ワーケーションは導入すべき?旅行先で働くメリット・デメリットから成功に導く事前準備まで徹底解説!

テレワークを導入する企業が増える中、新たな働き方の選択肢として「ワーケーション」が注目を集めています。

「聞いたことはあるけれど、仕事と休暇を本当に両立できるのか?」「仕事効率が悪いのでは?」と、ワーケーションに対して懐疑的な意見もまだまだ多いかもしれません。

そこで本記事ではワーケーションの基本知識から成功に導く運用方法まで、ワーケーションのいろはをご紹介します。

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ワーケーションとは?

言葉の定義

ワーケーションとは「Work(仕事)」と「Vercation(休暇)」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークをしつつ、休暇をとることです。

例えば、1週間の旅行に行きたいけれど1日だけどうしても外せない会議や商談があるといった際に、ワーケーションだとオンライン会議で旅行先から参加できるので、仕事も休暇も諦めずに両立できます。

また温泉地でのワーケーションであれば、定時までホテルで仕事をした後は自分へのご褒美として温泉や懐石料理を存分に楽しむ!なんてこともできるので、仕事にもより一層集中して取り組めるでしょう。

ワーケーションとテレワークの違い

ではオフィスに出社せず自宅やカフェで働くテレワーク(リモートワーク)とワーケーションは何が違うのでしょうか?

最も大きな違いは「仕事」を前提としているか、「休暇」を前提にしているかです。テレワークはオフィス以外の自宅やコワーキングスペース、カフェといった場所で働くことを指し、「仕事」をすることが前提となっています。一方でワーケーションは「休暇」を前提とし、観光地やリゾート地など好きな場所で働くことを指します。

つまり、テレワークが仕事を主目的としているのに対し、ワーケーションは休暇を主目的としています。これが2つの言葉の定義の大きな違いになります。

環境省の取り組み

新型コロナウイルスによる深刻な打撃を受けた観光業に対する支援事業として、環境庁もワーケーションの促進に力を入れています。

2020年7月には、ワーケーション事業に取り組む500の国立公園や温泉地を対象に設備投資のための補助金を給付するなど、環境庁もコロナ渦での観光地の新たな活用方法としてワーケーションを進めています

また、2021年の予算請求においてもワーケーション推進事業を含む国立公園満喫プロジェクト等推進事業に120億を超える予算請求を行っていることから、ワーケーション促進の流れはこれからも続くと予想されます。

参考:国立・国定公園への誘客の推進と収束までの間の地域の雇用の維持・確保

ワーケーションのメリット・デメリット

メリット・デメリット

ワーケーションのメリット

この章ではワーケーションが叶える4つのメリットについて紹介します。

①長期旅行に行きやすくなる

ワーケーションと有給を組み合わせれば長期旅行に行きやすくなります。今までは有給を使って1週間の休みを取ろうと思っても、会議や商談が入ってしまいなかなかまとまった休みが取りづらい、という経験をした人も多いのではないでしょうか?

ワーケーションを使えば土日の間に旅行先に移動し、月~水は旅行先のホテルや旅館で仕事、木~日は有給を取って観光を満喫するなどの長期旅行も可能になります。

お子さんがいる家庭では、子どもの長期休暇に合わせて旅行や帰省をしやすくなるのも大きなメリットになります。お母さんと子どもは実家や旅行に行き、お父さんは家でお留守番なんてこともなくなります。

②有給取得率の向上に繋がる

テレワークに加えてワーケーションを取り入れれば、より場所と時間にとらわれない働き方を実現できます。そして、ワーケーションの前後に有給を取得してもらうことで有給取得の促進にも繋がると考えられます。

日本の有給取得率は世界的にも低いことで有名です。大手旅行会社エクスペディアが2018年に行った有給休暇の国際比較調査では、日本の平均有給取得率は50%と調査に参加した19か国のうち最下位という結果になりました。

有給取得率の低さの原因には人手不足や有給取得に対する罪悪感など日本特有の問題もありますが、働く場所や時間が限定的なのも原因の1つになっています。ワーケーションを取り入れれば有給と組み合わせることで長期休暇が可能になるため、有給取得率の向上も期待できます。

③オンオフの切り替えで仕事効率UPに繋がる

ワーケーションをするにあたって最も重要なのがオンオフの切り替えです。有給をとって旅行に来たものの、仕事が気になって観光に集中できなかったり、休暇中でも緊急で対応しなければいけない仕事が入ってしまったりすることがあると思います。

そんな時、旅行先でも日にちと時間を設定した上で仕事に取り組める時間があれば、旅行中に仕事のことでモヤモヤする時間を減らせます。仕事をした後は、観光やご当地グルメなどいつもの違う場所で羽を伸ばせるのでリラックス効果が期待できるだけでなく、旅行先だからこそ出会える自然や人から新たなインスピレーションを受け仕事に繋がる可能性もあります。

注意したいのは、ワーケーションはあくまでも「休暇」が主目的なので、仕事をする日には時間をあらかじめ設定し、社内でも共有しておくことです。時間外の連絡はしないなどの社内ルールを浸透させることで、オンオフの切り替えが可能になり仕事効率の向上にも繋がります。

④企業のアピールポイントになる

働き方改革やコロナ渦で新しい生活様式が広まる中で、人々の働き方は十人十色になっています。「オフィスに出社して9時から18時まで仕事をする」という働き方はだんだんと当たり前ではなくなってきています。そのため、働き方の選択肢が広いことは企業の大きなアピールポイントとなるのです。

場所や時間に縛られない働き方ができる企業は、従業員や求職者にとって魅力的なポイントとなるため、定着率の向上や優秀な人材の確保に繋がるでしょう。

テレワークを取り入れることで自由な働き方を実現するだけでなく、より充実した休暇を可能にするためにもワーケーションの採用を是非考えてみてください。

ワーケーションのデメリット

とても魅力的なワーケーションですが、使い方によってはデメリットも生まれてしまいます。この章ではワーケーションを失敗に終わらせないためにも、デメリットを前もってご紹介します。

①「仕事」と「休暇」の線引きが曖昧になる

ワーケーションでは旅行先で仕事をするため、日程と時間をしっかりと決めた上で仕事をしなければ、「旅行にきたのにずっとだらだら仕事をしてしまい結局休めなかった」という事態を招きかねません。

ワーケーションを行う際には、他の社員にも予定を共有した上で「〇時以降は連絡ができません」など業務時間外の対応はしないなどの社内ルールを設定しましょう。

ワーケーションはあくまでも「休暇」が前提で、旅行先でも仕事ができる制度のことです。休暇にまで仕事のことを持ち込みたくない、仕事と休暇は完全に分けたい!というタイプの人には少し向いていないかもしれません。

②仕事環境や通信環境の不安がある

旅行先のリゾートや温泉街ではまだまだWi-Fiの設備が整っていなかったり、仕事ができるデスクや椅子が完備されていないところがあります。通信環境や仕事環境が整っていなければ仕事効率も下がってしまう恐れがあります。

環境庁もコロナ渦の観光地の新たな活用方法としてワーケーションを推進し、多額の設備投資を行っているため、これから仕事がしやすい環境は旅行先でも広がっていくと考えられます。

ただ事前に旅行先や宿泊先の通信環境や仕事環境をチェックしたうえで、ワーケーションができるか調べて行くことがデメリット回避に繋がります。

ワーケーションを成功に導く運営ポイント

企業側がすべき事前準備

1.評価制度を整える

ワーケーションは働く場所だけでなく、時間も従業員によって異なるため、その特徴に合わせたマネジメントや評価制度が必要になります。

営業などの部署は数字に基づいた成果で評価しやすいですが、バックオフィス業務などは過程や成果が見えづらいため、テレワークでの評価が難しい傾向にあります。

そんな課題を解決するためには、「評価項目を明確化する」「評価方法を統一する」「目標管理制度を取り入れる」など、テレワークにも対応した評価制度の見直しが欠かせません。

人事評価が上手くいかずワーケーションは失敗だった、なんてことにならないよう、ワーケーション導入前にはテレワークに適したマネジメントや評価制度を整えましょう。

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2.ワーケーションのルール制定と社内共有を行う

ワーケーションで仕事と休暇を上手く切り替えるためにも、ワーケーションに関するルールを定め、それを社員全員に共有する必要があります。

「ワーケーションに関するガイドライン」や「コミュニケーションツールのガイドライン」などを作成し、ワーケーションを利用する本人だけでなく、ワーケーションをしている人と一緒に働く人たちが円滑に業務を進めるために守るべきルールを共有しましょう。

また上司への業務報告制度を確立することで、休暇中の労働も防げます。「休暇」が前提にも関わらず、仕事ばかりのワーケーションにならないようルール制定と社内共有は導入前に行いましょう。

3.セキュリティ対策を行う

国内外どこでも働けるワーケーションは、リモートワークや在宅勤務と比べてもデバイスの管理やネットワークセキュリティの面でのリスクが高まります。

そのため事前に

  • ルールを整備することによるセキュリティ対策
  • 技術的なセキュリティ対策
  • 物理的なセキュリティ対策

を行い、情報漏洩やウイルス感染に備える必要があります。

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従業員がすべき事前準備

1.テレワークに慣れておく

ワーケーションを行うには、まず自宅やオフィス以外の場所で働くテレワークに慣れておく必要があります。

テレワークを円滑に進めるためには、社内外コミュニケーションツールを使いこなしたり、スケジューリングが重要になります。普段のテレワークでこれらのツールを使い、オフィスで働くのと同じ仕事効率を実現できるようになれば、ワーケーションにも対応できるでしょう。

2.ワーケーション中の仕事範囲を明確にする

ワーケーションを行う際には、始業前に仕事範囲を決めて取り組みましょう。できれば1日のスケジュールを1時間単位で決め、一緒に働く人に事前に共有しておくのが望ましいでしょう。そうすることで、予定外の仕事を引き受けてしまい、だらだらと仕事が続いて休息がとれなかったという事態を回避できます。

また上司に業務内容と時間の報告を徹底することで、長時間労働を防ぐ方法もあります。事前のスケジューリングと報告の徹底で「仕事」と「休暇」のオンオフの切り替えができるよう、準備しましょう。

3.旅行先の仕事環境や通信環境をあらかじめ調べておく

ワーケーションでも仕事の生産性を落とさないために、旅行先の仕事環境や通信環境の良さは欠かせません。

特に通信環境に関してはセキュリティの面からも、事前に会社のガイドラインを参考に対策を行い、情報漏洩やウイルス感染に備えましょう。

ワーケーション導入までの2STEP

ワーケーションを導入するにはテレワークの導入と同じように適応範囲やルールを制定しなければいけません。この章では導入までの2STEPについてご紹介します。

STEP1:就業規則への規定・変更

ワーケーションを導入する際には、就業規則を定めた上で社員に周知する必要があります。特に、既存の就業規則ではワーケーション導入に対応出来ない場合、就業規則を変更するか、ワーケーション対象者に向けて新たな就業規則を設けなければいけません。

STEP2:ルール制定・社内共有

ワーケーションを導入するにあたってルールを明確化することは、社員同士の円滑なコミュニケーションや、ワーケーションに対する不安を減らすことに繋がります。

ワーケーションに関する項目として、以下の点を確認しましょう。

  • ワーケーションの対象労働者、対象期間、対象地域の制限
  • ワーケーション時の勤怠管理
  • ワーケーション時の評価方法
  • ワーケーションにおける費用(交通費・宿泊費等)の負担者
  • ワーケーションの申請方法

この他にも企業ごとに異なるルールがある場合は、導入前にルール制定を行ったうえで、社内周知を行うようにしましょう。

まとめ|充実したワーケーションの実現には事前準備が不可欠

ワーケーションのイメージ

ここまでワーケーションのメリット・デメリットから成功に導く事前準備まで、ワーケーションのいろはを紹介してきました。

充実したワーケーションを実現するためには、企業側も従業員側もしっかりとした事前準備が必要です。

まずはテレワークでオフィスと変わらない仕事ができること、またテレワークに順応した人事評価体制が整っていることが前提となってきます。その上で、セキュリティ対策やオンオフの切り替えなどワーケーションで特に注意すべき点を押さえたうえで準備を行えば、ワーケーションを思う存分楽しめるはずです。

ワーケーション導入を検討されている方は、記事を参考に事前準備を行い万全の状態で導入していただければ幸いです。

鹿嶽志帆
著者情報鹿嶽志帆

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