社内広報の目的・手段・評価基準は?企業が注力する理由と成功事例を解説

社内広報の目的・手段・評価基準は?企業が注力する理由と成功事例を解説

テレワークの推進により、社員同士が直接顔を合わせる機会は、大きく減少しました。対面でのコミュニケーションが減少したことで、気軽な雑談や、こまめな情報共有がしづらくなり、社内コミュニケーションのあり方に課題を感じる企業も増えています。

社内コミュニケーションが円滑でないと、伝達ミスや報告漏れが発生しやすくなり、業務効率が下がるなど、さまざまな問題が生じます。

これらのトラブルを未然に防ぎ、社員が快適に働ける環境を整えるためにも、オンラインでの社内コミュニケーションの重要度は高まっています。

また、多様な働き方が選択できる現代においては、従業員エンゲージメントを向上させて、離職率を下げる取り組みを行うことも大切です。

厚生労働省が発表した令和2年雇用動向調査結果の概況においても、20代の離職率は突出して高く、若手社員の定着が難しいことがわかります。転職が容易な時代だからこそ、社員が「長く働きたい」と思える企業になるための施策を講じる必要があるでしょう。

本記事では、社内コミュニケーションを活性化し、エンゲージメントを向上させる手段として注目されている「社内広報」について、概要・目的・企業が注力する理由を解説します。従業員エンゲージメントが高い企業は、収益性、生産性、顧客満足度も比例するように高くなる傾向にあります。

企業はエンゲージメントを向上させるために、福利厚生の充実や職場環境の改善などを行っていますが、会社の特色を活かした魅力的な社内広報も、社員の愛着心を育てられるものです。

この記事では、従来とは異なる社内コミュニケーションのあり方を検討している人事担当者や、社内広報職の導入を検討している企業向けに、社内広報の評価基準や成功事例についてもまとめます。

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社内広報とは

社内広報とは

社内広報とは、自社の社員に向けて発信する広報活動です。広報といえば、社外に向けて企業の活動や商品をPRするイメージが強いかもしれませんが、従業員の定着や企業の継続的な成長のためには社内向けの広報活動も欠かせません。

社外向け広報では、ターゲット層に情報を届けることで売上につなげたり、ブランドイメージの向上が期待できますが、社内広報は単なる情報発信・情報共有の手段ではなく、社内コミュニケーションの活性化やエンゲージメントの向上を目的とします。

社内広報の効果を高めるためには、自社に適した情報発信の方法を見つけることがポイントです。たとえば、社員の離職率が上がっている企業では、経営層のメッセージや中長期的なビジョンを発信することで、社員に働く意義を再認識してもらったり、共通の目標に向かって一体感を持ちやすい雰囲気を作り出します。

テレワークなどで社員間のコミュニケーションが不足している場合は、チャットルームや趣味のグループを作り、相互交流ができるような社内広報も有効でしょう。

企業が社内広報に注力する理由

数ある社内広報の手段のなかでも、社員に向けて定期的に発行する「社内報」を導入している企業は多く、インターナルコミュニケーション専門会社であるウィズワークスが設立した社内報総合研究所によると、約92.5%の企業が印刷・Webでの社内報を発行しているそうです。

従来は印刷社内報のみ発行していた企業がほとんどでしたが、紙媒体の電子化やテレワークの推進を背景に、Web社内報を導入する企業が増加してきました。とくに、従業員数が3000人を超える大手企業の場合、「印刷・Web併用」「Web社内報のみ」が60.6%を占めています。

Webを活用することで、社内報における情報発信の可能性は大きく広がり、企業が社内広報のあり方を見直すきっかけのひとつとなりました。たとえば、飲料業界を代表するサントリーグループでは、社内報「まど」と社内イントラネットの「e-まど」を併用しながら、社員の環境教育を推進しています。

サントリーグループは、2014年から「水と生きる」を企業理念としており、社内外の広報活動を積極的に行っています。消費者に向けたPRだけでなく、社員が環境について学び、真摯に向き合う場を用意することで、社内における環境意識の醸成が見込めるでしょう。

社内広報に注力することで、経営理念に対する理解が深まり、ひとりひとりが「どうすればビジョンを達成できるのか」を考えながら行動しやすくなります。このように社員の自主性を育み、さらなる発展を目指す企業にとって、社内広報の活用は欠かせない取り組みです。

 

参考:

社内報総合研究所(研究および事業開発) | ウィズワークス

従業員への環境教育 サントリーグループのサステナビリティ サントリー

社内広報の目的

社内広報の目的

社内広報の目的としては、以下の5つが挙げあげられます。

  • 企業理念の浸透
  • 社内コミュニケーションの活性化
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 離職率の低下
  • ブランドイメージの向上

企業理念が浸透することで、共通のビジョンを持ったまとまりのある組織を作り上げられます。社員にとっても、「経営層がどんなことを考えていて、これから企業として何を目指しているのか」ということが明確になると、企業への信頼感や安心感を持ちやすくなるでしょう。

社内広報の一環として、社内SNSなどの交流の場を設けることにより、コミュニケーションが活性化し、良好な人間関係を築きやすくなるでしょう。

チームで協力して業務を行い、困ったことがあれば気軽に相談できる働きやすい職場であれば、離職率を低く保てます。離職率が低くなることで、優秀な人材が定着しやすくなり、採用活動のコストが削減するといった効果も期待できます。

企業によっては社内広報をより広義に解釈して、社員の家族や外部に公開しているケースもあります。たとえば、人材採用と入社後活躍サービスを提供するエン・ジャパンでは、社内報のensoku!(エンソク)を社外に公開しました。アットホームな雰囲気を伝えられる「ensoku!(エンソク)」のような社内広報は、ブランドイメージの向上にもなっています。

ensoku!(エンソク)|まるっと公開!エン・ジャパンの社内報

社内広報が伝える内容

社内広報が伝える内容は、目的・手段・企業風土によっても異なります。今回紹介する5つの事例もすべて取り入れるのではなく、自社にあった内容を検討することがポイントです。

  • 経営層のメッセージ
  • 業界のトレンド情報
  • 社内の成功事例、メディア掲載情報
  • 社員紹介
  • 社内サークル、社内イベント紹介

経営層と社員の関わり合いが少ない企業は、社内広報を通して定期的にメッセージを伝えるようにしましょう。毎回決まった人が発信する「社長メッセージ」のほか、役員が持ち回りで発信する「役員メッセージ」を導入している企業もあります。

社内広報は経営理念の浸透や社員教育にも活用できるので、業界のトレンドや競合他社の情報などを伝えることもおすすめです。

社内の成功事例をインタビュー形式で掲載したり、メディアに紹介された情報を発信することで、「自分もインタビューされるような成果をあげたい」「メディアに取り上げてもらえるような働きをしたい」といったように、社員のモチベーション向上にも役立つでしょう。

アットホームな社内広報を目指している企業では、社員紹介や社内イベント紹介がおすすめです。拠点が複数ある企業の場合は、拠点間の交流が十分にできていないケースもあるでしょう。「どこで誰がどんな仕事をしているのか」という情報を発信することで、コミュニケーションのきっかけが生まれます。

また、コミュニケーションを活性化するために、社内広報でサークル活動やランチ会などのイベントを紹介するのも効果的です。社内広報で紹介して認知拡大をすれば、新規参加者の獲得にもつながり、コミュニケーションの輪も広がっていくでしょう。

社内広報の手段

社内広報の手段としては、社内報、メール、オンラインイベントなどが挙げられます。

社内報

社内報は、大きく「紙媒体」「Web」の2つに分けられます。Web社内報は、発行や修正が容易にできる、低コストで発信できる、アクセスを分析して改善しやすい点がメリットです。

マーケティングリサーチ会社であるマクロミルのように、紙媒体の社内報「ミルコミ」とWebの社内報を両立している企業もあります。

マクロミルではWeb社内報は全社員、紙媒体の社内報は勤続年数が短い社員をターゲットにしています。じっくり手に取って読んでもらいやすい紙媒体の強みを活かして、Webとは異なるターゲット層にアプローチすることで、効果的なメディアミックスを実現しています。

参考:

マクロミルの社内報『ミルコミ』が、「社内報アワード2021」でゴールド賞を受賞

メール

メールは、主にメルマガの配信となります。全社に一斉配信することはもちろん、配信先を限定することで、訴求力の高い情報発信ができます。たとえば、入社から5年以内の社員に向けて20年後の働き方をイメージしてもらえるような先輩紹介を企画したり、本社で働く社員に向けて電気工事の日程の連絡を送ったりできます。

オンラインイベント

オンラインイベントとしては、ランチ会、勉強会、事例紹介会などがあります。オンラインイベント・ウェビナー・Web会議をはじめとするビジュアルコミュニケーションサービスを提供しているブイキューブでは、毎月21日を「ブイの日」と定めて、社内広報的な情報発信が行われています。

「ブイの日」は、テレワークの拡大によって希薄になりがちな社内間交流を活性化することを目的としており、オンラインオフィスデーとして終日にわたりさまざまなイベントが開催されています。社長からのコメント、各事業部からのお知らせ、福利厚生についての社内ディスカッション、内定者ツアーなど、幅広い内容となっており、社内報と比べて伝えられる情報量が多い点が特徴です。

また、ディスカッションイベントでは、社員が主体的に参加する形式となるため、双方向的なコミュニケーションも期待できます。オンライン開催なので、気軽に参加でき、あとから録画を視聴することも可能です。

 

参考:

ブイの日内定者ツアー~テレワーク下のコミュニケーション~ | 株式会社ブイキューブ

社内広報の評価基準

企業理念の浸透、社内コミュニケーションの活性化など、社内広報の効果は目に見えづらい側面もあります。しかし、評価者の主観ではなく、客観的な数値で判断することが大切です。ここでは、一例として、社内広報の3つの評価基準を紹介します。

企業理念の浸透率

企業理念の浸透は、社内広報の重要な目的のひとつです。経営層からのメッセージを発信したり、ビジョンを定着させる勉強会を開催したりするだけでなく、定期的に効果測定を行うことで社員の理解度や浸透率を測定できます。

測定方法としては、選択性のテスト形式がおすすめです。記述式にしてしまうと社員の負担が増えてしまうため、業務に影響がでる可能性があります。測定の結果浸透率が低い組織があった場合は、その組織に限定したメルマガを作成するなど、個別のアプローチも検討してみましょう。

社内報の読了時間

紙媒体の社内報では数値化して効果を計測することは難しいのですが、WebであればPV数(ページビュー数)やページごとの読了時間まで把握できます。PV数は、ユーザーがWebサイトのページにアクセスした回数を示しており、もっとも分かりやすい評価基準です。

魅力的なタイトルやインパクトのある画像を使用することでPVの数値を高くできますが、内容がともなっていないと、途中でサイトから離脱してしまうかもしれません。PV数だけで効果を測定するのではなく、「どれだけそのページに留まり本文に目を通してくれたか」を表す、読了時間を把握することもポイントです。

従業員満足度

社内広報では、従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下も目指しているため、会社や働き方に対する満足度調査も評価基準となります。一般的に、従業員満足度調査(ES調査)は、アンケート形式で実施します。従業員満足度は、「基本情報」「動機付け要因」「衛生要因」など多角的に評価していきます。

基本情報

性別・年齢・勤続年数・所属・役職

動機付け要因

業務内容・評価制度・成長機会

衛生要因

経営方針・組織風土・福利厚生

従業員満足度に関しては、職場の人間関係や担当している業務の負荷など、社内広報以外の要因も考えられます。しかし、経営方針や組織風土などの衛生要因に対する従業員満足度が低い場合は、社内広報によるアプローチが効果的です。衛生要因の改善は、成果が出るまで時間がかかるため、継続して発信し続けることができる社内広報が向いています。

従業員満足度の分析は、「評価制度」「成長機会」「福利厚生」などの各項目を「年齢」「性別」「所属」などの基本情報と照らし合わせて行います。

 

Aさん

Bさん

Cさん

Dさん

Eさん

評価制度の満足度

2

2

5

1

4

成長機会の満足度

4

5

3

2

2

福利厚生の満足度

4

5

5

4

5

年齢

25歳

28歳

34歳

50歳

55歳

性別

所属

営業

営業

サポート

営業

サポート

※満足度は5段階評価とする(1が最も満足度が低く、5が最も満足度が高い)

上記表の場合、「評価制度の満足度」の平均値は「2.8」と低いですが、「所属」をサポート職に絞ると満足度は「4.5」と高い数値となります。単純に対象者全体の平均値を出すだけでなく、属性別の平均値を算出することで、「営業本部は評価制度に満足していない」「ベテラン世代ほど、成長機会を感じられていない」などの課題が見つけやすくなるでしょう。

社内広報の事例

社内広報を効果的に行うためには、目的をしっかりと定めて最適な手段でアプローチすることが重要です。ここでは、社内広報の成功事例について、3つ紹介します。社内ラジオ、サンクスギフト、社内スナックなど、ユニークな事例をピックアップしているので、柔軟な思考で自社独自のアプローチ方法を考えてみてください。

Audiostock の「社内ラジオ」

音素材を販売するサービス、TV・ラジオ放送番組用楽曲ダウンロードサービスを通して、音楽流通の革新を目指す株式会社オーディオストック(旧:クレオフーガ)は、社内広報の一環として、東京と岡山の2拠点をつなぐ「社内ラジオ」を放送しています。

オーディオストックは、「拠点間で得られる情報に差がある」「社長の考えがわかりにくい」という課題を解決するため、社内の録音スタジオを使ってラジオ制作をはじめ、経営理念を浸透させることに成功しました。

ポイントは社長自らがラジオに出演したことです。社長の声をダイレクトに届けることで、熱意が伝わりやすくなり、社員のモチベーション向上にもつながりました。社内ラジオでは、オフィス周辺の様子を気ままに話すこともあれば、「社長の脳内が知りたい」という社員の要望に合わせて話をすることもあるそうです。

 

参考:株式会社オーディオストック

株式会社関通の「サンクスギフト」

物流倉庫・物流アウトソーシング・発送代行を行う関通は、物流業界の課題である「物理的に離れてしまうことによって生じるコミュニケーションの希薄化」を解決するために、オンライン上で感謝の気持ちを表現できるWebサービス「サンクスギフト」を活用しています。

もともとコミュニケーション活性化を目的としたアナログのサンクスカードを採用していた背景があり、拠点拡大に伴って、掲示板や社内報の役割を加えたサンクスギフトへと移行しました。

サンクスギフトを導入したことで、オンライン上での部門を超えての小さなコミュニケーションも可能となり、社員同士の交流も活発になりました。サンクスギフトの掲示板は社長メッセージのアウトプット、社内イベントの告知、社員の自己紹介などにも使われています。

 

参考:「物理的に離れてしまう」物流業界ならでは課題解決のために。 上司部下コミュニケーション・マネジメント強化・離職防止施策とは | THANKS GIFT エンゲージメントクラウド

freeeの「社内スナック」

クラウド型会計ソフトを提供するfreeeでは、コミュニケーション活性の施策のひとつとして「社内スナック」を実施しています。経営陣がマスター(ママ)となり、社員と親睦を深めることを目的としたこの施策は、社内でも驚きの声があがったそうです。

freeeは急成長していくなかで、経営陣と社員との距離感が生じることを課題としていました。課題を解決するための施策が、対面式コミュニケーションである社内スナックです。オンラインでのコミュニケーションに力を入れる企業が増えているなか、freeeの社内スナック「燕」は、実店舗で開店します。

オフィス近くのコワーキングスナックを利用しており、特製ツバメコースターを制作するほどの本格的なスナックで、お酒を飲みながら仕事やプライベートな会話を楽しむことができます。freeeは社内スナック以外にも、部活動制度の「オフカツ」など、ユニークな施策を次々と打ち出しており、新しいことに積極的に挑戦し続ける姿勢が注目されています。

 

参考:「freee、スナック始めました」カウンター越しの会話から、みんなの距離がぐっと縮まった話

まとめ

社内広報は自社の課題に合わせた手法で実施することで、企業理念の浸透や従業員エンゲージメントの向上に効果があります。社員向けのアンケートを実施して、勤続年数・性別・組織などの属性別に分析することで、解決すべき課題が見つかりやすくなるでしょう。

社内広報には、社内報・メール・オンラインイベントなどの手段があり、目的やアプローチするターゲット層によって最適なツールは異なります。ユニークな社内広報は対外的なPRにもなり、ブランドイメージの向上へとつながるケースもあります。社内広報の目的とターゲット層が決まったら、柔軟な思考で伝える内容や手段を検討していきましょう。

社内広報の効果を高めるためには、定期的な評価測定と見直しは欠かせません。社内報のDV数や読了時間などの定量的な評価に加えて、「この取り組みは面白い」「この記事は何が伝えたいのかよくわからない」といった社員からの定性的な評価にも耳を傾けながら、企業と社員にとってよりよい社内広報のかたちを探していきましょう。

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山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社し、テレワークナビ編集長を務める。