執務室を快適にするには?生産性を高めるレイアウトと家具の考え方

執務室は出社する社員が長い時間を過ごす空間であり、効率的な業務運営や、社員同士のコミュニケーションに影響を与えます。

しかし、快適な執務室を設計するための方法には詳しくないという企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、執務室に求められる役割や機能といった基本情報からレイアウトを検討する際のポイント、求められる家具や設備の情報まで、わかりやすく解説します。

執務室を改善する際や、新たにオフィスを設計する機会に、ぜひ参考にしてください。

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執務室とは

執務室とは、主にオフィス内で業務を行うために設けられた空間を指します。社員が日常的にデスクワークや電話対応、ミーティングなどを行う場所であるため、そのクオリティが業務の生産性や社員の快適性を左右するといえるでしょう。

働きやすさが重視される現代において、執務室は単に作業をするスペースではなく、社員のモチベーションや企業のブランドイメージを反映する場所となっています。

執務室に求められる役割・機能

執務室は事務室と呼ばれることもあり、その役割は「日常業務の遂行」と捉えられがちです。しかし執務室には、その他にも重要な要素があります。ここでは、その役割や機能を具体的に解説します。

集中して作業する場

執務室に求められる役割のひとつは、社員が集中して業務に取り組める環境であることです。特に、ノイズなどの外部干渉が最小限に抑えられていることがポイントとなります。

例えば、デスクの配置やパーティションの設置、吸音材の使用といった工夫によって、社員の集中度を高めることが期待できるでしょう。

コミュニケーションの場

執務室には、社員同士のコミュニケーションを促進する機能も必要です。チーム間の連携や情報共有がスムーズにできる環境は、業務効率を高める上で不可欠だからです。

自然なコミュニケーションを促すには、デスクスペースとは別に、誰でも利用できるオープンスペースを配置するのが効果的でしょう。こうした空間で行われた雑談やアイデア交換が、円滑な問題解決につながる可能性があります。

セキュリティを確保する場

機密情報や顧客データを取り扱う執務室は、セキュリティが確保できる環境でなければなりません。

例えば、セキュリティカードやバイオメトリクス(指紋認証や顔認証)などによる、執務室への入室管理システムはその代表です。また、デジタルデバイスやネットワークのセキュリティ対策、キャビネット類のロックや防犯カメラの設置も重要な施策といえます。

ブランドイメージを強化する場

執務室は、ブランドイメージを強化する場でもあります。オフィスデザインやインテリアによって企業文化を表現することで、顧客や取引先などに信頼感やプロフェッショナルリズムを伝えることが可能だからです。SDGsを意識した設計であれば、企業としての社会的責任も強調することもできるでしょう。

また、洗練されたデザインの執務室は、社員のモチベーションを向上させる効果も見込めます。

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生産性の高いオフィスに求められるもの

弊社ブイキューブでは、オフィスに関する意識調査も独自に行っています。2022年に実施した調査では、生産性の高いオフィスに求められるものの上位3つは、以下の通りです。

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  • 第1位:集中して業務に取り組めるスペース
  • 第2位:高速通信ネットワーク環境
  • 第3位:人とコミュニケーションをとれるスペース

本調査では、集中して業務ができる環境が生産性に影響を与えると考える人が、最も多いことがわかりました。また、集中力を維持するにあたって、ネットワーク環境が整っていることは、もはや不可欠といえるでしょう。

一方で、コミュニケーションスペースへの要望も少なくありません。これは、1人で集中できることと、他の社員と連携を取れることの両立が重視されていることを意味します。一口に執務室といっても、シーンによって使い分けのできるスペースが必要とされているようです。

出典:ハイブリッドワーク時代におけるオフィスに関する意識調査結果

執務室に設けるべき空間

複数の役割を備え、社員の要望もかなえる執務室を実現するには、どのような空間を設けるべきでしょうか。ここでは、執務室に必要とされるスペースの種類について解説します。

作業スペース

作業スペースは、社員が日々の業務を行うベースとなる場所です。この空間では、業務の効率性と集中力が引き出されるような設計が求められます。

例えば、業務スタイルに適したデスク・椅子の選定や配置、目の疲れを軽減できるような照明、業務に必要な資料や文房具などが整理しやすい収納スペースなどが必要となるでしょう。

会議・打ち合わせスペース

会議・打ち合わせスペースは、社内ミーティングや顧客との商談などに使用される場所です。ここでは、情報共有や意思決定がスムーズに行えるような配慮が必要とされます。

具体的には、会議の規模や種類によって使い分けのできるスペースが複数あるのが理想的でしょう。内部には、テーブル・椅子以外に、プロジェクターやホワイトボードを設置するケースもあります。

来客専用のスペースを設ける場合は、必要に応じて防音設備を施したり、ドリンクサーバーやお茶菓子を常備したりするのもおすすめです。

Web会議用スペース

Web会議用スペースは、顧客とのオンラインミーティングや、テレワーク社員との会議などに利用されます。

オンラインでのやり取りを円滑に行うには、独立した専用空間が効果的でしょう。周りのノイズを最小限に抑えることで、Web会議に集中しやすくなるからです。特に、防音性能の高い個室タイプのスペースは、社員の働きやすさにもつながります。

また、Web会議用スペースでは、高品質なWebカメラやマイク、照明なども重要な要素です。顧客との打ち合わせなどでは、背景がすっきりしている点にも気を配る必要があります。

休憩・リフレッシュスペース

休憩・リフレッシュスペースは、社員同士がコミュニケーションを取ったり、リフレッシュしたりするための場所です。適度なリラックス時間を持てる空間があることで、業務効率の向上につながります。

このスペースでは、作業や会議用とは異なるインテリアが有効です。例えば、ソファやリクライニングチェア、観葉植物などを配置し、他のエリアと異なる印象を持たせることで、リラックス効果が生まれます。

スペースに余裕がある場合は、軽食コーナーやエクササイズスペースを用意してもよいでしょう。

執務室に設けるべき空間が整っていると、社員の集中力やコミュニケーションが向上します。もっと効果的な空間づくりを目指す方には、『オフィス環境改善ガイド』が役立ちます。

リラックススペースや休憩エリアの設置方法など、具体的なアドバイスがたくさん詰まったこのガイドを無料でダウンロードして、オフィスのさらなる改善にお役立てください。

執務室レイアウトを考えるポイント

執務室には、さまざまなスペースが必要ですが、レイアウトの検討を難しく感じることもあるかもしれません。ここでは、理想的な執務室を設計するためのポイントを解説します。

どのような役割を持たせるか

まずは、執務室全体にどのようなエリアが必要かを検討します。作業スペース、会議室、休憩スペースなど、執務室に配置する空間を決定しましょう。

執務室内の各エリアの役割が明確になっていないと、何のためのスペースなのかが曖昧となり、社員によって使い方が違うといった事態を生みます。こうした状況は、結果的に業務効率を低下させる可能性にもつながります。

そのため、作業スペースには静音効果のある仕切りを設ける、コミュニケーションスペースは開放的な設計にするなど、それぞれのエリアが適切に活用されるよう、役割を持たせることが重要です。

レイアウトの検討

レイアウトの検討段階では、執務室内の設備の配置を計画します。作業スペースのデスクや収納を置く場所、会議室、休憩スペースの配置をイメージしましょう。

執務室内の各エリアや、そこにある家具・設備が適切に配置されていると、業務の流れをスムーズにするだけでなく、コミュニケーションを促進したり、移動の無駄を削減したりすることが可能です。

例えば、社員のデスクをチーム別に配置した上で、作業スペースの中央に共有テーブルを設けるレイアウトの場合、チーム内の連携は確保しつつ、所属を超えた情報共有やコミュニケーションが生まれやすくなります。

導線の検討

レイアウトを検討する際は、社員の導線を意識することも大切です。導線が悪い執務室では、移動時間の増加や業務効率の低下が社員のストレスにつながるからです。

例えば、作業スペースと会議室の間に休憩スペースが配置されている場合、来客時の移動に余計な時間がかかる、急いで書類を取りに戻る際に不便を感じるといった不満を生む可能性があります。

導線は、あるエリアから別のエリアへの移動が直線で結ばれている設計が最も効率的です。また、移動の際に他の業務をする人の動きを妨げないよう、通路を設けるといった工夫もするとよいでしょう。

必要な家具の選定

配置するエリアとレイアウトが決まったら、それぞれに適した家具を選定します。使いやすい家具は、社員の業務効率や快適性を向上させるため、慎重に検討しましょう。

例えば、長時間の集中作業を必要とする社員にとって、疲れにくいデスクや椅子は欠かせません。逆に、休憩スペースではリラックスを目的とした家具選びが必要です。

また、収納スペースも使用頻度に応じた使い分けを意識しましょう。頻繁に使うものを、その都度立ち上がって取りに行かずに済むといった小さな工夫が、業務効率アップにつながります。

執務室に求められる家具・設備

執務室に配置する家具や設備は、社員の業務効率や働きやすさに影響を与えます。ここでは、どのようなものが執務室に求められるのかを具体的に紹介します。

エルゴノミクスに基づいた椅子・机

エルゴノミクスとは人間工学とも呼ばれ、人の特性に合った快適な環境やツールを研究する学問です。

執務室では、特に作業スペースにおいて、エルゴノミクスに基づいた椅子や机が重要となります。こうした家具は長時間のデスクワークによる腰痛や肩こり、眼精疲労などを軽減する効果が見込まれるからです。

大手家具メーカーのカリモク家具が実施した、デスクチェアの座り心地に関するアンケートによると、デスクチェアの違和感が身体に与える影響の第1位は「腰が痛くなる(41.3%)」でした。同調査では、「肩がこる(32.9%」「お尻が痛くなる(30.2%」という回答も目立ちます。

このことから、執務室で使用する椅子や机を選ぶ際は、腰や首を支えるサポート機能や、高さや角度を変えられる調整機能がポイントとなるといえるでしょう。

個室ブース

個室ブースは、Web会議や電話、集中作業を快適に行うためのスペースです。オープンスペースで構成される執務室の場合、周囲の音や視線が気になることで業務の集中が妨げられることが珍しくありません。そのため、プライバシーや気密性に配慮された個室ブースは生産性を向上させる上で重要な役割を果たします。

弊社ブイキューブが行った、オフィスに関する意識調査でも、個室ブースで解決したかった課題として「Web会議をする際の音の問題(40.0%)」が最も多く聞かれました。

個室ブースを選定する際は、外部の音を遮断すると同時に、内部の音も漏れない設計になっているかを重視するとよいでしょう。また、長時間の使用に耐えうる換気設備や照明なども意識的にチェックするのがポイントです。

オフィス用の個室ブースはどう選ぶ?タイプ別の特徴や抑えておきたい消防法への対応などのポイントを紹介

BYODについては「オフィス用の個室ブースはどう選ぶ?タイプ別の特徴や抑えておきたい消防法への対応などのポイントを紹介」の記事で詳しく解説しています。

高速回線

現代ビジネスにおいて、オンラインでの業務は欠かすことができません。そのため、インターネット接続の速度と安定性が適切であるかどうかは、業務の生産性に大きく影響します。

特に、コロナ禍を経て一般的となったWeb会議では、高速回線の役割が重要といえるでしょう。株式会社イトーキが実施した、Web会議に関する調査でも、会議中の不満として最も多く聞かれたのは、途切れや遅延などの通信品質に関するものでした。

高速回線は、光ファイバー回線や高性能なルーターによって支えられています。執務室の通信環境を整える際は、その速度や安定性を確保すると同時に、トラブル時のサポート体制にもこだわることが大切です。

ディスプレイ

パソコンの画面を表示するディスプレイには、デスクトップ型以外に、デュアルディスプレイや大型モニターも含まれ、そのクオリティが業務に影響します。特に、プログラミングやデータ分析、デザイン業務では、複数のディスプレイを並べて作業することが多く、見やすさや大きさが重要です。

日経BPによる業務用パソコンのアンケート調査では、業務で求められるディスプレイサイズは16インチ以上という声が圧倒的に多いというデータもあります。そのため、ディスプレイの選定時は解像度やサイズを重視するのがポイントです。

また、目への負担が軽減できるブルーライトカット機能や、画面のちらつきをなくすフリッカーフリー機能も備わっているとよいでしょう。複数のデバイスを接続する業務では、必要なポート数が確保できているかどうかも確認が必要です。

観葉植物

観葉植物は、無機質になりがちな執務室に自然を取り入れ、リラックス効果や集中力の向上をもたらすとされています。空気の浄化効果もあるため、オフィス環境の改善にも寄与するでしょう。

農林水産省が発表した「職場における花や緑の導入実態調査」では、職場に観葉植物や花があることで、執務室の明るさやリラックス効果を感じる社員が増えることがわかっています。

また同調査では、観葉植物がある環境の場合、業績向上やコミュニケーションの活性化、オフィス満足度アップへつながることも判明しました。

実際に執務室へ観葉植物を取り入れる際は、インテリアに合った種類やサイズを検討するとともに、水やりなどの負担が少ないものを選ぶのがおすすめです。

ドリンクサーバー

ウォーターサーバーやコーヒーマシンなどのドリンクサーバーは、主に社員のリフレッシュのために設置されます。手軽に水分を補給したり、コーヒーブレイクを取れたりする環境では、適度なリラックス時間を確保しやすいため、低下してしまった集中力を取り戻すのに効果を発揮するでしょう。また、乾燥しやすい執務室の場合、水分補給は社員の健康を維持する上でも重要となります。

コーヒーメーカーで知られるネスプレッソの調査によると、オフィスのコーヒースペースは生産性の向上やアイデアの創出につながると回答した人は約9割にもなったそうです。

ドリンクサーバーの導入時は、誰でも簡単に操作できるものを選びましょう。社員のニーズを取り入れることが満足度につながりやすいため、事前にアンケート調査などを実施するのもおすすめです。

執務室の家具や設備は、働きやすさに大きな影響を与えます。『オフィス環境改善ガイド』では、エルゴノミクスに基づいた家具選びや最新のオフィス設備の活用方法など、効果的な改善アイデアを紹介しています。

まとめ

執務室は社員の働きやすさを意識して設計することによって、単なるオフィス以上の価値を持つ空間となります。

快適な執務室を作る際は、求められる空間が配置できているか、レイアウトは適切か、必要な家具や設備はそろっているかなど、慎重に確認しながら計画を進めましょう。方向性に迷う場合は、実際に働く社員の意見を参考にすることも大切です。

本記事で解説した内容を参考に、企業全体のパフォーマンス向上につながるような執務室を目指してください。

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山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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