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昨今の我が国においては、「人手不足」が日本経済の持続的な成長の足かせになるのではないかと大いに懸念されています。「働き手の確保」は喫緊の課題であり、政府は出生率向上の一環として「子育てしやすい環境作り」の充実に、国をあげて取り組んでいます。

 

しかしながら、そうした政策の実効性にはやや悲観的な見方が少なくありません。2009年をピークに、日本人の人口は10年連続で減少の一途をたどっており、子育て環境へのテコ入れ程度では日本人人口の「自然増加」には大きな期待が持てないというのが主な理由です。

 

そのようななか、日本の労働市場において「際立った変化」が訪れていることはご存知でしょうか。その変化とは、「外国人労働者の増加」です。日本で働く全就労者のうち外国人の占める割合が2%を超えたことが2017年の厚生労働省の調べで判明しました。具体的な人数としては、127万人と報告されています。

 

なお、2018年10月末時点における外国人労働者数は146万人に達しており、たった1年で20万人近く増加しています。国別にみると、全体の26.6%が中国人で約39万人、続いてほぼ同じくらいの割合でベトナム人(31万6840人)が占めており、その両国で全外国人労働者の50%ほどを占めています。以降の国籍はフィリピン、ブラジル、ネパール、韓国、インドネシアと続いていきます。

 

在留資格別外国人労働者数の推移

 

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)

 

今回の記事では、外国人人材受け入れのメリットや活用方法などについて解説いたします。

2019年から外国人労働者の受け入れが拡大

「外国人労働者を増やしていく取り組み」には、日本政府も大変意欲的であることはご存知でしょうか。安倍内閣は、2018年に策定した「骨太の方針2018」の一環として、同年11月に「入管法」を改正することを閣議決定しました。

 

かつての入管法では、日本で働くことが認められている外国人の条件は以下の3つのみとなっており、非常に限定的でした。

 

  • ・専門的・技術的分野での活躍が期待される高度外国人材(条件によって長期就労可能)
  • ・祖国の発展に貢献することを目的に技術習得を目的とした技能実習生(最長5年)
  • ・留学目的できている学生(週28時間のアルバイトのみ)

 

最初に挙げた高度外国人材以外は、技術実習生やアルバイトに留まっており、「即戦力人材」のとして外国人を活用することはできないに等しい状況だったのです。

 

しかし2018年に閣議決定された改正入管法においては「特定技能」という在留資格が新設されたことにより、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材」が日本で就労することが認められるようになりました。この点が、改正入管法の本丸です。

 

参考:出入国管理及び難民認定法 及び 法務省設置法 の一部を改正する法律の概要について - 出入国在留管理庁

 

現時点では、以下の14業種において、即戦力人材として活用することが可能となっており、2019年より5年間で34万5150人もの外国人の受け入れを見込んでいます。

 

14業種と各業種における受け入れ見込み人数

  • ・介護業(6万人)
  • ・外食業(5万3000人)
  • ・建設業(4万人)
  • ・ビルクリーニング業(3万7000人)
  • ・農業(3万6500人)
  • ・飲食料品製造業(3万4000人)
  • ・宿泊業(2万2000人)
  • ・素形材産業(2万1500人)
  • ・造船・船用工業(1万3000人)
  • ・漁業(9000人)
  • ・自動車整備業(7000人)
  • ・産業機械製造業(5250人)
  • ・電気・電子情報関連産業(4700人)
  • ・航空業(2200人)
  •  
  • 参考:我が国に生活・滞在する外国人の現状と外国人が生活・滞在する上での課題 - 総務省

企業が外国人労働者を受け入れるメリットとは

「外国人労働者の受け入れ」に国をあげて取り組んでいる現状についてはご理解いただけたかと思いますが、「企業が外国人労働者を受け入れるメリット」については、ピンときていない方が少なくないのではないでしょうか。外国人労働者の活用には、実はさまざまなメリットが存在しており、なかでも際立ったメリットは大きく4点あります。

 

人材不足の解消・技能試験をクリアした「一定水準以上の人材」を雇用できる

大きなメリットの一つが「人材レベル」です。今回新設された「特定技能」という在留資格は「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材」である必要があるため、その条件をクリアするために「技能試験」が課せられています。

 

技能試験を突破するには、生活に支障のないレベルの日本語による会話ができるほか、生活に支障のない程度の技能を有すること(1号認定の場合)や、熟達した技能を有すること(2号認定の場合)なども要件になっています。人材不足が叫ばれる中、日本人と共に支障なく働けることを前提に「即戦力としてすぐにでも活躍できる人材」を採用できるのは、企業側にとっては大きなメリットといえるでしょう。

 

新しいアイデアやイノベーションの創出

2つ目に挙げられるメリットは「新しいアイデアやイノベーションの創出」です。日本人は協調性や同質性を好みがちですが、新しいアイデアを生み出したり、今までにないイノベーションを巻き起したりするうえでは、しばしば障害になりえます。そういった際に起爆剤となるのが「外国人人材の起用」です。

 

もしも、国内外でのローンチを前提としたグローバル商品や新サービスの開発を検討しているならば、外国人の雇用に積極的に取り組むべきです。日本人にはないマーケティング視点や発想、問題点の発見などにより、ビジネスの成功を強力に後押ししてくれることでしょう。これは、異なるバックグラウンドやカルチャーを持っている外国人ならではのメリットといえるのではないでしょうか。

 

グローバル化への対応

3つ目に挙げられるメリットが「グローバル化への対応」です。たとえば、外国向けの商品やサービスの企画・開発を検討している場合、ローンチ予定の国に住んでいたネイティブがプロジェクトに参加することで、大きな利益をもたらしてくれるでしょう。母国のカルチャーや商習慣について、有益な情報を容易に得られるため、多角的な視点での分析・検討が可能になるからです。

 

また、現地法人とのやりとりが発生する際にも、ネイティブの介入によって、スムーズな交渉の実現が期待できます。海外向けの商品開発やマーケティング、プロモーション等をスムーズに進めたいのであれば、外国人人材の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

職場の活性化

4つ目に挙げられるメリットが「職場の活性化」です。自らの意志で、海外就労を決意した外国人人材は総じて「モチベーション」が高いことが特徴として挙げられます。意欲的にさまざまなことを吸収しようとする外国人社員の姿は、社内の雰囲気を活性化させたり、刺激を与えたりと、ポジティブな変化をもたらしてくれます。最近、なんとなく覇気が感じられない、活気がないと感じる場合には非常におすすめです。

 

「日本ならではの就業環境」が課題に

このように外国人人材の雇用には、実にさまざまなメリットがあります。しかし、その一方で「日本ならではの就業環境」が、外国人人材のモチベーションを阻害するなどして、重大な問題として表面化しているようです。

 

これは、日本国際化推進協会(JAPI)が独自に行った「日本における就職の不満」に関するアンケート調査で判明しています。具体的には、以下の4点について大きな不満を抱いているようです。

 

  • ・長時間労働
  • ・評価システムの不透明さ
  • ・昇進の遅さ
  • ・日本人ならではのコミュニケーションのむずかしさ

 

日本における就職の不満

出典:通商白書2016

 

とりわけ深刻なのが「長時間労働」で、実に70%近くもの外国人が、不満を感じていることがわかっています。現に、日本の労働生産性はOECD加盟国中、36カ国中20位と低水準です。長時間労働をよしとする日本独自の企業風土に大きな原因があるのではないでしょうか。

 

続いて挙げられた「評価システム」「昇進の遅さ」「コミュニケーションの難しさ」については、30%〜40%程度の外国人が不満であると述べており、こちらも見逃せない高い割合です。いずれも「日本ならではの就業環境」に問題があるといえそうです。

外国人人材を活かすための職場づくりとは

外国人の方々に、より長期にわたって安定的に働いてもらうためには、日本人同士の同調圧力でなんとなく受け入れていた企業風土や商慣習を改め、「誰もがイキイキとやりがいを持って働ける職場環境の構築」に力を注いでいくことが大切です。具体的にメスを入れていきたいポイントとしては以下の3つが挙げられます。

 

「長時間労働」の抑制

真っ先に取り組みたいのが「長時間労働の抑制」です。これは、働き方改革の一環として、昨今の日本でも重要なテーマの一つに挙げられています。長時間労働を減らす際には、単に労働時間を短くするだけではなく「生産性の向上」に取り組むことが大切です。

 

長時間労働の抑制の具体的な策としては、ノー残業デーや残業の事前承認制などで残業時間の抑制、「優先順位づけ」による業務の効率化、生産性向上のためのITツールの活用などがあげられます。

 

業務効率化につながる「ITツール」の積極活用においては、クラウドでのファイル管理やクラウド勤怠管理ツール、テレビ会議を用いた空間共有やWeb会議などがあげられます。それらを用いることで、遠方でも通常通り業務を行うことが可能になり生産性の向上につながります。また、空間共有やWeb会議などは対面でのミーティングのための移動の時間を大幅に削減できるので、手軽にミーティングを開くことができます。労働時間の削減にも効果があり、従業員満足度やエンゲージメントも向上することが予想されます。

 

「公平な評価システム」の導入

企業から何を期待され、その期待にどの程度応えられたかといった「評価」に関することは、外国人は日本人以上に関心を示す傾向があるようです。不透明でわかりづらい評価制度は、外国人社員のモチベーションを低下させるだけではなく、早期退職の原因にもなりかねません。そのため、「公正な評価システムの導入」も、すぐさま実施したいことの一つです。

 

仕事やプライベートな悩みについて話せる「相談相手」を作る

海外で働くことは、私たちが想像している以上に大きなストレスを感じることです。異国の地で誰にも相談できずに、一人で悩みを抱え込んでしまうこともあるでしょう。

 

そのため、「仕事やプライベートな悩みについて話せる『相談相手』を作る」ことにも取り組んでみてください。具体的には「1:1ミーティング」が挙げられます。

 

「1:1(ワンオンワン)ミーティング」は、上司・部下の間で行う継続的な面談のことをいいます。事前に議題設定のうえ、しっかりとメモを取らせるなどして改善点を洗い出しつつ、定期的に振り返らせることで「部下の継続的な成長」をうながすのがこのミーティングの役割です。

 

このミーティングの最大のポイントは「高頻度の実施」です。1:1ミーティングの場合は、週に1回〜隔週1回以上のペースで、継続的に行っていくため、部下の成長を持続的にウォッチしながら、信頼関係もしっかりと育みやすいのが最大の特長です。

 

現在では、遠隔地からでも1:1ミーティングを行えるようにWeb会議などを使い会議の頻度をあげている企業も多くあります。例えば本社と支社の距離が遠く、直接対面でのミーティングに負荷がかかる場合は、Web会議やテレビ会議を用いて対面とほぼ変わらないMTGを行うことも可能です。

 

また、本社とサテライトオフィスをWeb会議でつなぎ、空間共有を行い一体感を醸成することで、コミュニケーションの活性化、生産性向上と業務効率化にも繋げている事例もあります。

 

ICTインフラ導入コンサルティング会社のシステージでは、サテライトオフィスと本社をテレビ会議システムでつなぎ、広角カメラを組み合わせた空間共有の仕組みを整備しました。本社とサテライトオフィスの社員が、常に顔を合わせてコミュニケーションできるようにしたことで、移動の無駄もなくなり、結果的に残業も削減。社員同士のコミュニケーションは確実に増えており、さらに「社員同士の飲み会」も増えたようです。

 

サテライトオフィスから見える本社の様子

サテライトオフィスから見える本社の様子

 

参考:オフィスは「PC画面の中」!? Web会議の一歩先、広がる「空間共有」のいま- ITmdia News

まとめ

外国人人材を活用することは、私たちが想像する以上にさまざまなメリットをもたらしてくれるものです。長時間労働の抑制や、仕事やプライベートな悩みについて話せる『相談相手』を作ることも、外国人と日本人人材両方の「モチベーションアップ」や「従業員エンゲージメントの向上」にもつながる有益なアクションです。

 

また、受け入れには「職場環境の整備」が不可欠で、特にITツールの活用は外国人人材を活用したい今後の日本企業においては重要なポイントとなるでしょう。従業員の満足度や企業へのエンゲージメント向上には、継続的なコミュニケーションが必要であり、会議の効率化や1:1ミーティングのIT化は必須となります。ぜひとも検討してみてはいかがでしょうか。