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従業員の定時退社を実現させるために企業が知っておくべき3つの施策

従業員の定時退社を実現させるために企業が知っておくべき3つの施策

「社員の残業が多い」
「定時退社が定着していない」

このように、自社の長時間労働でお悩みの方は少なくないのではないでしょうか。

ITシステム会社である株式会社ロックシステムが全国20〜30代の男女1,000人を対象に行ったオンラインアンケート(2019年12月)によると、若手社員が考える理想の働き方改革のトップ3は「定時退社」「有給消化」「在宅勤務」であることがわかりました。

また同調査で「働き方改革が職場で行われている」と答えた人々によれば、最も多い施策は「残業の削減」でした。

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定時退社とは、残業をせずに定時で退勤することです。

したがって、自社で定時退社を定着させることは、裏を返せば、残業を軽減させることを意味します

定時退社へのニーズは高く、また多くの企業が積極的に取り組んでいる改革のため、導入しない理由はないでしょう。

しかし、定時退社は決してむやみやたらに導入して良いものではありません。

正しい運用方法を知らなければ、稼働日以外のスロットにしわ寄せがいったり、結果的に仕事の質が落ちたりといったデメリットも発生し得ないからです。

そこで本記事では、改めて定時退社の基礎知識を正しく理解すると共に、その本来のメリットや目的、そして施策を成功させるためのポイントや企業事例について徹底解説したいと思います。

ぜひ、自社の参考にしていただければ幸いです。

そもそも定時の定義とは?

定時とは、企業の就業規則や雇用契約書に定められた所定労働時間(企業が独自に定める労働時間)を指します。

この所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)の範囲内で設定する必要があり、企業に雇われている会社員はこれに従うことが原則となっています。

定時に関する時事では、2019年4月より施行された、働き方改革関連法が記憶に新しいと思います。

従来の働き方を見直することで、個人のワークライフバランスや企業のパフォーマンスを、より良いものにしようとする日本政府の施策です。その一環として、時間外労働の是正も求められるようになりました。

時間外労働とは、所定労働時間を超える労働を指します。

所定労働時間を超えて労働させること自体に罪は問われませんが、あらかじめ労使協定(36協定)を企業側と労働者側で結ぶ義務があり、また企業は必ず以下の通り、所定の割増賃金を従業員に支払わなければ行けなくなります。

労働の種類

現状の割増率

時間外労働

1.25倍

法定休日労働

1.35倍

深夜労働(午後10時〜午前5時まで)

1.25倍

深夜労働(午後10時〜午前5時まで)
かつ
時間外労働

1.5倍

所定労働時間を超えて残業を行う場合であっても、原則、それが法定労働時間の範囲内であれば割増賃金は発生しません。

ただし、近年の長時間労働問題や働き方改革といった社会の流れの中で、一人ひとりのワークライフバランスを守るための「定時退社」は、働きやすい職場の判断基準の一つとして君臨していることは否めないでしょう。

定時退社の実現を左右する2つの要因

それでは、定時退社できる職場とそうでない職場では、一体何が異なるのでしょうか。

定時退社を左右する要因は、2つ考えられます。

1つ目は、職場の雰囲気です。
具体的には、直属の上司の判断や、チームの雰囲気によって、定時で帰れるか否かに影響が及ぼされます。残業が当たり前になり過ぎて定時退社しにくかったり、上司が帰るまで帰れない雰囲気が蔓延している企業もあるかもしれません。

ただ前提として定時退社できるかどうかは、上司や社内の雰囲気、あるいは本人の意志に全て委ねられるものではないのです。

そこで2つ目に考えられる要因が、法律や企業ルールです。
ここでは、下記2種類を取り上げたいと思います。

  1. 労使協定(36協定
  2. 労働条件通知書

企業と従業員が締結する労使協定(36協定)には、残業や休日労働の定義と条件が明記されています。

具体的には、1日・1カ月・1年の単位で残業させることができる時間の上限が書かれており、残業(時間外労働)の上限は「1カ月で45時間以内、1年で360時間以内」と定められています。
(※ただし特別条項を結んでいる会社は、特別の事情がある場合に限り、年に6回までは月45時間、年間360時間の範囲を超えて残業させることができます。)

従来は、前述した上限を超えて働かせても、行政指導が入る程度で、原則的に罰則はありませんでした。しかし2019年4月(中小企業は2020年4月から)からは時間外労働の上限規制により、時間外労働の上限を超えて働かせた場合「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰則」が企業に課せられることになります。

このように残業に関してより厳しい規制が入るなかで、今後は定時退社しやすい環境が整備されていくと考えられます。

また、個別の労働条件を記載した労働条件通知書も、労働時間の確認には欠かせないポイントです。「所定時間外労働の有無」と「始業・終業の時刻、変形労働制」は必ず社員にも確認を促すようにしましょう。

「所定時間外労働の有無」の欄が「有」となっている場合、基本的に会社からの指示による残業を拒否することはできません。つまり法的拘束力のある36協定の範囲であれば、基本的に残業に応じる必要があるわけです。

また法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間となりますが、「始業・終業の時刻、変形労働制の適用について」について、変形労働時間制が適用されている場合はこのルールが変わります。

例えば1日10時間の勤務を行った場合、法定労働時間に則れば2時間が時間外労働ということになります。しかし1カ月単位の変形労働時間制が適用されており、一定の期間を平均して週40時間に収まるようであれば、1日10時間働く日があったとしても残業にはならないわけです。

企業側が定時退社にコミットすることで得られるメリットは大きい

定時退社が注目されているとはいえ、企業として業績UPを狙っているのであれば、少しでも多くの時間を社員に稼働してもらいたいと願うのは自然なことでしょう。そのため、必要以上に定時退社を制度化することに対して少なからず抵抗を感じる方もいるかもしれません。

しかし、企業が社員に定時退社を守らせることには、中・長期的に見て多くのメリットが考えられます。そこで、この章では企業が定時退社にコミットすることでどのような効果が期待できるか解説していきます。

人件費の削減につながる

まずは従業員の定時退社により、これまで残業代として支払っていた人件費の削減につながります。労働時間が短くなるために仮に1人当たりのこなせる業務が縮小したとしても、人件費の削減によって事業の利益率自体をそのまま維持できる可能性は、十分にあるといえます。

生産性の向上が期待できる

定時退社が前提となれば、限られた時間の中で、いかに成果を出せるかといった生産性が鍵となります。そこで社員自らが従来の業務をより効率化する方法や時間管理を見直すようになれば、結果的には企業全体の生産性向上も期待できます。

助成金など国の支援を受けることができる

中小企業における働き方改革を支援するために日本政府が提供している助成金も得ることができます。

例えば、定時退社を推進する企業に対しては、対策に要した費用の一部を助成する「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」などが用意されています。

そのほか定時退社に向けた業務効率化のために、ITツールを導入した企業を対象とした「IT導入補助金2019」も運営されているので、。こういった助成金等の支援を受けながら定時退社を進めていくことも検討できます。

ホワイト企業として社外にPRできる

現在は雑誌や、Webメディアなどで定時退社を実施する企業の記事を見かける機会も増えました。今どきの若い人は高い給料がもらえるよりも、定時退社できるかどうかで企業を選ぶと言われる通り、定時退社が常態化することで、こういった若手社員候補へのPRにもつながります。

一つの参考として、人材会社のエン・ジャパンによる「人事のミカタ(2019年版)」を見てみましょう。

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「あなたが考える理想のキャリア・仕事・働き方はどのようなものですか?(自由記載)」といった質問に対し、20代・30代の求職者双方において、プライベートの充実へのニーズが高いことがわかっています。

求職者の希望に合った制度を確立しておくことは、訴求力UPに非常に効果的な施策であるといえるでしょう。

魅力的な条件を提示できることで、優秀な人材がより集まりやすくなるほか、一度入社した社員の定着率も高まります。

定時退社を実現するための企業側の施策とは?今すぐ取り組むべきポイント3選

では、実際に従業員の定時退社を実現させるためには、どうすれば良いのでしょうか。以下、具体的な対策をご紹介します。

  1. ノー残業デーを設置する
  2. 帰りやすい仕組みを定着させる
  3. ITツールの導入で業務の無駄を省く

1. ノー残業デーを設置する

厚生労働省が公表している「時間外労働削減の好事例集」のなかでは、残業を抑制し、定時退社に成功した企業事例が記載されています。

例えば事例として取り上げられているある会社は、従業員自らが週の1日をノー残業デーとして設定することで、定時退社しやすい雰囲気の醸成に成功したといいます。

従業員は一人ひとり業務内容や忙しい曜日が異なるため、一律に設定するのではなく、自身の裁量に合わせてノー残業デーを設定する仕組みを導入。あらかじめ共通のファイルに職場の全員が各自のノー残業デーを記入し、お互いに確認できるようにしたといいます。

その結果、ノー残業デーの重複を避けることで、業務に支障が出ない範囲で各自が退社時間の調整を行えるようになったそう。あわせて業務効率化も進めた結果、ノー残業デー以外の日でも長時間の残業は少なくなり、1人当たりの時間外労働時間は20時間程度(1カ月当たり)に抑えられたといいます。

2. 帰りやすい仕組みを定着させる

上司が帰らないために自分も先に帰りにくいなど、帰りにくい雰囲気が残業をさせている場合もあります。そこで帰りやすい仕組みを作ることにも、目を向けてみましょう。

例えば日経BPムックの「まるわかり働き方改革」で紹介されている、厨房機器メーカーの「タニコー株式会社」は、さまざまな残業削減対策を実施した結果、「帰りにくい雰囲気」を打開しないことには残業は減らないと考え、就業直後に従業員が大移動する仕組みを導入しました。

具体的には、オフィスのワンフロアを全従業員が使えるラウンジに改装。定時以降に仕事がしたいもしくは打ち合わせがしたい従業員は、改装したラウンジで行うことを義務化しました。その結果、帰りやすい雰囲気が作られ、総残業時間の大きな短縮につながったといいます。

3. ITツールの導入で業務の無駄を

毎回一から作る手間を省くためにテンプレートやマニュアルなどを作成し、業務の効率化も図りたいところです。

メールの文面やプレゼン用のパワーポイントなどは、一度定型文やフォーマットを作ってしまえば、その都度一から作る手間を省けます。頻繁に行う業務に関してはマニュアルを作成しておくことで、引き継ぎ等の業務もスムーズにいくのではないでしょうか。

また、ITツールの導入は、営業など移動の伴う業務にも有効です。例えば、従来対面で行なっていた打ち合わせをWeb会議システムで実施できれば、顧客先への移動時間が短縮されます。結果、長時間労働になりがちな営業の人でも、結果的に定時退社の実現に近づくことができます。

加えて、Web会議システムを使って営業内容や会議内容を録画・可視化すれば、これまで属人的になりがちだった営業やプレゼンのノウハウを社内に蓄積できます。

一部のトップセールスマンやコミュニケーション能力に長けた人だけが持っていた経験やスキルを他者に共有しやすくなれば、全従業員の業務効率化につながり、結果として定時退社の実現に近づけるでしょう。

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定時退社を促すことに成功した企業事例

最後に、実際に定時退社を促すことに成功した企業について事例を紹介していきます。

ここで紹介されている企業での取り組みは、どれも自社においても気軽に取り入れられる仕組みですので、ぜひ参考にしてみてください。

①株式会社クラシコム:「本当に必要か?」という問いで18時退社を実現

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(画像引用元:北欧暮らしの道具店

北欧雑貨などを扱うECサイト「北欧暮らしの道具店」を運営する「株式会社クラシコム」では、18時でほぼ全員が定時退社をしているといいます。

ポイントは、「ECRS」というフレームワークの考え方を採用したことです。 このフレームワークは、目の前の業務に対して最初にそもそもやる必要があるかどうか(Eliminate:排除)、次にほかの業務と一緒にできないか(Combine:統合)を考える際に役立ちます。

それでも解決できない場合は業務の優先順位を考え(Rearrange:順序の変更)、最後にどうしてもやる必要があると判断した業務に対しては合理化や効率化を図る(Simplify:単純化)といったプロセスです。

定時退社の実現には、業務の効率化に目が向きがちです。しかし同社は「そもそも目の前の業務は必要かどうか?」といった本質から問い直すことで、結果的に定時退社を実現させました。

※参考:株式会社クラシコム|「本当に必要か?」という問いで18時退社を実現

②株式会社オーシスマップ:残業の申請制度により定時退社を徹底

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(画像参照:株式会社オーシスマップ

内閣府が作成した働き方改革の好事例集で取り上げられている「株式会社オーシスマップ」は、申請制度にすることで残業へのハードルを上げ、定時退社を促すことに成功したといいます。

その結果、残業時間は大幅に削減され、 退職者も激減。産前・産後休業、育児休業取得者も増え、復職率は100%を達成しています。

また、同社のワーク・ライフ・バランス推進や子育て支援などの取り組みが社外でも評価され、メディアにも多く掲載されるように。結果として就職を希望する応募者が増え、 募集費用をかけなくても人材が集まるようになったといいます。

※参考:株式会社オーシスマップ|残業の申請制度により定時退社を徹底

③株式会社ランクアップ|17時退社でも13年連続増収を

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(画像引用元:マナラ

オリジナル化粧品ブランド「マナラ」の開発・販売を行う「株式会社ランクアップ」では、17時に退社する社員が多いなかで、13年連続増収を記録しています。

就労時間は8時半から17時半ですが、「17時に帰ってもいいよ」制度によって、仕事を早く終わらせて17時に帰る社員が多いという同社。

定時退社実現のために、タスクの見える化による業務改善や、メールで「お疲れ様です。」などの内容とは関係のない一文の禁止、会議は基本30分で終了させるなどの取り組みを実施しています。

また社内資料についてはエクセルやパワーポイントなどを使うと、装飾など資料の作り込みに必要以上に時間がかかることから、ワードのみで統一。

そのほかメンバーに与えた課題に対して、リーダー自らが後日回答を聞いて回り、結論を取りまとめ。結果として、結論の整理に複数人が関わることによる無駄を削減し、プロジェクトの進行スピードを上げているそうです。

※参考:株式会社ランクアップ|17時退社でも13年連続増収を

まとめ|定時退社は業務の効率化や制度の見直しとセットで考える

ここまで定時退社を実現する方法を紹介してきましたが、定時退社は業務の効率化やテレワークなどの制度の導入とセットで考えることで、現実味を帯びてきます。

生産性を高めるための工夫や、従業員にとって働きやすい環境を整備した結果として、定時退社の実現に向けて動き出しましょう。

なお、大切なのは定時退社を狙ったITツールや施策の「導入」ではなく、「定着」であることを念頭に入れておきましょう。表面的な定時退社を実現できても、社員が仕事を持ち帰って業務時間外に作業をしていたり、既存の業務がおざなりになってしまえば、本末転倒です。

本記事が、定時退社の実現に向けて少しでも参考になれば幸いです。

働き方関連法案について

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戸栗 頌平
著者情報戸栗 頌平

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在フィリピンに在住、場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。Facebookはこちら。Twitterはこちら。LinkedInはこちら

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