「とりあえず配信」は失敗のもと?ハイブリッド開催に潜む『3つの落とし穴』と成功企業の回避術

リアル会場とオンラインを組み合わせる「ハイブリッドイベント」は、今や企業イベントのスタンダードとして定着しました。参加者の選択肢を広げる素晴らしい手法である一方、運営担当者を悩ませる新たな課題も生まれています。

「会場にPCとカメラを置いて、Web会議システムで配信すれば大丈夫だろう」

もし、このように安易に考えているとしたら注意が必要です。そこには、やってみて初めて気づく大きな「落とし穴」が潜んでいるからです。本記事では、多くの担当者が直面するハイブリッド開催の失敗パターンと、それを乗り越えて成功させるためのポイントを解説します。

また、この記事をご覧になっていただいた方へ向けて、ハイブリッドイベントの会場設備、配信の実例をまとめた『ハイブリッドイベント事例集』をご用意しました 。ぜひ合わせてご覧ください。 

【落とし穴①】「音声」の罠——会場の熱気は、ノイズになる?

最初の落とし穴は「音」です。リアル会場で盛り上がっている拍手や笑い声。会場にいる人にとっては心地よい「熱気」ですが、オンライン参加者にとってはただの「不快な雑音」に聞こえてしまうことが多々あります。

  • なぜ失敗するのか?
    オンライン参加者にとって、「音が悪い・聞き取りづらい」ことは最大のストレスです。映像が多少乱れていても我慢できますが、音声トラブルは致命的です。開始わずか5分での離脱や、登壇者の声が反響して聞き取れないといったトラブルが頻発します。

  • 解決の方向性
    会場の空気感を伝えつつ、クリアな声を届けるには、「会場用の音」と「配信用の音」を適切に分ける技術が不可欠です。PC内蔵マイクではなく、プロ仕様のマイク設備やミキシング環境を整えることが、離脱を防ぐ第一歩です。

【落とし穴②】「映像」の罠——定点カメラは「監視カメラ」と同じ

2つ目の落とし穴は「映像」です。部屋の隅に置いたカメラ1台だけで配信する、いわゆる「定点配信」を行っていませんか?

  • なぜ失敗するのか?
    ずっと同じ画角で、豆粒のような登壇者が映っているだけの映像。これは視聴者にとって「監視カメラの映像」を見せられているのと同じです。変化のない単調な映像では、どれだけ良い話をしても熱量は伝わらず、視聴者はすぐに退屈してしまいます。

  • 解決の方向性
    テレビ番組をイメージしてください。「話している人のアップ」「会場全体の引き」「資料画面」を目まぐるしく切り替えているはずです。ハイブリッド配信でも同様に、複数のカメラを用いてシーンに合わせて映像を切り替える「スイッチング」が必要です。これにより、視聴者を飽きさせない、没入感のある配信が可能になります。

【落とし穴③】「運営」の罠——ワンオペの限界

最後の落とし穴は「運営体制」です。現場の進行管理、登壇者のアテンド、そしてオンラインのチャット対応や配信管理。これらを少人数の担当者、あるいはワンオペでこなそうとしていませんか?

  • なぜ失敗するのか?
    ハイブリッド開催は、リアルとオンラインという「2つのイベント」を同時に回すようなものです。トラブル発生時に対応に追われて頭が真っ白になり、イベント自体が破綻してしまうケースは少なくありません。通常業務と並行して、短期間で万全な準備を整えるのは現実的に困難です。

  • 解決の方向性
    無理に内製化せず、外部のリソースを頼るのが正解です。配信設備が整った「専用スタジオ」や「専門スタッフ」を活用することで、担当者はトラブル対応などの雑務から解放され、イベントの「中身(コンテンツ)」に集中できるようになります。

「落とし穴」を回避し、エンゲージメントを高めた企業の成功例

では、これらの落とし穴を回避し、社員や顧客との一体感を生み出した企業は具体的に何をしたのでしょうか?

  • 日立建機株式会社様:複数カメラによるスイッチング技術を導入。「飽きさせない配信」を実現し、オンラインでも会場同様の一体感を作り出しました。
  • 株式会社タイミー様:専用スタジオの機能を活用し、オンライン参加者の顔を会場のモニターに映し出す演出を採用。リアルとオンラインの壁を取り払うことに成功しました。
  • 三菱UFJアセットマネジメント株式会社様:専用スタジオと専門スタッフへの一任を選択。運営負荷を大幅に下げつつ、金融機関として信頼性の高い高品質なセミナーを実現しました。

『ハイブリッドイベント事例集』では、こうしたイベントのリアルな課題とその解決した企業様の実例をご紹介しています。実例をぜひご確認ください。

まとめ:成功事例から「プロの環境」を学ぼう

ハイブリッドイベントの成否は、当日の頑張りではなく「事前の準備」と「環境選び」で決まります。

「ウチの設備で大丈夫かな?」「どうすればプロのような配信ができる?」

そう悩む前に、まずは成功した他社のやり方を参考にしてみませんか?

今回ご紹介した定点カメラからの脱却法や、会場とオンラインを一体にする演出など、具体的なノウハウが詰まった『ハイブリッドイベント事例集』をご用意しました。下記より無料でダウンロードいただけますので、ぜひ貴社のイベント運営にお役立てください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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