テレカンとは?知っておきたい8つのメリットとデメリットを徹底解説

オフィスから離れた場所で働くリモートワークの普及が一因となり、遠隔で会議を行う企業も増えてきています。そんな中、「テレカン」という言葉を一度は耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

一般的にはほとんど聞き慣れない言葉ですが、若い人を中心にビジネス用語としてテレカンは気軽に使われるようになってきました。しかし、一般的な認知度はまだまだ低いのが現状。「どういう意味なのかよく分からない」という方も多いと思います。

そこで本記事では、テレカンの意味やメリット・企業事例など、テレカンについてを初心者向けに徹底解説します。

 

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テレカンとは?

テレカンは、「teleconference(遠隔会議)」「telephone conference(電話会議)」「television conference(テレビ会議)」の3つの英語から派生した略語です。

それぞれ意味合いが異なってきますが、一般的に「telephone conference(電話会議)」の意味で使われることが多くなっています。

しかし、状況によっては、「teleconference(遠隔会議)」「television conference(テレビ会議)」の意味で用いられることがあるため、テレカンの意味がよく分からないといった悩みも多く聞かれます。

本章では、テレカンの言葉の元となった3つの意味について解説していきます。

①teleconference:「遠隔会議」

1つめは、「teleconference」です。この言葉が縮んで「テレカン」と呼ばれるようになりました。

tele(離れている)+conference(会議)という単語が元になっているので、意味合いとしては離れて会議すること全般を指します。テレビ会議、Web会議、電話会議といった遠隔会議が該当します。

②telephone conference:「電話会議」

テレカンが最も使われるのが、「電話会議」としての意味合いです。telephoneの「テレ」とconferenceの「カン」をつなげてできた言葉です。

映像を使わずに音声だけで会議を行うため、「音声会議」と呼ばれることもあります。

多拠点同時開催の会議が可能なので、昔から外資系企業、グローバル企業などでの会議や打ち合わせ・面接の手段として活用されています。

③television conference:「テレビ会議」

「television(テレビ)」と「conference(会議)」を繋げた言葉です。しかし、こちらは一般的なテレカンの意味として使われることはありません。

テレカンの意味としてはいずれも正しいため、「使う人によってテレカンの定義が違う可能性がある」という認識は持っておいた方がよいでしょう。そのため、自社で使うテレカンの意味を統一しておくのが得策です。

今のところ、電話会議の歴史の長さも影響してか「テレカン=電話会議」という認識の人が多いのが現状です。本記事でも、以下「テレカン=電話会議」という定義のもと説明していきます。

テレカン(電話会議)の現状

固定電話を使う人が少なくっている今の時代に、テレカンは時代遅れの印象があるかもしれません。

しかし、テレカン導入率の推移を見るとむしろ逆であり、安定して現在でも活用されていることが分かります。

市場調査を行う株式会社シード・プランニングが発表している「2019ビデオ会議/Web会議の最新市場とクラウドビデオコミュニケーションの現状」によると、音声会議(テレカン)の市場規模は10年間一定の規模を保ち続けており、むしろ近年は若干ですが伸びています。

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出典:株式会社シード・プランニング

また、総務省の「平成30 年度デジタル化による生活・働き方への影響に関する調査研究成果報告書」の以下のグラフを見ると、外資系企業(黄色)は直近でも電話会議(テレカン)を、テレビ会議、Web会議に近い比率で活用しているようです。

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出典:総務省

以下の業種別グラフをみると、情報通信業界および製造業などで特に活用されています。

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出典:総務省

ビジネスシーンではさまざまな会議がありますが、顔を合わせる必要がない会議もあります。報告や業務連絡がメインの会議や既知のメンバー同士のミーティング、緊急会議などにテレカンは特に適しています。

現状では製造業、外資系など古くからテレカンを使っている業界、最先端のITツールに詳しい情報通信業界での活用が目立ちますが、テレカンのメリットを知る人が増えれば活用の幅が広がっていく可能性は十分あるでしょう。

テレカン(電話会議)のメリットとは?

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①導入が簡単で、大人数の会議にも対応

テレカンは、導入するときに社内インフラを整える必要がありません。自社にもともとある固定電話、携帯電話、スマートフォン、電話回線などを活用して遠隔会議を始めることができます。

一方で、企業にWeb会議を導入する際はインターネット環境を整備する必要がありますし、テレビ会議の場合は専用工事が必要になります。

それに比べると、テレカンはあまり時間をかけずに導入が可能なツールだといえるでしょう。それに加え、テレカンはマイクやスピーカーを設置すれば大人数でも会議を行えます。

②会議もすぐ開始可能、インストールなどは不要

テレカンは会議の始め方が簡単です。こちらから電話をかけて相手がパスコードを入力する、あるいは主催者からかかってくる電話に出るだけなど、簡単な手順が一般的です。特別な設定やアプリのインストールなどは必要ありません。

社内会議だけでなく、急を要する確認やちょっとした認識のすり合わせをしたいときにも活用できます。

③通信が安定しているので、海外とのテレカンでも音声明瞭

テレカンは電話回線を使用するサービスが主流です。電話回線は通信が安定している上に通信網が世界中に張り巡らされているため、国内はもちろん海外各国との遠隔会議でも明瞭な音声で会議ができます。

同じ遠隔会議でも、インターネット回線を使うWeb会議は相手の国・地域によって通信が安定せず、会議の際に映像が乱れたり音が途切れたりするときがあります。

国内であっても企業のインターネット回線の容量によっては、大勢が一斉にWeb会議を使用すると通信速度が遅くなる場合があります。通信が安定していることはテレカンの特徴であり、ほかの遠隔会議より優れている点なのです。

④ITの知識がなくても、誰でも簡単に会議が行える

固定電話やスマートフォン、携帯電話などで行うのがテレカンです。そのため、難しい操作は何もありません。パソコンをまったく使わないようなITリテラシーが低い層でも遠隔会議ができるので、高齢者が多い企業などにも特に適しているでしょう。

Web会議、テレビ会議を導入するとなると、パソコンを使い慣れていないとやはり最初は難しく感じてしまうものです。電話なら誰もが日常的に使っているため、会議でも普段の生活とほとんど変わらない気持ちで行えるでしょう。

⑤スピーディな会議進行が可能

テレカンでは、発言しているときにほかのメンバーの表情や仕草を確認することができません。それにより、自然に簡潔でわかりやすい発言を心がけるようになります。Webで検索すると「テレカンで発言する際のマナーやコツ」がノウハウとして出回っているほどです。参加者が簡潔に話すためテレカンはスピーディに進みます。

Web会議やテレビ会議ではお互いの顔を見せ合うため、参加者は自然に会話の間合いに気を配りながら発言します。そのため会議時間が長くなってしまう傾向があります。会議によってはそれでもよいのですが、業務連絡が目的の会議ならムダに時間を使わないテレカンのほうが生産性は向上するかもしれません。

⑥初期投資コストもランニングコストも低価格

テレカンは、ほかの遠隔会議と比較すると導入コストがそれほどかからないのが特徴です。テレカンのための専用機も10万円弱の製品がかなり出ています。また、専用機が不要な従量課金制のサービスもあるため、自社の目的に合わせて選択したいところです

⑦緊急連絡手段として有効

テレカンは一斉に大勢に電話をかけることができるため、会議だけでなく緊急連絡時の手段としても適しています。災害時の帰宅指示、事故が発生したときの緊急連絡、緊急ミーティングなど大人数への情報共有がスピーディに行えます。

最後に、テレカンだけではなく遠隔会議すべてに言えることですが、会議室に集まって行う会議のように移動時間や移動費用がかからないためコストが削減できます。遠隔会議の中でも導入コストが低く、トラブルも少なく時間を有効活用できるテレカンは、よりコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。

テレカン(電話会議)のデメリットと解決方法

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テレカンは音声だけの会議なので相手の顔が見えず、微妙なニュアンスや感情の機微などが伝わりにくいです。そのため、会議の目的や規模によっては適さないことも十分考えられるでしょう。

テレカンを導入する際には、メリットだけでなくデメリットも理解し、自社に合った活用方法を見極めることが必要です。この章では、テレカンの導入にはどのようなデメリットがあるのか、またそれらはどのように解決できるのかを解説していきます。

①相手の顔が見えず、資料のやり取りもできない

テレカンの最大のデメリットは、冒頭でも触れたように相手の顔が見えないことです。音声のみのやり取りでは、伝えられることに限界があります。人は情報の約80%を視覚から得ている事実からも伺える通り、相手の顔を見ることができないテレカンでは、人の本音がつかみづらいというデメリットがあります。

例えば、Web会議では新しい資料も視覚的に画面共有できますが、テレカンでは相手が持っている資料でないと意見交換ができません。それに加え、言葉だけではその資料のどこを相手が言っているのかが分かりにくい場合があります。そうすると、その部分を確認するために会議が止まってしまうことが考えられます。

解決策:付き合いの長い顧客や、社内メンバーのみでの確認事項に利用を限定する

電話会議はカジュアルな打ち合わせに向いています。電話会議にも向き不向きがあるため、資料を必要とする打ち合わせや、まだお互いのことをよく分かり合っていない社外の人を相手とした会議への利用は避けた方が無難でしょう。そういったものは対面式で行うのがおすすめです。

また、例外としてWeb会議と電話会議を併用することもあります。場合によってはWeb会議で画面を共有しながら電話で話す、といった改善策も考えられます。

②通話料金が発生してしまう

テレカンは導入コストは低いですが、会議をするたび通話料金が発生するデメリットがあります。

国外拠点と会議を行う場合、相手の国によっては高額になるケースも。固定電話からかけるか、スマートフォンからかけるか、使うデバイスによって通話料金も変動してきます。

電話会議を頻繁に使っていこうと考えた場合には、コストに関する負担が大きくなることが予想できます。

解決策:打ち合わせ時間を短めに設定する

コスト問題を少しでも軽減するためには、やはり会議時間を短くするという対策が必要です。そのためにも、テレカンで行う会議は本格的に行う会議ではなく、カジュアルな認識合わせ程度のものに限定することが不可欠になるでしょう。

近年ではインターネット回線で行う電話会議サービスもありますが、その場合は定額制となり、ランニングコストが発生してしまいます。また、インターネット回線は電話回線を使って行うテレカンほど通信が安定していません。

③司会者にテクニックが必要になる

効果的な会議を行うためには、どんな時であっても司会者の進行力が必要です。特に新しいメンバーが多い会議をテレカンで行う場合、誰がどの発言をしたかわかりづらくなります。また、自分の発言が終わったあとに緊張感がなくなる社員がいても、映像がないため気づくことができません。

こういったデメリットを解決するのが、ファシリテーションスキルです。ファシリテーションとは「日本ファシリテーション協会」のページによると、「集団活動をスムーズに進行し、成果が出せる状態に舵取りをすること」とされています。

できるだけ全員を指名して意見を促したり、参加者の意見をまとめて要約するなど、メンバー全員に会議に集中してもらうためのファシリテーション力が司会者には必要になります。

一見難しいことのように思えますが、「参加者の意見を肯定する」「話が脱線したときに軌道修正をする」といったポイントを意識することでこのスキルを身に着けることは可能です。テレカンだけでなく実際の会議にも役立てられるので、身に着けて損はありません。

また社内会議における司会のコツや効率的な会議の進め方について詳しく知りたい方は、別記事「効率的な会議の進め方とは?押さえておくべき6つのコツを解説」を参考にしてください。

実際にテレカン(電話会議)で成功した企業の好事例

実際にテレカンを実現するITツールを使用することで、どのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、テレカンを活用したことでコスト削減に繋げた企業の事例を紹介します。

年間で約800時間、国内やアジア・北米・欧州と結びテレカンを行う|日清紡ブレーキ株式会社

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出典:日清紡ブレーキ株式会社

ブレーキ製品のグローバルサプライヤー「日清紡ブレーキ株式会社」では、国内だけでなく海外の拠点と打ち合わせをするためにV-CUBE ボイスを活用しています。導入の結果、4割から5割のコストの削減に成功しました。

電話会議は10年以上使っていたそうですが、国内の支社だけでなくグローバル化によって国外拠点との通話も増え、国際電話や長距離電話にかかるコストをどうにか削減できないかと考えていたそうです。そこで大幅なコストダウンが見込めるV-CUBE ボイスを導入したことで、現在の業務改善に繋げました。

まとめ|テレカンの導入でさらなる会議の効率化を

テレカンには人によって使う意味が異なり、メリットやデメリットも多くあるということを確認しました。

ビジネスにおいて、スピードは非常に重要です。昨今は働き方改革が進むなか、多くの企業で会議の生産性が厳しく問われるようになりつつもあります。

テレカンは、すぐに会議を開始してスピーディに進行することができるため情報共有がスムーズに行えます。会議中の音声トラブルもあまり発生せず、業務効率という観点から見ればかなり優れたコミュニケーション手段だといえるでしょう。

何より低コストで操作が簡単という大きな魅力があります。今後はテレワークをする人が増えるなか、さまざまな企業でテレカンは活用されていくでしょう。

戸栗 頌平
著者情報戸栗 頌平

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在東京在住。2019年はフィリピンに在住し日本企業のBtoB活動を遠隔支援、場所にとらわれない働き方を通じ、マーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。Facebookは こちら。Twitterは こちら。LinkedInは こちら。ウェブサイトは こちら

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