企業に大きな利益をもたらす経費削減案を7つ厳選
企業が利益を得るために売上げを上げることは大切な活動のひとつです。一方で見落とされがちですが、売上を上げることと同じくらい大切な活動として、経費を減らすことが挙げられます。このことから多くの企業が経費を減らすためのさまざまな対策を行っています。そこで今回は、効果的に利益を増やすためにできる経費削減の案について解説します。
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経費とは何か
近年、企業活動における経費削減は、重要な活動として捉えられています。まずそもそも経費とは何でしょうか。経費とは、企業が事業を行っていくなかで、収入を得るためにかかる費用のことをいいます。
仕入れなど収入を得るために直接要した費用と、業務管理などにおいてかかった費用と大きく2種類に分けられます。それでは、経費として計上する費用は具体的にどのようなものでしょうか。代表的な経費、6つについてご紹介します。
1.人件費
経費として最も有名なもののひとつに人件費があります。人件費とは文字通り、労働において主に人に対して支払われるお金のことをいいます。労働に対する給与をはじめ、そのほかさまざまな手当がここには含まれます。人件費はもっともかかる費用のひとつとしても考えられているため、効率的に人件費を抑えることは、すなわち効果的な経費削減につながります。
2.消耗品費
消耗品費は、事業を行ううえでかかる費用のひとつです。一般的にも「消耗品」という言葉が使われていますが、企業会計上ではとくに、使っていくうちになくなるものに加えて、価値がなくなっていくものも合わせていいます。文具や名刺、コピー用紙といったものにかかる事務用消耗品費と、工具や道具箱、手袋といった工場消耗品費の大きく2種類に分けられます。消耗品費は無駄遣いを減らすことで、経費削減が可能です。無駄遣いを減らすことは一見すると小さなことのように捉えられがちですが、日常のさまざまな業務につながることなので、大切です。
3.接待交際費
接待交際費は、業務に関する飲食など、接待にかかる費用のことをいいます。しかし、一般的な飲食すべてが対象になるわけでありません。あくまでも経費の原則として、収入につながる動きとしての飲食が経費の対象になります。
4.旅費交通費
旅費交通費は、業務を行ううえで必要な移動手段を利用したときにかかった費用のことをいいます。鉄道やバス、タクシーなどを利用したときにかかるお金が一般的には計上され、通勤手当なども含まれます。また出張のときにかかった交通費や宿泊代、出張手当などは出張費という経費として計上できます。
このような移動にかかるお金もこれまでは減らしにくいと考えられてきましたが、近年では自由度の高い新しい働き方の普及や、ICTの活用によって減らすことができる経費として見直すことが期待されているのです。
5.研修費
研修費は、業務で必要なさまざまな研修に参加した際にかかる費用のことです。研修そのものにかかる費用はもちろんのこと、研修に行くための交通費なども合わせて経費として計上されます。研修も仕事をするうえで重要な活動のひとつで、むやみに減らすことができません。しかしICTの活用で減らすことができるようになってきています。
6.通信費
通信費は、業務で必要にな電話料金や郵便代金など通信のための費用のことをいいます。最近ではインターネットの普及にともない、業務上でのインターネットや携帯電話の利用料なども含まれるようになっています。
効果的に経費を削減するために
ここまで代表的な経費について紹介してきました。ここで紹介した以外にも収入を得るために使ったさまざまなお金が経費として計上されます。では経費を効果的に減らすためにはどのようなことを意識すればいいのでしょうか。
目的は利益の最大化
経費は収入を得るためにかける費用をいいます。そのため経費を減らした分が、そのまま利益を増やすことにつながります。一般的には、利益を増やすためには、まず売上を上げることを考えがちです。しかしながら経費を減らすことは売上を上げることよりも、より効果的に利益を増やすことにつながります。このように経費削減の目的は、利益の最大化で、効果的な経費削減は企業活動を続けるにあたって、重要なポイントのひとつと捉えましょう。
無計画な経費削減はかえって逆効果
経費を減らすことは利益を増やすうえで、大切な観点です。しかしながら経費削減そのものを目的として、むやみやたらにあらゆる経費を減らすことはかえって逆効果です。経費を減らすことは、それまでのあり方を変えることになるので、従業員への負担につながるだけでなく、計画性をもって行わないと、必要な経費を減らしてしまい、結果的に生産性が下がることにつながってしまう恐れがあります。
このようなことにならないためには、利益の最大化のためになにができるかを考えることで、より効果的な経費を減らすこと、すなわち利益の最大化が達成できます。さまざまな観点から抜本的に仕事のあり方全体を見直すことで、経費削減をより効果的に行いましょう。
大きな効果が見込める7つの経費削減案
ここまで経費を減らすことの重要性についてみてきました。では実際に効果的に経費を減らすことができる具体的な方法について、その例をいくつかご紹介します。
1.ペーパーレスを徹底する
働き方改革が進められるなかで、近年注目を集めている業務効率化策のひとつにペーパーレス化があります。ペーパーレス化とは、仕事に必要な書類をこれまでのように紙ではなく、データに置き換えることで図る業務効率策のことをいいます。ペーパーレス化によって、それまで書類をつくるためにかかっていた印刷費やコピー用紙代などの消耗品費を減らすことができます。
書類を保管するための場所が必要なくなるので、保管にかかる費用を減らすことにもつながります。またオフィススペースも必要最低限に減らすことができ、スペースを有効活用することができます。このようにペーパーレス化は働き方改革をすすめるだけでなく、経費を減らすうえでも重要な対策のひとつです。ICT技術の発達によって、これまでよりもより効果的なペーパーレス化が可能になっています。ここではペーパーレス化に役立ついくつかのツールも合わせてご紹介します。
Googleドライブ
IT業界大手のGoogleは、ペーパーレス化に役立つさまざまなツールを提供しています。なかでも「Google Drive」は、Googleのサーバー上で提供されるデータ保存と共有のサービスです。Googleのアカウントを持っていれば無料で利用することができ、文書や画像、音声といったさまざまなデータの保存と、ほかのアカウントへのデータ共有が簡単に行えます。
特徴はGoogleドライブ上でドキュメントやスライド、スプレッドシートが利用できることです。ファイルの閲覧だけでなく、編集が可能で、コメントをつけることもできるので、共同作業をリアルタイムで簡単に行うことができます。個人向けのサービスが一般的に利用されていますが、それ以外にもビジネス用サービスも提供されています。
Dropbox Business
「Dropbox」は、サーバー上に保存するファイル共有サービスを提供しています。こちらの特徴は、Dropboxのアプリケーションを使用するパソコンにインストールすることで、デスクトップからDropboxに保存しているファイルに直接アクセスができるので、パソコン上に保存しているファイルと同じ感覚でファイルにアクセスすることができます。
またアプリケーションをダウンロードすることで、スマートフォンやタブレット端末でも利用することができるので、便利です。Dropbox Businessでは、とりわけ大容量のデータを保存することができるので、データ量を気にすることなく、利用することができます。
Evernote
「Evernote」は、サーバー上に保存するノート共有サービスです。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末でも利用でき、さまざまなメモや文書を作成、保存、共有することができます。また文書上に音声や画像などのデータを添付することも可能です。リマインダーやTodoリストといった業務をスムーズに進めるツールを簡単に作成することもできます。
また紙の情報とも連携できるサービスも提供されています。文房具のモレスキンではEvernote連携用のノートを販売しており、紙のノートに手書きした情報を、アプリケーションを通してEvernoteにデータとして保存できます。またスキャンスナップでは、専用のスキャナーを利用して、紙の書類をデータ化し、Evernoteで保存、共有できるようになっています。
2.フリーアドレス化でオフィスの省スペースに
ペーパーレス化にともなって、オフィスの省スペース化が期待できるものに、オフィスのフリーアドレス化があります。フリーアドレスとは、これまで従業員1人に1つずつ作っていた固定席を作らずに、図書館の閲覧室のように、自由な席で仕事を行えるようにする仕組みのことをいいます。
営業や客先常駐、パートタイマーなど、毎日出社しない従業員の固定席は、出社しないときには余分なスペースになっていました。そこで実際に必要な従業員の分だけ席を用意し、必要なスペースを減らすことができるのです。
3.テレワークの導入で旅費交通費や移動時間を削減
働き方改革の一環でさまざまな組織で行われている新しい働き方にテレワークがあります。
テレワークはICTを活用することでできる、時間や場所にとらわれない新しい働き方をいいます。これまで従業員はオフィスに出社し、同じ場所同じ時間に仕事をするのが一般的でした。
これを自宅や自宅から近いサテライトオフィスで仕事を行えるようにすることで、従業員が必要最低限の移動で仕事ができるようになります。通勤にかかる旅費交通費や移動時間を減らすことが可能です。また時間や場所にとらわれないことで、労働力を確保できるほか、ワークライフバランスの向上につながるため、生産性の向上も期待されています。
ウェブ会議システム
従業員間の打ち合わせや面談は、仕事をスムーズに進めるうえで大切です。これまで従業員が同じオフィス内で一緒に仕事をしていたとしたら、打ち合わせや面談は簡単に行うことができましたが、遠隔地でそれぞれ仕事をする場合は物理的に対面することは簡単ではありません。そこで登場しているのが、ウェブ会議システムです。ウェブ会議システムとは、インターネットを利用して提供されるビデオ通話です。
専用のサービスを利用することでパソコンなどのデバイスがあれば、いつでもどこからでもアクセスができ、実際に対面で行うように相手の表情を見ながら会議を行うことができます。またデバイスの画面や資料を共有することもできるので、資料やスライドを見ながらの会議も簡単に行うことができます。こうしたサービスの登場により、これまで打ち合わせのために行っていた出張やクライアントへの訪問も必要最低限で済ませることができ、費用や時間などのコストを減らすことができます。
Zoom ミーティング
出典:zoom公式ページ
Zoom ミーティングは、世界各国75万以上の企業や組織で利用されているWeb会議サービスです。通信速度が比較的低速なネットワーク回線でも途切れにくく、音声の途切れがほとんどありません。
Web会議の開催にライセンスを取得する必要があるのは主催者のみで、参加者は会議アドレスへ招待されることで、ブラウザから誰でもWeb会議へ参加できます。
▼ライセンス別の主な比較表
Basic (無料版) |
||||
契約ID数と価格(年間) |
1ID /無料 |
1〜9ID /26,400円 |
10〜49ID /要見積もり |
50ID以上 /要見積もり |
グループ会議(3人以上)可能時間 |
40分まで |
無制限 |
無制限 |
無制限 |
ホスト可能な参加者人数 詳細 |
100人まで |
100人まで (アドオン可能) |
300人まで (アドオン可能) |
500人まで |
録画 |
ローカル保存のみ |
ローカル /クラウド保存 (1GB/ ID) |
ローカル /クラウド保存 (1GB/ ID) |
ローカル /クラウド保存 (無制限) |
ブイキューブが提供するZoom ミーティングの有料版では、ミーティングの映像や音声を録画・録音してクラウド保存しておくことが可能です。
投票機能やユーザー管理機能もついており、ビジネスシーンでも快適に利用することができるでしょう。
Zoomの有料版を使うべきメリットとは?
Web会議ツールZoomの有料版を使うべきメリットについては、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
4.研修はeラーニングで行う
ICTの活用により、近年では研修のあり方も変化しています。そのなかで注目されるのが、eラーニングです。eラーニングとはICTを活用した学習形態のことをいいます。これまで研修は講師と受講者を長時間、同じ場所に拘束する必要があり、時間や費用などのコストがかかっていました。これがインターネットやデジタル端末の普及により、パソコンやタブレットを使って、時間や場所にとらわれず自主学習ができるサービスが整備されています。これによってかかっていた時間や費用を減らすことが可能になっています。
QUMU
社員研修で注目されるサービスのひとつに、「QUMU」があります。QUMUは組織内動画配信プラットフォームで、組織のなかで利用する動画を作成、共有できるサービスです。社員間の研修やマニュアルを動画として作成、配信、閲覧ができます。これにより実際にその場で教えているかのような、わかりやすく直感的な習得が可能です。
動画の作成は誰でも簡単にできるので、作成のための外注コストを減らせるだけでなく、いつでもどこでも動画を見ることができるので、研修のための時間や費用も最小限に抑えられ、業務の効率化を図ることができます。
5.業務のマニュアル化で人件費削減
仕事を特定の従業員に依存しすぎてしまうと、その従業員が異動や退社するときに、後任への引き継ぎのための教育コストがかかってしまいます。これを最小限に抑えるために有効な手段が業務のマニュアル化です。マニュアルは手順書ともよばれるように、ある仕事の具体的な流れを示した文書のことです。
さまざまな仕事のやり方を明文化することで、教育コストの削減と効率化が期待できます。また適切なマニュアルを作ることによって、誰もがその業務にあたることができるので、正社員から派遣社員、パートタイマーにシフトすることで、業務全体の効率化が図れ、人件費を減らすことが期待されます。
6.アウトソーシングを活用する
仕事の効率化のあり方として、アウトソーシングの活用も経費削減につながる取り組みのひとつとして注目されています。アウトソーシングとはもともとは外部調達を意味する言葉で、近年一般的な使われ方としては、それまで従業員が行っていた業務を社外の専門家や企業に委託することをいいます。会計や税務をはじめとした事務作業や工場の作業外注など、委託することで高品質な業務を低価格で提供してくれるほか、従業員には重要な業務に集中してもらえるようになることで、社内の業務の効率化が期待できます。
クラウドソーシングの活用
近年インターネットの普及で新たに登場しているのが、クラウドソーシングです。クラウドソーシングとはインターネットを介して受発注できる業務委託のことです。仕事の依頼から応募者の選定、契約、納品や検収、支払いまでをインターネットのサービス上で行うことができます。最近ではクラウドソーシングサービスを提供するさまざまなサイトを利用することで、さまざまな専門家に安心して仕事を発注できるようになっています。
7.助成金を活用する
助成金は国が企業の雇用関連で支給される支援金のことをいいます。要件を満たしていれば助成金が支給されます。融資と異なり返済がいらないため、その分経費を減らし、利益の最大化につながります。厚生労働省の公式サイトをはじめ、行政区でも助成金に関するさまざまな情報を提供しているので、ぜひ一度確認しましょう。
まとめ
経費削減は、売上を上げるのと同じように、企業活動を続けるために大切な業務のひとつです。むやみやたらに無駄を省こうとするような経費削減は、簡単に効果を得ることができませんでした。
しかしICTを活用したさまざまなサービスが提供されるようになり、効果的な経費削減が簡単に行えるようになってきています。また業務の効率化や働き方改革への対策といったさまざまなメリットも期待できます。
効果的な売上の増加のために、経費削減をきっかけに、業務全体の抜本的な見直しを行ってみてはいかがでしょう。