デジタル化の実現で顧客満足度が向上?企業が取り組む理由とメリット5つ
コロナ禍を機に加速するデジタルシフト。
一見、技術の進歩が専門的で遠い存在に感じられるかもしれませんが、実は私たちの日常生活や働き方に深く根付き始めています。
多くの企業がリモートワークを導入し、ペーパーレス化を推進する中、デジタル化がもたらすメリットは経済的な利益にとどまらず、社会全体の柔軟性と持続可能性を高めています。
しかし、その一方で、デジタル化に取り組むことのハードルを感じている企業も少なくありません。
この記事では、そんなデジタル化の波に乗り遅れないための具体的なメリットと、先進企業の事例を紹介し、どのように社会の潮流に適応し、そしてそれを最大限に活用するかを解説します。
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デジタル化の定義と具体例
デジタル化とは、アナログや物理的なデータをデジタルデータへと変換するプロセスを指します。英語での「Digitization」に由来するこの用語は、「デジタイゼーション」としても知られています。最も身近な例としては、紙の文書や資料をスキャンし、データベースで管理できる電子ファイルに変換することが挙げられます。これにより、ペーパーレス化を実現し、情報へのアクセスを容易にし、保存スペースを削減することができます。
さらに広義には、個別の業務や製造プロセスをアナログ方式からデジタル方式へと切り替えることも「デジタル化」と呼ばれます。この動きは「デジタライゼーション(Digitalization)」とも称され、業務の自動化や効率化に大きく貢献します。たとえば、対面で行われる会議をWeb会議に変えることは、通信コストの削減、時間の節約、そして地理的な制約からの解放を意味します。このようなIT技術を活用する変革は、「IT化」とも表現されることがあります。
企業がデジタル化を進める必要性とは?DXとの違いや導入までの流れ、具体策などを解説
デジタル化の概要やその必要性については「企業がデジタル化を進める必要性とは?DXとの違いや導入までの流れ、具体策などを解説」の記事で詳しく解説しています。
デジタル化のメリット
それではデジタル化を実現することのメリットを具体的に紹介します。
企業競争力の向上
ビジネスの世界では、変化を取り入れ、それを自社の成長につなげる能力が、成功への鍵となります。デジタル化はその変化の一翼を担い、業務効率の改善、コスト削減、顧客満足度の向上など、競合他社との明確な差別化を可能にします。
経済産業省が指摘する「2025年の崖」とは、日本のITシステムが複数のリスクに直面すると予想される時期を指し、デジタル化の必要性を象徴するものです。この時期までにデジタル化を進めておかない企業は、深刻な競争力の低下を招く可能性があります。しかし、このデジタル化の波に積極的に乗ることで、企業は新たなビジネスチャンスを創出し、業界に革新をもたらすことができます。
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査結果によると、金融業界や社会インフラなどの分野では、デジタル化を推進することで、新しいビジネスモデルやサービスが次々と生まれています。IoTやAIを活用したサービスは、顧客にとって便利でありながら、企業にとっても新たな収益源になる可能性を秘めています。
業務効率化・生産性向上
紙ベースで保存していたデータやファイルをデジタル化すると、手作業が減り作業効率が大幅に上がります。これまで時間を要していた業務が自動化し、生産性の向上にもつながります。
例えば経理や総務系の業務の場合、次のように業務が変化します。
- 伝票や帳簿のデータ入力が自動化
- 電子決済導入で支払いプロセスが迅速化し、請求書の紛失や遅延を防ぐ
- 勤怠管理データと給与計算までを自動化
- 人事情報をクラウド上で管理することで、追加・削除・保管が容易になる
FAX、請求書、納品書、報告書、議事録などをデジタル化しデータ保管すれば、検索や分析、ファイリング業務がほとんど自動化され、作業工数が大幅に削減されます。また、デジタル化によって蓄積される膨大なデータを活用することにより、顧客行動の理解やマーケティング戦略の最適化、効率的な業務プロセスの改善なども可能です。
デジタル化されたデータを社員やチーム全体で共有することで、ノウハウや進捗状況が一元化・共有されるため、新人育成や引継ぎに活用できます。
コスト削減
デジタル化はコスト削減にもつながります。
例えば、紙ベースの書類をデジタルに変えプリントアウトせずデジタル上でやり取りすれば、保管場所や郵送費用の削減になります。
また、オンライン会議を導入することで、打ち合わせの際の交通費、会議室の確保や移動時間も軽減されるでしょう。決済業務をオンライン化すれば、出社人数を減らせるためオフィス規模の縮小や光熱費の削減、人件費の削減も期待できます。
商品の受注や定型的な質問は、チャットボットを導入したり、ホームページによくある質問を掲載することでカスタマーセンターに配置する人員を削減可能です。
多様な働き方の実現
テレワークやハイブリッドワークをはじめとした、多様なはたらき方の実現は多くの企業で喫緊の課題となっています。デジタル化はこうした遠隔地ではたらくワークスタイルの実現に寄与します。
例えば、紙の書類をクラウドに保管し共同で編集できるようにしたり、会議をWeb会議で実施すれば、従業員はどこにいてもオフィスと同様の業務を実現できます。
顧客満足度向上
デジタル化の進展は、企業の内部運営だけでなく、顧客体験の向上にも寄与します。
たとえば、オンライン契約や決済の便利さは明らかです。郵送や対面での手続きに比べ、クラウドサービスを活用することで、顧客は時間と場所を選ばず、即時に必要な手続きを完了させることができます。また、顧客サポートでは、チャットボットやAIを用いた24時間体制の自動応答システムによる迅速な対応が可能です。
しかし、すべての顧客がデジタルの利便性を求めているわけではありません。例えば高額な商品の契約や、複雑な問題や細やかな配慮が必要な場合には、物理的な契約書類や、対面または電話でのサポートが必要でしょう。最適な顧客体験はデジタルとアナログの適切な組み合わせが必要です。
BCPの強化
デジタル化の促進はBCP対策の強化にも有効です。
デジタルツールを活用しリモートワークの体制が整っていれば、自然災害や大規模な感染症が蔓延した場合でも業務を持続できます。デジタル化したデータはクラウド上に保存したりバックアップを取っているため、紙ベースの書類のように消滅、破損する心配がほとんどありません。
オフィスに出社できない状況でも、業務に必要なデータがクラウド管理されていれば、自宅で通常業務の継続が可能です。災害時の連絡や情報共有には、オンライン会議やチャットが役立つでしょう。
デジタル化された情報はサーバ上で管理・バックアップが取られているため、災害時でも重要なデータを迅速に復元できます。業務の中断を最小限に抑えられます。
まとめ
企業のアナログな業務をデジタル化すれば、コスト削減や業務の効率化、生産性の向上など多くのメリットを得られます。業務フローの自動化やオンラインサービスを導入すれば、顧客の都合の良いタイミングにサービスを提供できるので、満足度向上も期待できるでしょう。
デジタル化の波は急速に進んでおり、今話題のChatGPTなどAIを使ったビジネスモデルを使いこなすには、既存のビジネスモデルをデジタル化しなければなりません。この動きに乗り遅れないように、まずは現状でデジタル化できる業務を洗い出し「最終的にどのようなビジネスモデルにしたいのか」を明確にすることから始めましょう。