テレワークで広がるオフィス勤務者の「不公平感」とは?職場の実態や原因・対策を解説

テレワークを導入すると、出社勤務の人とテレワーカーの間で、不公平感が発生することがあります。特にテレワーク希望なのに出社勤務である人にとっては、「なぜ自分ばかり我慢して出社しなければならないのか」と不満を持つケースが目立ちます。

出社勤務者にこのような不満が高まれば、テレワーカーとの間に溝が生じ、組織としてのチームワークや生産性が低下してしまうかもしれません。

そこで本記事は、経営層や上司、リーダーなどに向けて、出社勤務者がテレワーカーに対して感じる不公平感とは何か、不公平感が生まれる原因と対策、具体例などを紹介します。

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テレワークの導入により生じる「不公平」

テレワークの導入や拡大に伴い、企業の出社勤務者たちがテレワーカーたちと比べて不公平感を抱くケースが増えています。パーソル総合研究所の調査(※1)によると、出社勤務者のうち31.2%が「不公平感を感じることがある」と回答しました。

この不公平感は、テレワーク比率が上がるほど大きくなる傾向にあります。同調査によると、テレワーク比率が1割程度の企業では、不公平感を持つ割合が28.9%でした。それに対してテレワーク比率が6〜10割の企業では、不公平感を持つ割合が43.1%と約1.5倍に増加します。

こうした不公平感を放置すれば、社員の業務に対するモチベーションの低下、離職率の増加など、組織運営上のリスクになりかねません。

現在問題が生じていない企業でも、この不公平感は潜在的なリスクでしょう。ブイキューブがニューノーマルな働き方についてアンケート調査(※2)をしたところ、4割以上の人がテレワークを希望する結果が出ています。つまり、多くの企業はテレワークを推進しながら、出社勤務者たちの不公平感を抑える課題を持っているといえます。

※1出典:パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査 調査結果

※2出典:株式会社ブイキューブ「テレワークの生産性向上

出社勤務者がテレワーカーに感じる「不公平」とは?

なぜ出社勤務者はテレワーカーに対して不公平感を抱くのでしょうか。代表的な要因を解説します。

テレワーカーの仕事ぶりが見えない

上司や同僚の目が届かないテレワークでは、「サボりやすいだろう」というイメージを持っている人が少なくありません。パーソル総合研究所の調査(※)によれば、テレワーク導入企業の出社勤務者のうち、「仕事をサボっているのではないかと思うことがある」と回答した人は34.7%に上ります。

特に成果物が明確でない業務や、個人業務が中心で勤務時間中にあまり連絡を取らない職場では、「テレワーカーはサボっているのではないか」という疑念が起こりやすくなるでしょう。

※出典:パーソル総合研究所「「まだらテレワーク」時代の企業と組織

出社勤務者が少なくなって雑務が増えた

オフィスにくる電話応対や来客応対、郵便物の受け取りなどの雑務は出社しなければできません。テレワークの導入が進み出社勤務者の数が減ると、どうしても一人あたりの雑務の量は増えてしまいます。

雑務が増えれば、自分の業務の間に何度も対応を迫られ業務に集中できず、結果として残業が増えるようなことになりかねません。結果として、「なぜ私だけ雑務をしなければならないのか」「テレワーカーは自分の仕事だけすればいいから気楽でうらやましい」などの不公平感が出やすくなります。

テレワーカーは通勤しなくていい

在宅勤務のテレワーカーは通勤する必要がありません。そのため通勤時と比べて起床時間を遅くできます。また、スーツを着たり化粧をしたりといった準備の手間も最小限で済むでしょう。就業時間の直前までプライベートの時間を確保できるのも在宅勤務のメリットです。

これに対して出社勤務者は通勤が必要です。長時間の通勤やラッシュアワーで疲れている出社勤務者であれば、在宅勤務の人がうらやましいと感じて当然でしょう。コロナ禍においては、「出社勤務者たちだけ感染リスクが高い」と不公平感を持った人もいます。

出社勤務者のほうが精神的に負担を感じやすい

株式会社ネオマーケティングの調査(※1)によれば、仕事上でのストレスを感じる理由のトップは「上司・同僚・部下など社内の人間関係」(62.2%)でした。この人間関係の問題についても、直接顔を突き合わせる出社勤務者のほうが、ストレスを感じやすい傾向があります。

とはいえ、テレワーカーたちもコミュニケーションの希薄化による孤独感や、オン・オフの境界があいまいになる不安など、オフィス環境にはないストレスを抱えているのも事実です。

リクルートの調査(※2)によれば、コロナ禍でテレワークを開始した人のうち、テレワーク前になかったストレスを「強く感じた」と答えた人の割合は13.4%、「やや感じた」と答えた人の割合は46.2%に上っています。

理由としては、オンオフの切り替えがしにくい、リフレッシュの場がない、孤独を感じる、などが挙げられています。しかし、こうしたストレスは、テレワークを体験したことのない出社勤務者には理解しにくく、「隣の芝生は青い」状況になりがちです。

※1出典:株式会社ネオマーケティング「オフィスワーカー800名に聞いた「オフィスワーカーのストレスに関する調査」

※2出典:株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査

テレワークのほうがプライベートを確保しやすい

テレワークによる在宅勤務では、通勤時間がなくなった分プライベートの時間を確保しやすく、育児や介護などと両立しやすいのが特徴です。出社勤務のときよりもワークライフバランスを取りやすくなったという人もいるでしょう。

こうしたプライベートを重視した働き方を求める出社勤務者のなかからは、「自分もテレワークで働きたい」と思う人が出てきます。特に、子育てや介護、心身の健康への不安などに切実な理由がある人は、強くテレワークを希望する傾向にあります。

しかし、業務内容やテレワーク環境の未整備などによっては、テレワークが不可能です。こうした状況では「なぜ自分だけがテレワークできないのか」と不公平感が生じてしまうでしょう。

不公平感の原因となるのはテレワークができないこと・その理由とは?

出社勤務者がテレワーカーに対して抱く不公平感の大きな要因になっているのは、自分がテレワークしたくてもできないという状況です。それではなぜ出社勤務者はテレワークに移行できないのか、理由や背景を解説します。

出社の必要がある業務だから

業務の性質上、テレワークに移行しにくいケースがあります。代表的なケースは以下のとおりです。

  • 接客販売や医療福祉関係などの対面業務
  • 建設現場や工場などでの現場での業務
  • 経理や人事のシステムなど高いセキュリティレベルが求められるシステムを使う業務

このようなテレワークに向かない業務は、どうしても出社しなければなりません。

デジタル化が進んでいないから

テレワークでは、メールやチャットを通じて電子データをやり取りすることが必要です。そのため、デジタル化が進んでいない企業では、資料の管理や会議のために出社しなければならず、テレワークの対象者を広げにくい傾向があります。

特に紙文化が多く残る企業では、書類にハンコを押すため、郵送物や契約書、請求書などの処理のために出社する機会は多くなります。社内の書類をデジタル化できれば、テレワーク中の自宅からでも作業可能です。

企業や上司がテレワークに積極的でないから

企業や上司がテレワークに消極的というケースもあります。例えば、「現場、現実、現物」を重視する三現主義を受け継いできたホンダは、コロナ禍が沈静化したあと、テレワークを廃止して原則出社に変えました。

また、上司のITリテラシーが低いために、テレワークを避けるケースもあります。具体的には「高齢の上司がZoomを使いこなせず、会社で会議をするのでテレワークしづらい」といったケースです。

このように企業や上司の方針によりテレワークが進まないことはあります。ただ、テレワークを廃止するための明確な理由や基準があるならば、社員の不公平感はそれほど生じないでしょう。しかし、「単身者だけ原則出社になった」「他部署はテレワークを推進している」などの偏りがあれば、不公平感は出やすくなってしまいます。

 不公平を解消するための対策

どのようにしたら出社勤務者が持つ不公平感を少なくできるのでしょうか。ここでは3つの対策を紹介します。

ITツールを導入する

ITツールの導入によって不公平感が解消される場合もあります。代表的なツールは以下のとおりです。

導入するツール

実現できること

Web会議システムの導入

  • 会議のために出社する機会の減少
  • 出社勤務者とテレワーカーがコミュニケーションを取りやすくなる

ビジネスチャット

 

 

  • 手軽でリアルタイム性があるため、コミュニケーションが円滑になる
  • 出社勤務者がテレワーカーに仕事を頼みやすくなり、不公平感が減る効果を期待できる

クラウドPBX

 

  • 会社にかかってきた電話をインターネット経由でテレワーカーの携帯電話に転送できる
  • 出社勤務者の電話対応の負担を減らせる

電子印鑑の導入

承認、回覧作業がテレワークでできるようになる

電子取引システムの導入

請求書や領収書、契約書などをペーパーレス化してテレワーク対象者を増やせる

 

不公平感が出にくいルールに更新する

出社勤務者とテレワーカーが不平等に扱われないように、テレワーク導入に合わせて社内制度の見直しが必要です。見直す内容は企業や職場によって違いますが、例えば次のような案を検討できるでしょう。

課題

対策例

テレワーカーがサボっているのではないかという不公平感

  • 在籍確認ルールを設ける(パソコンの稼働状況がわかるITツールを導入する、Webカメラをオンにする時間帯を決めるなど)
  • テレワーク勤務者に対しては、勤務場所を明示した辞令を発行する

など

出社勤務者の勤務負担についての不公平感

  • 出社勤務者とテレワーカーで給与や人事評価の仕方などが変わるのか明文化する
  • 出社勤務者の雑務負担が増えている場合は、仕事の割り振り量を調整する

など

テレワークできないことへの不公平感

  • 職種や家庭の事情(育児や介護、オフィスまでの距離)など、テレワーカーを選ぶ基準をつくる
  • 時短勤務やフレックス制、独自の育休制度などの導入によって、出社勤務者も多様な働き方を実現しやすくする

など

 

必要に応じてアウトソーシングを活用する

顧客対応や商慣習などの理由で、どうしても残さなければならないアナログ業務もあります。例えば、電話対応や郵送作業、カスタマーサポートなどです。このようなアナログ業務をアウトソーシングすれば、テレワークの対象者を増やせます。

例えば、電話応対を代行業者に依頼することにより、代わりにオフィスにかかってきた電話の受け答えをしてもらう、というようなものです。

アウトソーシングには費用がかかりますが、業務効率化によって、トータルでコストカットできる場合もあるでしょう。また、出社勤務者をテレワークに移行できれば、必要なオフィススペースが少なくなり賃料を減らしたり、交通費を削減したりするなど、他の経費削減も見込めます。

まとめ

テレワークを導入すると、社員同士が不公平感を抱くケースが多くなります。テレワークは通勤の手間がかからずワークライフバランスを保ちやすく、接客や電話応対などの雑務をしなくて済むため、どうしても出社勤務者に対して「ずるい、うらやましい」というような感情が生じてしまいます。

不公平感が社内に蔓延すると、社員のやる気の低下や離職率上昇につながり、企業にとっては損害です。そこで、互いに円満な関係を保つためには、社内ルールの見直しや、ペーパーレス化や電話応対を自宅で行うためのツールの導入が必要になるでしょう。また、出社が必要な業務はほかの業者にアウトソーシングする方法もあります。

それぞれの企業がテレワークを導入するにあたって感じている課題に合わせ、上記のような解決方法を試してみてください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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