広がるスポーツテック。スポーツ界でのオンラインコミュニケーションの活用事例

スポーツとテクノロジーを組み合わせた「スポーツテック」が注目されています。スポーツ庁では、スポーツテックを「支える」「観る」「する」の3つの分類に分け、それぞれに最新技術が使われた製品やサービスが提供されています。

このスポーツテックが広がる背景には、通信技術の発達と、新型コロナウイルス感染症の流行によるオンラインへの移行があります。特にスポーツは、これまで「現地での応援」が中心だったため、コロナ禍でオンラインでの取り組みが増えました。

本記事では、スポーツ産業におけるオンラインコミュニケーション施策の事例を解説。オンライン上で選手と繋がれたり応援できたりするサービスを中心にご紹介します。

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トップアスリートと「声」でつながる「NowVoice」

NowVoice

出典:NowVoice (ナウボイス) | トップランナーの一言があなたの人生を変えるかもしれない。

「NowVoice」は、アスリートや俳優、文化人など各界を代表する「トップランナー」が、自身の思いや考えを気軽に配信し、ユーザーは配信者の声を聞きコミュニケーションを取れるサービスです。

コロナ禍で観戦できなくても、声で思いに触れられる

「NowVoice」では、トップアスリートが「声」を配信します。音声の配信であれば動画に比べて撮影場所や服装を考慮する必要がなく、気軽に配信できます。

視聴者であるユーザーは、試合を見ながら「NowVoice」の配信を副音声のように視聴して楽しむことができ、アスリートが視聴者との一緒に配信するコラボ配信も可能です。

サービス開発・運営を手掛けるNow Do株式会社では、新型コロナウイルスの感染拡大以前からサービス企画を進めていましたが、状況を鑑みてローンチを早めています。

簡単にライブ配信機能を実装「Agora」

この「NowVoice」の安定した音声配信には、SDK「Agora」が利用されています。自社サーバーで、低遅延かつ安定した配信を実現するには、多大なコストがかかりますが、「Agora」であれば同時に100万人のユーザーに安定的に届けられ、音声コラボ配信も可能になります。「NowVoice」の「Agora」活用の詳細はこちら

チームを投げ銭で応援「Engate」

Engate

出典:Engate:エンゲート | ファンの声援をアスリートに届けるコミュニティ 

「Engate」は、ファンの声援をスポーツチームやアスリートに届け、活動のサポートをするファンコミュニティサービスです。ユーザーは24種類以上のギフトから、選手の活躍やプレーに応じてギフトを贈ることができ、チームや選手とファンの絆をつなぎます。

ファンが投げ銭で応援し、チームの収益源に

ファンは、応援したいスポーツチームや選手を選び、100ptからギフトを贈って応援できます。これらのポイントは、スポーツチームの収益源になります。

トップリーグのスポーツチームであれば、テレビの放映権や広告収入がありますが、地域リーグなどのチームは経営に苦しんでいる場合が多くあります。そこで、個人のファンが手軽に投げ銭で応援できるサービスは、新たな収益源になりえます。

また、応援したファンが集まるコミュニティが形成され、各チームが開催するイベントを通じて、たくさんギフティングしたファンは選手と会えたり、サイン入りのユニフォームがプレゼントされたり、といった取り組みも行われています。

2021年4月時点で、サッカーJリーグ(12チーム)やバスケットボールBリーグ(18チーム)など、様々な種目から90チーム以上が「Engate」を利用しています。

Zoomでオンライン観戦「横浜DeNAベイスターズ」

オンラインハマスタ

出典:開幕3連戦にて、「おうちで交流!OB解説つき! オンラインハマスタ Supported by日本生命」を開催! | 横浜DeNAベイスターズ 

横浜DeNAベイスターズは、無観客試合での新しい試みとして、Zoomを活用したオンライン野球観戦「オンラインハマスタ」を開催。試合開始前10分程度〜試合終了まで、Zoomで野球観戦が行われました。

OBによる解説や「推しカメラ」で新しい観戦スタイルを提供

Zoom上にファンが集い試合を観戦するだけでなく、日替わりで球団OBが登場し、試合の解説やトークショーを実施。参加したファンの映像が、ランダムでメインビジョンに映し出され、選手たちにエールを送るなど、新しい交流企画も行われました。

また、特定選手を映す「推しカメラ」で、推しの選手を追いかけながら試合を楽しめるサービスも。

参考:5/7(金)からの3連戦にて『オンラインハマスタ YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2021』を開催! | 横浜DeNAベイスターズ 

ファン同士の交流や会場とも連動「Remote Cheerer」

Remote Cheerer

出典:リモート応援アプリ『Remote Cheerer powered by SoundUD』 

「Remote Cheerer」は、スポーツの試合中に誰でも実況やトークを配信できる、リモート応援システムです。インタラクティブにスポーツ観戦を楽しめるのが特徴で、2021年4月には試合会場の生音も聞ける機能も実装されました。

スマホを振って「応援バット」の音を会場に届ける

トークルームでは、ファン同士が音声やチャットでトークしながら応援を楽しめ、拍手や歓声などを送ることができるボタンをタップすると、人数や回数に連動した音が会場で流れる機能があります。

また、スマホを振ると、応援バットの音が会場のスピーカーから流れ、選手にも応援の熱量を届けることができます。

これまでにサッカー、野球、バスケットボール、プロレス、陸上など450以上のスポーツの試合で使用されています。

チアパーティーでコミュニケーションを取りながら試合観戦「LEGENDS STADIUM」

AFCチャンピオンズリーグ2020横浜F・マリノス戦チアパーティー

出典:ACL2020 横浜F・マリノスvs上海上港 - 魅力的なライバーとリモート観戦しよう!!チケット好評発売中!!

チアパーティーとは、チャットやボタンでコミュニケーションをとりながら試合映像を楽しむリモート観戦スタイルです。テレビ番組の配信サービス「Tver」が運営する「LEGENDS STUDIUM」では「横浜F・マリノス」を試合映像を配信するだけでなく参加型のイベントを実施しました。

新しい観戦スタイルで、好きな視点で応援できる

視聴者がOB選手とチャットを通して会話したりコメントで応援したりできる「応援ルーム」と、サッカー解説で人気のYouTuberが出演する「戦術分析ルーム」があり、視聴者は自由に行き来して試合観戦を楽しめます。

配信する映像がテレビと同じでも、戦術視点で応援したいファン向けの映像・音声も配信することで、観戦の楽しみ方が広がる点がポイントです。

5Gを活用した新たな観戦「5G LIVE SPORTS SUPPORTER+」

5G LIVE SPORTS SUPPORTER+

出典:5Gを使ったスタジアムでの新しい観戦スタイルで、サッカーをもっと好きになる | NTTドコモ 5G 

「5G LIVE SPORTS SUPPORTER+」は、ドコモが提供する5G時代のスポーツ観戦ソリューションです。競技場に設置されたカメラ映像をリアルタイムに配信し、観客は手元のスマートフォンで好きなアングルからマルチ映像を楽しめます。

選手の情報を調べながら観戦できる

試合の様子だけではなく、下の画面にはチームや選手の情報が掲載されており、リアルタイムに展開される試合の流れをつかみやすくなっています。

ボール支配率や選手ごとの走行距離、ゴール数やシュート数など、細かな情報が表示され、素人にも玄人にも嬉しい機能です。ファンと入門者の会話が生まれるきっかけとなることが期待されています。

まとめ|スポーツテックで新たな観戦・応援スタイルを

今回は、スポーツテックが取り入れられた新しいオンラインコミュニケーションの事例をご紹介しました。

コロナ禍での新たな観戦スタイルを提供できるサービスや、ファンが選手を応援しチームの収益源にもなるサービスなど、様々なサービスが生まれています。より手軽にスポーツ観戦を楽しめる機能が満載で、ファン層の裾野を広げることにも繋がっています。

コロナ禍だからこそ生まれたアイデアもあり、今後も新しい観戦スタイルが提供されていくでしょう。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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