お客様の満足は、社員の満足から。 京王プラザホテル 総務が築く、人材が育つ場所

1971年、新宿西口に開業した京王プラザホテル。都市型総合ホテルとして約半世紀にわたり、国内外のお客様を迎えてきました。そして今、さらに「選ばれるホテル」になるための変革に取り組んでいます。

サービスの品質を高め、それを担うプロフェッショナルを育てる。その思想のもとに、2026年3月、人事制度を大きく刷新しました。そして、その制度を「現場で本気で運用する」ために必要だったのが、上司と部下が安心して向き合える「面談の場」でした。

お客様第一を貫いてきたホテルの建物の中で、どうやって社員のための空間を確保するのか。サービス向上を起点に人材育成を支える、総務部の挑戦と工夫を取材しました。

お話を伺った方
株式会社京王プラザホテル
総務部長 砂川 哲也 さん

総務部 総務 アシスタントマネージャー 小嶋 久美子 さん

京王プラザホテルが見据える、「選ばれるホテル」への道

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<株式会社京王プラザホテル 総務部長 砂川 哲也 さん>

── 京王プラザホテルは現在、大きな変革期にあると伺いました。まず、その背景にある戦略について教えてください。

砂川さん:ホテル業界は今、大きな転換点を迎えています。インバウンドの需要は伸びていますが、インバウンドだけに頼っていてはいけない。当社にはそうした認識があります。

これからさらに選ばれていくためには、ホテルの滞在価値や魅力を高める必要があります。そして、それに見合うサービスをお届けできるホテルにならなければいけません。

そのための具体的な取り組みに、日本文化の体験プログラムがあります。例えば、新宿の染物体験や神楽坂芸者の舞、琴演奏などを定期的にロビーで開催をしていますが、京王プラザホテルに来れば何かしら新たな発見や体験ができると海外ゲストだけではなく、国内ゲストに認知してもらう。また、継続的な客室改装やSDGsへの取り組み、新たな施設の設置など、誰もが訪れたくなる、人が集うホテルを目指す。当社は開業時から「プラザ思想」を掲げ、人が集まるプラザ(広場)を経営理念としているのですが、時代とともにマーケットは変化しますから、その変化にあわせた広場の実現が必須となります。

── 「選ばれるホテル」を目指すうえで、最も重要なものは何だとお考えですか。

砂川さん:サービスの品質、これに尽きます。それも、京王プラザホテルのスタンダードを保つだけでは足りません。世界水準で評価されるレベルにまで引き上げていく必要があります。

お客様の記憶に残るサービスは、専門性を極めた一人ひとりの手と判断から生まれます。だから当社の戦略は、シンプルに言えばプロフェッショナルを育て、定着していただくことに尽きるんです。

── そのために、これまでも継続的に取り組んでこられたのでしょうか。

砂川さん:はい。人材育成は、当社が長年積み重ねてきたテーマです。世の中の賃金水準も大きく変わってきていますし、1社で定年までという考え方も変化してきています。

そうした環境の中で、プロフェッショナルを育て、留まっていただける会社にする。そのための仕組みを、ずっとアップデートし続けてきました。

全体を知るプロフェッショナルを育てる研修と育成のしくみ

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── 具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

砂川さん:入社時の導入研修では、10日間から2週間をかけてホテルとはどういうものか、徹底的に体感してもらいます。

その後、1年半の研修期間を設けて、宿泊・料飲・宴会の3部門を経験してもらいます。以前は1年間でしたが、それでも足りないということで延長しました。半年ずつ、自動的に3部門をローテーションするようにしています。

── 1年半とは長いですね。なぜそこまで丁寧にローテーションを組まれているのでしょうか。

砂川さん:ホテル業界は職種が縦割りで、宿泊と料飲と宴会では仕事の中身がまったく違います。でも、その全部が揃って初めて、ひとつのお客様体験になるんですよ。

自分が担当する部門だけを知っていても、本当の意味で良いサービスはできません。全体を理解したうえで、自分の専門性を磨いていく。それが京王プラザホテルのプロフェッショナル像です。

また、期間は少し短くなりますが調理人も同じで、中華をやりたいと入社した人にも、最初は洋食や和食を手伝ってもらうことがあります。以前は、お皿を扱うスチュワードの仕事を経験してもらうケースもありました。料理を作るときはお皿が必要ですし、そうした全体の流れを知ることで、自分の専門性が立体的になっていくんです。

マネジメント職に上がったときも同じです。現場がどう動いているかを知らないままマネジメントしても、的外れな判断になってしまうことがあります。お客様との接点をどう持つか。どうサービスを向上させ、リピートしていただくか。その仕組みを支えるためにも、現場を知る期間が必要なんです。

ホテル全体を知っているからこそ、専門分野でより深いサービスが提供できる。キャリアの選択肢も広がる。そこを目指した制度設計です。

── そうした長年の育成への投資の延長線上に、今回の人事制度改定があるわけですね。

砂川さん:そうです。研修やローテーションは、入社後の数年間の話です。その後のキャリアでも、プロフェッショナルとしての成長を支え続ける仕組みが必要になってきた。それが今回の制度改定です。

そして2026年、人事制度の大刷新へ

── 2026年3月の人事制度改定について、どのような方向性で変えられたのでしょうか。

砂川さん:これまでの制度では、どちらかというとマネジメント職を経てプロフェッショナルに進む、という流れが中心だったんです。今回は、それを逆転させました。

基本はプロフェッショナルとして専門性を磨く。そこからマネジメントを志向する人が手を挙げる。針をそっちに振り切るくらいのことをしないと、人材育成はうまくいかない。そう判断しました。

── 給与体系も含めて見直されたと伺いました。

砂川さん:はい。プロフェッショナルとしてのキャリアをきちんと評価できるよう、賃金体系も含めて全面的に作り直しました。会社として本気で取り組んでいることを、運用でも示す必要があったんです。

制度を本気で運用する。鍵は「面談の質と頻度」

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── 人材育成という方針を、実際の運用に落とし込むうえで重視されたのが面談だったと伺いました。

砂川さん:そうです。新制度では、上司と部下が定期的に向き合い、目標設定やキャリアの方向性を語り合う面談を、これまで以上に重視しています。従前は半期に1回程度の頻度でしたが、それをもっと頻繁にしていきたい、と。

── 面談を増やすことには、どのような意図があるのでしょうか。

砂川さん:面談にはいろいろな種類があります。所属長による目標管理面談、人事面談、それ以外にもちょっと上の先輩と仕事や将来のことを話す時間も大事です。

若手のうちにこういう機会をしっかり持てるかどうかで、定着率も成長スピードも大きく変わってきます。

今年からは調理人にもメンター制度を本格導入しました。すぐ上の先輩がついて、若手の面倒を見てくれる。そういう仕組みも含めて、上司や先輩との対話の機会を、組織全体で増やしていく方針です。

制度の改定は、宣言だけでは意味がありません。現場で本当に運用できる仕組みを、ハードとソフト両面から整える必要があったんです。

お客様動線優先のホテルに、「面談の個室」をどう用意するか

── ただ、面談を増やそうにも、その場所がなければ実現できません。京王プラザホテルさんの場合、もともと社内の会議室や個室は十分にあったのでしょうか。

砂川さん:正直、スペース不足はもう何十年も続く悩みなんです。ホテルという業態は、お客様が利用する空間と動線を最優先で確保します。

エレベーターからお客様がどう動くかなどを基準に設計されていて、サービスを提供するためのバックヤードは、その後に決まる。従業員のスペースは、構造的にどうしても後回しになるんです。

── 既存の会議室で対応するのは難しかったのですか。

砂川さん:既存の会議室はほとんどが大きい部屋で、人数の多い場面で使われていました。1on1や少人数の面談に向いた小部屋は、正直なかったんです。

これまで面談は、事務所や休憩所の一角などで行われることもありました。でも、そこだと『あの人あんなところで喋っていたぞ』と誰かに見られてしまう。本音の話なんて、できないですよね。

サービスを担うプロフェッショナルを育てたいのに、それを育てるための対話の場がない。これは人材育成上の構造的な矛盾でした。

高額な工事費と短い納期。その制約のなかで総務が選んだ道

── 造作工事で個室を増設する、という選択肢はなかったのでしょうか。

砂川さん:当社の建物は地域冷暖房方式を採用していて、フロアの空調を変えるだけでも配管工事が必要になり、高額な費用がかかります。

他にも、スプリンクラーの設備を変えたり、壁を造り直すとなれば、費用が高額になってしまいます。

しかも今回は、3月の制度改定に合わせて3月中に整備を終える必要がありました。通常の工事では到底間に合いません。さらに、設置場所は将来営業用途に戻る可能性のある空間でしたから、撤去・移設できることも必須要件でした。

── 条件が非常に厳しいですね。そんな中でテレキューブにたどり着かれたわけですね。

砂川さん:ちょうど館内に一時的に空いていた場所があったんです。改装工事をせずに何か設置できないかと考えていた時に、ある役員から「個室ブースを置けないか」という話が出てきました。それが出発点で、テレキューブにたどり着きました。

── 選定時に確認されたポイントを教えてください。

砂川さん:一番気にしていたのは遮音性と、面談時の距離感です。当社は女性従業員の比率も高いですから、たとえば男性管理職と女性社員の組み合わせで面談する時に、圧迫感のない距離感が確保できるかは重要でした。実際に入ってみると、『あ、これならいけるな』と。

建物に手を加えずに設置でき、将来移設も可能なこと。エアコンも備わっていて長時間でも快適に使えること。そして、1on1から少人数の対面会議まで、用途に応じてサイズを選べること。これらすべてが揃っていたのが決め手でした。

最終的に2人用を3台、4人用を2台、6人用を1台の計6台を、制度改定のタイミングに間に合わせて導入しました。

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<用途と人数に応じた多彩なサイズラインナップ>

「導入して終わり」にしない。総務が仕上げた使いやすさへの工夫

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<株式会社京王プラザホテル 総務部 総務 アシスタントマネージャー 小嶋 久美子 さん>

── 導入後、社内ではどのように使われていますか。

小嶋さん:想定していた通り、1on1や目標設定面談、キャリア面談、採用面接など、人事制度改定で重視された面談機会の場として活用されています。

「誰にも聞かれない遮音空間」が常時確保されていることの安心感は、上司も部下も格段に話しやすいと感じているようです。

── 面談以外の用途もあると伺いました。

小嶋さん:はい。Web会議やウェビナーの視聴、担当部署内の小規模な対面ミーティングなど、多目的に活用されています。

執務エリアでは背景の映り込みや音漏れが気になるという声がありましたが、テレキューブなら周囲を気にせず発言できる。国内外の商談から社内研修の受講まで、用途は広がっています。

想定外だったのは、チェーンホテルから会議に来た管理職が、会議の合間にテレキューブで仕事をしていることです。これまでは事務所の空きスペースや休憩所の一角などで作業せざるを得ませんでしたが、遮音性のある個室で集中して仕事ができる。『これは想定していなかったけど、すごく重宝されている』という声が現場から上がっています。

── 会議室難民だった社員からの反応はいかがですか。

小嶋さん:平日ベースで各部屋が月20回以上稼働しています。2時間枠の予約ルールも社員に浸透していて、必要な時に必要な人が使える状態が整っています。

『取りたい時に取れる』という感想が、これまでの会議室難民状態から見て一番の変化ですね。

── 導入後、社内で使ってもらうために工夫されたことはありますか。

小嶋さん:社内で使いやすいようにモニターやバッテリーを設置しました。Web会議や打ち合わせ、ウェビナーで使うならモニターがあった方がいいと、社員が安心して、効率よく使えるように備品を整備しました。

そうやって少しずつ手を加えていったことで、面談以外の使い方も、思った以上にしっかり活用してもらえていると感じています。

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<テレキューブ利用時にはバッテリーやモニター、マイク・スピーカーが利用できる>

>>京王プラザホテルのテレキューブの活用法について詳しくはこちら

社員が満たされる場所が、お客様の最高の体験をつくる

── 最後に、これからのホテルや人材育成について、ビジョンを教えてください。

砂川さん:サービスレベルの向上も、人事制度の改定も、そして今回のテレキューブの導入も、すべては『お客様により良いサービスをお届けする』ためにつながっていると思っています。

お客様に満足していただくには、まず社員が満たされている必要がある。プロフェッショナルとして専門性を磨き続けたい社員に、磨ける環境を用意する。上司や先輩と本音で語り合いたい社員に、安心して話せる場所を用意する。

そういう一つひとつの積み重ねが、最終的にお客様の体験につながっていく。そのための環境づくりを、これからも続けていきたいですね。

 

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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