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企業が利益を確保する方法としては、売上の拡大があります。しかし売上は受注量や経済状況など、外部環境に左右される部分が大きく、確実に利益を確保できるわけではありません。


一方、コスト削減であれば外部環境に左右される心配もなく、実行した分だけ利益に反映されるため目に見えて成果を得ることができるでしょう。ここではそんなコスト削減への具体的な取り組みから、実際にコスト削減に成功した企業事例などを紹介していきます。

コスト削減の目的とは?

企業の目的が利益を上げることだとすれば、利益を上げるためには主に2つの方法があります。それは売上を拡大させることと、コストを削減することです。


利益を上げるというと売上の拡大に目が向きがちですが、膨らむコストをそのまま放置しておいては、売上を拡大させても利益率は一向に向上しないといった状態に陥る可能性があります。そこでコスト削減によって、そもそもの利益率を高めるといった目的を達成する必要が出てきます。

企業で発生するコストとは?

では実際にどのようなコストが存在するのか? 企業で発生する主なコストについて紹介していきます。


採用コスト

新卒採用にあたっては、インターンシップや企業説明会、求人媒体への広告掲載などを実施する企業も多いことでしょう。ここで、新卒採用においてマイナビが実施した調査によると、入社予定者1人あたりの採用費は53.4万円にのぼるといいます。これが例えば10人規模で採用する会社であれば、毎年500万円が、採用コストとしてかかるわけです。


採用費の内訳は、先ほどのマイナビの調査によれば半分を求人媒体への広告費が占め、残りは会社説明会や面接費用、さらには内定者フォロー費などが含まれているそうです。

 

人材採用コストの内訳

(画像引用元:東洋経済オンライン


つまり採用コストにおいては、広告費の削減がコスト削減においては最も効果が高いということ。そこで、ブログやSNSなど自社メディアの運用に注力し、求人媒体に依存しない広告のやり方を検討したいところです。こういった自社メディアは、求人媒体のように画一的にサイトに表示されるのではなく、企業独自の魅力が求職者に伝わりやすいといったメリットもあります。


人件費

人件費については、毎月支払われる基本給のほかに、当然ですが従業員の残業代なども含まれます。基本給の削減では従業員の反発をまねく可能性がありますから、まずは残業代の削減に取り組みたいところ。労働時間の短縮と業務効率化をセットで検討してみましょう。


そのほかテレワークの導入によって、オフィスに出社する必要がなくなれば、各従業員の通勤手当の削減にもつながります。


またクラウド型のITツール等を導入することで、これまで人の手で行っていた業務の自動化に成功すれば、その分の人件費の削減にもつながります。例えば人事評価においては、「カオナビ」というツールを利用すればクラウド上で人事情報が一括管理することができるため、これまで人の手で行っていた人事評価の集計・整理作業分を削減できます。

 

カオナビのホームページ画像

(画像引用元:カオナビ


オフィスコスト

毎月発生する賃料などのオフィスコストは、一度削減すれば、その後長期的にコスト削減の効果を実感することができます。具体的にはテレワークの導入により、オフィスに出社する従業員の数が減少すれば、より賃料の安いオフィスへと引っ越しすることで、面積の削減につながります。またテレワーク可能な部門の一部を、賃料の安い郊外や地方へと移すことも、賃料の削減にもつながります。


賃料だけでなく、テレワークの導入によりオフィスに出社する従業員が減少すれば、その分照明や空調使用時間の削減などにつながります。テレワークの導入で、オフィスの電力消費量が1人当たり43%も削減可能というデータもあるようです。


IT関連コスト

パソコンなどは性能の進化が激しく、1年単位で買い替える必要が出てくる場合もあります。といっても性能の進化にあわせて買い替えていては、コストは高くつくばかり。そこで自社で購入するのではなく、利用契約を結ぶ「リース」も検討してみましょう。リースであれば、新規で購入するコストを抑えながら、最新機器を利用できるようになります。

コスト削減のために取り組みを検討したいアイデア集

では次に、実際のコスト削減に向けて取り組みを検討したいアイデア集を紹介していきます。


従業員の定着率を高めるための働きやすい職場づくり

先ほど、新卒の内定予定者を1人採用する場合、50万円程度の採用コストがかかると紹介しました。これはつまり50万円の予算を費やした結果、その内定者がすぐに辞めてしまっては、50万円が無駄になるということ。なおかつ、辞めた人材を補うために新たな採用コストもかかってしまいます。こういった採用コストを抑えるためには、従業員の定着率を高めたいところ。


そのためにも、従業員にとって働きやすい職場づくりは不可欠といえるでしょう。例えば採用後、本人の希望を考慮した適切な人材配置を実施。配属された職場でやりがいを持って働けるように、適正な評価や、本人の希望や将来について定期的に話し合うことも必要です。


こういった人材配置は、従業員のモチベーション向上やパフォーマンスを最大限に発揮することにつながりますし、それが引いては企業全体の利益につながるはずです。


作業環境の改善

労働者は1日の3分の1を職場で過ごすといわれています。そこで作業環境を快適にすることも、働きやすい職場づくりには欠かせません。空気清浄機の設置で空気の汚れを取り除く、上司の判断で調整できないように冷暖房を一定の温度に保つ、集中しやすい明るさに調整する、スタンディングデスクの導入など、作業環境を改善する取り組みも実施していきましょう。


年の近い先輩担当者を付ける

若手社員の退職理由として、人間関係の悪さに絡む働きづらい職場が挙げられます。そこで人間関係について少しでも居心地の良さを感じてもらうために、若手社員1人に対して、必ず1人の年の近い先輩社員を付けるといったメンター制度の導入も有効といえるでしょう。気軽に相談できる先輩社員が身近にいることで、従業員の離職防止につながります。


従業員の意見を聞き入れる体制

職場環境や業務等に不満や改善の余地があったとき、それを聞き入れてもらえないと、社員は居心地の悪さを感じてしまいます。そこで社員が上層部対して意見を言いやすくなるような提案制度を設けるというのも、働きやすい職場づくりには必要といえます。


ただ「会社に対して意見してくれ」では、ハードルが高くなり、強要されることで逆に従業員の不満につながってしまう恐れがあります。そこで業績に貢献するような提案をした者に対して一定の報酬を用意したり、はじめは簡単なアンケートから始めてみたりなど、提案制度の導入にあたっては浸透させるための工夫も必要です。


通勤などの移動コストを深刻に考える

従業員の体力が低下し、生産性が下げれば、企業全体の不利益につながります。つまり従業員のモチベーションを損なうコスト(要因)は、企業にとってのコストにもつながるわけです。こういった視点で考えると、従業員の移動コストは企業にとってのコストとなるはずです。朝のラッシュ時など通勤地獄によって従業員の体力が失われれば、その分、従業員の生産性の低下をまねく恐れがあるためです。


こういった移動コストによる従業員の体力低下を防ぐために、テレワークの導入によって出社義務もなくすといった方法も有効といえます。また時間差通勤を許可するなど、朝のラッシュ時とは時間帯をずらして従業員が出社できる取り組みも、企業にとってのコスト削減につながるはずです。


通勤以外の移動コストを考えてみると、営業などはインサイドセールドといって外勤ではなく内勤で営業を行う手法に切り替えれば、顧客先から顧客先への移動の手間を軽減することができます。


インサイドセールスとは、顧客先へ直接訪問せずに、Web会議システム等を用いて遠隔で営業を行う手法。顧客先へ直接訪問するとなると、移動時間や、さらにゆとりを持って到着するための余白となる時間などの移動コストがかかってしまいます。しかしインサイドセールスであれば、こういった移動時間の短縮によって、いたずらに従業員の体力を奪うこともなくなります。


仕組み化やマニュアル化の徹底

例えば多店舗展開を行う企業であれば、店舗数が増えれば増えるほどオペレーションなどを仕組み化することで、サービスレベルを均一にすることが求められます。しかしこういった仕組み化がうまくできておらず、現場主導になってしまうと、サービスレベルにばらつきが出る恐れがあります。


また本部と現場とでコミュニケーションコストが発生している場合、企画した販促キャンペーンが現場に正確に伝わらず、スタッフごとに理解度にバラつきが出る可能性もあります。結果的にオペレーションやサービスの質が均一でない、といった問題を引き起こすことにもつながるでしょう。


新人教育であればマニュアルが確立しておらず、教育が属人的になってしまうと、従業員の成長スピードに差が出たり、一度教えたことをまた教えるといった手間が増えたりと、問題が起こりかねません。


こうした問題を解決するためにも、仕組み化やマニュアル化の徹底は不可欠。「ClipLine」など、本部と現場とのコミュニケーションコストを軽減し、教育をマニュアル化してくれるツールの助けを借りることも検討してみましょう。

 

ClipLineのホームページ画像

(画像引用元:ClipLine


マニュアル化という点でいえば、Web会議システムを使って営業内容や会議内容が可視化することで、これまで属人的になりがちだった営業のノウハウやプレゼンのノウハウを社内に蓄積できるようになります。一部のトップセールスマンやコミュニケーション能力に長けた人だけが持っていた経験やスキルを他者に共有しやすくなれば、営業方法やプレゼン方法などの教育コストも削減できるはずです。

コスト削減に成功した事例3選

最後にコスト削減に成功した事例について、厚生労働省が発表する「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の平成28年度版平成29年度版のなかから、ピックアップして紹介していきます。


ヤマサハウス株式会社:移動コスト削減のために全社員へスマホを支給

住宅設計・施工などを行う鹿児島県の「ヤマサハウス株式会社」では、移動コスト削減のために全社員にスマートフォンを支給。鹿児島という土地はとくに面積が広く、これまでは顧客先への訪問にともなう移動コスト(時間)が高くなっていたそうですが、スマートフォンを活用したWeb会議を積極的に活用することで、打ち合わせ等の効率化を図っているといいます。


また社内決裁に関しては紙ではなく電子申請システムを導入することで、回覧の手間を省き、時間コストの削減に注力しています。


その結果、悩みを抱える営業へのサポート強化などもあり、一般に離職率が高いと言われる住宅営業職において、過去5年間の離職率がゼロという数字につながったそうです。


株式会社かんきょう:移動コスト削減のためにテレビ会議システムを導入

介護福祉用具のレンタル・販売を行う「株式会社かんきょう」では、秋田という雪国かつ広い地域での活動において移動コストが大きくなることから、テレビ会議システムを導入することで、コスト削減に取り組んでいます。

 

事業の拡大とともに拠点数が増加した同社ですが、各拠点の従業員が一箇所に集まるというのは、東北地方という広い面積、ならびに冬は大雪といった事情があるため、難しい状況にありました。そこで移動コストをかけずに、全拠点の従業員同士がコミュニケーションを行えるように、テレビ会議システムを導入するに至ったといいます。


また各自のパソコンから会議に参加することで、電話対応などデスクワークの多い営業事務職は、会議室に移動するといった手間がなくなり、結果的に通常業務を中断することがなくなったそうです。


ほかにも「良くする・良くなる提案書」という、各社員自らが気づきを提案する制度を実施しました。これにより一人ひとりのコストへの関心が高まり、結果的にローコスト経営につながった同社。ここまでの取り組みが、利益確保に大きく貢献したといいます。


株式会社Waris:テレワークを導入してオフィスコストを削減

プロフェッショナル女性(文系総合職・経験10年以上)と企業とのマッチングサービスを提供する「株式会社Waris」では、業務のほとんどをテレワーク化。コアタイム2時間・フレックスタイムは5時~22時までのハイパーフレックスタイムを導入するなど、出社の必要をなくすることでオフィスコストを削減しています。


一方でテレワーク化により、コミュニケーションの希薄化などが表面化。そこで、社内のコミュニケーションを円滑にするための制度も導入しました。具体的にはカフェ代を支給し、上司との個別面談を頻繁に実施。またランチ代を支給し、月に1度ランダムにメンバーを組み合わせて行う「ランダムランチ」などを実施しています。


このようにオフィスにお金をかけるのではなく、希薄になりがちなコミュニケーションをより円滑にすることにお金をかけることで、テレワークのデメリットを取り除いているそうです。

コスト削減はまず見える化から

ここまでコスト削減の方法や事例を紹介してきました。以上を踏まえてコスト削減を実施するためには、まずコストを把握することから始めましょう。コストは従業員ごとと部門ごとで、それぞれ把握する必要があります。把握・見える化することによって、従業員のコストに対する意識が芽生えるといった効果も期待できるでしょう。


コストの見える化を行い、「本当に必要?」と思える部分こそ削減の検討余地があります。普段当たり前に利用しているものでも、本当に必要かどうか改めて疑ってみることで、以外な無駄が発見できるはず。その上で、実際にコスト削減を実施していきましょう。