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4月から定時退社をテーマとした「わたし、定時で帰ります。(TBS火曜午後10時~)」が放送開始し、主人公・東山結衣(吉高由里子)が毎日定時でスパッと切り上げる姿に、共感やうらやむ声がSNSを通じて聞こえてきます。

 

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(画像引用元:TBS公式サイト

 

こういった姿に反響が出るのは、定時退社したくともできない人が一定数いるためではないでしょうか。そこで今回は、定時退社するために個人ができる方法から企業の施策まで考えていきます。

そもそも定時の定義とは?

会社員にとっての定時とは、企業の就業規則や雇用契約書に定められた所定労働時間(企業が独自に定める労働時間)のことを指します。この所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)の範囲内で設定する必要があります。

 

よく言われる時間外労働とは、所定労働時間ではなく、法定労働時間を超える労働を指します。法定労働時間を超えて労働させる場合は、あらかじめ労使協定(36協定)を企業側と労働者側で結ぶ必要があり、また法定労働時間を超えて働かせる場合には以下の通り、所定の割増賃金を支払う必要があります。

 

労働の種類 現状の割増率
時間外労働 1.25倍
法定休日労働 1.35倍
深夜労働(午後10時〜午前5時まで) 1.25倍

深夜労働(午後10時〜午前5時まで)

かつ

時間外労働

1.5倍

 

時間外労働とは原則、法定労働時間を超える残業を指し、所定労働時間を超えて残業を行う場合であっても、それが法定労働時間の範囲内であれば割増賃金は発生しません。

定時退社できるかは上司でなく法律や企業ルールで決まる

残業が当たり前になり過ぎて定時退社しにくい雰囲気や、上司が帰るまで帰れない雰囲気が蔓延したりしている企業も、なかにはあることでしょう。ただ前提として定時退社できるかどうかは、上司や社内の雰囲気ではなく、本人の意志はもちろん法律や企業ルールによって決まるものです。

 

定時退社のために最初に確認すべきは、企業側と結ぶ36協定の中身。36協定とはそもそも、従業員に残業や休日労働を行わせる際に必ず締結しておかなくてはいけない約束のことです。

 

36協定には1日・1カ月・1年の単位で残業させることができる時間の上限が書かれており、残業(時間外労働)の上限は「1カ月で45時間以内、1年で360時間以内」と定められています。

 

ただし特別条項を結んでいる会社は、特別の事情がある場合に限り、年に6回までは月45時間、年間360時間の範囲を超えて残業させることができます。

 

またこれまでは前述した上限を超えて働かせても、行政指導が入る程度で原則的に罰則はありませんでした。しかし2019年4月(中小企業は2020年4月から)から時間外労働の上限規制が施行される関係で、時間外労働の上限を超えて働かせた場合、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰則が課せられることになります。

 

このように残業に関してより厳しい規制が入るなかで、今後は定時退社しやすい環境が整備されていくと考えられます。

個別の労働条件も確認する

最も強制力のある36協定の内容が、定時退社を考える上での最優先事項となりますが、あわせて個別の労働条件を記載した労働条件通知書も確認しておきましょう。確認すべきは、「所定時間外労働の有無」と「始業・終業の時刻、変形労働制の適用について」の2つです。

 

「所定時間外労働の有無」の欄が「有」となっている場合、基本的に会社からの指示による残業を拒否することはできません。つまり法的拘束力のある36協定の範囲であれば、基本的に残業に応じる必要があるわけです。

 

また法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間となりますが、「始業・終業の時刻、変形労働制の適用について」について、変形労働時間制が適用されている場合はこのルールが変わります。

 

例えば1日10時間の勤務を行った場合、法定労働時間に則れば2時間が時間外労働ということになります。しかし1カ月単位の変形労働時間制が適用されており、一定の期間を平均して週40時間に収まるようであれば、1日10時間働く日があったとしても残業にはならないわけです。

定時退社は当たり前? 毎日早く帰るためのコツとは?

では、実際に定時退社するためにはどうすればいいのか。以下で考えていきます。

雑談とこまめな打ち合わせで業務の配分を調整

雑談と聞くと一見、非効率なように思えますが、メンバーの状況を把握して適切な仕事配分を行うためには必要となるはずです。定時退社の方法と聞くと、いかにいまの業務を効率化するかに目が当たりますが、そもそも任される仕事の量が本人のキャパシティを越えていれば、効率化以前の問題となります。

 

とくにリーダーは、チームメンバーの状況を雑談や打ち合わせなどを通して把握しましょう。例えば雑談に応じない、もしくはすぐに会話を切り上げるといった行動が見受けられる場合、目の前の仕事にいっぱいいっぱいになっている可能性が考えられます。

他人と自分の仕事の線引き

ひとつの業務に対して複数の人が関わると、業務の進捗状況の報告など余計なコミュニケーションが発生してしまいます。そこで自分の仕事と他人の仕事の線引きにより、業務の効率化を図りたいところ。

 

相手のため、良かれと思ってやったことが余計なおせっかいにつながり、相手の仕事の邪魔をする可能性もあります。また何よりも、自分の業務が不必要に増えてしまいます。

 

もちろん他のメンバーが困っているときは手を差しのべることは必要です。一方でそういった場面でも自分勝手に手出しをせず、相手が何に困っているのかを聞いた上で、手伝う必要がある業務のみをサポートするといった配慮も必要となるでしょう。

オフの予定から逆算して考える

定時退社を意識するためには、業務にのみ目を向けるのではなく、帰宅後のプライベートにも目を向けてみましょう。プライベートの時間に予定を入れることで、仕事を早めに切り上げる動機となります。

手帳やノートなどのアナロググッズの活用

業務の効率化を図るためのToDo管理において、頭のなかの煩雑な状態をテキストだけでなく図解などのビジュアルでも整理しやすいといった点で考えると、アナロググッズも有効です。

 

パソコンやスマホのメモアプリなどは、たしかにテキストでの整理に適しており、字のきれい汚いに関わらず、どこに何が書いてあるのかぱっと見てわかりやすいという利点はあります。一方で、書きだせる向きや手段に制限があるのも事実でしょう。

 

しかしアナログの手帳やノートは、書き出せる自由度が高いためにビジュアルなどで表現しやすく、物事のつながりを矢印を使って図解で整理するといったことも可能です。

 

打ち合わせ時のメモはデジタルを活用し、自分の理解を促したり、頭のなかのToDoを整理する際はアナログを活用するといった方法も検討してみましょう。

テンプレートやマニュアル作成で一から作る手間を省く

毎回一から作る手間を省くためにテンプレートやマニュアルなどを作成し、業務の効率化も図りたいところ。

 

メールの文面やプレゼン用のパワポなどは、一度定型文やフォーマットを作ってしまえば、その都度一から作る手間を省けます。頻繁に行う業務に関してはマニュアルを作成しておくことで、引き継ぎ等の業務もスムーズにいくのではないでしょうか。

 

マニュアル化という点でいえば、Web会議システムを使って営業内容や会議内容を録画・可視化すれば、これまで属人的になりがちだった営業やプレゼンのノウハウを社内に蓄積できます。

 

一部のトップセールスマンやコミュニケーション能力に長けた人だけが持っていた経験やスキルを他者に共有しやすくなれば、全従業員の業務効率化につながり、結果として定時退社の実現も現実味を帯びてきます。

定時退社の落とし穴とは?

定時退社には、意外な落とし穴も存在します。以下の落とし穴も考慮しながら、定時退社の実現に向けて動き出したいところ。

仕事の持ち帰りが発生する

会社主導で強制的な定時退社が促されれば、業務時間内に終わらない仕事は、家に持ち帰ってやるといったケースが生まれる可能性もあります。これでは、定時退社の意味がありません。

 

業務効率化や生産性向上に取り組み、業務が通常の就労時間に収まった結果、定時退社は実現できます。

急ぎの仕事が優先されてしまう

定時で退社するとなると、就労時間内に終わらせるべき緊急度の高い仕事が優先されてしまいます。実作業などのアウトプットが優先された結果、リサーチや勉強などに時間が割けず、アウトプットの質の低下にもつながりかねません。

 

定時退社の実現に向けては、自宅ではリサーチなどの情報収集に時間を割き、会社では実作業(アウトプット)の時間とするなど、個人の時間の使い方がより試されるはずです。もちろん前述したように、リサーチなどのインプット作業も含めて、定時に収まるような取り組みが前提になります。

定時退社による企業側のメリットとは?

次に、従業員が定時退社することによる、企業側のメリットを考えていきたいと思います。

人件費の削減につながる

従業員の定時退社により、これまで残業代として支払っていた人件費の削減につながります。労働時間が短くなるために仮に1人当たりのこなせる業務が縮小したとしても、人件費の削減によって事業の利益率自体をそのまま維持できる可能性は、十分にあります。

生産性の向上が期待できる

定時退社が前提となれば、従業員は短い時間のなかで成果を出すことが求められます。従業員自らが、従来の業務をより効率化する方法や時間管理を見直した結果、単位時間当たりの生産性向上も期待できます。

 

実際にファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する「株式会社ZOZO」では、1日6時間労働を導入したことで、前年比で1人当たりの労働生産性が25%上昇したといいます。

 

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(画像引用元:ZOZOTOWN

助成金などの国の支援を受けることができる

国では、中小企業における働き方改革を支援するために、助成金等も準備しています。例えば、定時退社を推進する企業に対しては、対策に要した費用の一部を助成する「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」などを用意しています。

 

そのほか定時退社に向けた業務効率化のために、ITツールを導入した企業に対しては「IT導入補助金2019」なども用意。こういった助成金等の支援を受けながら、定時退社を進めていくこともできます。

ホワイト企業として社外にPRできる

現在は雑誌や、Webメディアなどで定時退社を実施する企業の記事を見かける機会も増えました。今どきの若い人は高い給料がもらえるよりも、定時退社できるかどうかで企業を選ぶと言われる通り、定時退社が常態化することで、こういった若手社員候補へのPRにもつながります。

定時退社を促すための企業側の施策とは?

ノー残業デーの設置

厚生労働省が公表している「時間外労働削減の好事例集」のなかでは、残業を抑制し、定時退社に成功した企業事例が記載されています。

 

例えば事例として取り上げられているある会社は、従業員自らが週の1日をノー残業デーとして設定することで、定時退社しやすい雰囲気の醸成に成功したといいます。

 

従業員は一人ひとり業務内容や忙しい曜日が異なるため、一律に設定するのではなく、自身の裁量に合わせてノー残業デーを設定する仕組みを導入。あらかじめ共通のファイルに職場の全員が各自のノー残業デーを記入し、お互いに確認できるようにしたといいます。

 

その結果、ノー残業デーの重複を避けることで、業務に支障が出ない範囲で各自が退社時間の調整を行えるようになったそう。あわせて業務効率化も進めた結果、ノー残業デー以外の日でも長時間の残業は少なくなり、1人当たりの時間外労働時間は20時間程度(1カ月当たり)に抑えられたといいます。

帰りやすい仕組み作り

上司が帰らないために自分も先に帰りにくいなど、帰りにくい雰囲気が残業をさせている場合もあります。そこで帰りやすい仕組みを作ることにも、目を向けてみましょう。

 

例えば日経BPムックの「まるわかり働き方改革」で紹介されている、厨房機器メーカーの「タニコー株式会社」は、さまざまな残業削減対策を実施した結果、「帰りにくい雰囲気」を打開しないことには残業は減らないと考え、就業直後に従業員が大移動する仕組みを導入しました。

 

具体的には、オフィスのワンフロアを全従業員が使えるラウンジに改装。定時以降に仕事がしたいもしくは打ち合わせがしたい従業員は、改装したラウンジで行うことを義務化しました。その結果、移動のごたごたにまぎれて帰りやすい雰囲気が作られ、総残業時間の大きな短縮につながったといいます。

テレワーク環境の整備

周りの目を気にする必要のないテレワークであれば、自分の裁量で時間を切り上げられることができます。また監視の目がないなかで業務を進めていくことから、自己管理能力を鍛えるきっかけにもなるでしょう。

WEB会議システムによる移動時間の削減

例えば営業の場合、インサイドセールスといって外勤ではなく内勤で営業を行う手法に注目が集まっています。インサイドセールスとはWeb会議システムを用いて、顧客先へ直接訪問せずに、遠隔で営業を行う手法のこと。顧客先への移動時間が短縮されることで、長時間労働になりがちな営業の人でも、結果的に定時退社の実現に近づきます。

 

弊社ではV-CUBE セールスプラスというツールを提供しており、インサイドセールスの実現によって、移動時間の短縮をサポートしています。

 

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このように移動時間がなくなれば、定時退社の実現性もより高まることでしょう。

定時退社を促すことに成功した企業事例

最後に実際に定時退社を促すことに成功した企業について、事例を紹介していきます。

株式会社クラシコム:「本当に必要か?」という問いで18時退社を実現

北欧雑貨などを扱うECサイト「北欧暮らしの道具店」を運営する「株式会社クラシコム」では、18時でほぼ全員が定時退社。

 

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(画像引用元:北欧暮らしの道具店

 

「ECRS」というフレームワークの考え方が、定時退社の実現に役立っているといいます。

 

このフレームワークに則ると、目の前の業務に対して最初にそもそもやる必要があるかどうか(Eliminate:排除)を考え、次にほかの業務と一緒にできないか(Combine:統合)を考えます。それでも解決できない場合は業務の優先順位を考え(Rearrange:順序の変更)」、最後にどうしてもやる必要があると判断した業務に対しては合理化や効率化を図る(Simplify:単純化)そう。

 

定時退社の実現には、業務の効率化に目が向きがちです。しかしクラシコムが実践しているように「そもそも目の前の業務は必要かどうか?」から問い直すことで、結果的に定時退社の実現に近づくのではないでしょうか。

株式会社オーシスマップ:残業の申請制度により定時退社を徹底

内閣府が作成した働き方改革の好事例集で取り上げられている「株式会社オーシスマップ」は、申請制度にすることで残業へのハードルを上げ、定時退社を促すことに成功したといいます。

 

その結果、残業時間は大幅に削減され、 退職者も激減。産前・産後休業、育児休業取得者も増え、復職率は100%を達成しています。

 

また、同社のワーク・ライフ・バランス推進や子育て支援などの取り組みが社外でも評価され、メディアにも多く掲載されるように。結果として就職を希望する応募者が増え、 募集費用をかけなくても人材が集まるようになったといいます。

株式会社ランクアップ:17時退社でも13年連続増収を

オリジナル化粧品ブランド「マナラ」の開発・販売を行う「株式会社ランクアップ」では、17時に退社する社員が多いなかで、13年連続増収を記録しています。

 

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(画像引用元:マナラ

 

就労時間は8時半から17時半ですが、「17時に帰ってもいいよ」制度によって、仕事を早く終わらせて17時に帰る社員が多いという同社。

 

定時退社実現のために、タスクの見える化による業務改善や、メールで「お疲れ様です。」などの内容とは関係のない一文の禁止、会議は基本30分で終了させるなどの取り組みを実施しています。

 

また社内資料についてはエクセルやパワーポイントなどを使うと、装飾など資料の作り込みに必要以上に時間がかかることから、ワードのみで統一。

 

そのほかメンバーに与えた課題に対して、リーダー自らが後日回答を聞いて回り、結論を取りまとめ。結果として、結論の整理に複数人が関わることによる無駄を削減し、プロジェクトの進行スピードを上げているそうです。

定時退社は業務の効率化や制度の見直しとセットで

ここまで定時退社を実現する方法を紹介してきましたが、定時退社は業務の効率化やテレワークなどの制度の導入とセットで考えることで、現実味を帯びてきます。

 

生産性を高めるための工夫や、従業員にとって働きやすい環境を整備した結果として、定時退社の実現に向けて動き出しましょう。

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