オンライン飲み会・懇親会のメリットや利用シーンは?ツールの選び方やポイントを紹介
新型コロナウイルスの感染拡大により、企業での働き方は大きな変革期を迎えています。新型コロナウイルスの驚異は依然としておさまらないため、一時的に在宅勤務を導入する予定だった企業も予定を変更せざるを得ない状況ではないでしょうか。在宅勤務は一時的なトレンドではなく、ウィズコロナの時代において必須ともいえるものとなっています。
また、在宅勤務を導入すれば通勤の負担もなくなるため、社員の働きやすさの向上や育児や介護で就職できないような人材確保も見込めます。
このように現在の時流に合った在宅勤務は、一方で社内コミュニケーションの低下も引き起こします。社内コミュニケーションが低下すると、「気軽に相談しづらい」「必要な情報が回ってこない」「働くことに対するモチベーションを維持できない」などの問題が発生するケースもあり、組織としての生産性低下、企業としての離職率の増加につながりかねません。
本記事では社員同士の交流を活性化し、従業員が働きやすい環境をつくりたいと考えている企業担当者向けに、オンライン飲み会・懇親会のメリット、利用シーン、ツールの選び方を紹介します。開催するうえでの注意点や、効果を高めるポイントについてもまとめましてたので、社内環境を良好にするための参考にしてください。
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オンライン飲み会・懇親会のメリット
オンライン飲み会・懇親会を開催するメリットは、大きく3つあります。
1つ目は、社内コミュニケーションの活性化です。在宅勤務を導入するとチーム全員がオフィスにそろう機会は減ってしまいます。オンライン交流の場を設けることで、普段は在宅勤務で話ができないような人とも会話ができ、社員同士のつながりを深めることが期待できます。結果としてコミュニケーションが活性化し、チームワークを発揮して仕事がしやすくなるでしょう。
人事領域に関する調査・研究機関であるHR総研のデータによると、およそ7割の従業員がコミュニケーション不足が業務の障害になると回答しています。オンライン飲み会を通して社内コミュニケーションを活性化することで、従業員が課題に感じている「迅速な情報共有」や「部門間の連携」の改善が見込まれるでしょう。
2つ目は、相互理解です。机を並べて働いていると、ふとした隙間時間の雑談を通して、相手の人柄や個性が見えてきます。円滑に業務を行うためには、お互いの仕事内容や進捗状況を把握して、部門間・メンバー同士の連携を高める必要があります。しかし、テレワークではカジュアルなやりとりが少なくなり、対話不足や情報不足によるコミュニケーションエラーが発生しやすくなります。
オンライン飲み会を開催することで、雑談しやすい環境を構築し、業務上のやりとりだけではわからなかった相手への理解を深めることが期待できます。
3つ目は、心理的安全性の担保です。心理的安全性とは、組織のなかで役職や年齢に関わらず、誰もが安心して発言できる状態のことです。心理的安全性を高めることで、自発性が育まれ、新しいアイデアが生まれやすくなる、多角的なものの見方ができるようになるといったメリットがあります。
新しいメンバーがチームに加わったタイミングなどで、フラットな交流の場としてのオンライン飲み会を活用し、社員の心理的安全性を高めていきましょう。
オンライン飲み会・懇親会の利用シーン
オンライン飲み会では、以下のようなシーンで利用されます。
利用シーン |
目的 |
歓迎会 |
・新メンバーに安心感を持ってもらう ・新メンバーの人柄や個性を把握する |
忘年会・新年会 |
・組織としての一体感を高める ・コミュニケーションを活性化させる |
プロジェクトのキックオフ |
・チームメンバーの相互理解を促す ・モチベーションを向上させる |
企業が主導するオンライン飲み会を成功させるためには、利用シーンと目的を明確化し参加者に共有しましょう。
参加者にも目的を共有すれば、限られた時間で高い効果を期待できます。たとえば、「新メンバーに安心感を持ってもらうための歓迎会」という共通認識を持つことで、参加者が「新メンバーも理解できる話をしよう」「仕事をするうえでの注意点を教えてあげよう」など、目的に合致した話題を提供しやすくなります。
オンライン飲み会・懇親会向けのツールの選び方
オンライン飲み会・懇親会向けツールは、「テーブル型」と「Web会議型」とに大別されます。最適なツールは企業や組織によって異なるため、それぞれの特徴を知り、用途に合わせて使い分けるようにしましょう。オンライン飲み会用にあらたにツールを導入する場合は、オンライン飲み会以外のシーンでも活用できるバーチャルオフィスツールなどもあわせて検討することもおすすめです。
テーブル型
テーブル型は、オンライン上にテーブルが用意されており、自由に着席できるスタイルです。大人数でも利用しやすく、テーブル間を自由に移動できるため、より多くの人と交流ができます。全社会・社員総会など、大規模な懇親会を開催したいときに向いています。
テーブル型で開催する場合は、オンライン飲み会用ツール、オンラインイベントツール、バーチャルオフィスツールなどを利用します。数百人規模が参加できるツールもありますが、社内ネットワークの負荷などを考慮したうえで選定していくことが大切です。
Web会議型
Web会議型では、Zoomミーティング や Google Meet といった、いわゆるWeb会議システムを用います。すでにWeb会議システムを導入している場合は、あらたにツールを導入するための費用は必要がなく、既存のシステムをそのまま使用可能です。
千人規模で参加できるツールもありますが、オンライン飲み会という観点で考えると、少人数ごとに分けての開催がおすすめです。ミーティングルームを複数用意したり、ブレイクアウトルーム機能が利用できると便利です。ただし、参加者が自由に移動することは難しく、人数が増えると管理側の負担も増加します。長い時間開催したい場合は、時間制限のないツールを使うのが良いでしょう。
オンライン飲み会・懇親会向けツール
オンライン飲み会・懇親会向けツールについて、テーブル型を3種類、Web会議型を4種類、紹介します。
テーブル型のツール
テーブル型のおすすめツールとして、EventIn、Remo、oViceをピックアップしました。自由度の高いオンライン飲み会に向いているテーブル型ですが、設置できるブースの数、サポート体制、アレンジの自由度などはツールによって異なります。ツールごとの活用事例についても紹介しているので、自社に合ったサービスを探してみましょう。
EventIn
出典:Event In
EventIn(イベントイン)は、株式会社ブイキューブが提供する多機能ブース型のイベントプラットフォームです。オンラインイベントやバーチャルオフィスツールとして、年間5000件以上の配信を実現しており、オンライン飲み会でも活用可能です。
会場内には最大300ブースを設置できるので、全社的な集まりを行ったあと、組織ごとに分かれて交流するときに最適です。ブースの回遊性にも優れており、チームや組織を超えた交流の場を構築したい企業におすすめのツールとなっています。
導入コンサルティングやアフターサポートもあり、専任スタッフの手厚いフォローもあるため、初めてオンライン飲み会を導入する企業も安心です。
Remo
出典:Remo
Remo (リモ)は、香港で創業したグローバルカンパニーで、人と人とのつながりを重視したオンラインイベントツールを提供しています。すでに105カ国、6万6000人以上のイベント主催者をサポートしており、その豊富なノウハウを活かしたサービスが特徴的です。
パーティ形式のテーブルがいくつも用意されており、参加者は自由に動き回れます。テーブルや椅子の配置をアレンジできるだけでなく、会場の飾り付け・デコレーションも用途によって大きく変更可能です。
歓迎会は親しみやすく、忘年会は居酒屋風に、プロジェクトのキックオフはラグジュアリーなパーティ会場にするなど、遊び心を取り入れたオンライン飲み会を開催できるでしょう。
oVice
出典:oVice
oVice(オヴィス)は、石川県のoVice株式会社によって運営されているバーチャルイベントスペースです。2020年に設立された新しい企業ですが、外務省のオンライン国際カンファレンスでも採用された実績のあるツールです。「となりで話しているような、バーチャル空間」を目指しており、オフィス、イベント、スクール、コミュニティなど、さまざまなシーンで活用できます。
オンライン飲み会を実施する場合は、会話や意思表示を促すようなコミュニティ機能を利用することで、心理的安全性の向上が期待できます。
とくに、オンライン飲み会に不慣れな組織、初対面のメンバーが多いオンライン飲み会では、気軽に感情を表現できるリアクション機能があると便利でしょう。バーチャル空間内では、まるでライブ会場にいるような感覚で動画視聴や音楽鑑賞ができるため、懇親会用のムービーの作成もおすすめです。
Web会議型のツール
Web会議型のおすすめツールとして、Zoom ミーティング、Google Meet、Microsoft Teams、たくのむをピックアップしました。すでに業務で使っているツールも多いかと思いますが、今回はオンライン飲み会という切り口から、それぞれの特徴を紹介します。価格、ブレイクアウトルーム機能の有無、最大参加人数についても比較してみました。
Zoom ミーティング
出典:Zoom
MM総研株式会社の調査では、Web会議システムを使う企業の6割がZoomミーティングを利用していると発表されています。従業員数が1〜20名未満の会社における使用率は7割を超えており、高いシェアを占めていることが分かります。
Zoom ミーティングは、無料版と3つの有料版があります。無料版では40分の時間制限が設けられていますが、有料版は30時間まで接続可能です。オンライン飲み会を行う場合、40分では短すぎるため、時間を気にせず交流できる有料版を契約しましょう。
有料版は、プロ、ビジネス、企業の3つのなかから選べます。
価格 |
無料:0円 プロ:2万100円/年/ライセンス ビジネス:2万6900円/年/ライセンス 企業:3万2300円/年/ライセンス |
ブレイクアウトルーム機能の有無 |
あり |
Web会議に参加可能な最大人数 |
無料:100人 プロ:100人 ビジネス:300人 企業:500人 |
Google Meet
出典:Google Meet
Google Meetは、Hangouts Meetのアップグレード版として2020年にリリースされました。無料版と2つの有料版があり、制限時間と参加可能人数がそれぞれ異なります。無料版は制限時間が1時間、有料版は制限時間が24時間です。
有料版にはブレイクアウトルーム機能があるので、グループに分かれて飲み会を開催することも可能です。挙手、アンケート、Q&Aといった多彩な機能が特徴で、飲み会でのコミュニケーションの活性化も期待できます。
Google Meetでは、セキュリティ キーを含む 2 段階認証プロセス を用いた「ユーザー情報保護機能」、通信の暗号化にする「プライバシー保護機能」をはじめとする高い安全性も魅力的です。また、ドメイン内でのライブ配信では最大10 万人の視聴者に向けて発信できます。セキュリティや拡張性に強みのあるWeb会議システムを導入し、ときどきオンライン飲み会にも流用したいといった企業向けのツールです。
価格 |
無料:0円 Google Workspace Individual:7.99ドル/月 Google Workspace Enterprise:要問い合わせ |
ブレイクアウトルーム機能の有無 |
あり |
最大参加人数 |
Google Workspace Individual :100人 Google Workspace Enterprise :500人 |
Microsoft Teams
MM総研株式会社の調査では、Web会議システムを使う企業の2割がMicrosoft Teams を利用していると発表されています。従業員数が1000名以上の会社における使用率は3割を超えており、大企業になるほどZoomミーティングのシェアに迫っています。
Microsoft Teamsは無料版と3つの有料版があります。無料版では60分の時間制限が設けられていますが、有料版は30時間まで接続し続けることが可能です。有料版は、Microsoft Teams Essentials、Microsoft 365 Business Basic、Microsoft 365 Business Standard の3つから選択できます。
Microsoft 365のプランは、word、excel、sharepoint などのOffice アプリを使えるため、大企業で採用されやすい傾向にあります。無料版とMicrosoft Teams Essentialsはブレイクアウトルーム機能がないため、小規模なグループに分かれてオンライン飲み会を行いたい場合はMicrosoft 365のプランがおすすめです。
価格 |
無料:0円 Microsoft Teams Essentials:430円/ユーザー/月 Microsoft 365 Business Basic:650円/ユーザー/月 Microsoft 365 Business Standard:1,360円/ユーザー/月 |
ブレイクアウトルーム機能の有無 |
あり (Microsoft 365 Business Basic、Microsoft 365 Business Standardのみ) |
最大参加人数 |
300人 |
たくのむ
出典:たくのむ
たくのむは、1010 株式会社によって運営されているオンライン飲み会・懇親会に特化したツールです。ログイン不要、時間無制限となっているので、誰でも気軽に使うことができます。タイマー機能や出前機能をはじめ、飲み会ならではの機能が続々と開発されており、今後が楽しみなサービスとなっています。
無料版と有料版の2種類があり、それぞれ最大参加人数が異なります。無料版は6人、有料版は12人に設定されており、部署内やチーム内だけの小規模な飲み会向きです。有料版でも幹事以外は接続中に広告が表示されるため、顧客とのオンライン飲み会にはおすすめできません。
価格 |
無料:0円 プレミアム:500円/月 |
ブレイクアウトルーム機能の有無 |
なし |
最大参加人数 |
12人 |
オンライン飲み会・懇親会の注意点
オンライン飲み会・懇親会を開催するうえでの注意点を3つ紹介します。
家族・同居人への配慮
それぞれの自宅で開催するオンライン飲み会では、家族・同居人への配慮も大切です。飲み会が盛り上がるのはよいことですが、大きな声を出すと家族や隣近所迷惑がかかる可能性があります。家族側も、オンライン飲み会を邪魔しないように気をつけている場合もあるため、配慮してもらっていることを忘れずに過ごしましょう。
終了時間の設定
終了時間を設定しないと、飲み会がだらだらと長引いてしまう傾向にあります。そのため、最初から終了時間を2、3時間後に設定しておくことがおすすめです。終了時間を設定するときには、接続時間が表示できるオプションを利用しましょう。
2、3時間では短いと感じられる場合は、話し足りない人たち向けに二次会を開催してもよいでしょう。二次会を開催する際は、一次会が終了する前に二次会の開始時間・開催場所・おおまかな終了時間を伝えておきます。
参加人数を事前に確認することで、個別の部屋をいくつ作るべきか把握しやすくなります。そのため、二次会を開催する予定であれば、事前に参加希望かどうかヒアリングしておきましょう。
不参加者への配慮
親睦を深めるのに有効なオンライン飲み会ですが、「できれば参加したくない」と考える人もいます。参加したくない理由は、人によってさまざまです。飲み会への参加はあくまで任意となるので、不参加者がいても参加を強要しないようにしましょう。
ただし、「自宅や化粧をしていない姿を見られたくない」「飲み物や食べ物の準備をするのが面倒」という声が聞かれた場合は、使用するツールや体制を見直すことで解決できる場合もあります。不参加者へ配慮すると同時に、アバターで参加できるツールを導入したり、会社側でおつまみを準備したりするなど、参加しやすい環境を整えることもポイントです。
オンライン飲み会・懇親会をさらに充実させるポイント
オンライン飲み会・懇親会は少し工夫するだけで、参加者の増加やスムーズな進行が実現できます。ここからは、余興やゲームなどの盛り上がる企画、快適に過ごすための取り組みについて紹介します。
司会進行役を決める
一般的な飲み会に「幹事」がいるように、オンライン飲み会でも「司会進行役」を決めておくと、スムーズです。また、飲み会をはじめる前に、タイムテーブルを共有しておくとよいでしょう。オンライン飲み会は途中の入退室者も多いため、タイムテーブルがあると、離席のタイミングをつかみやすくなります。
司会進行役は、タイムテーブルに沿って進めていくだけでなく、コミュニケーションを活性化するために、話を割り振る役割も担います。会話に参加できていない人がいる場合は、司会進行役が積極的に声をかけるなど、オンライン飲み会が全体で盛り上がれるよう心がけましょう。
ゲームの用意
ゲームを用意しておくことで、初対面の人が多いオンライン飲み会でも盛り上がりやすくなります。たとえば、オンラインで歓迎会で新メンバーに関するクイズを出せば、チーム内で人柄を把握しやすくなるでしょう。新メンバーも会話をするきっかけとなるためおすすめです。参加者全員が楽しめるようなゲームを企画してみてください。
宅配サービスを利用する
宅配サービスとは、オンライン飲み会用のおつまみを会社で一括購入・それぞれの自宅に個別配送してもらえるサービスです。宅配サービスを併用すれば、オンライン飲み会への参加意欲をより高められます。オンライン飲み会のおつまみを準備するのが手間だと感じる人にとっては、自宅に食材が配送されることは大きな魅力です。
自分ではなかなか注文しないようなパーティ食材が届くと、気持ちも盛り上がるでしょう。宅配サービスは同じものを飲食するため、オンラインでありながらオフラインのような一体感が生まれやすくなるというメリットもあります。
オンライン飲み会で盛り上がるゲームを紹介。
社内の懇親会やオンライン飲み会で盛り上がるゲームを知りたい方は「社内の懇親会に!オンライン飲み会で盛り上がるゲーム企画10選」をご覧下さい。
まとめ
オンライン飲み会・飲み会のメリットは、社内コミュニケーションの活性化、相互理解、心理的安全性の担保などです。歓迎会、忘年会・新年会、プロジェクトのキックオフなど、節目ごとに開催することで、組織の一体感を高めたり、モチベーションを向上させたりする効果が期待できます。
オンライン飲み会向けのツールには、テーブル型とWeb会議型の2種類があり、自由度の高いツールを用いて大規模な懇親会を開催したいときはテーブル型、いまある設備を有効活用して少人数ごとのオンライン飲み会を開催したいときはWeb会議型が向いています。
オンライン飲み会を開催するときは、司会進行役を決める、宅配サービスを利用するなどして、参加者が快適に過ごせる環境を整えることが大切です。