オンライン展示会プラットフォームの選び方は?ポイントごとに紹介

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、さまざまなイベントがオンラインで開催されています。

大規模な展示会もその1つです。オンライン展示会は、感染症対策であるとともに、遠方からの参加や運営費の削減といったメリットも多くあります。

その一方で、リアル開催とはまったく異なる運営ノウハウが必要です。特に、プラットフォームとなるオンライン展示会プラットフォームは各社がさまざまなサービスを提案しています。

ここでは、オンライン展示会を主催する視点に立って、プラットフォームを選びのポイントとなる点を解説します。

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売上と費用から予算を決める

オンライン展示会のプラットフォームを選定する際、まずは予算を決めることが大切です。その目安の一つとして、オンライン展示会によって得られる収入と支出から逆算して、プラットフォームを利用するための費用にいくらまで支出できるのかを計算してみましょう。

まずは収入の部です。オンライン展示会も、リアル会場の展示会と同様に、売上高は、

  • 出展料×出展社数

で決まります。

一方で、支出としては以下のものが挙げられるでしょう。

  • 集客に関わる広告費
  • 出展見込社への営業経費
  • ウェブサイトをはじめとするコンテンツなどの制作費
  • 当日の会場運営費
  • 基調講演出演者などへのギャランティ

ここに、

  • プラットフォーム利用料

が加わると考えたとき、どの程度の金額までなら許容できるか、という点で考えてみるとよいでしょう。

プラットフォーム利用料は利益額の30%以内が理想

仮に5000人を集客する規模のオンライン展示会であれば、50社程度の出展が妥当な範囲と言えるでしょう。

出展によって各社が獲得できるであろうリード(見込み客)を1社当たり150ほどと想定し、その場合の出展料を50万円前後と考えれば、この場合のオンライン展示会の売上高は2500万円程度と見積もることができます。

一方で、事前申し込み数に対する実際の参加率を70パーセントと想定した場合、5000人を集客するためには約7000人の事前登録を得なければなりません。

目安ではありますが、この7000人の事前登録を得るための広告費用が、売上高全体の25%程度に収まっていれば許容範囲だと言えるでしょう。つまりこの場合では600〜700万円前後、事前登録者一人あたり1000円程度が許容範囲内です。

上に挙げたように、この他にも出展社への営業経費やウェブサイトなどのコンテンツ作成費などを勘案すると、全体ではおおよそ1000万円ほどの支出が考えられます。

この支出を考慮した上で、どの程度の金額をプラットフォームの利用費に支出できるかを割り出すとすれば、利益額の30%程度が限度と考えるべきでしょう。

つまり2500万円の売上高に対して、必要経費が1000万円程度とすれば、プラットフォーム利用料の目安は、粗利益1500万円の30%程度、400~500万円が妥当だと言えます。

各社のプラットフォームは料金に応じてさまざまなオプション機能などを有していますが、おおよそこのような割合を念頭に置いておけば、費用対効果を比較しやすく、また、プラットフォームに求める機能も絞りやすくなります。

参考:【2021年版】オンライン展示会プラットフォームはどのポイントで比較すると良いの? | 展示会の学校

必要な機能を決める

オンライン展示会のプラットフォームを比較するうえで、展示会の目的や配信スタイルなどを整理しておくことは非常に重要です。

目的を「リードの獲得」に置くのか、「ナーチャリング」に置くのか、という点でも利用すべきプラットフォームは異なります。

また、展示会をリアル会場を伴わない「フルオンライン形式」で開催するのか、小規模でもリアル会場を設けオンラインでも同時に参加可能にする「ハイブリッド形式」にするのかも、重要な点です。

それらを検討したうえで、ここでは以下の6つのポイントについてそれぞれ解説します。

  • 展示ブースの形式
  • ウェビナー
  • アンケート
  • 個別商談 
  • 行動データの取得
  • ハイブリッド開催への対応

展示ブースの形式

オンライン展示会のブースは「HP」「3DCG」の2つのタイプに大別できます。

それぞれメリット・デメリットがあるので、適したタイプを選ぶことが必要です。

HP型

自社のホームページ上で製品やソリューションを展示会形式で紹介する方法です。

手軽にコンテンツを更新することが可能ですが、ページが長くなると来場者が離脱しやすい傾向があります。

3DCG型

オンラインブースをフル3DCGで再現し、バーチャル空間を自由に歩き回りながら展示物を見ることができる方法です。

実際の展示会の様子に近いので、臨場感のある映像や豊富なコンテンツで、効果的に商品の魅力を伝えることができます。ただし、アプリ有無やデバイスの動作環境、ネットワークへの負担などを考慮する必要があり、また、コンテンツ内容の頻繁な更新も困難というデリットもあります。

ウェビナー機能

展示会内で基調講演をウェビナー形式で配信することもあるでしょう。そうした場合にはウェビナーに関連する機能をチェックしておきましょう。

実施の場合はネットワークの安定性を確認

基調講演などのセミナーをオンラインで実施する予定であれば、プラットフォームに1対nの形式でライブ配信できる機能が含まれているかを確認しましょう。

リアル展示会に比べてオンライン展示会は気軽に参加できるため、多くの参加者が著名人や有識者によるウェビナーを目当てにしていることも珍しくありません。

ウェビナーを実施する場合にはネットワークの安定性チェックは欠かせません。規模にもよりますが、大人数が短時間に同時にアクセスするため、サーバーの安定性、高負荷状態での映像の送受信もチェックしておくべきでしょう。

チャット・コメント機能

1対nの形式で行われるウェビナーでは、個別の質問や交流がしにくいものです。そこで、活用したいのがチャットやコメント機能。登壇者への質問やコメントを通して、コミュニケーションが図れると、視聴者の満足度や理解度を高めやすくなります。

アンケート

登壇者からの一方通行な内容で終わりとするのではなく、来場者の興味や関心を確認するアンケート機能を活用すれば、内容のブラッシュアップや次回以降の改善につなげやすくなります。

ウェビナー後に別画面に移動して回答したり、メールでURLを送る方法もありますが、これでは高い回答率は見込めません。どうしても後回しになってしまったり、アンケートの存在自体を忘れてしまいがちです。事前にアンケートを作成しツールの中に組み込んでおけば、受講者側の回答の手間を減らして高い回答率を得ることができます。

回遊性を高める機能

オンライン展示会は、その名の通りオンライン上に構築された展示ブースを見ていくことになります。オフラインのように実際に会場があるわけではないため、参加者が簡単に目当てのブースや興味のあるブースを見つけられるような機能があると良いでしょう。

検索/ランキング機能

いま人気の企業ブースがランキング形式で一覧表示されていたり、わかりやすい検索窓が設けられていると、来場者が目当ての企業やブースを探しやすくなるとともに、当初は見るつもりではなかったブースに立ち寄ったりすることにつながります。

こうした仕組みによって回遊率が高まると、各出展者のリード獲得数も上昇しやすくなります。

ウェビナーと展示のツールが分かれていない

ウェビナーはAのツールで、展示ブースはBのツールで、というように、オンラインツールが分かれていると、来場者は回遊しにくくなります。同じツール内で展示会に関連するすべてのサービスを提供できることも、回遊率の向上には重要です。

個別商談

1対nの形式しか設けられていなかったり、各企業に1つの空間(Web会議室)しか割り当てられていないと、他の人には聞かれなくないような内容を話せる場がありません。

プラットフォームによっては「空き部屋」を用意でき、必要に応じてそこで数人だけで個別に商談することができる機能を有しているものもあります。オンライン展示会ではぜひ活用したい機能の一つです。

行動データの取得

オンライン展示会では、来場者への資料提供も当然オンライン形式になります。来場者の視聴ログはもちろんですが、PDFなどの資料をいつ・誰がダウンロードしたかといった行動データを取得しておくことができると、出展者は、展示会終了後のリード管理やアフターフォロー、次回以降の内容のブラッシュアップにつなげることができます。

ハイブリッド開催への対応

ハイブリッド開催は、リアル会場とオンライン会場を同時に設置する開催形式です。ハイブリッド開催の場合には、リアル会場での様子がどうなっているかをオンラインの来場者が視聴できる機能があると理想的です。プラットフォームがライブ配信に対応していれば、そうしたことも可能になります。

オンライン展示会プラットフォームとは?各社のサービスを比較して紹介

オンライン展示会のプラットフォームについては「オンライン展示会プラットフォームとは?各社のサービスを比較して紹介」で詳しく解説しています。

サポート内容で決める

ここまでプラットフォームの選定ポイントを解説してきましたが、オンライン展示会には、リアル開催とは全く異なるノウハウが必要になります。

特に撮影や配信に関しては、映像や音声が途切れたり、配信にノイズが入ったりしてしまうと、来場者・出展者双方の満足度も大きく低下してしまいます。そのため、ノウハウがなく不安に感じる場合には、プラットフォームの選定と合わせて、専門スタッフによるサポート体制の有無もぜひチェックしてみてください。

プラットフォームの提供事業者の中には、機材の準備から専用スタジオの手配、当日の撮影・配信まで、必要に応じたサポートサービスを提供している事業者もあります。配信に関する業務を専門スタッフに一任することで、担当者が本来の業務に専念でき、結果として人的コストを削減することにつながることもあります。

まとめ | 規模や目的に合わせたプラットフォーム選びを

従来の展示会をオンライン化することで、参加者(来場者)は地理的な制約を受けずに、気軽に展示会に参加することができます。

また出展者にとっても、オンライン展示会は感染症対策をはじめ、従来は見込めなかった遠方からの参加や会場運営費の削減につながるといったメリットがあります。

双方にとって意味ある展示会にするためにも、まずは展示会の目的や配信スタイルなどを十分に検討・整理し、集客規模や予算感も踏まえたうえで、プラットフォームに必要な機能を適切に取捨選択してもらえればと思います。≈

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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