働き方改革に効果的なアイデア7選!誰でも働きやすい職場で優秀な人材確保を
介護や育児が必要になっても働き続けられるようにするため、政府は働き方改革の推進を掲げています。働き方改革における大きなテーマは次の2つです。
- 労働時間法制の見直し
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
これは、ワーク・ライフ・バランスの実現と働きすぎによる健康被害の防止、正社員と非正規社員の格差是正が目的です。これにより、残業時間の上限や雇用形態に関わらない公正な待遇が法律によって定められています。違反した場合は罰則が規定されていることから、働き方改革は企業にとって義務付けられている状態です。
また、働き方改革は法令を遵守するために必要なものではなく、企業のとっても恩恵があります。社員が働きやすくなることにより業務に集中でき、結果として生産性向上が期待できるでしょう。また、働き方改革が推進されている企業は求職者にとっても魅力的です。優秀な人材確保にも繋がります。
ただ、具体的にどのようなことをすべきか手探り状態の企業もあるのではないでしょうか。そこでこの記事では、企業が働き方改革を進めるにあたって取り組むべき具体的かつ効果的なアイデアを7つ紹介します。
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働き方改革を進めるアイデア7選
働き方改革は「ワーク・ライフ・バランスの実現」「時間外労働時間の規制」「不合理な待遇格差の是正」を目的としています。これらを実現するために効果的な7つのアイデアを紹介します。
ハイブリッドワークの導入
ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方です。WeWork Japan 合同会社が実施した「コロナ禍長期化における働き方意識調査2022」によると、すでに調査対象者の約半数の企業がハイブリッドワークを導入していました。
ハイブリッドワークは社員それぞれの状況や事情に合わせて働く場所を選べ、社員のライフステージが変化しても在職し続けられるため、離職率の低下に繋がります。社員の事情に合わせた働き方を用意することは、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。また、通勤負担が軽減されてプライベートの時間もしっかり確保できれば、ワーク・ライフ・バランスの実現にもなるでしょう。
個人でできる作業はテレワークで行い、コミュニケーションが必要な業務では出社するなど、業務内容に応じて働く場所を変更することにより生産性の向上が期待できる点もメリットです。一方、予定外業務の発生時や緊急時に担当者がテレワークで不在のため対応が遅れる、完全出社に比べコミュニケーション不足になるといったデメリットが考えられます。
ハイブリッドワークを導入する際には、社員のコミュニケーションが希薄になりすぎないようにチャットやWeb会議システムなどのコミュニケーションツールを活用し、出社日を設けるなどのルール整備を行うことが重要です。
ハイブリッドワークとは?メリット・デメリットや導入時の課題、ポイントを解説
ハイブリッドワークについては「ハイブリッドワークとは?メリット・デメリットや導入時の課題、ポイントを解説」の記事で詳しく解説しています。
フレックスタイム制度の導入
フレックスタイム制度の導入も働き方改革で挙げられている取り組みの1つです。フレックスタイム制度とは、決められた総労働時間内で社員が自由に出退勤時刻や1日の労働時間を決められる制度です。導入には「就業規則への規定」と「労使協定の締結」が必要になります。
特に、労働時間の精算期間が1ヶ月を超える場合には、管轄の労働基準監督署に労使協定を届出しなければなりません。
フレックスタイム制度を導入すると、社員は仕事とプライベートの配分を状況に応じて変えられるため、ライフスタイルに合わせた働き方を選択しやすくなります。企業側としては社員に柔軟な働き方を提供することで労働生産性と人材の定着率向上が期待できるでしょう。
またフレックスタイム制度は、精算期間を基準にして時間外労働を考えるため残業時間の削減に繋がり、人件費やオフィスの稼働コストの削減が期待できる点もメリットです。
デメリットとしては、時間外労働に関する取り扱いが通常とは異なるため残業代の計算方法が難しく、正しく運用・理解しなければトラブルになる恐れがあります。社員にフレックスタイム制度の正しい知識を浸透させ、勤怠ソフトなどの活用により残業時間の見える化を図ると良いでしょう。
【導入企業急増中】フレックスタイム制とは?押さえておきたい基礎知識と導入までの2STEPを解説!
フレックスタイム制については「【導入企業急増中】フレックスタイム制とは?押さえておきたい基礎知識と導入までの2STEPを解説!」の記事で詳しく解説しています。
ABWの導入
ABWとは、社員が自由に働く場所や時間を決められる働き方のことです。「Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の頭文字を取った言葉で、オフィスだけでなく自宅やコワーキングスペースなども仕事場として自由に選択可能です。
ABWは自由度が高い働き方であるため、取り組み方は企業や目的によって異なります。例えば、作業効率の促進が目的のケースでは、オフィスに個人ブースやリラックススペースなどのさまざまなスペースを設けることで、社員は業務内容によって最適な作業スペースを選択できます。出社する社員の数が減ることから、オフィス面積の削減を目的とする場合もあるでしょう。
ABWは個人の作業内容に適した作業環境をそれぞれ選択できるため、社員が集中して業務に就けるようになり生産性の向上に繋がります。また、自由度の高い働き方を提供することで、ワーク・ライフ・バランスを重視する若手人材の採用力アップが期待できる点もメリットです。
どのような目的にせよ、ABWの導入は仕事の効率化を前提に進めることが重要になります。オフィスの稼働状況や社員の働き方などを調査し、課題とニーズの両方を把握したうえで制度の見直し・オフィスレイアウトの変更を検討すると良いでしょう。
ABWとは?フリーアドレスより自由な働き方を解説
ABWについては「ABWとは?フリーアドレスより自由な働き方を解説」の記事で詳しく解説しています。
評価制度の見直し
働き方改革で掲げられている待遇格差をなくすためには、評価制度の見直しも必要な取り組みです。働き方改革における法改正では、同一企業内において正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁止し、待遇差がある場合は説明義務が発生します。
まずは、雇用者の待遇が同一か否かを調査し、不合理であると判断した場合は待遇の改善を検討しましょう。そのうえで、個々の努力や能力を正しく評価する仕組みづくりが大切です。厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」によると、雇用管理の取り組み個数が多い企業ほど社員の仕事に対するモチベーションや職業生活全体の満足度が高い傾向にありました。
社員を適切に評価することで本人のモチベーションや成長意欲が高まり、離職率の低下にも繋がります。また、雇用管理の内容としては「能力・成果等に見合った昇進や賃金アップ」「人事評価に関する公正性、納得性の向上」への取り組みが上位に見られました。評価制度には公平性と透明性が求められるため、評価基準や評価方法を明確に設定することが大切です。
テレワークでの評価は見直すべき?その理由と知っておきたい3つのポイント
テレワークでの評価制度については「テレワークでの評価は見直すべき?その理由と知っておきたい3つのポイント」の記事で詳しく解説しています。
休暇制度の見直し
働き方改革では年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務付けられました。企業は労働者の希望を聞いたうえで取得時季の指定が可能です。
加えて、独自の休暇制度を導入する企業も増えています。厚生労働省の調査内にある「特別休暇制度の導入状況」によると何らかの特別休暇を導入している企業は全体で88.2%となりました。従業員規模別の割合を見ても、いずれも8割以上の企業が特別休暇を導入しています。以下はよく見られる特別休暇の一例です。
- 夏季/冬季休暇
- リフレッシュ休暇
- 病気休暇
- ボランティア休暇
- 教育訓練休暇
- 記念日休暇
特別休暇の導入は働きやすい職場環境づくりに役立ち、企業のイメージアップにも繋がります。ただし、社員への周知が徹底されなければ意味がなく、特別休暇があることを周知するなど、取得しやすい環境づくりも重要です。また、特別休暇を導入・変更した際には、労働基準監督署への届け出が必要になります。
1on1の導入
1on1とは、上司と部下が1対1で行う定期的な面談です。人事考課面談(人事面談)とは異なり、部下の成長促進や課題解決のサポートを目的として行われます。
リクルートマネジメントソリューションズが実施した調査によると、1on1を導入している企業は全体の約3割、従業員規模3,000名以上の企業では約7割という回答結果になりました。企業規模が大きいところでは、1on1を導入している企業が多くあります。
また「社員の主体性・自律性の向上」や「自律的キャリア形成の支援」が導入の目的として挙げられています。1on1の頻度や面談の長さに決まりはありませんが、週に1回や月に1回の頻度で15分~30分程度の面談が一般的です。1on1の導入によりコミュニケーション機会の増加や信頼関係の構築が期待できるため、部下の育成やマネジメントに役立ちます。
一方で、上司には部下が話しやすいような傾聴の姿勢や、適切なフィードバックなどが求められることから面談スキルの向上が課題と言えるでしょう。実施する際には人事評価の場と勘違いされないように、部下に目的をしっかりと伝えたうえで時間配分や話すテーマを決めておくことが大切です。また、次回の面談がより有意義になるように、記録を残しておくと良いでしょう。
1on1ミーティングとは?企業の導入事例や実施方法を解説
1on1については「1on1ミーティングとは?企業の導入事例や実施方法を解説」の記事で詳しく解説しています。
ナレッジマネジメントの促進
ナレッジマネジメントとは、個人の知識や経験を組織で共有し活かす経営手法です。終身雇用制度が崩れつつある現代において、転職によるキャリアアップという考え方が一般化してきています。その結果、個人に知識やノウハウが蓄積する一方で企業には蓄積しづらい環境でしょう。
ナレッジマネジメントは業務の属人化を防ぎ、生産性向上が期待できます。知識を形式知化(文章や図表などで見える化する)しておくことで、業務や人材育成の効率化を実現できる点もメリットです。また、情報を共有することで組織内連携が取りやすくなり、競争力の向上にも繋がります。
ただし、ナレッジマネジメントには「業務改善型」や「社員教育型」など複数の種類があり、システム導入には時間とコストがかかります。目的を明確にし、導入コストや活用しやすさなどを考慮したうえで自社の課題に合ったシステムを検討しましょう。
ナレッジマネジメントとは?導入する3つのメリットやツールを徹底解説
ナレッジマネジメントについては「ナレッジマネジメントとは?導入する3つのメリットやツールを徹底解説 」の記事で詳しく解説しています。
まとめ
働き方改革に掲げられている大きなテーマは大きく2つですが、見直すべき内容は多岐にわたります。また、働き方改革を成功させるための方法もさまざまです。
今回紹介したアイデアを参考に、自社の労働環境改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。社員の満足度向上やワーク・ライフ・バランスが実現できれば、企業の生産性向上・人材獲得といった課題解決に繋がる可能性が高まります。