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ニュースなどを通じて、人口減少社会という言葉を聞く機会が増えてきました。国にとって人口減少は、消費の落ち込みや社会保障制度の見直しといった事態につながる大きな課題です。では、企業にとって人口減少とは、何が問題でなり、どのように対策をしていけばいいのでしょうか?

 

今回の記事では、日本の人口と働き手の数をデータから分析することで、これから企業が取るべき対応策を紹介していきます。

人口減少社会とは

人口減少社会とは、出生率の低下などを背景にして、文字通り人口が減少していく社会のことを言います。

 

具体的には未婚化、晩婚化、晩産化、夫婦出生力の低下に起因します。あるいは子育てにかかるコストの大きな上昇を原因とする少子化や、平均寿命の長寿化に伴い、死亡率が低下して高齢化が進んでいることが原因とも言われています。出生者数が継続的に死亡者数を下回る状態が続いているため、人口が減少し続けているのです。

 

このまま高齢化が進行していけば、今後確実に訪れる人口の減少により、日本の経済成長や社会保障制度の維持をしていく公的部門に大きな影響を与えるのは明らかです。日本経済の将来に大きな懸念材料を与えていると言えるでしょう。

 

出生数及び合計特殊出生率の年次推移

出典:平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)

 

少子高齢化の進行は、生産年齢人口の減少による採用難や、医療水準の向上も影響しての長寿化による人生100年時代の到来につながります。これは日本に限ったことではありませんが、日本国内における少子高齢化は、他の先進国と比較してもそのスピードが非常に早く、現在のままでは様々な問題が起きると言えるでしょう。

 

高齢化、人口減少を緩和していくためには、子どもを望む人々が、子どもを産み育てられる環境を整備し、出生率の低下に歯止めをかけていくことが大事になってきます。また、子どもを持つ女性や就業意欲がある高齢者が活躍できる勤務体制や、従業員が働きやすい就業環境の整備など、長期間に渡り続く働き手の減少の影響を緩和する施策も重要になってきます。

 

日本の人口減少は2008年から続いている

平成28年版の情報通信白書によれば、日本国内の総人口は2008年をピークに減少しています。総人口は2030年に1億1,662万人、2060年には8,674万人となり、2010年人口の32.3%減にまで減少すると考えられています。

 

その中で、生産年齢である15歳から64歳の人口は、2008年よりも更に前の1995年をピークに減少傾向にあります。2015年には7,592万人だったのですが、将来推計によると、2030年には6,773万人、2060年には4,418万人程度まで減少傾向が見込まれています。

 

日本の人口減少は2008年から続いている

出典:平成28年版 情報通信白書

 

少子化がさらなる人口減少を生む構造に

日本国内の人口減少の主な要因は出生率の低下ですが、近年では、過去の少子化の影響で出産年齢の女性人口が大幅に減少していることが、出生者数減少の要因の一つになっているとも捉えられています。

 

出産の可能性が高い25歳から39歳の女性の人口に目を向けてみると、日本では2005年には約1300万人から、2030年には約800万人に大幅に減少する見込みです。

 

このようなことから出生者数が増加に転ずる可能性が極めて低く、人口減少は長期間に渡り続く見込みと言えるでしょう。

半数近くの企業が人口減少を重要な経営課題と捉える

さて、こうした人口減少社会を、企業はどのように捉えているのでしょうか。2017年に帝国データバンクが公表した「人口減少に対する企業の意識調査」によれば、78.7%が「人口減少により会社の採用には大きな悪影響が出る」と回答しています。さらに経営において「人口減少を重要な経営課題である」と認識している企業は45.7%にのぼりました。

 

企業にとっては、人口が減少する社会は、人手不足と顧客の減少に直結します。人口減少の影響が重く受け止められていることは明白です。



人口減少による影響

自社の経営における捉え方

出典:人口減少に対する企業の意識調査

 

さらに回答には、経済規模の縮小に加えて国民負担が増大することなど、マクロ経済全体に与える影響に不安を感じているとの意見が多くありました。また従業員の高齢化と新卒者の採用難に直面しており、営業および技術継承に大きな影響が出て、人材を確保することが難しくなるといった懸念も挙がっています。

 

企業にとっての課題は労働力の減少

日本国内で人口が減少していくと、労働力自体も減少していくため、企業も労働力を確保していくことが厳しくなります。特に団塊の世代が引退すること、バブル崩壊後の長期不況期において若年労働力を十分に採用してこなかったことによる、「事業や技能の継承」「若年層の採用などの人材確保」といった課題が目立つようになってきました。

 

各企業がこうした労働力の問題に対応していくためには、高齢者、女性など、これまで働いていなかった方々を含めて、誰でも意欲と能力に応じて多様な働き方ができる職場環境を作っていくことが重要です。

 

こうした職場環境の整備をしていけば、有能な人材が職場に定着でき、新たな人材確保にもつながり、企業の競争力を高めることが期待できます。

各企業が取るべき対策は働き方改革と生産性向上

日本国内で労働力が減少していくことはもはや避けることができない状態です。その中で日本政府は「一億総活躍社会」というスローガンを掲げ、働き方改革を推進しています。女性活躍、高齢者の雇用、外国人材の活用など、様々な人々が社会で活躍できる時代を目指しているのです。

 

労働力が少なくなっていくなかで企業が取れる対策は、少ない人数でも最大限の業務を遂行するよう業務の効率化を工夫していくこと、いわゆる「生産性の向上」です。

 

長時間労働を解消する

長時間労働を抑制するという点は、2019年4月より施行された「働き方改革関連法」でも重視されています。時間外労働の上限規制と労働時間の把握、月60時間を超える残業に対する割増賃金率の上昇、有給休暇の年5日時季指定付与といったことを企業に対し義務化することが法律に盛り込まれました。

 

長時間労働を改善し、労働時間を短くしていくことで、労働者自身の健康維持とワークライフバランスにつながります。健康悪化による業務効率の低下を防ぎ、働き盛りの従業員が自分の余暇を利用して一層の能力向上を図っていくことが期待されます。

 

具体的には、ノー残業デーや残業の事前承認制などで残業時間の抑制、「優先順位づけ」による業務の効率化、生産性向上のためのITツールの活用などがあげられます。「ITツール」の積極活用においては、クラウドでのファイル管理やクラウド勤怠管理ツール、テレビ会議を用いた空間共有やWeb会議などを用いて、業務効率化を行い生産性を高めていくことが重要です。

 

ダイバーシティに対応する

企業が労働力を確保していくために、これまで十分に活躍できなかった女性や外国人労働者、シニア、障害者などの多様な人材が活躍できる環境を整える「ダイバーシティ」が重要です。

 

このダイバーシティを実施していくことで、人材活用が容易になるだけでなく、さまざまな視点からビジネスが進められ、イノベーションにつながる可能性が高くなります。また、高年齢者から若手に対して技術や経験を伝承する、外国人労働者のグローバルな視点をビジネスに活用するという利点もあります。

 

仕事と家庭の両立支援を行う

要介護者数と共働きが増加している現在では、ダイバーシティを実現していくためにも、育児や介護を抱えている労働者が仕事と家庭を両立できることが重要です。

 

このような方には、空いた時間に仕事に従事できる時短勤務や、自宅にいながら仕事ができるテレワークなど、柔軟な働き方ができる環境整備が求められます。それが最終的には新卒や中途採用を問わず求職者へのアピールに繋がっていくだけではなく、育児や介護を理由に退職してしまう事態を防いでいくことにも繋がるでしょう。併せてそうした働き方を許容することで、従業員が高いモチベーションで仕事に取り組む効果も見込めます。

 

業務効率化に取り組む

テレワークなどの柔軟な働き方や、在宅勤務を実現していくには、業務中の無駄な時間を解消し、業務効率化をしていくことが必要です。

 

例えば、Web会議システムを導入してどこからでも会議ができれば、移動時間を削減することができ、経費も減らすこともできます。 無駄な業務を減らすことで、一人ひとりの生産性向上や、長時間労働の抑制につながります。

まとめ

日本の労働者人口はこれから右肩下がりに減少していくのは、もはや避けられない喫緊の課題です。ただ悲観してばかりではなく、公益財団法人日本生産性本部が公表したデータによると、日本の時間当たりの名目労働生産性水準は、5年連続で過去最高を更新しています。

 

企業は然るべき対応を取り、限りある労働力を活かす体制を整備して乗り越えていくことが求められています。まずは業務効率化になるツールを導入するなど、今できることから始めてみてはいかがでしょうか。