バーチャルオフィスはテレワークでどう役立つ?メリットや機能、おすすめツール8選を紹介

テレワークの導入に併せて、バーチャルオフィスを導入する企業や団体が増えています。

離れた場所にいながらも、同じオフィスで仕事をしているような感覚を擬似的につくりだすツールが、バーチャルオフィスツールです。

仮想空間内のオフィスであるバーチャルオフィスを実現するツールは各社がリリースしており、ここでは各社の製品を挙げながら、バーチャルオフィスツールのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

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​​バーチャルオフィスツールとは

バーチャルオフィスとは、インターネット上の仮想空間に設けたオフィスのことを指します。

※住所や電話番号などを貸し出すオフィスも「バーチャルオフィス」と呼ばれることがありますが、ここでは、仮想空間におけるオフィスについて解説します。

リモートワークをしていると各自が離れた場所で業務を行うため、同じ部署やチームで働くメンバーがその瞬間に何をしているのかが見えません。

また、リアル環境であれば、隣の席に軽く声をかけて尋ねられることも、リモートワークではWeb会議ツールを使ってミーティングを行ったりビジネスチャットツールでテキストベースのコミュニケーションを取る必要が生まれます。

各自の動向やステータスをリアルタイムに共有し、まるでリアル環境のオフィスのように把握できるようにするのが、仮想空間上のバーチャルオフィスです。感染症対策や働き方改革でリモートワークが浸透するにつれ、このバーチャルオフィスを導入する企業や組織が増えています。

バーチャルオフィスツールの機能

こうしたバーチャルオフィスは、専用のオンラインツールを利用し、各自がPCにから専用ソフトやブラウザを介して導入することで可能になります。

ツールは各社がさまざまなサービスを提供していますが、主に以下のような機能を備えています。

  • 仮想オフィス・デスク
  • バーチャルオフィス内での会議
  • チャット
  • 外部サービスとの連携

仮想オフィス・デスク

バーチャルオフィスツールがつくりだすのは、インターネット上にある仮想のオフィスです。社員は「アバター」(化身の意味)をそれぞれがつくり、仮想のテーブル上に着席したり、会議室に入室したりして、業務を行います。

ロールプレイングゲームを想像するとイメージしやすいかもしれません。画面上にテーブルやデスクが表示されており、その周囲をさまざまなキャラクターが動き回っていて、話しかけたりするとコミュニケーションが取れるようなゲームの一場面に近い感覚です。

たとえば、チーム内の誰かに質問をするときは、自分自身のアバターを操作し、質問したい人物のアバターに声をかけます。相手が業務中か否か、誰か別の人と会議中かどうかなどは、アバターの有無や動き、設定された「ステータス」などですぐに確認できます。

バーチャルオフィス内での会議

多くのバーチャルオフィスツールにはWeb会議ツールとしての機能も付属しています。先述のように、自身のアバターを操作して必要な人に話しかけ、バーチャルオフィス上の会議室に移動するなどして、すぐにWeb会議を始められます。

あるいは相手のアバターをクリックするだけですぐに音声通話が始められたり、常に音声を共有し、必要に応じてミュート(消音)機能のオンオフを切り替えるだけで会話が始められるツールもあります。Web会議ツールのように会議ごとにURLを発行したりする必要がないため、より簡単にWeb会議を行うことができます。

チャット

当然、チャット機能も付属しているツールがほとんどです。コミュニケーションを取りたい相手のアバターに対してテキストを送信します。連絡事項や改まった内容だけでなく、雑談などもしやすくなります。

外部サービスとの連携

SlackやChatWork、Google Driveなどといったビジネスチャットツールやクラウドサービスとの連携機能を持つバーチャルオフィスツールも多くあります。

他社とのコミュニケーションのために外部サービスを利用している場合、連携機能を持つツールであればシームレスに利用することができ、利便性が向上します。

バーチャルオフィスのメリット

バーチャルオフィスツールを使うメリットは以下のような点にあります。

  • コミュニケーションの円滑化・活性化
  • 適度な緊張感
  • リモートワークでのストレスの軽減

コミュニケーションの円滑化・活性化

リモートワークではどうしてもコミュニケーションが連絡事項や報告といったことだけになりがちです。

その一方で、雑談やカジュアルな会話などからクリエイティブな発想が生まれたり、新たなアイディアにつながったりすることは多くの人が実感するところでしょう。

バーチャルオフィスツールは、アバターを通じて互いの存在や業務の様子を伝えられるため、コミュニケーションを取りやすくなります。先述のように、ツールによっては相手のアバターをクリックするだけですぐに音声通話が始められるものもあります。

Web会議ツールのように会議ごとにURLを発行したりする必要がなく、電話をかけるという動作よりもさらに手軽にコミュニケーションが可能です。

リモートワークであっても気軽に会社やチーム内のメンバーと話ができるため、コミュニケーションが円滑化され、会話を活性化することができます。

適度な緊張感

バーチャルオフィス上では、自身の業務の様子が自分のアバターによって表現されます。誰かと打ち合わせをしたり、会議に出席したりしている様子も、アバターの動きやステータスを通じて確認できます。

そのため、リアルなオフィスと同様、職場に適度な緊張感が生まれます。リモートワークでは、誰も見ていないという状況が気の緩みや緊張感のなさにつながりやすいものです。バーチャルオフィスツールは、たとえアバターであっても、「出社している」という感覚を社員に与え、周囲の視線を感じる環境をつくりだすことが可能です。

リモートワークでのストレスの軽減

リモートワークの経験がある人であれば、誰とも接触することなく黙々と作業をし続けることに孤独感を感じたことがある人も少なくないでしょう。社会的な動物である人間にとって、他者とのコミュニケーションは精神衛生を正常・健康に保つための重要な要素です。

先述の通り、バーチャルオフィスツールは円滑で活発なコミュニケーションを可能にします。リモートワークであっても、雑談をしたり、時にはカジュアルな話題の会話もできる場を設けることで、孤独感から生まれるストレスを和らげ、生産性の向上につなげることもできるでしょう。

また、こうした円滑なコミュニケーションが、リモートワークであってもチームとしての一体感を生むことにつながり、各自のメンタルやモチベーションにプラスの働きをすることもバーチャルオフィスツールが持つメリットの一つです。

バーチャルオフィスのデメリット

一方で、バーチャルオフィスツールを導入することにはデメリットもあります。

主には以下の2点を挙げることができるでしょう。

  • PCへの負荷
  • プライバシー/ストレス

PCへの負荷

オンライン上の仮想空間でやりとりをするため、バーチャルオフィスツールが動作している間はつねにインターネット通信が行われ続けます。

そのため、PCへの負荷が継続的にかかることになります。通常の業務で利用するソフトがエクセルやワードといった比較的軽いソフトであれば、バーチャルオフィスツールの導入が大きな問題になることは考えにくいですが、動画の編集や高精細な画像・イラストの加工といった、比較的負荷の大きな作業を普段から常時行っている場合には、ツールの導入によってPCへの負荷が過剰となる可能性もあります。

また、常に安定したオンライン環境でなければいけないことも、デメリットの一つといえるかもしれません。

プライバシー/ストレス

また、常にアバターの様子が誰でも分かる状態になることに「監視されている」という感覚を覚える人もいます。

先述した「適度な緊張感」の感じ方は人それぞれであり、過度な緊張を感じてしまう人に対しては配慮が必要です。

加えて、気軽に音声通話やWeb会議ができる分、自宅からリモートワークしている人のプライバシーを侵害することがないようにも十分配慮する必要があるでしょう。

バーチャルオフィスツールの紹介

具体的にはどのようなバーチャルオフィスツールがあるのでしょうか。ここでは以下の8つのツールをご紹介します。

EventIn Workplace

EventIn Workplace

株式会社ブイキューブが2022年2月1日より提供をはじめたバーチャルオフィスプラットフォームが「EventIn Workplace」です。

オンラインイベントプラットフォームとして人気の高い「EventIn」をもとに、社内コミュニケーション活性化のために同社が開発したもので、メタバース空間(仮想空間)内のバーチャルオフィスに雑談スペースや共同作業用オープンスペース、会議室を設けることができ、社員同士がお互いの在席状況をみながら、Web会議やテキストチャットといったコミュニケーションを行うことができます。

oVice

oVice

出典:oVice

 

石川県に本社を置くoVice株式会社のバーチャルオフィスツールが「oVice(オヴィス)」です。相手のアバターに近づくだけで声をかけることができ、リアルなオフィスに近い環境をつくりだすことができます。

仮想空間のカスタマイズがかんたんなことも特徴の一つで、画像イメージを1枚アップロードするだけで、好みのバーチャルオフィスをつくりあげることが可能です。連携できる外部サービスが多いことも特徴です。

VoicePing

VoicePing

出典:VoicePing

VoicePing株式会社が提供する「VoicePing」は、コミュニケーションはもとより生産性向上に重点を置いたバーチャルオフィスツールです。

気軽にコミュニケーションがとれることはもちろんですが、マネージャークラスのユーザーは、従業員の作業時間と活動内容を短・長時間スパンで確認でき、活動ログを活用することでチームの生産性を管理できます。

また、リアルタイム文字起こし機能や自動翻訳機能を備えており、Web会議の内容を即時に共有・展開できます。

roundz

roundz

出典:roundz

「roundz」は「声のバーチャルオフィス」をキャッチコピーにした、ラウンズ株式会社が提供するサービスです。

監視されているという感覚がストレスになるという人のために、カメラ機能がついておらず、音声によるコミュニケーションに特化しています。プライバシーの確保や、室内の様子を映すことを求められるといった「テレワークハラスメント」抑止を検討する企業には最適なツールと言えるでしょう。

Remotty

Remotty

出典:Remotty

株式会社ソニックガーデンが提供する「Remotty」は、バーチャルオフィスに必要な主な機能は備えつつ、PCやデータ通信量への負担を少なくしていることが特徴のツールです。

Remottyのカメラ機能は約2分間に1回撮影した静止画をアップロードするもので、一般的なWeb会議ツールと比較すると、約0.4%まで通信量を減らせるとしています。

動画の編集や高精細な画像の加工など、PCを使ったその他の業務への影響を極力減らしたい場合におすすめのツールです。

Sococo

Sococo

出典:Sococo

株式会社テレワークマネジメントの「Sococo」は、バーチャルオフィスツールに必要なテキストチャット機能やWeb会議機能などは備えつつ、200を超えるフロアデザインから自由に選択することができる点が特徴です。

フロアデザインはオフィスだけでなく、社内研修やチームビルディングといったイベント利用を想定したものも用意されており、複数のフロアを構成できるため、「バーチャル自社ビル」をつくることもできます。また無料トライアルとして最大3週間、25人まで利用可能です。

RISA

RISA

出典:RISA

株式会社OPSIONが提供する「RISA」の特徴はアバターの種類の多さとかわいらしい動きや効果音機能がついていることです。

アバターは丸抜きの画像のみとなっているバーチャルオフィスツールも少なくありませんが、RISAでは髪型や服装などを細かく設定でき、ロールプレイングゲームのようにアバターが動いて、「打ち合わせ中」などのステータスなども表示させることができます。

小規模事業者向けのスモールフロアであれば、1か月¥10,000から利用可能となっています(2022年3月現在)

NeWork

NeWork

出典:NeWork

NTTコミュニケーションズが提供するバーチャルオフィスツールが「NeWork」です。複数人での会話や1on1通話、Web会議中の画面共有やテキストチャットなど、バーチャルオフィスに必要な機能はほぼすべてそろっています。

最大のメリットは、NTTグループが開発から運営まで行う国産サービスであるという点でしょう。個人情報データはすべて国内にあるとしており、多要素認証も搭載しているため、センシティブな内容を扱うオフィスであっても、安心して利用できます。

まとめ | バーチャルオフィスのメリットは大きい

リモートワークが業種や業界を問わず広く浸透していく中、コミュニケーションの円滑化・活性化は導入する企業にとっては大きな課題です。

バーチャルオフィスツールの最大のメリットはそうしたコミュニケーション不足を補うことにあると言ってもいいでしょう。円滑なコミュニケーションによってリモートワークでも高い生産性を実現することにつながります。

一方で、ツールの導入が適度な緊張感を超えてストレスに感じる人がいることも事実です。導入にあたっては、利用する人の間でしっかりとコンセンサスを得ることが大切でしょう。

コストも含め、メリット・デメリットを踏まえた上で、各社のツールを比較検討することをおすすめします。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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