1on1ミーティングとは?企業の導入事例や実施方法を解説

上司が部下を評価する人事面談とは異なる、社内の新しい面談方法として、1on1ミーティングが注目を集めています。今までは欧米企業の制度として定着していましたが、最近では日本企業でも導入を進める企業が増えています。

本記事ではそんな1on1ミーティングについて徹底解説。そもそも1on1ミーティングとは何かといった基礎知識から、企業に導入が進む背景、また具体的な実施方法について解説していきます。導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1でフラットに話し合う場

 

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「1on1ミーティング」とは上司と部下が、1対1で定期的に面談を行うことを指します。

部下の目標に対する達成度や業績を確認する「人事考課面談(人事面談)」とは異なり、上司が部下の考えていることを理解することを目的に実施されます。

そのため、上司からの指示や指摘という側面ではなく、部下が日常的に考えていることや思っていることを率直に上司に伝える場として機能します。上司と部下という関係性ではあるものの、フラットに本音を伝える機会と言えるでしょう。

具体的にどのような内容を話すかは、明確に決まっておらず企業や個々の社員の判断に委ねられます。実際には、「部下が直面している業務の悩み」「現在のモチベーション」「数年後のビジョン」などに関して話されることが多いようです。

また実施する頻度やミーティングの長さに関しても決まりがありません。週に1回や月に1回など定期的に、そして30分程度の短い時間で実施する企業が多くなっています。

約8割の企業が1on1ミーティングを「既に導入済み」「導入に興味あり」

1on1ミーティングは、企業の人材育成の手法として欧米企業を中心に根付いている制度ですが、近年では日本でも導入する企業が増えています。

ビジネスパーソンのコーチングを行う「ビジネスコーチ株式会社」が2017年に企業の人事部を対象に「1on1ミーティングに関するアンケート」を実施しました。

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出典:ビジネスコーチ株式会社「1on1ミーティングに関するアンケート」

調査結果を見ると、約32.1%が「すでに導入している」、約5.3%が「半年以内の導入を前向きに検討している」と回答しています。また、約45.8%が「導入することに興味がある」としています。

このように全体の8割以上の会社が、何らかの形で1on1ミーティングに興味を持っていることを示しています。

実際に、「パナソニック」や「楽天」「ヤフー」など大手企業がすでに導入を行なっているという現状があり、国内でも相当浸透していると言えるでしょう。

では、なぜここまで1on1ミーティングが企業に必要とされているのでしょうか。

1on1ミーティングが必要とされている背景

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1on1ミーティングが広まっている背景には、以下の2点への認識が広がってきたことにあります。

  • 本音が言える環境こそパフォーマンスを高める
  • 1on1ミーティングは、社内コミュニケーションの改善に繋がる

1on1ミーティングが、今後の企業の成長に大きく貢献すると経営層が判断するケースが増えてきています。

本音を言える環境こそが、チームのパフォーマンスを高める

近年はチームのパフォーマンスに関する研究が進み、「チームのメンバーが不安を感じずに本音で発言できる環境」こそが、チームの生産性を高めることが明らかになりました。

これはチームの「心理的安全性」と呼ばれ、グーグルのリサーチチームが発表しました。この発表では、心理的安全性の高いチームは離職率が低く、また収益性が高く、マネージャーから評価される傾向であることが述べられています。

以前は、上司からの指示に部下が従う縦型の組織構造が理想とされていましたが、最近では部下が積極的に発言するチームこそが「理想のチーム」であるという認識が進んでいます。

日本はいま、労働人口の減少による生産力の低下や、国際競争力の低下といった問題に直面しています。そんな中、各企業がより高いパフォーマンスを発揮するために「1on1ミーティング」を取り入れてる背景があります。

社内コミュニケーションの改善に繋がる

上司と部下の関係は、時代によって変化します。上司が気軽に部下にコミュニケーションを取りづらくなった最近の企業において、1on1ミーティングはとても有効な手段として活用されています。

例えば、従来の日本企業の多くは「飲みニケーション」といった勤務時間外でコミュニケーションを深める慣例がありました。しかしアルコールハラスメントの問題もあり、今では積極的に行う企業は少なくなりました。

また同様にパワハラの問題から、気軽に上司から部下へアドバイスを行うことが難しくなりました。

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出典:HR総研社内コミュニケーションに関するアンケート

人事ポータルサイトを運営する「HR総研」が2016年に人事担当者を対象に実施した社内コミュニケーションに関するアンケートによると、全体の約7割を超える企業が社内のコミュニケーションに問題があると認識しています。

このような背景から、企業は上司と部下がコミュニケーションを取れる場を模索していましたが、その解決方法の1つが「1on1ミーティング」になりつつあります。

部下から積極的に発言する場であるため、パワハラなどのリスクがなく、かつ相互の理解を深めるきっかけになります。

1on1ミーティングの企業導入事例

この章では1on1ミーティングを制度として導入している企業の事例を挙げて、導入の目的や制度利用の実態を解説していきます。自社に1on1ミーティングを導入する際の参考にしてください。

お互いが学び続ける学習する組織へ|楽天株式会社

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出典:楽天株式会社

楽天株式会社は、社員一人ひとりのパフォーマンスを目的として、2018年より定期的な1on1ミーティングを導入しました。

管理職が直属の部下に対して、30分のミーティングを毎週や隔週で実施。上司から部下への指導を禁止し、お互いが学び続けることができる「学習する組織」の構築を目指しています。

6,000人の社員に1on1ミーティングを実施|ヤフー株式会社

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出典:ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、2012年より1on1ミーティングを社内制度として取り入れています。導入の目的としては、「経験学習というスキームの導入」「社員の才能と情熱を解き放つこと」の2つ。

  • 経験学習というスキームの導入:仕事での経験や成功失敗から学びを得ることで、次の仕事のサイクルへと生かしていく
  • 社員の才能と情熱を解き放つこと:部下自身が気づいていない潜在力を引き出す

導入時には「時間を捻出できない」など不満の声もありましたが、外部の専門家を取り入れ、制度をブラッシュアップすることにより、現在では6,000人の社員が1on1ミーティングを実施しています。

個人と組織の成長を目的としたMBOの確認の場として活用|グリー株式会社

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出典:グリー株式会社

グリー株式会社(以下、グリー)は、最低でも月に1回、上長との1on1ミーティングを実施する制度があります。グリーでは、個人と組織の成長を目的とし、「MBO」と呼ばれる個人で設定した目標の達成度を管理する評価制度を導入しています。

1on1ミーティングでは、このMBOの達成状況の確認や自身の目指す姿と現状のギャップの認識合わせを中心に会話が行われます。またより良い1on1ミーティングを実施するために、上長に対する独自研修制度も用意されています。

1on1ミーティングの実施方法

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この章では、1on1ミーティングの具体的な実施の仕方について解説していきます。1on1ミーティングは、特別な準備が必要ないため明日からでも始めることができます。

しかし、事前に上司と部下で実施の目的をすり合わせないと、しっかりとした導入メリットを得ることができません。実施方法を確認し、適切なタイミングで始めるようにしましょう。

1on1ミーティングの目的を共有する

まずは、1on1ミーティングを実施する目的を上司と部下で共有しましょう。1on1ミーティングと聞くと、人事考課面談など評価を査定される面談と勘違いしてしまう社員もいます。

上司から部下にしっかりと実施の意図を伝え、あくまでもチームでのパフォーマンス強化や個人での成長のためのミーティングの場であることを理解してもらいましょう。

重要なのは、部下からなるべく本音を引き出すことです。仕事の話題だけでなく、「最近嬉しかったこと」や「困っていること」などプライベートな話も交えながら、相手を理解することに努めましょう。

ミーティング日程や実施の頻度を決める

1on1ミーティングの実施を伝えると、現在の業務にプラスして時間を設ける必要があるので、「忙しいから」といった理由で部下からは反発が出る恐れがあります。

しかし、チームのメンバーが本音で語る環境があることで、中長期的にチームのパフォーマンスが向上することを伝え、理解してもらいましょう。

また1on1ミーティングは、必ずしも長時間必要な訳ではありません。実施をしている多くの企業では30分前後にミーティング時間を設定し、定期的に行なっています。

大事なのは、定期的に実施をし、部下の成長や心理的変化を定点で観測することです。

週1回、月1回など企業やチームのリソース状況と照らし合わせながら実施頻度を決めると良いでしょう。

ミーティングの実施と記録

ミーティング時には、上司が喋りすぎず、部下が話しやすい環境を作るのが大事です。大切なのは、部下が主体的に今の感情や思考を上司に伝える行為です。話させるのではなく、自発的に話す環境が理想です。

また、ミーティングの様子は必ず記録するようにしましょう。長期的に1on1ミーティングを続けていくことで、初期と比べて部下の感情や思考の変化を記録から読み取ることができます。

加えて、上司側も最初はうまく質問ができないものです。自分の反省点も含めて、記録しておくと1on1ミーティングの質の向上にも繋がります。

ツールを活用し、効果的に1on1ミーティングを実施しよう

1on1ミーティングが制度として普及してきたこともあり、効果的な1on1ミーティングの実施をサポートするツールも増えています。今回はその中でも導入実績の多いツールをいくつかご紹介していきます。

ブイキューブ|Zoomミーティング

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製品名:Zoom ミーティング

対象企業:個人〜大企業まで幅広く利用可能
価格:4タイプで異なる。

  • パーソナルミーティング:無料
  • プロ(小規模チームに最適):2,200 円/月(年契約:26,400円)
  • ビジネス(中小企業向け):要問い合わせ
  • 企業(大企業向け):要問い合わせ

自社の規模に合わせてプランを選択できるのが、「Zoom ミーティング」の特徴です。

プランによっては最大1000人まで1つのWeb会議に参加することが可能な上に、最大49人分の映像を同時に画面に表示できるという、大規模な会議にも向く仕様。社内外で大規模な会議を行うことがあるという企業におすすめです。

音質や画質の高さはもちろんですが、「Gmail」や「Googleカレンダー」といった外部のツールとも連携して活用することで、会議参加者のスケジュール日程の調整もスムーズに行えるようになっています。

また、全ての会議が暗号化される仕組みになっているため、セキュリティ面も安心。会議の際には、オプションであるアンケート機能や質疑応答機能といった便利な機能も活用することで、臨場感のある会議を実現できることでしょう。

Zoomの有料版を使うべきメリットとは?

Web会議ツールZoomの有料版を使うべきメリットについては、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

Wistant|組織マネジメントツール

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出典:Wistant [ウィスタント]|組織のパフォーマンスを高めるマネジメント支援ツール

Wistantは、個人のパフォーマンス強化と組織へのエンゲージメントをサポートするマネジメントツールです。目標管理やフィードバック、1on1の機能を搭載し、マネジメントの状況を可視化・把握することができます。

1on1ミーティングに関する機能には、以下のようなものがあります。

  • ペア・周期の設定と通知:実施時期に合わせてメールやチャットツールでリマインダーが届く
  • 1on1の質を高める事前アンケート:限られた時間を有効に使うために、事前アンケートを作成できます
  • 1on1トピックの固定:話して欲しいトピックを設定し全社に共有できます
  • 1on1シートで対話の内容を把握:議事録を取れるので、次回の1on1ミーティングに役立てることができます

まとめ|1on1ミーティングを導入して、個人や組織の成長に役立てよう

ここまで1on1ミーティングとは何か?といった基礎知識から、企業の導入事例・実施方法を解説してきました。

1on1ミーティングは、個人の成長を促進し、結果的に組織を強くする礎となります。すでに多くの企業が導入していますが、これからより多くの企業の導入が予想されます。

まだ導入していない企業は、本記事を参考に社内で1on1ミーティングの導入を検討することをおすすめします。

ブイキューブ
著者情報ブイキューブ

ブイキューブは映像コミュニケーションの総合ソリューションプロバイダとして、世界中どこにいても働ける働き方・環境の実現を目指しています。創業時よりテレワークを活用し、2016年には総務省「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出されました。

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