日本と海外のテレワークの違いは?実際に体験した3つの問題点と対処法

はじめまして、川本 凜と申します。「テレワークで日本を変える」というキャッチコピーを掲げる株式会社ブイキューブに2019年の4月に新卒入社しました。新卒でありながらテレワークができる環境で仕事をしていたところ、11月にサンフランシスコへの出張が決まり、出張のかたわら現地で2日間テレワークをすることになりました。

この記事では、日本と海外でテレワークを実際に行った私の経験を元に、海外でテレワークをする際の問題点とその対処法について解説していきます。

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2020年における日本のテレワーク事情は?

本題に入る前に、まず昨今ではどのくらい日本の企業でテレワークが導入されているのかという現状を見ていきましょう。

テレワークはオフィスから離れた場所で仕事ができるという特徴から、柔軟な働き方を実現し、働き方改革を進める有効手段です。

働き方改革と合わさって普及が進んでいるイメージはありますが、実際にはどの程度普及しているのでしょうか。総務省が2019年に発表した「令和元年版 情報通信白書」によると、テレワーク導入企業は、2018年時点ではわずか19.1%に留まっています。

テレワーク導入率

出典:総務省

つまり、2018年時点では、まだ約8割もの企業でテレワークが行われていなかったということになります。2020年には新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークへの注目もあり、テレワーク導入企業は徐々に増加しているのも事実ですが、それでもまだ充分に普及していないのが現状です。

では、なぜ多くの企業ではテレワークを導入していないのでしょうか。企業がテレワークを導入しない理由についてエン・ジャパン株式会社が行った「中小企業の「テレワーク」実態調査―『人事のミカタ』アンケート―」によると、以下のような理由が挙げられています。

 

中小企業の「テレワーク」実態調査―『人事のミカタ』アンケート―

出典:エン・ジャパン株式会社「中小企業の『テレワーク』実態調査ー『人事のミカタ』アンケートー」

上記のグラフから、テレワークを導入しない最も大きな理由は「テレワークに適した業務がない」こと、「企業規模が小さい」ことなどであり、これらの理由がテレワーク導入を阻む壁となっていることが伺えます。

この調査結果を要約すると、「テレワークは移動の時間やコストをなくす効率的な働き方である反面、導入にあたっての障壁があるために、普及率は2割に留まる」というのが、日本のテレワーク事情であるといえます。

また、日本では大企業と中小企業の間にも導入率のギャップがあります。下記は、総務省による「平成29年通信利用動向調査」で明らかになった従業員規模別のテレワーク導入率のグラフです。

平成29年通信利用動向調査

出典:総務省「平成29年通信利用動向調査」

この調査結果を見ると、従業員規模が大きくなるほどテレワークの導入が進んでいることが分かります。従業員規模が2,000人以上の大企業では38.7%と高い導入率がある一方、100~299人の中小企業ではわずか10.1%。国もこの状況に危機感を示しており、さまざまな地方自治体でテレワークの助成金制度を実施しています。

【2020年最新】テレワーク導入に役立つ助成金・補助金を徹底解説

中小企業を対象にしたテレワークの助成金・補助金制度について詳しく知りたい方は、「【2020年最新】テレワーク導入に役立つ助成金・補助金を徹底解説」もあわせてご覧ください。

海外のテレワーク事情は?(アメリカ)

ここではアメリカを例として紹介しますが、海外におけるテレワーク事情はどのようになっているのでしょうか。

米国企業のFlexjobsとGlobal Workplace Analyticsが2018年に発表した、アメリカにおけるテレワークの実態をまとめた「“State of Telecommuting” report in 2017」によると、アメリカは、日本と比較するとテレワークが非常に一般的であることが分かります。

“State of Telecommuting” report in 2017

出典:Flexjobs & Global Workplace Analytics「”State of Telecommuting” report in 2017」

上記のグラフは、2005年から2017年の12年間で、テレワーカーが159%も増加したことを表しています。また、2018年時点では約430万人もの人々が、少なくとも一年間の半分はテレワークで仕事をしていることも明らかになりました。

人口や国土が日本とは段違いであるとはいえ、なぜアメリカではテレワークがこれほどにメジャーなのでしょうか。

その理由の1つとして、仕事の評価方法の違いが考えられます。アメリカではJob Description(職務記述書) により、個人の仕事内容と責任が明確に定められています。

つまり、目標管理と成果による業績評価・報酬制度が定着している文化である、といえます。「出社し、働いた時間に見合った対価を貰う」という労働文化が強い日本とは、仕事の評価方法が全く異なっていることが伺えるのではないでしょうか。

また、大半のホワイトカラーにはホワイトカラーエクゼンプションが適用されており、我が国ではテレワーク導入の阻害要因の1つにもなっている労働時間管理の制約も設けられていません。

しかし、テレワークが普及しやすい文化である一方、仕事の生産性の面ではテレワークに対して疑問を抱いている企業もあります。それがYahoo!やIBMです。

この2つの企業は、テレワークによって発生するコミュニケーション不足や、期待していたオフィスコストの削減が見込めなかったためにテレワーク廃止に踏み切りました。在宅勤務を廃止することでオフィスに再び社員を集め、チームとしてのコミュニケーションを改善、業務の円滑化を狙った施策であったといえます。

在宅勤務が一般的に浸透しているとはいえ、企業によっては向かない場合もあります。これもテレワークを導入する上では大切なポイントだといえるでしょう。

海外でテレワークをしてわかった3つの問題点

ここからは、実際に私がサンフランシスコでテレワークをして気づいた「テレワークの問題点」を紹介していきます。どれも個人的な主観になってしまいますが、同じような課題に直面する方も多いのではないかと思います。ぜひ1つの意見として参考にしていただけると幸いです。

問題点1|時差に合わせたコミュニケーション

時差に合わせたコミュニケーションが、今回のテレワークを行う上では最も大きな課題だったと言えます。なぜなら、作業プロセスのなかに「確認」がある場合、時差があると絶望的に作業が進みにくくなるからです。

今回私が出張したサンフランシスコだとそれが顕著でした。日本とサンフランシスコの時差は17時間あるため、日本が朝9時になるとサンフランシスコは16時です。3時間程度しか業務時間が被ることがありません。

私は普段社外の人とのやりとりの多い仕事をしているため、相手の勤務時間や都合も様々です。そこに確認と修正が伴う作業プロセスが複数入ってくるとなると、1日に3時間しかリアルタイムで連絡できなくなると大幅に作業が進まなくなるのです。

もしその3時間の間に誰かに来客や移動が発生した場合はまる1日作業が進まないということも考えられます。よりリアルタイム性の要求される仕事を必要とする場合は、海外のテレワークにおける最大の難所と言えるでしょう。

対策:リアルタイムで連絡する時間を決めておく

私のように誰かの確認を取るプロセスを必要とする業務にいる人は、リアルタイムで連絡する時間をあらかじめ確保することが大切です。そして、リアルタイム性の低い仕事を他の時間内で「先に」進めておくことをオススメします。なぜならリアルタイムでチャットやWeb会議ができる時間帯に、業務上の問題を一気に解消することができるからです。

つまり、リアルタイム性が低い業務を行う中にも、リアルタイム性が高い状況が発生する可能性があることを認識することが大切です。時差のある海外テレワークにおいては日本にいる時よりもさらに「時間をいただくこと」の重要性を認識する必要があります。

Googleカレンダーを使うと相手の予定を確保することができますし、メモ欄にアジェンダを記載することで貴重な時間を有効に活用できるでしょう。

完璧なビデオ、クリアな音声。インスタント共有「Zoomミーティング」

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出典:Zoom公式ページ

Zoom ミーティングは、世界各国75万以上の企業や組織で利用されているWeb会議サービスです。

通信速度が比較的低速なネットワーク回線でも途切れにくく、音声の途切れがほとんどありません。

Web会議の開催にライセンスを取得する必要があるのは主催者のみで、参加者は会議アドレスへ招待されることで、ブラウザから誰でもWeb会議へ参加できます。

13年連続Web会議の国内シェアNo.1(※)を獲得しているブイキューブが提供するZoom ミーティングの有料版では、ミーティングの映像や音声を録画・録音してクラウド保存しておくことが可能です。

投票機能ユーザー管理機能もついており、ビジネスシーンでも快適に利用することができるでしょう。

また、プランに問わずメールでのサポート体制を提供しています。エンタープライズプランでは企業に合わせて導入・運用を支援してくれるなど、利用者に最適なサポートが充実しています。

※「2020 ビデオ会議/Web会議の最新市場とビデオコミュニケーション機器・サービス動向」調べ

Zoomの有料版を使うべきメリットとは?

Web会議ツールZoomの有料版を使うべきメリットについては、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

問題点2|作業環境の確保

2つ目に挙げられる問題点は、作業環境の確保です。テレワークをするに当たって必要な作業環境は仕事内容によって変わるかと思いますが、多くの場合はWi-Fi、充電(コンセント)、作業椅子と作業机が必要でしょう。

もし滞在するホテルにこれらが完備されていれば問題ありませんが、今回私が宿泊したホテルはWi-Fi環境が整備されておらず、レンタルしたポケットWi-Fiでの作業となりました。

また、作業机もホテルになかったため、高さの合わないテレビ台を机として作業していました。エアコンも整備されておらず、寒い部屋での作業となると当然体力や集中力を消耗しますので、業務効率は下がります。

席数が多くてWi-Fi、コンセント、トイレが整備されているカフェが近隣にあれば大丈夫ですが、1日中同じカフェにいるのもお店に悪い気がしてなかなかできません。

作業環境を確保する時間は業務が全く進まないため、ロスでしかありません。このプロセスをいかに省くかが、海外テレワークの大きな問題点と言えるでしょう。

対策:Wi-Fi、作業机、カフェの確認

作業環境は、事前に把握できるものもあれば確認しづらいものもあります。

ホテルにWi-Fiや机の有無は確認できるでしょうが、Wi-Fiの質がどれくらいかであったり、近くのカフェにトイレがあるか・Wi-Fiがどの程度かというのは調べられない場合も多いでしょう。

その場合はなるべく作業ができるように良質なポケットWi-Fiをレンタルすること、予備のバッテリーを持っていくこと、オフラインでもできる作業はオフラインで行うといったことで対処は可能です。

サンフランシスコ市内のカフェでも、電源とトイレが無いために業務がしづらいということがありました。

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一方で、私のように記事の構成を考える場合は、紙に書いてまとめることもできますので、業務プロセスをより深く理解するきっかけにもなります。

どの場所ではどの業務が可能か、という仕事管理の能力は身に付くでしょう。

問題点3|観光地の誘惑

私はあまり海外に憧れを抱いていなかったため、近くに観光地があってもそこまで誘惑に狩られることはありませんでした。しかし多くの人はアメリカ、それもサンフランシスコやニューヨーク、ロサンゼルスとなると心が踊って観光したくなるでしょう。

「ここまできたのに日本でできる仕事をして帰るのか?」という疑問が浮かんできて、なかなか仕事に集中できなくなる瞬間は私にもありました。頭の中に業務以外の情報が居座っていると、作業効率は下がるため、これも海外テレワークの大きな問題点として挙げられるでしょう。

対策:プロセスではなく結果での評価

現地で観光してしまう可能性は大いにあります。それはそれでいいのではないでしょうか。会社によって考え方は様々あると思いますが、利益を出すことが最も大切なことであり、社員を拘束することは1つの要素でしかありません。

もちろん時間を管理することによって結果をある程度コントロールできる面もありますので完全に否定はしませんが、働き方改革が叫ばれる中、効率よく仕事の成果を上げるために評価方式を「結果」に重点をおくべきではないでしょうか。

まとめ|時差と作業環境は事前に要チェック

いかがでしたでしょうか。日本と海外におけるテレワークの現状の違いとともに、海外でのテレワークの問題点として時差・作業環境・誘惑の3つをご紹介しました。3つとも事前にある程度想定できる問題かもしれませんが、いざ現地に行ってみると「こんなにも仕事に影響するのか」と驚かされると思います。

日本でテレワークを行っていても、環境の違いで仕事効率が落ちる可能性もある海外テレワークですが、得られるメリットが多くあります。海外に視野を広げることもできますし、色々な形で自分の働き方を見直してモチベーションアップに繋がるでしょう。

場所を選ばない働き方を実現するためにも、今回ご紹介した問題点をクリアしてみてはいかがでしょうか。

川本 凜
著者情報川本 凜

ブイキューブのマーケティング本部で広告運用を担当しています。

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