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業務効率化と聞くと、現在の業務をいかに短時間で終わらせられるかに焦点があたります。たしかに組織で働く個人にとっては、自身が抱える業務をいかに効率的にこなすかが重要な問題かもしれません。一方組織にとっては、個人単位で業務効率化を考えるのみならず、部門単位でも考えることによって、より組織全体として業務を効率化できる可能性があります。


そこで今回は、個人が抱える業務効率化の方法はもちろん、部門単位での業務効率化の方法も考えていきます。

業務効率化の目的とは?

業務効率化の目的は、企業利益の向上や従業員の働きやすさ向上にあります。短時間でより多くの業務をこなせるようになれば、その分受注できる案件も増え、企業利益は向上します。また業務効率化により従業員の作業時間が減れば、人件費の削減につながりますし、何より従業員にとっても長時間労働により疲弊する恐れも減ります。


2000年以前、日本が経済成長を遂げていた頃は、人口構造を見ても支える側(働き手)の比率が大きい状態でした。この頃は早く安く大量に作ることで、市場のニーズを満たせるため、長時間労働=利益につながっていました。

 

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(参照元:内閣府 日本の人口構造

 


また重工業が中心であったことから、女性よりも筋肉の多い男性のほうが業務に適していました。そのため女性は家庭に入り、男性に長く働いてもらうほうが組織にとっては業務効率化につながり、その結果利益の向上が期待できたわけです。


一方先ほどの日本の人口構造のグラフにもある通り、現在は高齢者の比率が高まり、現役世代の比率が低下しつつある時期です。経済発展を遂げた先進国でみられるこの時期は、世界中から受注を行い、長時間働くことで大量の製品を生み出すということが難しくなります。つまりこれまでのように男性に長く働いてもらうというやり方では、経済発展が難しい状況にあるのです。


現在は重工業ではなく、ITなど頭脳労働の比率が高まりつつあります。そのためこれまでのように男性ばかりに働いてもらうのではなく、男女ともに働いてもらうことが、組織にとっても業務効率化につながります。


また日本人の労働時間当たりの費用は、中国人やインド人の約5倍と言われています。そのため長時間働くとなると、組織側にとっても人件費の負担が大きくなるため、労働時間を短縮したなかで成果を出すことが求められます。


高齢者の比率が高まりつつある人口構造からみても、介護しながら働く人が激増する時期でもあるので、両立しながら短時間で高い価値を生み出す必要も出てきます。


ここまで紹介した背景もあり、現在の日本ではなるべく男女ともに、短時間で働くことが組織の勝利につながると言われています。男女ともに育児行える環境を整え、高騰する人件費を抑えながら短時間で成果を出すために、現在の企業にとっては業務効率化の方法を考えることが必須となってきます。

成功事例から考える業務効率化のアイデアとは?

では業務効率化の方法としては、具体的にどういったものがあるのか。ここでは厚生労働省が公表している取組事例、内閣府の「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた 「3つの心構え」と「10の実践」」、さらに「働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社」のなかから一部を抜粋して業務効率化のアイデアを考えていきます。


自社だけでなく顧客を巻き込んだ業務効率化

港湾運送業を行うA社では、自社のコストが増加すれば顧客が負担するコストも増加するとの見方から、顧客にとってもコスト削減につながる取り組みを実施しています。


例えば顧客とやり取りする資料については、自社で使用するフォーマットと顧客側で使用するフォーマットを統一してもらえるように依頼。統一されることで、内容理解や確認が容易になり、その分業務効率化につながっているといいます。


自社のみではなく顧客側にも目を向けてみることで、新たな無駄が見つかり、業務効率化につながる可能性があります。


業務効率を向上させる目標を定期的に設定

運送業を行うB社では半年に一度、各自が業務上の課題を抽出して「何を変えたらもっと仕事が早く進められるか」ということを考えた上で、業務効率を向上させる目標を設定しています。


目標設定については、達成のために実施すべき具体的な手段と、何を持って達成と言えるかの判断基準などを記載した計画書を作成。 具体的な手段を記載することで、地に足のついた目標を設定できるように考慮しているといいます。


進捗状況の確認については、1カ月に1回作成したレポートを上司に提出。ある程度の緊迫感を持って、業務効率化に取り組むことができます。思い立ったら業務効率化を行うというように場当たり的に考えるのではなく、定期的に考える機会を設けることで、従業員自らが業務の無駄を振り返る意識が芽生えていくようです。


5Sの徹底を管理者主体で推進

食料品製造業を行うD社では、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の取り組みを工場長など管理者主体で実施しています。具体的には職場に置いてある荷物、書類等を必要なものと不要なものに分別し、不要なものは破棄。また道具の置き場を固定したり、通路部分や荷物を置く部分を白線を引いて明示したりなど職場の整理整頓を徹底しています。


5Sの取り組みをより徹底するために、主体となって推進を行う同プロジェクトのメンバーが、1カ月に1回、課や工程ごとに5Sの実施状況をパトロール。取り組みを100点満点で評価しているといいます。その結果、作業に必要な道具をすぐに取り出せるようになる、探し物に時間をかけることがなくなるなど業務効率化につながっているそうです。


社内会議のための資料廃止や会議時間の上限設定

業務を進める上で欠かせない会議ですが、一方で無駄を感じる場面も少ないのではないでしょうか。そこでH社では、社内会議のための資料を廃止。上長への報告会議では、新たに資料を作成するのではなく、工程表など現場が普段使っている資料を利活用しています。こういった取り組みにより、無駄な資料の大幅な削減に成功。副次的な効果として、資料の質が向上したといいます。


またA社では、会議時間を会議内容に合った時間 (15分・30分・60分、最長90分まで) へとあらかじめ設定。このルールを適用したことによって、時間内に会議が終わるように事前に内容を十分整理してから臨むようになったといいます。

 

そもそも会議は、1人では考えられないことを複数人の力を利用して議論・決定する場です。そのため資料確認や内容整理など、1人でできる部分に関しては事前の実施を徹底することで、会議の効率化につながるはずです。


毎朝の5〜10分ミーティングで業務効率化

日本通運株式会社 海運事業部門」では、残業時間を月20時間以内に収めるという目標のもと、いくつかの業務効率化に取り組みました。


まずはチーム内で毎朝実施する5〜10分のミーティング。「その日のスケジュール」や「優先順位」、「課題・トラブル」などをメンバー同士で事前に共有し合うことで、優先順位やタイムマネジメントなどを考慮しながら効率的に仕事を進める訓練につながったといいます。


また業務に集中したいときは、電話の取り次ぎや話しかけるのを控えてもらう「集中タイム」の机を設置。そのほか各自が自分の机を整理して、私物を放置したままにしないようにフリーアドレスにもトライし、物を探す手間など省けた分、業務効率化につながったといいます。その結果、当初目標としていた残業時間の月平均20時間以内も達成しました。

部門別に実施できる業務効率化の考え方とは?

次に個人単位ではなく、部門別にできる業務効率化の方法を考えていきたいと思います。


マーケティング部門:MAツール等でマーケティングを自動化

1人1台スマホを所有することが基本となり、多くの人にとって情報を得る手段はインターネットがメインとなっているはずです。そのためマーケティングも、紙媒体ではなく電子媒体での実施を検討する企業も増えていることでしょう。

 

マーケ@ITが行った調査によれば、デジタルマーケティングの重要性を感じている人は、95%以上にのぼるといいます。企業の担当者においては、デジタルマーケティングの重要性を、肌で感じている人が多いようです。


ただデジタルマーケティングといっても、その手法は紙媒体以上に細分化されています。メルマガやLINE@、Facebook広告やTwitter広告など、チャンネルは多岐にわたり、管理も煩雑になりがちです。そこでデジタルマーケティングをより効率化するためにも、施策のなかで仕組み化・自動化できる部分がないか確認しましょう。


例えば「HubSpot」や「Pardot」などのマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)の導入は、効率化のための1つの方法です。

 

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(画像引用元:HubSpot

 

 

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(画像引用元:Pardot

 


同様のマーケティング施策を数人の顧客に対して実施することは、人の手ででも可能です。しかしこれが数百・数千単位の顧客に対して実施するとなると、全てを人の手でやるのはあまりにも非効率です。


しかしMAツールを利用することで、マーケティングのために実施する作業を簡素化・自動化できます。さらにチャンネルごとに実施したマーケティング施策の効果測定も、一括管理できるため、チャンネルごとに効果を洗い出す手間も省けます。このようなマーケティングの効率を高める仕組みを、積極的に導入していきましょう。



営業部門:インサイドセールで移動時間を短縮

近年では、インサイドセールスといって外勤ではなく内勤で営業を行う手法に注目が集まっています。インサイドセールスとはWeb会議システム等を用いて、顧客先へ直接訪問せずに、遠隔で営業を行う手法。移動時間の短縮や、Web会議システムを通じて録音・分析ができるため営業内容の可視化につながるといったメリットがあります。

 

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顧客先に直接訪問する手法は、移動時間、さらにゆとりを持って到着するための余白となる時間などのコストがかかっていました。例えば、弊社製品のV-CUBE セールスプラスなどを用いてインサイドセールスを行う場合、こういった移動時間の短縮によって、業務の効率化を図ることができます。

 

またこれまで営業として働いていた女性が、出産を機に一時的に職場を休みんで復帰したとしても、従来の直接訪問型の営業では体力面や、育児との両立で難しいといった問題もありました。しかしインサイドセールスであれば、外出せずとも隙間時間を使って在宅で行うことも可能です。

 

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(画像引用元:MiiTel(ミーテル)


またWeb会議システムを使って営業内容が可視化されれば、これまで属人的になりがちだった営業のノウハウを社内に蓄積できるようになります。一部のトップセールスマンが持っている経験やスキルを他者に共有しやすくなれば、営業部門全体の業務効率化につながるはずです。


サポート部門:チャットボットの利用で問い合わせ対応を自動化

BtoC向けのサービスを提供する企業の場合、お客様からの電話やメールでの問い合わせに対応する必要があります。しかし問い合わせ内容のなかにはマニュアルを読めば分かることなど、必ずしも人が対応する必要のないものも含まれます。そこでより業務を効率化するために、チャットボットなどのツールの導入も検討してみましょう。


例えば「サポートチャットボット」というツールであれば、AIがお客様からの問い合わせや回答パターンを認識することで、サポート業務の一部を自動化することができます。

 

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(画像引用元:サポートチャットボット

 


また業務効率化という点では、サポート部門の場合アウトソーシングもしやすいはずです。電話やメールでの対応は場所を問わず可能であるため、企業のなかにはコールセンターのみ地方に拠点を構える企業も少なくありません。そういった大規模な拠点に限らずとも、クラウドソーシング等のサービスを利用して、地方でテレワークを望む個人にお客様からの対応を一部アウトソーシングすることで、業務の効率化が図れます。


開発部門:オンラインツールの活用でリモートワークを実現

ハード機器の開発であれば、対面で進行するのが一般的と思われがちですが、遠隔から開発風景を確認できるネットワークカメラ等を利用すれば、必ずしも対面での開発にこだわる必要はありません。その分、管理・指示を行う人員は現場に足を運ぶ必要はなくなり、複数のプロジェクトをネットワークカメラを使って確認することができます。


ソフトウェアの開発であれば、近年では「Slack」や「Chatwork」などチーム内のメッセージを一元化できるツールでやり取りを行い、コミュニケーションを迅速化させる組織も増えているかと思います。

 

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(画像引用元:Slack

 

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(画像引用元:Chatwork

 


またソフトウェア開発の場合、作業自体はパソコン内で完結するため、全員が同じオフィスに出社せずとも、テレワークを利用したプロジェクトの進行も可能です。


バックオフィス部門

CLOUDSIGN」などのクラウド上で契約を完了させるツールを利用すれば、これまでのように紙を印刷して印鑑を押し、さらにそれを封筒に入れて郵送するといった手間も省けます。

 

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(画像引用元:CLOUDSIGN

 


また近年ではRPAなど、パソコン上にあるソフトウェア型のロボットが事務作業などを代行・自動化するツールも登場しています。必ずしも人が行う必要のない部分は、こういった代行ロボットの利用も検討してみましょう。


人事部門:エクセルや紙での評価運用をクラウド化

人事評価においては、紙やエクセルでの運用をクラウド型のツールに置き換えるといった方法もあります。例えば「カオナビ」というツールは、顔と名前で従業員を一括管理するデータベースですが、評価ワークフロー機能も搭載しています。

 

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(画像引用元:カオナビ

 


これはクラウド上で、各従業員の評価を閲覧・記入できる機能。こういったクラウド型の評価システムを導入すれば、これまでのように評価を記入したエクセルを紙へと出力して、従業員から人事、もしくは人事から従業員へと回覧する手間も省けます。また記入ミスによる出し戻しといった手間も、削減することができるでしょう。

業務効率化は個人と部門別の二軸で考える

ここまで紹介したように、個人と部門別の二軸で考えることで、より効果的な業務効率化が図れるはずです。


一般的には個人の業務効率化に焦点が当たることが多いですが、それだけでなく部門別のようにより大きな単位でも考えてみることで、組織にとっては真に効果的な業務効率化の方法が見つかるのではないでしょうか。