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仕事を行う上で欠かせないのが会議や打ち合わせであり、その必要性は、皆さん理解されていることと思います。一方で、「今日の会議は参加して良かった!」と充実した表情で終えられるものは、どの程度あるでしょうか。

もし、「会議の大半は、誰かが資料を読むのを聞いているだけ」「寝ないように我慢するのに必死」「新人の私にはしゃべる機会なんてない」などと感じている人がいる会議があるようでしたら、それは会議の進め方に問題があるのかもしれません。会議の進め方が変わると、仕事が変わり、生産性が向上します。会議へのネガティブな印象は消え、仕事がスピーディーに進む場となるでしょう。

 

今回は、そんな会議が行えるよう、会議の進め方のポイントを紹介します。会議を進行する人はもちろんのこと、会議の参加者全員が知識を持っていると、グッと会議を進めやすくなり、目に見える成果となって現れます。目立つのが苦手な方も、新入社員も、人と波風を立てたくない方も、それぞれの立場でできることがありますので、会議を変える必要性があると感じている方、ぜひ参考にされてください。

そもそも会議とは?

会議の進め方の説明に入る前に、私たちが日常的に行っている「会議」とは、そもそも何なのか考えてみます。

会議が必要な理由

広辞苑によると、会議とは「会合して評議すること。何かを決めるため集まって話し合うこと。その会合。」とあります。会議は行うことが目的ではありません。オンライン上も含めて、全員が一堂に会し、口頭でコミュニケーションをとることで、ゴールを目指します。

 

ここで言う「ゴール」とは、物事を決定したり、アイデアを募り何かを生み出したり、メンバー間で情報を共有したりといったことが挙げられます。そしてゴールの先にあるのが「次のアクション」です。次の行動を行うために、会議があると言っても過言ではないでしょう。

 

例えば、メンバー間の情報共有が会議のゴールの場合、決定事項を資料にまとめてメールで一斉に送付するだけでいいのではと感じる方もいるかもしれません。でもこれだと、共有しただけで終わってしまうことがほとんどです。一方で会議は、関係者を集めて、直接話をすることで、納得してもらい行動につなげます。他人事から自分事として考えてもらい、実際にやりたいという気持ちにさせるのが会議なのです。

 

既に多くの方がご存知のように、ここ10年程で会議の形が大きく変わっています。以前は、対面での会議が、ほぼ100%という会社も多かったことでしょう。それが、2017年に発表された労働政策研究・研修機構の調査によるとすでにテレビ会議(ウェブ会議、音声会議含む)を導入している企業は約半数の46.8%となっています。テレビ会議の性能もグッと良くなり、快適な環境で会議ができるようになりました。

 

ちなみに、テレビ会議の実施用途としては、「本社・支点・営業所等間の会議」が79.0%でもっとも多く、次いで、「定例会議や個別テーマでの会議」が75.8%、「従業員同士の打ち合わせ」が44.1%、「セミナー・研修」が29.9%、「取引先など社外との会議」が21.7%となっています。

 

テレビ会議の実施用途

 

出典:労働政策研究・研修機構「イノベーションへの対応状況調査」「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」

 

また、株式会社ジェイアール東海エージェンシーが、2016年に行った『ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査』によると、業績が上昇している会社は、下降している会社に比べて会議の形式が多彩であることも分かっています。

 

会議の形式

 

出典:株式会社ジェイアール東海エージェンシー『ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査

いい会議とダメな会議

会議には、いい会議とダメな会議の2つが存在します。

 

いい会議とは、一言でまとめるなら「ゴールが達成できた会議」です。メールやチャットで何往復もしながら相談するよりも、その場で決定まで進められる会議の方が、意思決定のスピードが速いのは想像に難くないでしょう。つまり、いい会議は、仕事のスピードを上げます。

 

また何かを決定する会議であれば、いい会議は、A案、B案、C案の中から多数決でどれかを選ぶのではなく、全員で活発な意見を出し合うことで、A+案といったさらに良い案を生み出せます。そしてたとえ全員がA+案に賛成とならなくても、全員で議論した結果であれば、会議終了後には全員が納得して、全力でA+案を進めていけるのです。

 

ダメな会議は、いい会議の逆で「ゴールが達成できていない会議」のことですが、これだけだと分かりにくいので、いくつか例を挙げてみます。

 

  • ゴールが共有できていない会議
  • 会議終了後に反対意見や愚痴など、ネガティブな話が出てくる会議
  • 「決まったことが分からない」「やるべきことを誰がいつまでにやるのかが分からない」状態で終わった会議
  • 一部の人しか発言しない会議
  • 議論が噛み合わない会議
  • 話が脱線しがちで、結論の出ない会議

 

いい会議は参加者の態度が積極的で、ダメな会議は消極的になりがちです。この点について、株式会社ジェイアール東海エージェンシーの報告『ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査』の中に興味深いデータがありますので、ご紹介しましょう。

 

業績が上昇している会社は、下降している会社に比べて会議への参加態度が「積極的」の割合が顕著に高いという結果が出ています。「積極的」の割合は、業績が下降している会社が45.1%なのに対して、上昇している会社が71.1%と26ポイントも高い値です。また「消極的」の割合は、業績が下降している会社が19.7%なのに対して、上昇している会社は9.5%と約半分となっています。

 

会議への参加態度

 

出典:株式会社ジェイアール東海エージェンシー『ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査

 

会議の質が企業の業績に影響するとなると、ダメな会議に目をつぶるわけにはいきません。そこで次にダメな会議をいい会議に変える、会議の進め方のポイントを説明していきます。

上手な会議の進め方

会議を上手に進めたいと思ったら、まずは会議の最初と最後を意識してみましょう。

目的とゴールが明確

繰り返しますが、いい会議とは「ゴールが達成できた会議」です。つまり会議のゴール、目的を参加者全員で最初に共有しておくことが大切です。

 

時に会議の目的と言うと、「議論すること」「共有すること」などと答える人がいますが、これはやることにすぎません。議論や共有の先にある達成したいことを明確にする必要があります。意思決定を行う会議であれば、決めなければいけないことが何かが、この時点で明確になるでしょう。

 

議論をしていると、いつの間にか違う話になっていたという経験を誰しもしたことがあると思います。これが、ゴールを明確にすることで、今の議論が、今回の会議に関係のある内容なのか、話が脱線しているのかが分かりやすくなります。つまり、ゴールを全員で共有していると、話がぶれにくくなりますし、たとえ脱線したとしても「この話は今度にしよう」と話を戻しやすくなるのです。当然、全員がゴールを意識しているわけですから、議論自体もスムーズになるでしょう。

期日と担当者が明確

会議は行ったら終わりではなく、次のアクションを起こすスタートになる場です。何か決まったけれど、次に何をすればいいか分からないという状況になるのは避けたいところです。そこで、会議の最後に、決定したことと、誰が何をいつまでにやるかを明確にしましょう。会議の場で確認を行うことで、認識違いや確認漏れを防ぐのにも役立ちます。

 

進行役の人が確認するのが一番スムーズですが、確認が行われなさそうなときは、「自分の理解があっているか不安なので確認させてください」と声を掛けると、立場に関係なく嫌味なく行いやすいでしょう。そして確認したことを議事録として全員にメールで送っておくと、言った言わないを防ぐ効果もあります。

会議の種類

一般に行われている会議は「判断する会議」「共有する会議」「アイデアを出す会議」の3種類に分類できます。ここでは会議の種類ごとに、意識しておきたい会議の進め方のポイントを紹介していきましょう。

判断する会議

判断する会議とは、何かしらの意思決定が行われる会議のことです。結論を出すために、議論をしたり、選択したりといったことを行います。

 

ここで大事なのが、議論や選択ができるだけの準備をしておくことです。判断ができる人、情報を持っている人に声を掛け会議に参加してもらうことに加えて、必要な情報をできるだけ集めておきます。そして集めた情報を整理しておくことも大切です。

 

当然、議論は想定外の方向へ進むこともあります。そんなときは、会議の途中で情報を持っている人に声を掛けて参加してもらうなど、柔軟に進められる会社の風土ができていると、より仕事がスピーディーに進むようになるでしょう。

 

判断する会議で起こりがちな困った事例として、会議中には発言しなかったのに、会議が終わり自席に帰るときに「俺、こうではないと思うんだよね」と言い出すケースがあります。当然、全会一致とならないことも多々ありますが、しっかりと意見を伝え議論した上での結論であれば、最終的に決まった案に全員で進むことが可能になります。つまり、全員に議論に参加してもらうことが大切です。

 

意見が出にくいときは、「どう思いますか?」といった漠然とした質問ではなく、より具体的な質問に変えたり、「YES/NO」で答えられる質問にしたりするのも一つの方法です。また参加者が多いときや、発言が苦手なメンバーが多いときは、付箋に書いてもらい、それをもとに議論を進めるのもいいでしょう。

共有する会議

「1年後のテレワーク導入を目標に、来月からテレワークのトライアルを実施します」といったように、既に決まっていることを全体に周知し、行動へつなげてもらうのが「共有する会議」です。メールなどで一斉に通知されても、多くの人は戸惑うでしょう。自分は在宅勤務をしたいと思っていたのに、トライアルメンバーに選ばれず、他の人が在宅勤務の日に、接客対応などに追われれば不満のみが残るかもしれません。感情的に「テレワーク制度なんて反対」となってしまっては、前向きな検討にはつながらないですね。

 

共有する会議では、こうした感情のもつれを解消し、全員が前向きに行動できるよう促す必要があります。時には社長自らが熱く伝えることがあったり、趣向を凝らしたプレゼン資料を用意したりと、「判断する会議」や「アイデアを出す会議」とは違った工夫も必要になるでしょう。

 

一つだけ注意点を挙げるならば、共有する会議では一方的に話をするのではなく、参加者の納得が得られるように質問をする時間を設けましょう。参加者の不安や、新たな視点での意見に真摯に耳を傾けるのも共有する会議で大事なことです。

アイデアを出す会議

上手く進行できると、予想以上の成果が得られるのが「アイデアを出す会議」です。一方で会議をマネジメントするのが難しいのもまたアイデアを出す会議と言えます。アイデア出しの際に行うブレストは、できるだけ自由に行う方が多様な意見が出ると思われがちですが、想像に基づいた思考が行われると実現性の低いアイデアばかりが生まれてしまいます。つまり、ブレストを行う際は、前提条件に基づいてアイデアを考えられるようにしないといけません。

 

そのためには、ブレストに必要な前提条件(市場の状況や傾向などの客観的なデータや、予算や規模などの会社としての制約条件など)は何かを考えて、準備をしておくことが大切です。可能であれば、参加者が事前にアイデアを考えておけるように、資料を配布しておくといいでしょう。また内容によっては、各自が持ち寄った客観的なデータを集めて、会議の前に振り返りを行ってからブレストに入るのも一つの方法です。

 

会議の進行は、段階を追って進めていきましょう。最初にブレストの進め方を共有し、前提条件を説明し、意見を出してもらいます。その後、それぞれの案のメリットやデメリット、リスクなどを考えます。そして最後に意見を集約し、その場で形にしていきましょう。アイデアがたくさん出て良かったねと終わらさず、その熱量のままラフでもいいのでアウトプットの形まで作れるのがいい会議と言えます。

会議の形態

会議の形態によっても会議の進め方は変わってきます。注意したい点、工夫できる点をまとめました。

対面会議

昔からある一般的な対面会議。テレビ会議やウェブ会議と比較して、表情や身振り手振りなど視覚的な部分でも情報が得られるのがメリットです。メラビアンの法則によると、視覚情報から受ける影響はなんと55%もあるのだそうです。また会議室への移動時や会議が始まるまでのわずかな時間に話ができ、様子を伺えたり、緊張を解きほぐせるのも対面会議の良さでしょう。

 

ぜひ、会議中は資料にばかり目を落としていないで、参加者の方を向きましょう。「難しい表情を浮かべているな」「納得してなさそうだな」と感じたら話を振るチャンスです。声を掛けるタイミングを逃し、遅くなると話が蒸し返されてしまうなど、会議がうまく進行できない可能性も出てきます。タイミング良く声を掛けられると活発な議論につながるでしょう。

テレビ会議

会議室などに大型モニターを設置して、拠点間を結び、そばにいるかのように話ができるのがテレビ会議です。相手の細かい表情までは分かりませんが、雰囲気は伝わるので電話会議などよりも進めやすいでしょう。

 

テレビ会議のカメラは、基本的には会議室全体を映せるものがおすすめです。発言するときは、誰が発言しているのか分かるように、最初に名前を名乗り、大きな声ではっきりと話をしましょう。また反応がない相手には話をしにくいので、大きめにうなずいたり、賛成のときに手で大きく丸を作ったり、大きめなリアクションを心掛けると、会議を進めやすくなります。

ウェブ会議

ウェブ会議は、インターネットが使える環境であれば、場所を問わず利用できるので、気軽に使いやすく多くの企業で導入が進んでいます。最近はスマートフォンから参加できるツールも増えてきました。1対1で会議をする際も便利です。参加者の顔を一覧で表示でき、表情を見ながら話せます。テレビ会議同様、細かい表情の確認まではできませんが、チャット機能が使えたり、画面の共有機能が備わっていたり、録画ができたりと便利な機能もあります。

 

進行する際は、音声が乱れることがあっても、参加者が何をやっているのか分からなくならないよう配慮が必要です。チャットや画面共有機能を使い、音声だけではなく、議論を見える化しておくと、スムーズでしょう。そして、これをそのまま議事録として使えば、全員がメモをとる必要がなくなり、議論に集中しやすくなります。その他、テレビ会議の注意点として挙げた発言やリアクションに関することも、ウェブ会議でも同様ですので、ぜひ取り入れてみてください。

上手な会議の進め方が学べる本3選

会議の進め方に関する書籍の中から、自分の立場や性格に合わせて、今日から取り入れやすい実践的な内容が豊富な3冊を選びました。

グーグル、モルガン・スタンレーで学んだ 日本人の知らない会議の鉄則

書籍「日本人の知らない会議の鉄則」

 

(画像引用元:グーグル、モルガン・スタンレーで学んだ 日本人の知らない会議鉄則

 

会議の進行を担当している方、リーダーシップをとることが苦痛ではない方におすすめしたい1冊です。2000年に来日した著者ピョートル・フェリクス・グジバチ氏が、Googleやモルガン・スタンレーで学んだ効率的な会議運営のノウハウを公開しています。単に国際的な有名企業で上手くいっている方法論を紹介するのではなく、感情がぶつかるのを避けるために意見を言わないといった、人と人との感情にも重きをおき、マネジメントするヒントが満載です。

 

感情的な争いに発展させず、アイデア同士がぶつかるいい会議を増やすためには、「ファシリテーションのスキル」と「心理的安全性」が必要と説いています。「心理的安全性」とは、各自が考えていることを気兼ねなく言える関係性のことです。こうした信頼関係を築くために、一人ひとりの個性や感情を抑えつけず、弱音を吐くことをすすめています。具体的にどういった言葉掛けをするといいのか、どういったコミュニケーションの場を作るといいのかも紹介されていますので、すぐに取り入れやすいでしょう。

 

グーグル、モルガン・スタンレーで学んだ 日本人の知らない会議鉄則(ピョートル・フェリクス・グジバチ 著)

世界で一番やさしい会議の教科書

 

書籍「会議の教科書」

 

(画像引用元:世界で一番やさしい 会議の教科書

 

著者はファシリテーションを活かした納得感のあるプロジェクト推進を得意とする榊巻亮氏。入社2年目の若手社員がグダグダな会議を変えていく姿が小説仕立てで描かれています。新入社員や引っ込み思案の人、仕切るのが苦手な人でも、取り入れられるノウハウが満載です。

 

表紙のイラストは好みが分かれるところですが、ファシリテーションの導入本として、とても分かりやすく、腹落ちしやすい内容となっています。

 

会社として会議を変えたいとお考えでしたら、若手社員向けの研修本にもおすすめです。少しの行動で会議が変わっていく様子が、主人公の心の葛藤とともに描かれており、行動につなげやすいでしょう。

 

世界で一番やさしい 会議の教科書(榊巻亮 著)

世界で一番やさしい会議の教科書 実践編

書籍「会議の教科書:実践編」

 

(画像引用元:世界で一番やさしい会議の教科書 実践編

 

こちらの著者も榊巻亮氏です。会議でのファシリテーションについて体系立てて、非常に分かりやすく説明がされています。ベテラン、若手にかかわらず、全員が一度読んでおくと会議の進行がスムーズになるでしょう。

 

特に「会議のよくある18の困り事と対策」は、誰も発言しない、議論がかみ合わない、決まったことが後から蒸し返されるなど、よくあるものばかりです。対策案は一つではなく、複数紹介されているので、自社で取り入れやすい方法を選べるのも、この本をおすすめできるポイントです。

 

世界で一番やさしい会議の教科書 実践編(榊巻亮 著)

まとめ

近年は、事業のグローバル化が進んだり、テレワークが普及したりと、対面での会議だけではなく、テレビ会議やウェブ会議も主流になり、会議の進め方により一層の工夫が必要になってきました。また働き方改革により残業時間の削減がクローズアップされるなど、仕事の生産性を上げることも求められています。

 

以上のような背景もあり、この機会に会議の進め方を一度振り返ってみてはいかがでしょうか。会議の方法や目的に合わせた進め方を考えることで、会議の生産性が上がり、仕事が効率的に進むようになるでしょう。

 

何気なく会議を進める時代は終わりました。より多くの人に会議の進め方のポイントを知ってもらい、より実りの多い会議ができるようになることを願っています。