリハリができ、より業務に集中できるようになる人もいます。

運動支援サービスの導入

従業員が日常的に運動量を増やすための方法として、スマートフォンアプリなどの運動支援サービスの導入があります。アプリの機能にはさまざまなものがありますが、代表的なものは歩数や消費カロリーを記録するものです。ウェアラブル端末を支給すれば、正確な消費カロリーを割り出せます。

歩数や消費カロリーを基にして従業員のランキングを発表すると、モチベーションアップにも繋がるでしょう。ランキング結果に応じて賞金や商品の支給を行う方法もおすすめです。

アプリだけではなく、ヨガや筋トレを学べる動画レッスン、快眠や正しいダイエットや運動を学ぶためのeラーニングなどのオンラインプログラムもあります。オンラインであれば自宅でも気軽に参加できることから、テレワーク中にもぴったりでしょう。

課題②:コミュニケーション不足

社内コミュニケーション

企業活動を送るうえで、従業員同士のコミュニケーションは重要です。リクルートモンスター株式会社の調査によると、コミュニケーション不足により自身の業務に支障をきたしている、と回答した人は84.1%にまでのぼりました。

参照:リクルートモンスター株式会社 第1回「コミュニケーション不足に関する影響」調査

テレワーク中はメールやチャット、決められた時間内でのテレビ会議が主になることから、気軽に雑談や相談をしにくい状況になります。出社していれば、業務の合間や休憩中にこういった雑談ができますが、テレワーク中はどうしても難しくなるでしょう。

テレワーク中の問題として、相手の状況が見えにくいという点もあります。進捗確認などの重要なメッセージをメールやチャットで送付していても、相手が確認していないというリスクも起こり得ます。

部署メンバーが集まっての朝礼、全社員対象の集会なども開きにくくなることから、経営層からのトップメッセージが伝わりにくいという点も懸念としてあげられるでしょう。

解決策

テレワーク中のコミュニケーション不足を解決するためには、新しいシステムやツールの導入が効果的です。具体的にどのようなものか解説します。

ビジネスチャットの導入・活用

チャットは会話の流れが見やすく、複数人で会話ができることから、メールよりも気軽にコミュニケーションがとれます。すでにビジネスチャットを導入している企業も多くあるでしょう。コミュニケーション不足解消のためには、ビジネスチャットを業務用としてだけではなく、雑談にも活用する方法があります。

ただし、業務に関する重要なメッセージが流れてしまうようなことは防がなければなりません。そのため、気になるニュースを話し合うグループ、趣味や部活動の話をするグループなど、用途別にグループを作成するようにしましょう。

Web会議システムの導入・活用

テレワークで会議やミーティングを行うときは、Web会議システムを利用することが一般的です。このWeb会議システムを活用し、コミュニケーションを促すことも可能です。

例えば、Web会議システムを使用したオンライン食事会、社内交流会などです。メンバー同士が会話しやすいように少人数グループにし、メンバーを定期的に入れ替えるとよいでしょう。会議やミーティングだけではなく、従業員同士が楽しめるWeb会議システムの使い方も試してみてください。

バーチャルオフィスサービスの導入

バーチャルオフィスとは、実際のオフィスを見立てた背景の中、自分のアバターを自由に動かせるものです。アバター同士が近づくと声が聞こえるようになるなど、二次元空間ではあるものの実際にオフィスに出社しているような感覚を味わえます。

また、バーチャルオフィスに離席中か会話可能かといったステータスがアバターに表示できる機能があると、一目で話しかけてもよいかどうかが分かります。何か質問があるとき、ちょっと雑談したい時に便利でしょう。テレワークでありながら、出社勤務に近い状況となることから、コミュニケーション促進が期待できます。

社内イベントの実施

社内イベントを開催すると、部署を超えたコミュニケーション促進に繋がります。

全社会や食事会など、規模や目的に応じて適切なイベントを実施することが重要です。

社内イベントは対面で行ったほうがコミュニケーション促進のためには効果的ですが、オンラインでも可能です。テレワーク導入企業で社員が実際に集まることが難しい企業や、従業員規模の大きな企業では、オンラインイベント・サービスなどを利用してオンラインで開催すると、コストをかけずにイベントを開催できます。

こういった社内イベントの場を通じて、企業理念や経営陣からのトップメッセージの浸透を目指すこともおすすめです。

課題③:時間管理の難しさ

マネジメント

出社勤務であれば働いているかどうか見るだけで分かりますが、テレワークでは労働状況の実態は把握しづらくなります。労働時間に勝手に中抜けしてしまう従業員や、就業後も労働を続けてしまう問題などが起こることもあるでしょう。プライベートである自宅で仕事をしていると、どうしても仕事とプライベートの区別が曖昧になるおそれもあります。

きちんと業務を行っている人に対して正しい評価を行うためにも、労働時間や労働状況を把握することは必要です。

解決策

基本的な措置として、従業員が労働状況の自己申告があります。チャットや退勤管理システムなどを活用し、始業・終業・中抜けの報告をリアルタイムに行います。テレワークで使用しているパソコンの利用状況を記録できると、正しく労働時間を把握できるでしょう。自己申告とパソコンの利用状況に大きな乖離があったときは、実態調査を行います

また、退勤申告後に働くことがないよう、労働者への聞き取り調査や成果物のチェックなども必要です。

参考:厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」

まとめ

テレワークは通勤が必要なく、ワークライフバランスが取りやすくなります。通勤手当の削減やオフィス縮小が可能となり、企業側にも大きなメリットがあると言えます。一方、従業員の運動不足、コミュニケーションの減少、労働管理が難しい、といった問題も抱えています。

こうした問題を解決するためにはさまざまな方法がありますが、ビジネスチャット、Web会議システム、勤怠管理システムの導入や活用が必要になってくるでしょう。企業の状況や解決すべき課題に合わせた社内イベントを開催するなど、工夫してみてください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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