スポーツマーケティングでファンを増やそう!スポーツ団体がすべき施策を紹介します
スポーツ観戦に興味を持つ人は多くいますが、実際に現地に足を運ぶ人の数は限られており、ファンを獲得していくには工夫が必要です。
2020年からは新型コロナウイルス感染症の影響から、入場人数を制限し、声出し応援を禁止するなど、スポーツ観戦をコロナ前のように楽しむことが難しくなりました。
2022年7月現在、入場人数の緩和や声出し応援の再開など、徐々にもとの状態に戻ってきてはいますが、「若者のスポーツ観戦離れ」といった問題は依然としてあり、今後もスポーツマーケティングの必要性は高いといえるでしょう。
そこでこの記事では、スポーツマーケティングについて詳しく解説します。実際の事例をもとにスポーツマーケティングの手法も紹介するので、スポーツ団体のマーケティング担当者の方は参考にしてください。
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スポーツマーケティングとは
スポーツマーケティングには、「スポーツ団体が観客やファンを増やすためのマーケティング」と、「一般企業がスポーツを活用して行うマーケティング」の2種類があります。この記事では、前者であるスポーツ団体のためのマーケティングについて解説します。
スポーツ団体が運営を続けていくためには、ファンを増やし安定して資金を得ていかなければなりません。そのためには、スポーツ団体の宣伝を行い、グッズ購入してくれるファンやスタジアムに足を運ぶ観客を増やしていくことが必要です。
スポーツマーケティングの最近の動向
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社によるスポーツマーケティングの基礎調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響で、スタジアムや競技場でスポーツ観戦をする人の割合は13.7%から8.3%まで減少しました。
ただ、同調査ではスポーツを見ることへの関心が増加したした人の比率は9.6%から13.8%まで上がっていて、コロナ禍のなか自宅でスポーツを楽しみたいという人が増えていることがうかがえます。
このことから、実際にスタジアムや競技場に人を集めることだけではなく、自宅から生配信でスポーツ観戦を楽しめるようなスポーツマーケティングも必要になっているといえます。
スポーツマーケティングの取り組み例
スポーツマーケティングにはさまざまな方法があります。そのなかから実際の事例を紹介しつつ、代表的なものを紹介します。
アプリを活用したデジタルマーケティングの導入
デジタルマーケティングとは、インターネットなどのIT技術を活用したマーケティングのことをいいます。
デジタル庁による2021年の調査によると、スマートフォンを所持している人は全体の86.8%、30代にいたっては99.3%にものぼります。そういった状況から、マーケティングにおいてもスマートフォンなどを利用したデジタル面からのアプローチが有効です。
デジタルマーケティングのメリットの1つは、会員登録で性別や年代などの属性が明らかになった個人IDとユーザの行動を紐づけやすいという点です。そこから、どのようなユーザが試合を観戦しているのか、グッズを購買しているのか、マーケティングに役立つ情報を収集できます。
集めた情報をマーケティングを自動化するMAツールで活用すれば、個人にあわせたアプローチが可能です。スポーツ団体に対する興味度の高さに応じて案内の内容を変える、観戦後にお礼のメールを送るなど、観客が特別な気持ちになれるような施策ができるようになります。
また、観戦やグッズ購入をした金額に応じてプレゼントや割引券を送付するなど、顧客も楽しめて、スポーツ団体も収益を見込めるようなマーケティングも可能です。
日本のサッカーリーグであるJリーグでは、試合会場に訪れるとメダルをもらえるアプリを開発し、ファンを会場まで足を運ぶように促すマーケティングを行いました。メダルを3枚集めると、観戦チケットが当たる懸賞に応募できる特典を得られます。
参考:
Jリーグを変えるデジタルマーケティング 「toC戦略」のキーマンに聞く - スポーツナビ
ラグビーチームのサンウルブズでは、ファンクラブ会員の情報をデータ化し収集し、ファンの動向や思考を分析しました。それをもとに、チケットの販売方法やグッズの企画について検討するようにしたそうです。ファンの特徴に合わせた販売作戦を練ることにより、売上向上を目指しています。
オンラインイベントの実施
先ほども解説したとおり、スポーツマーケティングでは自宅からスポーツを楽しみたい層に対してのアプローチも有効です。その一環としてオンラインイベントの実施があります。ZoomやYouTubeを活用した試合の生配信や、選手とオンラインで交流できるイベントなどがあります。
横浜ベイスターズでは、オンラインで試合を楽しめるオンラインハマスタを開催しています。OBによる解説を聞きながら、自宅で試合を楽しめるイベントです。限定ユニフォーム付参加券などグッズと同時に購入できるものもあり、販売促進も同時に行っています。
北海道苫小牧にあるアイスホッケーチーム、レッドイーグルスは親しみやすさをモットーに、Zoomを利用したオンラインイベントを行いました。お笑い芸人をMCとして呼び、現役選手とファンがクイズなどを楽しめるイベントです。参加費は無料で、新たなファン獲得につながるように工夫されています。
SNSの活用
SNSを利用して顧客にアプローチするスポーツマーケティングも効果が期待できます。
SNSを利用する人の数は年々増加しており、2024年末には8388万人にものぼると予測されています。インターネット利用人口に対するSNS利用率は2021年末にはすでに8割を越えています。てSNSを活用することで多くの人に競技や選手、チームの魅力を多くの人に届けられるでしょう。
日本の男子プロバスケットボールリーグであるB.LEAGUEは、SNSの機能を大いに活用したスポーツマーケティングを行っています。たとえば、SNSのハッシュタグ機能を活用してオールスター戦の選手投票を行う、チームや選手のSNSアカウントで積極的にファンと交流するなどして、ファンとチームとの距離を縮めています。
結果として、B.LEAGUEは急成長をとげ、観客動員数が増え続けることになりました。
参考:
【B.LEAGUE】成功の秘訣は「SNSの活用」にあり!│HALF TIME Magazine
なぜBリーグだけがSNSマーケティング」で成果を出せるのか? | スポチュニティコラム
スタジアムのボールパーク化
スタジアムをただスポーツ観戦のための場所にするのではなく、食事やアトラクションなどを充実させることを、スタジアムのボールパーク化といいます。
スポーツ観戦しかできなければ、そのスポーツに興味のある人しかスタジアムに足を運びません。しかし、食事やエキシビジョン、屋外には公園を設けるなど、試合観戦以外の楽しみがあると、ファン以外の人がスタジアムに訪れるようになります。
スタジアムのボールパーク化に成功した代表的な存在は広島東洋カープです。広島東洋カープは、もともとさまざまなグッズ展開や「カープ女子」という言葉を生み出しながら、新たなファン獲得に成功していました。
そのようななか、本拠地であるマツダスタジアムで、寝そべりながら観戦できるウッドデッキ席を配置する、場内に29もの売店を展開するなど、球場全体をアミューズメント化しました。祖父母、親、子と3世代が楽しめる球場となっていて、試合観戦のリピート率も上がっています。
まとめ|多面的なアプローチでファンを増加させる
スポーツ団体の運営を維持していくには、観客動員数の増加やグッズの売上向上をしていかなければなりません。そのためには選手を育てよい試合をするだけではなく、スポーツマーケティングをすることも必要になっていきます。
スポーツマーケティングには、SNSやアプリを活用したもの、Zoomなどを利用した動画配信やオンラインイベント、スタジアムの改装などさまざまなものがあります。自社の目的や予算に合わせた方法を採用してみて下さい。