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近年の日本は少子高齢化が進展した結果、深刻な人手不足状態にあります。また、これからの日本の人口減少は日本の歴史において類を見ない急激なスピードであり、1週間に約10000人の人口が減るペースとも表現されます。

本記事では、厳しい採用市場のなか人材確保の取組を見直して成功した企業の事例や、人材確保に活用できる国の支援、助成金などをご紹介します。

 

将来の人口統計予測

 

出典:内閣府

人材確保の実態                                          

エン・ジャパン株式会社が2019年1月に公表した「企業の人材不足」実態調査によると89%の企業が「人材が不足している部門はありますか?」という問いに「ある」と回答しています。特にIT業界、製造業、不動産業界に人材不足を感じている企業が多いという結果が出ています。

 

業種別人材不足状況

 

出典:エン・ジャパン

 

求人メディアや転職エージェントをあまり使わない中小企業の状況はどうでしょうか? 2019年に日本商工会議所が全国の中小企業に行った調査によると「人員が不足している」と回答した中小企業は66.4%です。こちらも2018年度よりもさらに人手不足感が高まっています。

 

また、日本は人口減少だけでなくスキルの高い人材が少ないという課題もありそうです。世界33カ国のスキル格差を調査する「国際スキル指数2016」のデータでは、日本はスキルのある人材を確保するのがアジアでもっとも難しい国という結果が出ており、採用市場における需要と供給のギャップが大きいことがうかがえます。

人材確保に対しての一般的な取組み「雇用管理」

人材確保のための一般的な取組は「雇用管理」であり、その中でも「採用管理」と「定着管理」が重要です。近年のように売り手市場が続くと若い世代ほど離職する可能性が高くなります。採用に力を入れるとともに、既存の従業員を定着させるための施策を実施することが必要です。

 

雇用管理には以下の図のような相関があります。どのフェーズが自社の人材確保のボトルネックになっているかを理解して改善していくことが大切です。

 

人材確保の流れと仕組み

 

出典:厚生労働省

採用管理

採用管理はおもに「人材募集」と「選考活動」に分けることができます。採用管理がうまくいかない理由には売り手市場の影響を除けば、企業の採用広報や面接など選考活動についての知識・ノウハウ不足があります。

人材募集がうまくいかない要因例

  • ・反応が今一つなのに同じ採用媒体を使い続けている
  • ・採用手法がワンパターン
  • ・企業HPやパンフレットに魅力がない
  • ・適切なタイミングで採用活動を行っていない

 

採用はタイミングも非常に重要です。中途採用であれば2~3月、6~7月、11月頃は人が動きやすい時期と言われています。新卒採用についてはベストな開始時期が毎年のように異なります。近年はインターンシップが流行しておりかなり早期化しています。採用市場の変化に合わせて適切なタイミングで採用活動を実施することがポイントです。

選考活動がうまくいかない要因例

  • ・自社の求める人材像が明確でない、現実的でない
  • ・応募者の能力を見抜けない(面接時に適切な質問をしていない、適性テストを活用していない)
  • ・応募者に自社の良い面、悪い面を伝えきれていない
  • ・インターンシップを行っていない(新卒採用)
  •  

人材と企業のミスマッチは非常に難しい問題です。何回かの面接で能力だけでなく企業の価値観や社風との相性まで判断しなければならないからです。双方が良い面だけをアピールしがちなため入社後にギャップが生じることも少なくありません。

 

近年はRJP理論(現実的な仕事情報の事前情報開示)が注目されています。自社の良い面も悪い面も入社前に開示することで入社後のミスマッチ離職を防ぐ効果があります。RJPの観点からいけば、新卒採用だけでなく中途採用でもインターンシップ的な施策を導入することは人材確保に効果的でしょう。

定着管理

定着管理とは従業員に長く働いてもらうためのマネジメントです。具体的には、適性を考慮した配置を行った上で成果に対する評価をフィードバックしたり、教育の機会を提供して本人のキャリア形成を支援したりすることで仕事に意欲を持ってもらうことなどを指します。

 

働く側は、給与だけでなく自分の社内での評価や将来的なキャリアアップ、上司や同僚との人間関係なども重視します。従業員がこの会社なら成長できると思うような施策や、この会社の人達と働きたいと思えるような職場風土の醸成を行うことが望ましいと言えます。

 

施策例:

 

  • ・新人に指導役やメンター(相談相手)をつける
  • ・上司による部下のコーチングを実施する
  • ・社内でのキャリアパスのモデルを示す
  • ・公平な人事評価(人事考課)を行う

就労条件管理

就労条件管理とは、給与や福利厚生、勤務日数・時間、職場の設備、人間関係など労働条件全般のことを指します。就労条件の不満足要因になりやすい代表的なものは給与ですが、ほかにもさまざまな要因があります。

 

(例)

  • ・給与水準が低い
  • ・長時間労働、休暇がとれない
  • ・人間関係がギスギスしている
  • ・オフィスに休憩スペースがない、オープンスペースのため落ち着かない
  • ・IT機器などの社内設備が古く業務効率が上がらない

 

従業員のモチベーションに関する理論ではフレデリック・ハーズバークの「動機づけ・衛生理論」が知られています。人材の定着のためには、できるだけ従業員の就労条件に関する不満足要因を減らし、動機づけとなる要因を増やしていくことが有効です。

 

賃金を上げることが難しい企業の場合は、できるだけ休暇をとりやすくしたり、従業員の裁量権を広げたり、オフィス環境を見直すなど、自由度の高い職場環境に改善することが人材の定着を図るポイントです。

人材確保に関する支援や助成金制度と活用方法

人材確保のためには良好な職場環境を用意したり、社員の教育研修に力を入れることなども効果的です。それなりの投資金額が必要ですが、近年は働き方改革の推進により職場の設備導入や人事制度、教育研修などに活用できる国の支援策や助成金制度も豊富なので有効活用しましょう。人材確保に役立つ助成金制度の種類をいくつかご紹介します。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金とは、人材を確保するために雇用管理を改善させる取組や生産性向上の取組を行う事業主が対象の助成制度であり、該当する事業主の条件がそれぞれ異なる10コースの制度があります。以下に概略を紹介します。

雇用管理制度助成コース

新たに人事評価制度や研修制度、健康づくりに関する制度、メンター制や短時間正社員制度(保育事業主のみ)などの雇用管理制度を導入・実施することに対する助成金制度です。事前に目標を設定する必要があり、制度を導入・運用するだけでなく実際に離職率が低下したなど目標が達成された場合にのみ、助成金が支給されます。

 

助成金支給額

目標達成助成
57万円(生産性要件を満たした場合72万円)

参考:厚生労働省

介護福祉機器助成コース

介護労働者の身体的負担を軽減するために介護福祉機器を新規に導入した場合に経費の一部を助成する制度です。機器の適切な運用を行うことによって労働環境の改善がみられた場合に機器導入助成が支給され、さらに介護福祉機器を適切に運用して従業員の離職率の低下した場合に、目標達成助成が支給されます。

 

助成対象費用:

 

  • ・介護福祉機器の導入費用(利子含)、保守契約費
  • ・機器の使用を徹底させるための研修費用

 

助成金支給額:

 

  • ・機器導入助成:上記金額の25%(上限150万円)
  • ・目標達成助成:上記金額の20%(生産性要件を満たした場合は35%)(上限150万円)

 

参考:厚生労働省

介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

介護事業主又は保育事業主が労働者を定着させるために、職務や責任範囲、職能資格、勤続年数などに対応する階層的な賃金制度を導入した場合に支給されます。まず、賃金制度を整備したことに対して制度整備助成が支給され、設定した離職率に関する目標を達成した場合、計画期間終了1年経過後と3年経過後にそれぞれ目標達成助成が支給されます。

 

助成金支給額

制度整備助成 目標達成助成(第1回)

目標達成助成(第2回)

50万円 57万円(生産性要件を満たした場合72万円) 85.5万円(生産性要件を満たした場合108万円)

参考:厚生労働省

人事評価改善等助成コース

生産性向上のために能力評価を含む人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることで、生産性向上、賃金アップ、離職率低下を図る事業主に支給される助成金です。

 

「2%以上の賃金がアップすること」を前提に整備した人事評価制度等を導入する必要があります。制度を整備した場合に制度整備助成が支給され、2%以上の賃金アップや離職率低下などの目標をすべて達成すると目標達成助成も支給されます。

 

助成金支給額

制度整備助成 50万円
目標達成助成 80万円

参考:厚生労働省

設備改善等支援コース

生産性向上のための設備等への投資を行い、生産性向上、雇用管理改善(賃金のアップ等)を実施する事業主に対して計画達成助成等を支給します。計画期間は1年コースと3年コースの2種類があります。両コースとも1年目に賃金アップ上昇率2%以上等の目標を達成すると、計画達成助成が支給されます。

 

さらに1年コースでは3年目に6%以上賃金をアップさせた場合、上乗せ助成が支給されます。3年コースでは、2年目に4%以上の賃金アップ上昇率を達成した場合に計画達成助成が、3年目に6%以上の賃金アップ上昇率の目標を達成すると目標達成助成も支給されます。

 

助成金支給額

計画期間 設備導入費用 計画達成助成(1回目) 計画達成助成(2回目) 目標達成時助成 総額
1年コース 175万円以上1,000万円未満 50万円 - 80万円(上乗せ助成) 130万円
3年コース 240万円以上5,000万円未満 50万円 50万円 80万円 180万円
  5,000万円以上1億円未満 50万円 75万円 100万円 225万円
  1億円以上 100万円 150万円 200万円 450万円

参考:厚生労働省

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

働き方改革に取り組む上で人材確保が必要な中小企業が、新たに労働者を雇い入れたり一定の雇用管理改善を図る場合に助成される助成金制度です。計画達成助成と目標達成助成があります。

 

対象事業主:時間外労働等改善助成金(後述)の支給を受けた中小企業事業主が対象です。平成31年度以降に受けた事業主も対象になります。

 

助成金金額

計画達成助成

新たに雇い入れた労働者1人あたり60万円

(短期労働者の場合40万円)

目標達成助成

生産性要件を満たした場合、

労働者一人当たり15万円

(短期労働者の場合10万円)

参考:厚生労働省

その他

人材確保等助成金には建設業界向けに特化した以下の3コースもあります。

 

  • ・「雇用管理制度助成コース(建設分野)」
  • ・「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」
  • ・「作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)」

人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)

 

人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)は企業対象ではなく、中小企業者を構成員とする事業協同組合等が傘下の事業者の人材確保や従業員の職場定着を支援するために、一定の事業(中小企業労働環境向上事業Ⅰ~Ⅳ)を行った場合に、その費用の3分の2の金額を助成する制度です。

 

Ⅰ~Ⅳに相当する具体的な事業:

 

  • 1.計画策定事業
  • 2.各種調査事業
  • 3.事業成果の分析検討
  • 4.マニュアル・好事例集・モデルキャリアプラン等資料の作成配布
  • 5.各種セミナー・研究会
  • 6.モデル企業見学会
  • 7.異業種団体等交流会
  • 8.部外セミナー等交流会
  • 9.各種相談会等派遣
  • 10.労働者のモラール向上のための事業
  • 11.団体広報誌の作成配布
  • 12.ポスターの作成配布
  • 13.雇用ガイドブック等の作成配布
  • 14.団体紹介新聞広告の掲載
  • 15.団体紹介ビデオフィルムの作成配布
  • 16.集団説明会等協働活動
  • 17.業界PRのための各種催物等の実施
  • 18.職業相談事業の実施
  • 19.モデル事業説明会の実施
  • 20.フォローアップ調査事業の実施
  • 21.中小企業労働環境向上事業実施状況報告書の作成配布
  • 22.その他

 

助成金上限額:

認定組合等の区分

大規模認定組合等

(構成中小企業者数500以上)

中規模認定組合等

(同100以上500未満)

小規模認定組合等

(同100未満)

1年当たりの限度額 1,000万円 800万円 600万円

参考:厚生労働省

時間外労働等改善助成金

中小企業・小規模事業者が時間外労働の上限規制に対応することを支援する助成金です。生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む事業主に対して助成するものであり5コースあります。いずれも成果目標を立てて、指定されている取組から一つ以上を実施する必要があります。

時間外労働等改善助成金 (時間外労働上限設定コース)

支給対象となる取組:以下より1つ以上実施

 

  • 1.労務管理担当者に対する研修
  • 2.労働者に対する研修、周知・啓発
  • 3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
  • 4.就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の整備など)
  • 5.人材確保に向けた取組
  • 6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 7.労務管理用機器の導入・更新
  • 8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 9.テレワーク用通信機器の導入・更新
  • 10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 (小売業のPOS装置、飲食店の自動食器洗い乾燥機など)

 

※研修には業務研修も含む

※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象外

 

助成金支給額:成果目標の達成状況に応じて支給対象となる取組に使用した経費の一部を支給。

 

助成額

以下のいずれか低い額

I 1企業あたりの上限200万円

II 上限設定の上限額および休日加算額の合計額

Ⅲ 対象経費の合計額×補助率3/4(※)

※ 常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取り組みで6~8を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は補助率4/5

 

上記図Ⅱの上限設定額と休日加算額は以下の通りです。

 

  事業実施前の時間外労働時間数等
事業実施後
に設定する
時間外労働
時間数等
ア 時間外労働時間数等が
月80時間を超えるなどの
時間外労働時間数を設定し、
その実績を有する事業場
イ 時間外労働時間数で
月60時間を超えるなどの
時間外労働時間数を設定し、
その実績を有する事業場
(アに該当する場合を除く)
ウ 時間外労働時間数で
月45時間を超えるなどの
時間外労働時間数を設定し、
その実績を有する事業場
(ア、イに該当する場合を除く)
成果目標1 150万円 100万円 50万円
成果目標2 100万円 50万円
成果目標3 50万円

 

  事業実施前
事業実施後 4週当たり4日 4週当たり5日 4週当たり6日 4週当たり7日
4週当たり8日 100万円 75万円 50万円 25万円
4週当たり7日 75万円 50万円 25万円
4週当たり6日 50万円 25万円
4週当たり5日 25万円

 

申請受付:2019年11月29日(金)まで必着。早期に締め切る場合も有

 

参考:厚生労働省

 

時間外労働等改善助成金 (勤務間インターバル導入コース)

勤務間インターバルとは、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることです。2019年4月から制度の導入が努力義務化されています。導入する取組に使用した経費の一部が助成金として支給されます。以下の成果目標の達成を目指し制度を新規導入、すでに導入している場合は適用範囲の拡大、時間延長などを実施した場合に支給されます。

 

支給対象:定められた条件に該当する中小企業事業主が対象です。

 

助成金支給額

 

新規導入に該当するものがある場合

休息時間数 補助率 1企業当たりの上限額
9時間以上11時間未満 3/4 80万円
11時間以上 3/4 100万円

適用範囲の拡大・時間延長のみの場合

休息時間数 補助率 1企業当たりの上限額
9時間以上11時間未満 3/4 40万円
11時間以上 3/4 50万円

 申請受付:2019年11月15日(金)まで。早期に締め切る場合も有

 

参考:厚生労働省

時間外労働等改善助成金 (職場意識改善コース)

生産性の向上などを図り、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取組む中小企業事業主向けの助成金制度です。

 

成果目標の設定:以下の目標を設定します。

 

  • 1.年次有給休暇の取得促進
  • 交付要綱別紙で規定する特別休暇の何れか1つ以上をすべての事業場に新たに導入すること。
  • 2.所定外労働の削減
  • 労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させること。

 

支給対象:定められた条件に該当する中小企業事業主が対象です。

 

助成金支給額:成果目標の達成状況に応じて、支給対象となる取組に使用した経費の一部を支給。

 

助成額

対象経費の合計額×補助率(※)

※ 常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6~8を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は補助率4/5

※ 上限額を超える場合は上限額

成果目標の達成状況 補助率 1企業当たりの上限額
両方とも達成 3/4 100万円

成果目標1を達し、

成果目標2が未達成

1/2 50万円

 

申請受付:2019年9月30日(月)まで。早期に締め切る場合も有

 

参考:厚生労働省

時間外労働等改善助成金 (団体推進コース)

中小企業事業主の団体や、その連合団体(以下「事業主団体等」)が傘下の労働者を雇用する事業主の労働者の労働条件改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組を実施した場合に、その事業主団体等に対して支給される助成金です。

 

支給対象となる事業主団体等:以下のいずれかに該当する事業主団体等

 

(1)事業主団体

・ 法律で規定する団体等(事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、都道府県中小企業団体中央会、全国中小企業団体中央会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、商工会議所、商工会、一般社団法人及び一般財団法人)

・上記以外の事業主団体(一定の要件あり)

 

(2)共同事業主

共同する全ての事業主の合意に基づく協定書を作成している等の要件を満たしていること。

※事業主団体等が労働者災害補償保険の適用事業主であり、中小企業事業主の占める割合が、構成事業主全体の2分の1以上である必要があります。

 

支給対象となる取組:以下の中からいずれか1つ以上実施

  •  
  • 1.市場調査の事業
  • 2.新ビジネスモデル開発、実験の事業
  • 3.材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業
  • 4.下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
  • 5.販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
  • 6.好事例の収集、普及啓発の事業
  • 7.セミナーの開催等の事業
  • 8.巡回指導、相談窓口設置等の事業
  • 9.構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
  • 10.人材確保に向けた取組の事業

 

助成金支給額:成果目標の達成に向けて取り組んだ場合に支給対象となる取組の実施に要した経費を支給。

 

助成額

以下のいずれかが低い方の額

①対象経費の合計額

②総事業費から収入額(※2)を控除した額

③上限額(※3)

 

(※2 ) 例えば、試作品を試験的に販売し、収入が発生する場合などが該当

(※3 ) ①原則、上限額は 500 万円 ②都道府県単位又は複数の都道府県単位で構成する事業主団体等(傘下企業が 10 者以上)に該当する場合の上限額は1000 万円

 

申請受付:2019年10月31日(木)まで。早期に締め切る場合も有

 

参考:厚生労働省

時間外労働等改善助成金 (テレワークコース)

時間外労働の制限やワークライフバランス推進のため、在宅やサテライトオフィスでのテレワーク導入に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成金として支給する制度です。

 

支給対象:テレワーク導入を新規で導入または試験的に導入している事業主が対象です。

 

対象となる取組:以下の中からいずれか1つ以上を実施

 

  • ・テレワーク用通信機器の導入・運用
  • ・保守サポートの導入
  • ・クラウドサービスの導入
  • ・就業規則・労使協定等の作成・変更
  • ・労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • ・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

 

※パソコン、タブレット、スマートフォンは支給対象外

 

成果目標:以下の目標を達成することを目指して実施

 

  • 1.評価期間に1回以上、対象労働者全員に在宅又はサテライトオフィスでテレワークを実施させる。
  • 2.評価期間中、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスでテレワークを週平均1日以上実施する。
  • 3.労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させる。又は所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる。

 

助成金支給額:対象となる取組の実施に使用した経費の一部が目標達成の状況に応じて支給されます。成果目標を達成した場合と未達成の場合の支給金額は異なります。


テレワーク助成金詳細

 

申請受付:平成31年(令和元年)12月2日(月)まで。早期に締め切る場合も有

 

参考:厚生労働省

 

※各助成金にはそれぞれ受給要件が定められています。詳細は厚生労働省HPにてご確認ください。

人材確保に成功した企業事例

人事制度の整備やメンター制度導入、設備投資を行うなど雇用管理手法を改善し、人材確保に成功した中堅・中小企業の事例を紹介します。

 

カネテツデリカフーズ株式会社 - 新入社員の「指導員制度」を導入し離職率を改善

制度導入前の課題:

入社3年以内の離職率50%前後の状態が続いていた。新入社員の指導・育成は先輩社員の背中を見て学ぶ方式が主流であったため、若手社員が指導方法や説明能力を身に付ける機会が少ないという課題と多忙な先輩社員や管理職に遠慮して新入社員が相談をしづらいという課題があった。

取組:

2017年からOJTリーダーとは別に入社2~3年目の若手社員を指導員として指名して、約半年間新入社員に対してマンツーマンで指導する「新入社員指導員制度」を導入した。指導員は新入社員と話し合い、毎月指導計画書を作成する。新入社員と指導員が話し合った上で勤務態度、技能・知識、安全・衛生について目標を決定し、その目標に対して月末に指導員と所属長がフィードバックを行うことを半年間繰り返した。

 

計画書の内容は、所属長、人事総務課にも共有し全員で新入社員を育てていく体制にする。フォローアップ研修を含めた教育研修を毎月のように実施し、その際に人事面談も行い新入社員の近況を把握した。

成果:

制度導入後、入社3年以内の離職率が50%前後から10%前後へと減少した。いわゆるリーマンショック直後は離職率が上昇したが、再び10%前後に戻った。

 

株式会社コスモスイニシア   - 働き方改革で労働時間を削減し、従業員のやりがいも向上

改革前の課題:

2014年度に育児・介護など時間的な制約を受ける従業員割合の試算を行ったところ、2019年度には17.6%になる可能性があることが分かった。従業員一人あたりの労働時間は減少していくので労働生産性の向上が欠かせないが、当時は時間外労働を前提とした会議や納期設定があるなど、制約のある従業員が能力を発揮するのが難しい環境だった。

取組:

・全社で「Work Style Innovation」と題した働き方改革を進める。1年目は労働時間削減の取組として、20時以降の時間外労働は事前許可制、22 時以降の残業は原則禁止などの労働時間ガイドラインや有給休暇取得促進施策を導入。さらに、部門の時間外労働・有給休暇取得状況に応じた部門長の加点・減点評価を行った。

 

・会議効率化、移動時間削減、業務フローの見直しなどの業務改善を一部部門でテスト導入し、有効と思われる施策を順次他部門へ水平展開していった。

 

・2年目にオフィスレイアウトを刷新した上で、いつでもどこでも活動できるようにモバイル環境の整備を行った。書類を大幅に削減して文書の検索性を高めたほか固定席を設けないフリーアドレス制を導入。打合せの性質に応じたコミュニケーションスペースを設け、社員間の交流活性化を促した。

 

・公休を含め連続した5日以上かつ3日以上の有給休暇を取得した場合3万円を支給するWSI休暇制度を導入。短時間勤務取得可能期間の延長(小学校6年生年度末まで)、ストック休暇、ファミリーサポート制度(延長保育料、学童の費用を月上限2万円まで支援)といった施策を順次開始。

成果:

時間外労働は2014年度平均32. 6 時間から2015年度平均23. 4 時間へと約30%減少。

・WSI休暇の取得率(2016年度上半期)は96%となった。

・従業員意識調査の結果では約87%の従業員が「Work Style Innovation」を前向きに捉えており、約56%が「自身の働き方が変化した」と回答した。

・Great Place to Work社が実施する2017年「働きがいのある会社」ランキング(従業員100 ~ 999人部門)で38 位にランクイン。

 

株式会社龍乃湯 - 「家業」から「企業」への変革を目指し、生産性向上や人事制度改革に取り組む

 

制度改革前の課題:

以前より人手不足に悩んでおり、特に女性従業員が多いため育児や介護を理由として離職してしまう人材がいた。女性を含めた従業員が安心して長く働くことができる環境整備の必要性を常々感じていた。

取組:

・生産性向上

ダイニングバンケット、キッチンサービス部門の生産性向上のために役員自らラインに入って業務の洗い出しを行い、属人化していた業務をすべて可視化。その上で料理台の入れ替え等の設備投資、動線の見直しなどオペレーションの改善、業務配分の見直し、営業時間短縮によるシフト合理化などを行った。

 

・人事制度の改革(労働条件の改革)

勤務時間インターバル制度(10 時間)導入により、朝7時に出社する場合は遅くとも前日夜9時には退社するようにルール化。公休日を87日から92日に増加。全館休業日も3日から6日、8日と順次増加。人事制度の退職金制度の再構築と目標管理制度の整備に着手し、評価・処遇制度の改定検討も進めている。

 

・教育研修の整備 

人事制度に精通した職員を採用し、新入社員を対象した教育研修を整備した。入社後2週間は座学と実技を交えて、マナー・接遇、各業務に求められる知識・技能の研修を行った。

成果:

ダイニングバンケット、キッチンサービス部門の生産性が大きく向上。朝食バイキング時に1人のフロアスタッフで対応できる顧客が30人から45人までに増加。人手不足による機会損失防止だけでなくシフトに余裕ができたことで、従業員の公休日増加など処遇改善に繋げることができた。部門内外の連携が取りやすくなり、従業員から「こうした方がいいのでは」という意見が出るようになった。

 

参考:厚生労働省「若者が定着する職場づくり取組事例集」

まとめ

人材確保のための雇用管理施策は導入だけでなく、いかに上手く運用するかが成功のポイントです。往々にして新しい制度の導入という手段が目的化することが起こりがちなため、「成果」にフォーカスすることを常に意識する必要があります。

 

近年の助成金制度には、取組に対しての助成と目標達成に対しての助成の両方あるコースが増えています。積極的に活用して、本来の人材確保という目的を達成するような雇用管理を行いましょう。