なぜインタラクティブコンテンツは注目度が高いのか?その理由や具体的な種類について解説

消費者にとって魅力あるコンテンツを提供することにより、自社のファン化を目指すコンテンツマーケティングは、企業が顧客を獲得するときに大きな役割を果たしています。

2000年ごろからコンテンツマーケティングを取り入れる企業が増え始めましたが、いまや当たり前の存在といえるでしょう。2015年の株式会社グルーバーによる調査によると、コンテンツマーケティングを行っている企業は83%にまで及んでいます。

しかし、通信速度が早い通信規格5Gの普及や、消費者の価値観の多様化が進むなか、ただコンテンツを一方的に配信するだけではユーザーを満足させられなくなってきました。そこで、注目が高まっているものがインタラクティブコンテンツです。

インタラクティブコンテンツとは、ユーザーからの希望も加味し、双方向にやり取りをしていくコンテンツのことをいいます。消費者はただ一方的に情報を受け取るのではなく、自らコンテンツに参加するため、より一層コンテンツや企業に対して興味を持つようになります。

既にコンテンツマーケティングを行っている企業でも、このインタラクティブコンテンツも積極的に取り入れていかないと、競合他社との競争に勝てなくなる恐れもあるでしょう。そこで今回の記事では、インタラクティブコンテンツについて、具体的な手法などもあわせて詳しく解説します。

目次[ 非表示 ][ 表示 ]

インタラクティブコンテンツとは

インタラクティブコンテンツとは、情報を一方的に発信するのではなく、ユーザーからの反応や希望も反映させるコンテンツのことです。ユーザーにコンテンツを操作してもらい、ユーザーが選んだものによりコンテンツの内容は変化していきます。

具体的には、クイズやシミュレーションができるコンテンツ、選択肢を選んで見積もりがとれるコンテンツなどです。このように、ユーザーの反応によって内容を変化させることから、「動的なコンテンツ」と呼ばれることもあります。

ユーザーがコンテンツに参加することにより、見るもの、受けとるものだったコンテンツが「触るもの」「参加するもの」に変化し、よりユーザーの興味を惹きつけられるという効果が期待できます。

2022年4月、デジタル時代のコンテンツ戦略検討タスクフォースによる「デジタル時代のコンテンツ」戦略の方向性と課題の整理によると、コンテンツは一方的ではなく双方向になってきていることを提示しています。デジタル化の進展にともないコンテンツ市場も拡大しており、世界規模の市場競争はさらに激化していくそうです。

このような時流からも、コンテンツ製作においてインタラクティブコンテンツは重要であると言えるでしょう。

インタラクティブコンテンツが注目されている理由

インタラクティブコンテンツは企業におけるマーケティングで、以下のような効果をもたらします。

インタラクティブコンテンツが注目されている理由企業に対する印象が強くなる

ただ映像や文章を見るだけではユーザーの印象に残りにくく、他社のコンテンツとの区別がつかない恐れがあります。しかし、ユーザーからの積極的な行動を求めるインタラクティブコンテンツであれば、コンテンツに触れた体験があることから記憶に残りやすくなります。

ユーザーのエンゲージメント向上

インタラクティブコンテンツにより、ユーザーがコンテンツを主導的に楽しめるようにすると、そのコンテンツに対して愛着を感じやすくなり、エンゲージメント向上につながります。エンゲージメントが高い状態のユーザーには、同じような商品を購入するときも自社の商品を選ぶ、新商品発表のときに注目する、といった行動が期待できます。

CVR向上

サイトの訪問者数が増えたとしてもCVRが低ければ、求める効果は得られません。インタラクティブコンテンツはユーザー商品に興味を持ったときに、そのまま商品販売ページまで移行させることも可能です。

また、インタラクティブコンテンツはユーザーからの情報を得られるため、ユーザーそれぞれに最適な商品やサービスを紹介可能です。そのため、ただユーザーが受け身で見るだけ、読むだけのコンテンツよりもCVRにつながりやすいでしょう。

実際に、インタラクティブコンテンツを導入した結果「CVRが18.9%で通常広告の94.5倍の効果があった」というアンケート結果もあり、その効果の大きさが分かります。

※参考:タッチスポット株式会社「インタラクティブ動画サービス「TouchSpot」、CVR18.9%を実現したSNSマーケティングパッケージ「TouchSpot for SNS」を提供開始」

視聴時間の増加と直帰率の低下

インタラクティブコンテンツはユーザーが自分で操作を行い楽しめることから、サイトにとどまる時間は長めになります。そこから他に興味を持つページやコンテンツを見つけることもあり、直帰率低下も期待できるでしょう。

長時間コンテンツを楽しんでもらえるため、ユーザーの印象に残りやすく、再度訪問される可能性も高くなります。

インタラクティブコンテンツの手法

インタラクティブコンテンツの具体的手法として、以下のようなものがあります。

  • 動画
  • インフォグラフィック
  • ゲームやクイズ
  • 診断テスト
  • 自動見積もり

それぞれどのようなインタラクティブコンテンツになるのか、その効果などを解説します。

インタラクティブ動画

インタラクティブ動画は、視聴するだけではなく、タップやクリックなどで異なるアクションを楽しめる動画です。動画で紹介している商品に興味を持った人が、動画内に設置されたボタンをクリックすると購買ページに遷移できるものがよく見られます。

気になる商品があったときに、自分で改めて調べなくてもクリックするだけで商品ページに遷移できるため、ユーザーの購買意欲が減少する前に商品購入ページに誘導できるようになるでしょう。

そのほかのインタラクティブ動画には、ユーザーが選んだ選択肢に応じて流す動画を変化させられるもの、マルチアングルになっていてユーザーが好きな画角に映像を動かせるものなどがあります。どちらも、ユーザーの好みを反映させられます。

インフォグラフィックを用いたもの

インフォグラフィックとは、情報を整理・分析し、イラストやチャート、グラフなどを用いて分かりやすく表現したものです。情報が可視化され、ひと目で何を伝えられているのか理解できるようになっています。

このインフォグラフィックをインタラクティブコンテンツとして提供することも可能です。例えば、グラフのそれぞれの項目にカーソルを当てると数値や説明文が出てくる、注目したい部分を選択すると拡大されて見やすくなる、といったものです。

すべての文字情報をイラスト内に書き込むとごちゃごちゃとした印象になりますが、このようにユーザーが興味がある部分の情報だけ表示するようにすれば、すっきりと見やすくなります。

インフォグラフィックによるインタラクティブコンテンツでは、ユーザーが興味がある項目、気になる項目をクリックするため、提供側が「ユーザーは何を知りたいのか」知ることができます。そのため、ユーザーにとって見やすいコンテンツになるだけではなく、企業側にとってもマーケティングや営業活動に活かせるようになるでしょう。

ゲームやクイズ

ゲームやクイズなどをインタラクティブコンテンツとして作成すると、ユーザーが選択した内容により表示させる画像や動画を変更できます。ユーザーは選ぶ選択肢によって見られるページが変わるため、何度もコンテンツを楽しもうとするでしょう。ゲームやクイズを楽しめるインタラクティブコンテンツでは再訪問するユーザーも増えることから、PV数の向上も期待できます。

質の高いゲームやクイズを制作し、SNSで話題に上がり拡散されれば、認知の拡大にもつながるでしょう。

診断テスト

診断テストは、ユーザーの考え方や希望に合わせ、最適な商品やサービスをおすすめするときに役立ちます。診断テストをインタラクティブコンテンツとして制作すると、ユーザーが自分に該当する選択肢をクリックしていくと、その人に合った商品を紹介できるようになります。そこから購買ページにアクセスできるようにすれば、商品選びから購入までシームレスにユーザーを導けるでしょう。

また、ユーザーから得られた情報を集計していけば、ユーザーが何を求めているのかが分かるようになります。今後の商品開発やマーケティングに役立つデータも収集可能です。

自動見積もり

ユーザーが選ぶ選択肢によって料金が変わる商品やサービスの場合、見積もりをとることはやや心理的ハードルが高く、購入までに至らないケースもあります。こういったときに、ユーザーの入力値によって自動で見積もりができるようにしておくと、購入するかどうかの判断がしやすくなります。そのため、ユーザーが商品購入に至る可能性は上がるでしょう。

自動見積もりインタラクティブコンテンツのデメリット

通常の静的なコンテンツよりもインタラクティブコンテンツのほうがユーザーの記憶に残りやすく、PV数、CVR向上にも役立つでしょう。しかし、インタラクティブコンテンツの制作には静的なコンテンツよりもコストがかかります。

情報を双方向にやり取りするためには、ユーザー側からの情報もコンテンツに反映しなければなりません。そのため、どうしても静的なコンテンツよりも実装までに工数が必要になり導入コストは上がります。

また、導入後もユーザーの反応によって内容の改善や、バグ等の修正が必要です。定期的にメンテナンスやアップデートを行わなければならず、メンテナンスコストもかかります。インタラクティブコンテンツによる効果が想定よりも小さければ、逆に企業の利益を減少させることもあるでしょう。

まとめ

インタラクティブコンテンツとは、情報が双方向性で、ユーザーの入力値によって内容が変わるコンテンツのことです。

インターネットで情報をやり取りすることが当たり前になっている現在、ユーザーの満足度を上げるためにはコンテンツも一方的に情報を発信するだけでは物足りなくなってきています。ユーザーの多様化した要望に応えるためには、コンテンツもユーザーからの情報を反映させることが重要でしょう。

インタラクティブコンテンツは集客や広告として、動画やゲーム、自動見積りなど、さまざまな形式で利用されています。導入やメンテナンスには費用はかかりますが、競合他社と差をつけるためにインタラクティブコンテンツを導入してみてはいかがでしょうか。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

関連記事