ライブ配信に必要な機材とは?トラブルを起こさないための機材選びのコツとは
新型コロナウイルス感染症の広がりにより、さまざまなイベントやフェス、セミナーなどがオンラインで開催されるようになりました。ライブ配信であれば人が集まらずに済むため感染症対策として有効であるほか、会場準備の手間とコストを削減できる、遠方の人も参加できるため参加者を増やせる、といった企業にとっての利点も多くあります。
そのため、今後も感染症の流行状況を問わずライブ配信を行うメリットは大きいといえるでしょう。これからも長くライブ配信を行うとなると、配信機材を本格的にそろえることを考える企業もあるのではないでしょうか。
ライブ配信に必要な機材は、配信する映像の種類や開催するイベントの規模によっても異なります。トラブルなく配信を行うためには、想定する場面に合わせて必要な機材を用意することが大切です。
そこでこの記事では、ライブ配信に必要な機材を紹介します。場面別にどの機材が必要かについても説明するため、ウェビナーやオンラインイベントを行う予定の方は参考にしてください。
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オンライン配信に必要な機材
ライブ配信を行うときに、一般的に必要となる機材は以下のとおりです。
- 配信用PC
- カメラ
- 三脚
- マイク
- 照明
- オーディオインターフェース・ミキサー
- キャプチャーボード・スイッチャー
それぞれどのような機材か、トラブルを起こさないようにするためにはどのように選べばよいのか、といったことを詳しく解説します。
配信用PC
1人を映し出すような小規模なウェビナーを行う場合も、大規模なオンラインイベントを行う場合も、配信用のPCは基本的に必要です。
配信中は映像を取り込みつつ、インターネットでデータを送信し続けなければならないため、大きな負荷がかかります。そのため、RAMは8GB以上あることが望ましいでしょう。動画編集を行いアーカイブ配信までするのであれば、16GB以上あると安心です。
また、CPUの種類によってもPCの処理速度は異なります。途中でPCがフリーズするなどのトラブルを起こさないためには、ノートパソコンであればCore i5やCore i7、Ryzen 5やRyzen 7程度のものを選ぶようにしてください。
必要なスペックや機能を搭載しているPCを選んだとしても、PCトラブルが絶対に起きないとは限りません。トラブルが起きてもオンライン配信を滞りなく続けるためには、予備用のPCを用意しておくとよいでしょう。
カメラ
PCの前で話すだけのオンライン配信であれば、別途カメラを用意しなくてもPC内蔵のカメラや簡易的なWebカメラで十分です。
しかし、イベント会場での様子の配信するときや、話者が複数いるような規模が大きいウェビナーの際には、画角や明るさが調整できるビデオカメラやデジタルカメラ(ミラーレスカメラなど)のほうがよいでしょう。そうすれば、会場全体をうつす、話者をズームインするといった調整が可能ですし、暗い会場の様子も映し出せます。
より会場の臨場感を配信にて伝えるためには、カメラを複数用意し場面に応じて切り替えると、映像にメリハリがでてある飽きられにくい映像になります。また、長時間のオンライン配信を行う際には給電しながら撮影できる製品にしたほうがよいでしょう。カメラの電池切れによるオンライン配信中止といったトラブルを防げます。
以下に、カメラの特徴や機能の違いをまとめます。
【カメラの種類】
カメラの特徴 |
特徴 |
Webカメラ |
・PCに直接接続して使用する ・手軽に使用できる |
書画カメラ |
・手元の資料を映し出すためのカメラ ・資料を共有しながら行うウェビナーにあると便利 |
ビデオカメラ |
・映像が鮮明で配信に適した機能を持つカメラ ・本格的なオンライン配信を行いたいときにおすすめ |
デジタルカメラ(ミラーレスカメラなど) |
・映像をデジタルで保存するもの ・ミラーレスは反射鏡がなく小型で使いやすい ・美しい映像を撮影できる |
【カメラのスペックや機能】
機能 |
意味 |
画角 |
・映し出す範囲 ・数値が大きいとより広い範囲を映せる |
画質 |
・映像の美しさを表す ・数値が大きいとよりきれいな映像をとれるが、その分データ量も大きくなる |
フレームレート |
・1秒間に何枚の画像を撮影できるのかを表す ・30rpsあるとなめらかで美しい映像を撮れる |
ズームできるかどうか |
・ズームできると注目したい人だけを映せる ・臨場感ある映像を撮影できる |
手ブレ防止 |
・カメラを手持ちで撮影するときに必要な機能 ・揺れを抑えた映像になる |
三脚
ビデオカメラやデジタルカメラで撮影するときは三脚があるとよいでしょう。カメラを手持ちで撮影すると、どうしても手ブレが起こります。揺れている画面では視聴者が画面酔いする可能性もあり、離脱者増加につながるおそれがあります。
テーブルにそのまま置いて撮影する方法もありますが、三脚と違いしっかりと固定はできません。そのため、位置がズレることや、カメラが倒れる、落ちるといったトラブルの元になります。カメラの向きを変えるときも、三脚があればハンドルを動かすだけで軸を変えずに向きだけ変えられます。
マイク
カメラと同じく、1人だけのウェビナーや個人的な配信であれば、PCに内蔵されているマイクで十分です。しかし、会場で行うイベントを配信したいとき、話者の声をしっかりと拾いたいときは専用のマイクを用意しましょう。登壇者が複数人いるときには、1人につき1本のマイクがあると声が聞きやすくなります。
オンライン配信で使えるマイクにはさまざまな種類があるため、選ぶ際には以下の表を参考にしてください。
【マイクの種類】
マイクの種類 |
メリット |
デメリット |
ピンマイク |
・胸元につけるため、話者の手が空く ・見た目がすっきりとしている |
口から遠く雑音が入る可能性がある |
ヘッドセット |
口元にマイクがあり、音が鮮明 |
顔周りにマイクがあるため目立つ |
単体マイク |
音質がよい |
・口元とマイクの距離や角度を一定に保てない ・音質や音量の調整が必要 |
【接続方法】
接続方法 |
メリット |
デメリット |
USB接続 |
・ノイズの影響があまりない ・直接PCに接続できる ・ケーブル1本で手軽 |
・ステレオミキサーが使えないため、PCから出す音を拾えない |
ステレオミニプラグ |
スマートフォンにも接続できる |
ノイズが入りやすい |
XLR接続 |
・USB接続よりもさらにノイズが少ない ・ライブやコンサートでも採用される |
PCに直接接続できないため、ミキサーなどが必要 |
ワイヤレス接続 (ブルートゥース・Wi-Fi) |
・マイクと接続機器の距離があっても使用できる ・ケーブルがいらないため見た目がすっきりとしている |
・接続環境によっては音が途切れる可能性がある ・タイムラグが発生する可能性がある |
【指向性】
指向性の種類 |
特徴 |
無指向性・全指向性 |
マイクを中心として360度、全方向すべての音を拾う |
単一指向性 |
マイクの後ろ側の音だけを拾う |
双指向性 |
マイクの前と後ろの音を拾う |
照明
オンライン配信のときも、登壇者に対して照明を当てないと映像が暗く見にくくなってしまいます。明るく見やすい映像を視聴者に届けるためには、照明も用意したほうがよいでしょう。オンライン配信で使用する照明は基本的にLEDライトです。
LEDライトには、デイライトタイプとBi-Colorタイプの2種類あります。デイライトタイプの照明は白色のみですが、Bi-Colorタイプは白色から暖色まで調光可能です。
また、LEDライトの性能を表すものに、ルクスとルーメンがあります。ルクスはLEDライトが照らす部分の明るさ、ルーメンは光の量を表します。数値が高いほど、強力に照らし出せるため、照明を使用する会場の広さによって選んでください。
規模が小さい配信のときは、ライトがリング状になっているリングライトがおすすめです。
オーディオインターフェース・ミキサー
オーディオインターフェースや、ミキサーやマイクで集めた音やスピーカーから出た音をまとめてPCに接続するために使用する機材です。これらは、PC内蔵のカメラやマイクで配信を行うときには必要ありません。オーディオインターフェースやミキサーがあると、音の大きさを調節する、音声をミックスする、といった機能も使用できます。
キャプチャーボード・スイッチャー
キャプチャーボードとは、カメラで撮影した映像をPCに取り込むためにデータを変換する機材です。使用するカメラの種類によっては、PCに直接映像を送れないためキャプチャーボードによる変換が必要です。一部のビデオカメラやミラーレスカメラは、直接PCに映像を送れるため、キャプチャーボードを用意しなくても問題ありません。
スイッチャーとは複数カメラがあるときに、カメラの映像を切り替えるときに使用します。スイッチャーの機能によってはカメラの切り替えだけではなく、キャプチャーボードや背景を合成するクロマキー合成ができるものもあります。
オンライン配信の機材構成の例
オンライン配信で使用する機材を紹介しましたが、配信形態によってはすべての機材を使用する必要はありません。それぞれの場面で必要な機材を紹介します。
1人で開催する簡易的なウェビナー
必要機材 |
種類 |
台数 |
配信用PC |
- |
1台 (予備用PCを用意するなら2台) |
マイク |
・イヤホンマイク ・ピンマイク ・単体マイク など |
1台 |
カメラ |
Webカメラ |
1台 |
照明 |
リングライト |
1台 |
マイクやカメラはPC内蔵のものでも配信は可能ですが、音質や映像をよいものにするためには別途マイクやカメラは用意したほうがよいでしょう。話者が1人で照らす範囲が広くないのであれば、照明はリングライト1台あれば十分です。
予備用のPCは必ずしも必要ではありませんが、万が一のことを考えると用意しておいたほうが安心です。
2人が別々の場所から参加するウェビナー
必要機材 |
種類 |
台数 |
配信用PC |
- |
1台 (予備用PCを用意するならば2台) |
登壇者用PC |
- |
それぞれ1台ずつ、合計2台 (予備用PCを用意するならば4台) |
マイク |
・イヤホンマイク ・ピンマイク ・単体マイク など |
2台 |
カメラ |
Webカメラ |
2台 |
照明 |
リングライト |
2台 |
別の場所の2人が登壇者となる場合は、登壇者のためのPCやカメラやマイク、照明も2台ずつ必要になります。また、登壇者用とは別に配信用のPCも用意しなければならない点に注意が必要です。それぞれ予備用PCを用意するのであれば、合計6台のPCを用意しましょう。
2人が同じ会場から配信するオンラインイベント
必要機材 |
種類 |
台数 |
配信用PC |
- |
1台 (予備用PCを用意するならば2台) |
マイク |
XLR接続コンデンサーマイク |
2台 |
カメラ |
デジタルカメラ |
3台 (各登壇者、全体) |
三脚 |
- |
3台 |
照明 |
LEDライト |
3台 (各登壇者、全体) |
ミキサー |
- |
1台 |
キャプチャーボード |
- |
1台 |
スイッチャー |
- |
1台 |
同じ場所に登壇者が2人いる場合は配信用PCは1台で問題ありません。ただ、2つの音を調節するためには、XLR接続コンデンサーマイクをミキサーで通してから配信することが必要です。カメラも、それぞれの登壇者用に1台ずつ、全体を俯瞰するために1台と、3台あったほうが臨場感ある映像を撮影できます。
カメラが複数あるときにはスイッチャーは必須です。スイッチャーにキャプチャーボード機能がある場合は、キャプチャーボードを用意する必要はありません。
2人が同じ会場から配信するハイブリッドイベント
必要機材 |
種類 |
台数 |
配信用PC |
- |
1台 (予備用PCを用意するならば2台) |
マイク |
XLR接続コンデンサーマイク |
2台 |
カメラ |
デジタルカメラ |
3台 (各登壇者、全体) |
三脚 |
- |
3台 |
照明 |
LEDライト |
3台 (各登壇者、全体) |
ミキサー |
- |
1台 |
キャプチャーボード |
- |
1台 |
スイッチャー |
- |
1台 |
会場用プロジェクター |
- |
1台 |
会場用スクリーン |
- |
1台 |
会場用スピーカー |
- |
2台 |
オフラインイベントの様子を配信するハイブリットイベントの場合は、配信だけではなく会場の設営も必要です。そのため、オンラインイベントで必要となる機材にくわえ、会場用プロジェクター、会場用スクリーン、会場用スピーカーも用意する必要があります。
配信の際にはカメラで撮影した様子以外に、会場用のプロジェクターやスクリーンに映し出した映像も流さなければなりません。また、登壇者の話のほか、会場スピーカーから流れるBGMも音声にくわわるため、ミキサーで調節する技術も必要です。
まとめ
オンライン配信をするためには配信用PCにくわえ、マイクやカメラ、照明などが必要です。登壇者が複数になる場合は、カメラやマイクも複数用意し、場合によってはミキサーの準備もしたほうがよいでしょう。
オフラインとオンラインを同時に行うハイブリットイベントの際には、会場の様子も配信しなければならないため、必要となる機材も増えるほか高い配信技術を持つスタッフも必要です。自社で配信機材を用意し、使いこなすことが難しい場合は、オンライン配信を専門に行う企業に外注することを検討してみてはどうでしょうか。